梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

梅之旅日記’07 《無事初日です》

2007年08月31日 | 芝居
いよいよ始まりました《公文協西コース》巡業。川口リリアのメインホールは、昼夜の公演とも大勢のお客様。本当に有難いことでございます。
緊張はいたしましたが、『番町皿屋敷』の茶屋娘も、無事勤めることができました。まだまだ手順に追われてしまっておりますが、今日2回の舞台で、全体の流れがだいぶ掴めましたので、(この役のこの台詞の間にコレをしよう)という目安は定まりました。次回以降の公演で、どんどん整理していこうと思います。

今回の公演は、演目数も多くたっぷりとした内容です。午後6時半に開いた夜の部の終演は9時45分。巡業にしては珍しい上演時間の長さです。それでも最後までお客様が御覧下さるのは、有難いことですね!

まずは取り急ぎまして、旅日記第1日目のご報告をさせて頂きます。

梅之旅日記’07 『舞台稽古でした』

2007年08月30日 | 芝居
今日は埼玉県川口市【川口リリア】メインホールで<初日通り舞台稽古>。
まずは楽屋作りからはじまりましたが、これからひと月は、毎日荷開けと撤収の繰り返し。できるだけコンパクトにいたしましたれど、それでも結構な数にはなります。

さて、『番町皿屋敷』で私が勉強させて頂く<茶屋の娘>。この芝居では、お抹茶を点てて出す茶屋でございますので、なかなか演技が大変です。進行している芝居に間に合うように、棗から茶を入れお湯を汲み茶筅をかきまわし…。ひとつひとつの動きに、きちんとした作法があるわけですが、といって馬鹿正直に決まり通りの動きをしていては、芝居の流れを止めてしまいます。今回このお役を教えて頂いた先輩にも、お茶を点てるところでは『作法に気をとられすぎないで、芝居の<運び>を壊さないようにトントン演じること』というご注意を頂きました。あくまでそれ<らしく>見えれば可、ということでございます。ご覧頂く皆様には、何卒鷹揚のご見物をお願い申し上げます。

そうはいってもこのお役、幕開きに町奴2人、それから師匠演じる青山播磨、すぐ続けて再び町奴に、というふうに、お茶を出す場面が多く、その他2脚の床几を片付けたり、播磨の羽織を脱がせたりと、することがいっぱい! それぞれの仕事をさりげなくこなすのは本当に難しいです。先輩からは『とにかく慣れること』といわれておりますので、千穐楽までにどれだけ自然に、目立たずにできるようになるか、自らの課題として、精一杯学んでいこうと思います。

いよいよ始まる《公文協西コース》、東京近郊の公演のおりには、皆様どうぞお出まし下さいますよう!

《公文協西コース》に旅立ちます!

2007年08月29日 | 芝居
今月31日初日の《公文協西コース》巡業に参加いたします。
『正札附根元草摺』『口上』『番町皿屋敷』『戻駕色相肩』という狂言建てで、今年4月に2代目を御襲名なさいました、萬屋(中村錦之助)さんの襲名披露興行でもございます。

師匠は『番町皿屋敷』に、青山播磨役で主演。『口上』にもお出になります。私は『番町皿屋敷』序幕の<茶屋の娘>で出演させて頂きます。
今回の狂言のなかで、数少ない女形のお役に出させて頂けたことを、大変有難く思っております。新歌舞伎の女形を、しっかり勉強いたしたいと思っております。
昨日が<附立て>、今日が<総ざらい>。明日は初日の会場である川口リリアで舞台稽古…。
ここ数日は、《合同公演》《苫舟の会》《西コース》と、同時進行で勤めてまいりまして、さすがに疲れました。マッサージやら整体やら、岩盤浴、ニンニク注射、ありとあらゆる手段で身体をケアしながら乗り切りましたが、ようやく明日からは巡業一本で頑張れます。
さて、これからは<旅日記>のはじまりです! どんな紀行文になりますでしょうか?

『苫舟の会』に出演いたしました

2007年08月28日 | 芝居
8月27・28日と、日本橋劇場にて《第2回 苫舟の会》が開催されました。
《苫舟の会》は、当代藤間勘十郎師のリサイタルで、<苫舟(とまぶね)>の筆名をもつ勘十郎師による、作、構成、演出、振付による、新作の発表の場となっております。
今回も清元節『卯月夢醒死神譚(うづきのゆめさめ しにがみばなし)』と、常磐津節『新書小町桜容姿(いまようざくら すがたのいろどり)』という2作品が書き下ろされましたが、この公演に私も参加させて頂き、得難い勉強をさせて頂きました。

河竹黙阿弥作の『女書生』の浄瑠璃『夕立碑春電』を<余所事浄瑠璃>として使い、深川芸者と死神の奇妙な道行を描く『卯月夢醒~』では、なんと<人力車夫>を演じさせて頂きました。これで当分立役を演じることはないと思うのですが、最後の最後が散切りものとは思いもよりませんでした。とはいえ、深川芸者美代吉役の、劇団新派の川上やよいさんと、勘十郎師との3人で幕切れをとるという本当に有難いお役で、緊張いたしました~!

続く『新書小町~』は、ご存知『関の扉』を、原作の顔見世狂言『重重一重小町桜』に基づいて二幕四場に再構成し、よりお芝居らしくしたてたもの。勘十郎師が<関兵衛実は大伴黒主>と<斉頼の鷹>、萬屋(梅枝)さんが<傾城墨染実は小町桜の精>と<良岑宗貞>、成駒屋(壱太郎)さんが<五位之助安貞>と<小野小町姫>というように、主演者3人が各幕ごとに男女を演じ分けるのがミソとなっています。

ここでは後見として色々と仕事をさせて頂きました。100分の大作ですので用事もいっぱい。とはいえ『関の扉』はよく知っている狂言ですから、そんなに慌てず勤めることができました。
この演目では、澤村國矢さん、市川左字郎さん、中村蝶之介さん、中村蝶三郎さんがお役で出演。それぞれ立ち回りをなさいましたが、國矢さん左字郎さんの討手を相手の、成駒屋さん演じる安貞の大立ち回りはちょいと<泉水の立廻り>風で、3人のイキも合って大いに盛り上がりました。

こういう舞台にお声をかけて頂き、普段体験できない色々な仕事を学べたことは本当に有難いことでございました。普段からお世話になっている藤間の御宗家の舞台に、微力ながらもお手伝いができて嬉しいです。

…これで8月の仕事は全て終わり! いや~ホント<熱い夏>でした。

最終号 <乗合船こぼれ話>

2007年08月27日 | 芝居
気がつけば千穐楽、といった感じで終わりを迎えた『第13回 稚魚の会 歌舞伎会 合同公演』。
思い出は山のようにあるのですが、今日は『乗合船』でのエピソードをご紹介いたしたいと思います。

B班『乗合船』で、上手側の床几に座るメンバーは、向かって右から辰巳さん、京珠さん、京純さん、京由さん、私、そして松男さん。私以外は、『花ざかりの君たちへ』ではございませんが美形が揃い、なかなかな眺めでございましたでしょう。
さて私の隣の松男さん。今回が勉強会初参加ですし、初舞台から間もないので台詞をいう経験も少なかったせいでしょうか、<捨て台詞>に苦労しておりました。各シヌキが終わるごとに「ヨゥヨゥ」と囃すほかにも、例えば「面白いねェ」とか「見事なものですね」なんて、思い思いに喋っていいわけですが、それをどう言っていいものか、パッと思いつかないようでした。稽古が始まったばかりの頃は、私が話しかけても頷くだけだったり、鳥追い相手のなのに「そうですね」なんて敬語を使ったり。
もっと気楽に接してね、役のうえでは先輩後輩はないんだから、とこちらも申し上げ、リラックスしてくれるようにお願いいたしまして、お陰様でだいぶ緊張はとけ、初日を迎えたわけですが、それでも松男さんの方から私に話しかけてくることはなかったんです。

それが千穐楽、太夫と才造の<万歳>のくだりが始まるというとき、ついに初めて松男さんから、
「今年もいい年になりそうだなァ」
と声をかけてくれ、私は本当に嬉しくなり、返事をいたしましたのと同時に、この台詞を、どうして考えついたのか、ちょっと不思議にも思い、終演後に本人に聞いてみたのです。すると…。

前日の公演を観にきた松男さんのお知り合いが、三河出身の方だったそうで、この踊りを大変<懐かしがって>いたそうなんです。その方の子供の頃は、装束も唄も仕草も、この踊りとそっくり同じな<三河万歳>が正月の町を流していたそうで、それを思い出したというわけなのですが、子供心に、この一行がやってくると1年幸せになれるんだな、と思っていた、というお客様の話を聞いて、あの千穐楽の台詞が生まれたという次第。

…この経緯を聞いて、私はますます嬉しくなりました。こと『乗合船』のような風俗舞踊では、より役になりきることが大事です。世話の踊りらしい生活感、役々の雰囲気を掴むために、色々な工夫をせねばならないのですが、そういう役作りを、彼が稽古場から本番までずっと考えていてくれたこと、そしてお客様とのお話から一つのヒントをつかんで、自分の台詞を作ったこと。
役に対する真摯な気持ちがはっきりと伝わり、ああ、こういう仲間と一緒に勉強できて本当に良かったと、心から思いました。
松男クン、ありがとうね! 

さて、本日をもちまして、『期間限定 梅之的《合同公演》情報ブログ』は終了させて頂きます。
期間中は皆様からのコメントにも返事をできませず、失礼をいたしました。皆様からのお言葉が励みとなり、役2ヶ月間のPR活動を続けることができました。
また来年も『合同公演』に参加できるかはわかりませんが、どうぞ皆様、私どもの修行の場、『稚魚の会 歌舞伎会 合同公演』を、いつまでも御贔屓下さいますよう、心よりお願い申し上げます。
また、8月の三宅坂でお会いできますことを楽しみに…。

No.45 <心から御礼申し上げます!!>

2007年08月26日 | 芝居
本日、『第13回 稚魚の会 歌舞伎会 合同公演』千穐楽。
B、C班の2公演を、無事に終えることができました。
私にとりまして今年の8月は、『一心會』にはじまり『子供歌舞伎体験教室』『音の会』『合同公演』『苫舟の会』と、幾つもの仕事、舞台を同時進行でこなしてきた試練の月でした。大変だったこともございましたが、仲間たちのおかげでなんとか乗り越えてまいりました。
そんな大切な仲間とも、今日を最後に離ればなれになるんだな、また来年も、一緒に勉強できるのかな…と考えると、寂しい思いもつのり、その一方で、拙いながらもなんとか最後まで公演を乗り切れた嬉しさ、喜びもあり、『乗合船』の幕切れ、全員でキマった瞬間、胸の内には様々な感情がこみ上げてきまして、ひとしおの感慨がございました。

『勧進帳』でも、後見を勤めながら、新蔵さんの弁慶も、左字郎さんの義経も、そして升一さんの富樫も、今日で終わってしまうんだ…と考えてしまい、そんな思いを抱きながら<延年の舞>を後見座からソッと見ていると、お役との《一期一会》ということを切に考えてしまいました。勉強会で演じた役と、再び巡り会うのはいつのことになるだろう、おそらく一生ないのかもしれないけれど、今このとき、この仲間たちと共に大役を勉強できた<経験>だけは、将来へつながる大事な糧として、ずっと忘れないでおこうと思うのです。
短い期間の舞台ゆえの寂しさ、物足りなさもあるのですが、逆に短いゆえのインパクトも、出演者一同は大きく受けているのです。

女形を勉強するようになって初めての勉強会で、大好きな踊りを勤めさせて頂きましたが、計4回の舞台は本当に楽しゅうございました。いやむしろ、仲のよい先輩後輩が11人揃い、みんなで色々考え合いながら稽古を重ねてこられたその過程からして、和気藹々、笑いもありの超ポジティブ稽古でした。
ご指導下さいました藤間勘祖師はじめ宗家藤間流の皆様に、この場をかりて御礼申し上げますとともに、ご来場下さいました多くのお客樣方へ、厚く厚く感謝申し上げる次第です。

今後とも、未熟な私たちをどうぞよろしくお願い申し上げます。

No.44 <あとひと踏ん張り!>

2007年08月25日 | 芝居
A班は<千穐楽>、そしてB班は3日目。もう化粧道具を撤収できる仲間がいる中で、私の鏡台前はいっこうに片付きません、というかかなり散らかってしまっております…。そろそろ来月の巡業(詳細は後日)の準備もしなくてはならないし、明日は整理が大変です!

今日の舞台も落ち着いて演じることができました。緊張してしまうと、うっかりミスに(アチャ~)と冷や汗をかきながらの踊りになってしまうのですが、リラックスできていると、踊りながら自然に<気をつけること>が浮かんできます。常にそういう精神状態になれたらいいんですが。まだまだ修行不足ですね。
他の乗合船メンバーも、だいぶ肩の力が抜けてきたようです。私たちは出演者でありながら、床几に腰掛けて仲間の踊りを見守る観客でもあります。実際のお客様よりも近い距離で、仲間の表情、身体使いを見ておりますが、誰もが堅さがとれ、明るさが出てきたように思います。初日なぞ、手が震えている仲間を見ているうちに、こちらも余計に緊張してしまったりしましたからね。今は楽しそうに踊るみんなから、プラスのエネルギーを頂いております。

そうそう、すっかり書き忘れてしまったのですが、私の鳥追い、足袋を履くことになりました。発注のミスで素足にしてしまったのですが、鳥追いの風俗としては白足袋が正しいのです。おかげでだいぶ踊りやすくなりまして、助かっております。
お客様からは見えにくいかもしれませんが、黒繻子の帯に、手拭で包んだ三味線の撥を挟んでおります。三味線を抱えてるんですから撥も携えていませんとね。また、一仕事して頂いてきたという心で、茶半紙で包んだおひねりも入れております。こういう細かいアイテムで、より鳥追いらしく見えるのですね。

シヌキにも使う手拭は縮緬です。昨日までは<流れ水>の模様でしたが、「これ使ってみたら?」とおっしゃって先輩がお貸し下さった<源氏香に雀>の模様のものを、今日から使わせて頂いています。
私のシヌキは『角兵衛と女太夫』からの転用ですが、藤間の御宗家では、『角兵衛~』では演者の<比翼紋>の手拭を使うのだそうです。しかしながら、それをそのまま『乗合船』に持ってくると、雰囲気的に合わないのでは、と勘祖師がお考え下さり、<比翼紋以外>で、好みの柄のものを使うことになったのです。A班の澤村由蔵さんは、紀伊国屋ゆかりの<千鳥>模様になっていますよ。

さあ、泣いても笑っても明日で最後! 楽しくきちんと踊りきれるといいな…。
写真も撮りましたが、後日アップいたします。

No.43 <もう折り返しですが…>

2007年08月24日 | 芝居
B班2日目。『乗合船』はだいぶリラックスして演じることができました。
手拭も引っ掛かることもなく、ホッといたしました。あんな恥ずかしいことは二度と起こしたくありませんからね! きちんと振りを演じおおせることが第一ですから、こうしたミスは絶対に避けたいので、油断なく取り組んでまいります。

『勧進帳』の後見も安心して勤めることができました。升一さんもますますどっしりとしてきました。今日のお客様はA~C~Bと、本当にお芝居への反応がようございまして、盛んな拍手を頂戴し、出演者一同感謝しておりました。やっぱり歌舞伎は拍手や大向こうに<雰囲気作り>をして頂くものです。もちろん演者がしっかり芝居をしなければ良い反応を頂けないことも事実ですが、今日の公演は、皆様の温かいお心に支えられたものと、厚く御礼申し上げます。

今日は『勧進帳』の後見について、ちょっとお話しさせて頂きたく存じます。
富樫の後見は私ですが、義経の後見は中村京三郎さん、弁慶のシン後見は市川升吉さん、ツケ後見は尾上松男さんが勤めております。
私や京三郎さんは、すでに経験済みですが、升吉さんや松男さんは今回が初体験となります。どの演目でも、後見の人選は『合同公演』実行幹事の話し合いで決めてまいりますが、今回の弁慶の後見二人に関しましては、<これから本興行でも勤めることになるであろう>人間にお願いしようということになりました。つまり、将来の本公演で、成田屋(海老蔵)さん、音羽屋(松緑)さんが弁慶をなさるときのことを想定したわけです。たとえ4日間の公演でも、一度経験した仕事は必ず身に付きますし、それが将来再び勤めるときに必ず役に立つ。今回の『合同公演』を機会に、おおいに勉強してもらおうということなんですね。
どんな役でも仕事でも、「やった人が一番強い」のが歌舞伎です。実際動いてみた感覚、肌で覚えた芝居の雰囲気は、何度見たところで、傍観者にはわからないことばかりです。そして、経験するなら早い方が良い。素直に<教われる>立場のうちに、いろんな先輩から話を聞いて自分の栄養にすること…。こういう点も配慮して、『合同公演』では総配役を決定していることは、是非お伝えしたく存じます。
同じようなことで申せば、『寺子屋』の黒四天。あの長時間の蹲踞が大変苦痛なお役に、今回先輩方が入っているのも、新人だけでは統率がとれないこと、そして先ほど申しましたように、経験者が混じることで、いわば<お手本>を示してもらい、それを後輩に学んで欲しいということなんです。黒四天だって、<揃った>動きをするのは難しいのです。
幸い黒四天に関しては、その先輩方が舞台稽古から連日、相当厳しく新人を指導してくれています。はたで見ていて嬉しく思いますが、それをどう吸収するかは本人次第。 若人頑張れ! と少々声を大にして申し上げておきます。

本当に、『勉強』会だなあ、と思う本年の楽屋です。

No.42 <2日目のような初日のような…>

2007年08月23日 | 芝居
『合同公演』2日目にしてB・C班の初日。これまでにない公演形態にちょっととまどう出演者もちらほらです。
ついに1日3部公演の幕が開きましたが、おかげさまで無事に打ち出すことができました。
今日の私のスケジュール。A班→受付 C班→『勧進帳』後見 B班→『乗合船』鳥追い。朝から働いております!(自分で言うことじゃないか)

『勧進帳』の後見、富樫役の升一さんが無事勤めおおせてくれるかそれだけが心配で、いつになく、そして自分のことでもないのに緊張してしまいました~。普段肚の据わっている升一さんも、「やっぱり緊張するよ~」と出の前まで言っていましたが、なかなかどうして、下手お幕から出てきてからはホント堂々たる演技。勉強会で仲間内の芝居を誉めるのはおかしいことかもしれませんが、『やっぱり升一さん!!』と嬉しくなりました。
もちろん出演者全員懸命の演技です。お客様がグッと集中してご覧頂いているのが伝わってまいりました。名題、名題下俳優のみでの『勧進帳』上演は、本邦初と申しても過言ではないでしょう。その初日の舞台にふさわしい、ピンと張りつめた空気、この場に立ち会えた幸せ、一から『勧進帳』を勉強できた有難さは、忘れられないものになると思います。

なにせ小劇場ですので照明もガンガンあたり、後見で座っていても汗が流れました。このぶんでは『乗合船』までに汗をかききってしまうのではないかしらと思いましたが、そうは甘くはないですね。朝11時から照明の熱であたためられ続けた舞台の温度は午後8時のB班『乗合船』で最高潮! 幕が開く前からじっとりと…。
とにかく落ち着いて、楽しく明るく! と意気込んで始まった『乗合船』ですが、やっぱり緊張が襲ってきました。でも幕開きの、船の中での一くさりが終わるとだいぶ楽になりました。さあこの流れで、とはじめたシヌキ(ソロパート)、手拭を肩にかけるところで、鬘の髷に引っ掛かってしまい…。『!$Å@≒?』とビビりかけましたけども、いけないいけない、ここで慌ててどうする梅之、やり直したらうまく外れて間もこけないで次の振りに移れました。あ~よかった~(しみじみ)。
まだまだ小道具に<使われて>しまっております。大反省です。明日からは絶対繰り返しません!

初日の興奮からか、それとも出の前にみんなで「楽しくやろうね!」と声を掛け合ったおかげか、終演後はみんな一様に「緊張したけど楽しかった!」という声。もちろん、楽しんでるだけではいけないことは承知ですが、御宗家の「とにかく楽しそうに踊って下さい」というお言葉を、全員で体現できたら嬉しいな。個々の課題は課題として、チームワークも大切に! です。

明日は11時開演の部。昨日より進歩! をスローガンに、11人の乗客一同、無事<向こう岸>にたどり着けるよう精進します!

No.41 <『合同公演』無事初日!>

2007年08月22日 | 芝居
ついに始まりました『第13回 稚魚の会 歌舞伎会 合同公演』!!
お陰様で何事もなく初日A班1回公演を終えることができました。
私はA班の公演では受け付け担当ですので、ほとんど楽屋にもいず、また舞台も拝見できませんので、なんとも申しようがないのが残念ですが、A班出演者のみなみな、よい緊張感に包まれているのでしょうか、シャキッとした面持ちでした。

私の今日の仕事は、C班『勧進帳』の<初日通り舞台稽古>での後見だけ。午後3時過ぎからはじまりましたが、衣裳を着ての稽古を重ねたこと、居所合わせを丁寧にしたので、変な表現ですが<本番さながら>の舞台でした。
富樫の後見は師匠のもとで3度経験しておりますが、さて今回市川升一さんとのコンビネーションはいかに? 升一さんが落ち着いて演じてくれるのでこちらもとってもやりやすいです。向こうも僕のことは全然気にしてないらしいのですが、かえってそれが良いのかもしれませんね。成田屋(團十郎)のお家の富樫のなさり方、演技はもちろんのこと衣裳の着方など勉強になることばかりです。

それにしても『勧進帳』開幕前の楽屋の混雑はスゴいものがあります! 四天王の着付作業にしてからが、役者1人につき衣裳さん1人、前に回って着付けをする後見、左右につく手伝いの仲間、着せ方を教えて下さる先輩たち…と、人の輪、輪、輪。これに床山さんまで加わってくるともう…。
逆に『寺子屋』が開いてしまった後などは、松王、源蔵、戸浪、千代、百姓、黒四天、黒衣数名と、ほとんどが出払ってしまいまして『乗合船』メンバーは寂しい思いをしながら化粧をすることに。汐の満ち干のように役者が出たり入ったりしております。

さあ明日は私のB班の初日。とはいえ夜の部ですからだいぶ遅い出番になりそうです。
タイムスケジュールが出ましたので、ご観劇の参考に…。

《11時開演の部》

『寺子屋』11:00~12:40
『乗合船』13:05~13:45

《14時半開演の部》

『須磨の写絵』14:30~15:40
『勧進帳』  16:05~17:20

《18時開演の部》

『寺子屋』18:00~19:40
『乗合船』20:05~20:45

No.40 <『合同公演』舞台稽古!>

2007年08月21日 | 芝居
午前11時からA班『寺子屋』『乗合船』、B班『寺子屋』『乗合船』の順で<初日通り舞台稽古>。
A班には全く関係していない私ですが、『寺子屋』開幕前にはとりあえず楽屋入りし、自分の用事をしたり、後輩たちの面倒を見たり。面倒、といっても、化粧の仕方や衣裳の着方をアドバイスするくらいですがね。とはいえ『寺子屋』の黒四天にしてからが初体験の人ばかり。こういう<本興行でもすぐ勤める役>こそ、しっかり学んで欲しいものです。古い先輩がいない勉強会の楽屋では、私のような立場の者でも、色々と<教える>ということをしなくてはならなくなってきました。
今回初参加となる18期生たちは、本役の『乗合船』角兵衛獅子をはじめ、『寺子屋』では各回ごとに黒四天と百姓を交代で出演、それに『勧進帳』では<お幕>係と、結構ハードな仕事ぶり。それぞれに学ぶことはたくさんあるのですが、やっぱり角兵衛獅子が大変そうです。化粧にしても、厚すぎず薄すぎない<世話の踊り>のやり方がございますし、肌の色、眉の引き方など、戸惑うことは多かったみたいです。私も9年前に『越後獅子』を勉強させて頂きましたから、ある程度はアドバイスできますが、本人たちからこちらに<聞いて>くれるからこそ色々お話しできるわけで、こっちから一方通行の口出しはしたくございません。私も初舞台のころは、「わからないことがあったらきちんと先輩に聞くんだよ、勝手に自分で判断しちゃいけないよ」と口を酸っぱくして言われました。18期生に限らず、今回合同公演に参加した若手のみんなには、そういう役に対する取り組み方も、是非今回覚えて欲しいなあ…。

『乗合船』、今日は新鮮な気持ちで取り組む事ができました。みんな衣裳を着て化粧もして、まず見た目が変わりましたし、指導の方、出演者のお師匠方、その他大勢の人が見守る客席に向かっての演技。心地よい緊張感と軽い興奮…。
やっぱり舞台っていいな、と改めて思いました。
何度も申しますように、これまでうけてきた藤間の御宗家のご指導を忘れずに、品よく行儀よく勤めたい。その一心でございましたが、最終的には勘祖先生のおっしゃる「楽しそうに踊る」ことの難しさ。これにつきました。身体の中から、皆と時を共にできる喜びを感じさせるような、そんな雰囲気って余裕がないと出せないですよね。まだまだ振りをこなすのに精一杯です。

稽古終了後は、今日とったビデオを見ながらの<B班『乗合船』反省会>。明日にそなえて早く帰宅したい人もいるだろうから、見たい人だけ集まれればいいかと当初は思っていたのが、気がついたら11人全員が集まってくれた! ホントに嬉しいことです。先輩後輩関係なく、みんなで色々言い合いながら<まとめる>作業。今日もビデオを撮ってよかった~。
とある先輩から、「ビデオを頼りにしてはいけないけど、自分がどう動いているか、どう喋っているかを確認する事で、先生方からのダメ出しの意味が、より理解できるということもあるんだよ」と言われてから、私は勉強会では必ずビデオを撮っています。相手役や共演者のみんなも、いつでもチェックができますし、まあ見る度ごとにガックリするばっかりなんですが、自らを戒める気持ちを込めて、本番までのビデオ撮影はこれからも続けていこうと思っております。

さあ明日から『第13回 稚魚の会 歌舞伎会 合同公演』が始まります!! 初日はA班のみですので、私は仕事なしですが、そのぶん事務局員としての仕事に徹します!
そして初日の終演後は、C班の舞台稽古という変則的なスケジュール。気持ちをうまく切り替えられるといいのですが。

No.39 <『合同公演』総ざらい! & 出演者よりメッセージ 市川猿琉さん>

2007年08月20日 | 芝居
午前11時より『寺子屋』A・B、午後4時より『勧進帳』、午後6時より『乗合船』A・B、『須磨の写絵』。各演目の稽古前後には<道具調べ>もございました。
朝から楽屋もつかえるようになったので、荷物をひろげて化粧前を作ったり、先輩に頼まれて『寺子屋』の稽古をビデオに撮ったり、事務的な仕事の最終整理…。例年の事ながら、<総ざらい>の日はなにかとバタバタいたします。

『勧進帳』の舞台、小劇場をフルに使っての道具建てですが、やはり間口の小ささは否めません。人間の大きさは変わりませんし、ほとんどの役があの“大口袴”を着用となりますと、相当混み合ってしまいそうですが、成田屋(團十郎)さんが舞台の寸法に合わせて、各場面ごとに出演者全員の居所を細かくお決め下さいましたので、舞台稽古はスムースに進行する事でしょう。
ずいぶん前に秋田の『康楽館』でこの芝居を上演したことがございましたが、それにくらべればまだやりやすいです。ただし舞台正面の長唄囃子ご連中が座る雛壇の両脇、いわゆる<後見座>がほとんどないので、小道具の置き所には苦労しそうです。
居所あわせの最中には、はじめて<お幕>を勤める後輩たちに、幕の上げ下げの仕方を教えました。

『乗合船』では、御宗家にお断りした上で、本番と同じく<素足>でお稽古させて頂きました。足さばきがラクな足袋を履いての踊りに慣れすぎてしまいますと、素足の踊りにくさがこたえます。スーッと足が出せなかったり、クルリと回るのにもつっかえたり。まして国立劇場大稽古場の床はコーティングされてますので余計です。実際の所作舞台はこれよりかはまだしも滑りやすいのですが、いい予行演習になりました。
女形の先輩がたがそろって稽古を見て下さいまして、振り以外の、<雰囲気>的なことに色々とアドバイスして下さいました。踊りは御宗家のお言葉をしっかり守り、プラスαで、よりそれ<らしく>見せられるようにしたいです。
この踊りの道具調べには、『勧進帳』の稽古中だったため立ち会えなかったのが残念ですが、さて小劇場での<11人総踊り>、全員ちゃんと並べるのかな。いかが相成りますでしょうか?

『須磨の写絵』の稽古終了後、総ざらい恒例の<手締め>。本興行では最後に稽古した演目の関係者のみで行うことがほとんどですが、合同公演では参加者全員が必ず揃います。48人があらためて公演の成功を祈り、一本締めをいたしました。

舞台稽古をひかえて、今日も出演者からのメッセージを頂きました。A班『寺子屋』で春藤玄蕃を勤めます市川猿琉さんです。猿琉さんは16期生。澤瀉屋(猿之助)さんのご一門です。彼はなんといっても鮮やかなトンボが魅力で、先般中日劇場での『独道中五十三駅』では、化け猫に翻弄される娘役を本役で勤め、吹き替えなしで女形姿のトンボを演じきったのを、御覧になった方もおいででしょう。勉強会では昨年の『引窓』南与兵衛が久しぶりの参加でしたが、本年は赤ッ面の敵役。どんな演技を見せてくれるでしょうか?


昨年に引き続き出演させていただく事になりました!!
この公演では毎度たくさんの事を勉強させていただいています! 本番で失敗しない事も大切ですが、本番までの過程が何よりも大切だと思います! 教えられた事はもちろんこなさなければなりませんが(こなせていない事も多々あります…)何よりその役の性根をよく理解し、その人物になりきりたいと思います!
…っと長くなってしまいました(>_<)とにかく出せる力を全部出し切りたいと思ってます!! よろしくお願いします!



『!』の多さに並々ならぬ意欲を感じマシタ。
今回は猿琉さんはじめ、中村富彦さん、中村春之助さん、松本錦次さんといった<16期生>が活躍いたしますので、応援よろしくお願い申し上げます。

No.38 <『合同公演』附立て! & 出演者よりメッセージ 坂東玉朗さん>

2007年08月19日 | 芝居
本日から<本稽古>に入った『合同公演』。稽古初日はなかなかハードな稽古割りです。
まず、午前9時より『乗合船』A・Bと『須磨』。ふだん11時開演の芝居に慣れきっている役者たちには、こういう時間は正直ニガテ…。しかし地方(じかた)さん、ご指導の藤間勘祖師はじめ、多くの関係者の皆様がお忙しい中時間をさいて下すったのですから、文句をいえた立場ではございません。栃木県在住の出演者などは、5時半起きで駆けつけました。
はじめての<生演奏>での踊り。当然ながら、ノリ、間合い、三味線の細かい節が変わりました。これまでの稽古で使ってきた音源を忘れ、新たな気持ちで曲に合わせてゆかねばなりません。まず最初に稽古することとなったA班の『乗合船』メンバーは、さぞ大変だったと思います。それに引きかえて私たちB班は、その様子を見ながら、ある意味<予習>できたからまだよかったですが、やはり緊張はいたしましたよ。
白酒売りや芸者、女船頭は着付の裾を引くのですが、より本番に近い形での稽古を、ということで、稽古用衣裳をお借りして稽古に臨んだとある後輩くん。はたせるかな踊ってゆくうちに裾が足に絡まってしまい苦しい戦い。改めて御宗家や一門の先輩から裾さばきの指導をうけておりました。見た目よく動いてこそ踊りなのでしょうから、是非とも初日までにマスターして欲しいです! かくいう私の鳥追いは裾を端折っておりますから、そういう悩みはないものの、数年前の『双面』ではやはり大苦戦いたしました。女形の踊りは、そういうところにも課題があるから大変です。
私自身の問題点は、首が前に出てしまい、老けて見えてしまうのが、絶対治さなくてはいけない<癖>。明日はもっと姿勢に意識をおいて演じなくては! 御宗家に申し訳ない思いでいっぱいなのですが、だったら早く治せ! ですよね…ああ……。

午後1時半より<顔寄せ>。48名の出演者と、関係者がうち揃いまして、いわば結団式ですね。
この場にご臨席頂いた、ご指導の幹部俳優さんから御挨拶がございましたが、『この暑い時期に稽古を重ねて大役に挑戦するみんなは、本当に<演じること>が好きなのだと思う。みんなは<歌舞伎俳優>にあこがれてこの世界に入ったのだと思うし、それは本当に嬉しいことだが、これからは<歌舞伎芝居>をもっと好きになってほしい。古典としての歌舞伎を、<芝居として>きちんと作り上げられる俳優になってほしい』という旨のお言葉がございまして、大変胸をうたれました。与えられた役を演じるだけで精一杯な我々ですが、その先にあるもの、先人から受け継がれた<型>や<心>を学んで、お客様に感銘を与えられるような一幕の物語を成立させるためには、台本の読み方や相手役との呼吸、芝居運びを、もっともっと勉強せねばならないのですね。またひとつ目から鱗が落ちる思いでした。『寺子屋』にしても『勧進帳』にしても、踊りの『乗合船』や『須磨の写絵』にしても共通の課題だと思います。

それから『寺子屋』A・B班、『勧進帳』と続きましたが、『寺子屋』の間は、ビデオに撮った今日の『乗合船』を見ながら仲間同士でダメ出し。各人各役の反省はもとより、総踊りの振りが揃っているか確認もし、自分たちで教えられる範囲のことは指摘し合いました。
直接『乗合船』に関わっていない先輩も、今日の稽古を御覧になっての感想やアドバイスを下さいます。これが勉強会ならではの助け合いの精神。みんなで『合同公演』をよいものにしていこうという気持ちが、本当に有難いです。

『勧進帳』も長唄囃子御連中が入りましたので、ますます深い稽古になりました。鳴り物の間合いや三味線のテンポにまで、事細かに成田屋(團十郎)さんがご指導下さいますので、あいまいな部分がどんどん無くなります。《歌舞伎十八番》としての格、市川家の芸を、こうした勉強会で受け継げる喜びを、稽古の度に感じてまいりましたが、その思いはさらに強いものになっております。

稽古後は全出演者でミーティング。チケットの取扱のことや明日以降の稽古の段取りのことなど。
ほぼ12時間、国立で過ごした1日でした。


さて、稽古も追い込みとなりましたが、またお一人、出演者からメッセージを頂きました。私の同期で大和屋(玉三郎)さん門下の坂東玉朗さんです。
玉朗さん、過日の《音の会》の『忠臣蔵 九段目』では、本蔵娘小浪を可憐に演じきったことは、ご記憶に新しいと存じます。合同公演では『源氏店』のお富や『十種香』の八重垣姫など、若女形としての大役に立て続けに挑戦していらっしゃいますが、今回は『須磨の写絵』の<村雨>で、初の踊りの演し物です。彼は本当に稽古熱心で、頭が下がりっぱなしなのですが、普段から楽しく付き合っている大切な仲間です。


初めまして。坂東玉朗です。梅子(梅之注・ワタシのことです)とは同期で、気兼ねなく話せて救われる事も多く、いつも同期のありがたさを思います。いやほんとに。
舞踊は苦手と思うばかりでしたが、この度お稽古頂いて、改めて自分のまずさを思い知りました。
『音の会』では小浪を勉強させて頂きました。いずれも大きな山ですが、登れる有難さをかみしめて参ります。



玉朗さんの一途さに負けないで、梅子も頑張ります!

No.37 <さあ明日からは!>

2007年08月18日 | 芝居
本日で<平稽古>は終了。明日からは<附立て><総ざらい><舞台稽古>という一連の<本稽古>となります。
これまでの稽古で学んだことをどれだけ発揮できるか。どの演目のどの出演者も、それだけを考えております。ご指導下さった先生方からは、(ひとつ仕出かしてやろう)とか、(俺はこんだけできるぞ)とか、そういう気持ちでお役を演じることを堅く戒められております。下手でも不器用でも、とにかく行儀よく。どんなにイキがったところで、所詮井の中の蛙なのですから…。
あくまで《勉強会》であることを忘れず、一生懸命勤めさせて頂きたく存じます。

稽古場便りももう少し踏み込んでリポートしてみたいと思っております。残り2週間もない『期間限定《合同公演》情報ブログ』、どこまで盛り上げられますでしょうか?

No.36 <想定外、がおこらぬように…>

2007年08月17日 | 芝居
今日は大稽古場にて『勧進帳』の稽古。
本番を想定して、各自衣裳を着てのお稽古です。この演目は、富樫は“長袴”、弁慶、四天王、義経は“大口袴”と、普段我々が勤めるようなお役ではまず着ない、そして大きさ重さ扱いにくさも段違いな衣裳を着ます。その上で大いに動き回らねばなりませんから、早いうちに慣れておかないと舞台稽古でエラい目に遭ってしまいます。その意味で、今日明日の衣裳付き稽古は大切な意味を持っているのです。

成田屋(團十郎)さんのご指導も、始めの頃の<発声法>や<歩き方>、稽古場が移ってからの<居所>を経て、各役の細かい演技、台詞回し、そして衣裳、小道具(小道具も本番通りのものを使っております)の扱いと、より具体的なものに変わっております。本人がきちんと飲み込むまで、何度でもご説明くださるご熱意は本当に有難いです。
『勧進帳』がどんどん<芝居>として深まっていることが実感できるお稽古でした。