梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

今年2回目の名古屋へ

2011年09月27日 | 芝居
新橋演舞場<秀山祭 九月大歌舞伎>も、目出度く千穐楽を迎えることができました。
『勢獅子』の<手古舞>を初めて勤めさせて頂き、先輩方の中で勉強させて頂きましたこと、有難く思っております。
出勤もややゆっくりめ、終わる時間も早かったので、お稽古や家事、友人、仲間との食事など、舞台外でも大変有意義な時間を過ごせました。
勉強会の疲れもうまく克服できました(昨年はひと月ヘロヘロでしたからね…)。

さて十月は、今年二回目の名古屋御園座<吉例顔見世>に出演いたします。
今月に引き続き『三代目中村又五郎 四代目中村歌昇 襲名披露』でございます。
師匠は昼の部『寿曽我対面』の曽我十郎と、夜の部『助六由縁江戸櫻』の白酒売りをお勤めになりますが、白酒売りは実は曽我十郎ですから、昼夜で同じ人物を演じるという、ちょいと珍しいこととなりました。もっとも、それぞれのキャラクターは全く異なりますが…。

私は、昼の部で、播磨屋(吉右衛門)さんの『一條大蔵譚』「檜垣」の場の<腰元>、夜の部では成田屋(團十郎)さんの『助六由縁江戸桜』の<揚巻付き振袖新造(三)>と<香炉台の新造>という三役を勤めさせて頂きます。
『助六』の幕切れ近く、香炉を運んでくる新造は初めてでございますが、ご承知の通り仕掛けがある小道具ですので、おっちょこちょいな私が取り扱ってよいのかしらと不安ではございますが、先輩方によく教わって勤めさせて頂きます。

十月は御園座の他にも、新橋演舞場、国立劇場、日生劇場、京都南座と、多くの劇場で歌舞伎が上演されます。
季節の変わり目でございますが、皆様体調にはくれぐれもお気をつけられ、<芸術の秋>をご堪能下さいますよう!

夏の終わり・そして秀山祭九月大歌舞伎

2011年09月01日 | 芝居
『音の会』『合同公演』『小学生のための歌舞伎体験教室』と、8月の舞台は瞬く間に過ぎ去りました。
今となっては遠い昔のようでございます。

常と違い、自分たちの手で運営してゆく勉強会。一昨年より、<より若手のための>公演となってから、なおさらその難しさ、厳しさが身に沁みております。

『音の会』の「菅原伝授手習鑑 車引」では、兄弟子の梅蔵さんの松王丸に、黒衣の後見をさせて頂きました。まさか生涯勤めることはないだろうと思っていた後見でした。ご承知の通り大仰な扮装でございますから、着付け作業ひとつとってみても、慣れていないだけに汗をかきかき大変でしたが勉強になりました。そしてなによりも、久しぶりにこのような公演に出演される、梅蔵さんのお手伝いができましたことが嬉しかったです。

『合同公演』では、「対面」の舞鶴役を勉強させて頂きましたが、古風なお芝居だけに、理屈も分別も無用の、おおらかで明るく元気なお役は、初めての体験でございました。ご指導いただきました加賀屋(魁春)さんから、とにかく<大きな声で>、<女ということを意識しすぎないで(普通でしたら小林朝比奈なわけですから)>とのお言葉を頂戴しましたが、これまで経験したことのない演技に挑戦できましたことは、難しくもありましたが、とても楽しゅうございました。
また、『一條大蔵卿』では、大蔵卿の後見も勤めることとなり、7年ぶりにぶっかえりもさせて頂きました。こちらは失敗したら主演の方に大きなご迷惑をかけてしまうので、かなり緊張しました。手慣れる、とまではいかなかったのが心残りですが、こちらもこのさき勤めることはないであろうお仕事、勉強できましたのは本当に有難いです。
お盆に重なった公演でございましたが、心配していたお客様の入りも、全8回のうち4回、完売となりまして、これはひとえに当公演をご支援下さる皆々様のお陰と、この場をお借りして厚く御礼申し上げます。

『小学生のための~』では、はじめて化粧担当としてお手伝いさせて頂きました。『対面』を4組で上演するので、総出演者は約70名。私は大名さんや親子梶原を中心に化粧をさせて頂きましたが、皆さんお行儀が良くてとってもやりやすかったです。といっても、へんに大人しいわけでもなく、そこは子供らしい元気さ明るさでいっぱいで、良いエネルギーを沢山もらうことができました。
小学生の皆さん、お疲れさまでした。

これらの合間に『稚魚の会友の会』のパーティーもございましたし、いやはや、よく体力が続いたもの。

           ◯

さて、これらの思い出はスッパリと胸の奥にしまい込んで、当月は新橋演舞場<秀山祭九月大歌舞伎>でございます。

目出度く賑々しく、『3代目中村又五郎 4代目中村歌昇 襲名披露』でございます! どうぞ新秋の演舞場でお芝居をご堪能頂きたく存じます。
師匠は昼の部の大喜利『勢獅子』の<鳶頭鶴吉>と、夜の部の序幕『沓手鳥弧城落月』の<大野修理亮治長>、『口上』にご出演です。
私は『勢獅子』の<手古舞>に出演させて頂いております。はじめての手古舞役ですが、あの独特な拵えをすることができるだけでも嬉しいのに、鳶の者との踊りもさせて頂けるのが、本当に有難いです!