梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

四国こんぴら歌舞伎へ参ります

2011年04月04日 | 芝居
大震災から3週間余が過ぎました。

被災地では、救援物資や避難所の環境、亡くなられた多くの方々のご遺体の埋葬場所、膨大な瓦礫の処分等、多くの課題があるようですが、復旧、復興に向けての歩みが徐々にではあれ確実に進んでいることを、頼もしく思っております。
多くの芸能人、アーティストの方々が、炊出しや物資の援助、義援金の寄付等の取組みをみせておりますが、私たち歌舞伎俳優も、先般<社団法人 日本俳優協会>のホームページで発表がございましたように、協会から、日本赤十字社を通じての義援金の寄付を決定いたしました。この後も、様々なかたちで支援を行うことになると思うのですが、私といたしましても、できる限りのことをさせていただく所存でおります。

まず、一市民としてできること(節電・ボランティアなど)をきちんとやる。それから、役者としてできることを考える。
そういう姿勢でいたいと思います。

いまだ余震も続く東京を離れるのは少なからず不安でございますが、4月は四国こんぴら歌舞伎大芝居へ参ります。
古き良き時代の趣きを今に伝える芝居小屋<金丸座>での年に1度の恒例の公演。お陰様で2週間の興行はすでに完売とのこと。
この度は高麗屋(幸四郎・染五郎)さんご父子、師匠梅玉、加賀屋(東蔵・松江)さんご父子、京屋(芝雀)さんをはじめとする一座でございます。
昼に『熊谷陣屋』『河内山』、夜に『鈴ガ森』『藤娘』『鯉つかみ』という狂言立てで、師匠は『河内山』の松江出雲守と『鈴ガ森』の白井権八をお勤めになります。
私は『河内山』『鯉つかみ』それぞれで腰元を勤めさせて頂きます。どちらも初めてですので、先輩方によく教わって勤めます。

『鯉つかみ』は大変珍しい芝居で、河内屋(延若)さんがNHKのスタジオでなさった映像を拝見しただけでしたが、今回この狂言に携わることができて大変嬉しく思っております。金丸座の古い舞台機構をいかした古風な演出になるとのことですので、大変楽しみでございます。