梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

梅之私信 <一心會下ざらい>

2007年07月31日 | 芝居
午後4時から10時半まで《一心會》の<下ざらい>。歌舞伎興行の稽古でいうところの<総ざらい>のようなものです。
『茶壺』『操り三番叟』『船弁慶』、すべて本番通りの生の地方(演奏家)さんによる演奏でのお稽古となります。これまでのお稽古ではテープでしたから、当然テンポや間合いが変わってくるわけで、そういうことに気を遣いながら演じることになります。
どんなノリになっても、こちらのほうで冷静、迅速に対応できれば一番なのですが、まだまだ修行不足の身ですので、頭の中であれこれ考えてしまう。そうすると役としての心が疎かになりがちで、今日のお稽古では反省しきりです。とはいえ明日は舞台稽古! 今日の稽古を録画したビデオで自分の姿をチェックし、至らぬ点を洗い出し(至らぬところばかりなのですが)、演奏を録音したテープで総復習いたしました。今日はだいぶ落ち着いては演じられましたが、残る課題の多さには悩まされます。でもまだ1日ある! 明日も稽古前にしっかりおさらいしよう!

周りの仲間や先輩がたもいろいろおっしゃって下さるのが何よりも有難い薬。手前勝手にならないようにブレーキをかけつつも、一生懸命さだけは少なくとも伝えたい。そのうえで、お芝居としての面白さや、役の心をしっかり伝えられたら、こんな嬉しいことはないのですが。

不安だらけですが今日はもう寝ます。ゆっくり休んで体力を回復し、明日また新しい気持ちで取り組みます。

No.24 出演者よりメッセージ<中村歌女之丞さん>

2007年07月30日 | 芝居
本日はA班で源蔵女房戸浪を演じられる中村歌女之丞さんからのメッセージです。
大旦那(六世中村歌右衛門)のお弟子さんですから、私とはごくごく近い一門の先輩ということで、公私にわたりお世話になっております。掲載こそ遅くなってしまいましたが、<平成中村座>公演の大変忙しい舞台の合間に、ニューヨークからファックスで届いた熱い文章をご堪能下さい。


「合同公演」としては、平成3年の第2回公演以来、2回目の『寺子屋』の上演です。
私が中村梅花師(梅之注・5代目歌右衛門の頃から修行されてきた脇役の名女形。その豊富な知識と、これぞ<大歌舞伎>の演技の素晴らしさは、いまだに古い先輩から度々伺っています。)に教えて頂いた最後のお役がそのときの<千代>でしたので、とりわけ思い出があります。その後「音の会」でも<千代>をさせて頂き、その2回ともが「寺入り」からの上演で、勉強会として丁寧な上演が、お客様からも好評でした。
しかし、<千代>は寺入りの件であまり底を割ってはいけないと、梅花師からご注意を受けました。

師、中村歌右衛門は『寺子屋』が上演される度ごとに、初代中村魁車(梅之注・戦前戦中大阪で活躍した女形。派手で技巧的な“魅せる”芸風が特色)さんの<戸浪>がよかったと言っておりました。
今回、初めて<戸浪>を勤めさせて頂くことになり、改めて、ひと幕の前半で芝居を盛り上げてゆくことの難しさを痛感しております。どの芝居もそうですが、後半よりも前半のほうが難しいのです!
「寺入り」での千代とのやり取り、「源蔵戻り」の件り、それと幕切れ近くの御台所との久々の対面も、目立たずに、お互い寺子屋へ至るまでの思いを表現しなければならないのです。

今回、監修・指導をして下さる中村吉右衛門師は今月巡業中のお忙しい中を、一座の中村吉六さん、松本錦次さん達にお稽古をしてくださったそうです。
また女形指導の中村吉之丞師も、今月初旬のお暑いうちからご指導下さいました。

C班は、成田屋さんのお許しと監修・指導で、我々の長い間の念願だった『歌舞伎十八番の内 勧進帳』、また藤間御宗家に御指導頂き『今様須磨の写絵』を上演させて頂きます。
A、B班もC班に負けないよう『寺子屋』『乗合船』を勉強いたしますので、何卒御見物下さいますようお願い申し上げます。


中村歌女之丞



よき時代のよき舞台を見知っていらっしゃる先輩に、お芝居の話を伺うのは本当に勉強になります。私には中村歌江さんや歌女之丞さんのような女形の大先輩がそばにいらっしゃるおかげで、一から出直しの女形修行をはじめられたようなものです。聞けるうちに聞くこと、教われるうちに教わること、お互いの都合もございますけれど、こっちがどんどんアンテナを張り巡らして、貴重な情報をキャッチしませんとね!
そういう意味でも、今年の「合同公演」は楽しみなのですよ!

梅之私信≪公文協東コースに行ってきました≫

2007年07月29日 | 芝居
今日(29日)は、私の実家近くの会館に≪公文協東コース≫がやってきました。
ちょうどお稽古が何もない日でしたので、夜の部を拝見させて頂きました。
3階まである客席がぎっしり。大変な盛況で、嬉しくなりました。
演目は高麗屋(染五郎)さんの『玉兎』、播磨屋(吉右衛門)さんの『忠臣蔵 七段目』、萬屋(歌昇)さんの『太刀盗人』の3つ。『七段目』の開幕前には、紋付袴姿の中村吉之助さんによるストーリー解説もあり、お客様にとっても解りやすい演目構成ですね。

私自身は、『太刀盗人』を大変興味深く拝見いたしました。というのも、このたびの≪一心會≫で出演させていただく『茶壷』とこの『太刀盗人』はストーリーが大変似ておりまして、それもそのはずお狂言にある『茶壷』がまず歌舞伎舞踊化され、その好評を受けて『太刀盗人』が新たに創作されたわけなのですが、2つの演目に共通の雰囲気や、役々の演じ方の相違、そしてとりもなおさず歌舞伎としての<狂言コトバ>を、生の舞台から大いに学ばせて頂きたかったのです。

とりわけ私が勤めさせていただく<目代>役は、『太刀盗人』におきましても、少々間の抜けたといいましょうか、おっとりのんびりしたキャラクターが魅力のお役なのですが、本日の舞台で、動き方や台詞回しで、どうすればより<らしく>見せることが出来るか、おこがましい言い方ながら大変参考になりまして、有難いことでした。どこまで自分の演技に取り入れることができるか、それは私の腕前ひとつにかかっておりますし、藤間のご宗家のお教えを第一とすることは当然のことなのですが、役に取り組むうえでの下地として、今日の経験は絶対活かしたいと思っております。

終演後は巡業メンバーと近所で食事。このまま駅前のホテルに宿泊する後輩でしたので、ついつい芝居話に熱が入ってしまい、気がつけば3時間半くらいたってしまいました。今度の合同公演で自分がやる役のこと、会の運営のこと、合同公演に参加すると言うことの意味…。
お互い改めて、勉強のため、研究のため、そして将来の自分のため、今できることは全てやりつくそう! と決意した次第です。

明日は『音の会』のお稽古も始まります。ますます熱い夏がやってきます!

No.23 出演者よりメッセージ<中村京紫さん>

2007年07月29日 | 芝居
錦次さんと夫婦役となる中村京紫さんからもメッセージを頂けました。京紫さんは京屋(雀右衛門)さん門下の8期生。合同公演では2年前の『本朝廿四孝 十種香』で八重垣姫を勤められました。そのときは私が勝頼をさせて頂いたのですが、不出来な私をあたたかくリードして下さり、とっても演じやすかった思い出がございます。舞台も普段もいつも若々しい京紫さんのメッセージをどうぞ。


初めまして。名作『寺子屋』の千代を演じさせて頂きます中村京紫です。気分的には戸浪をまず勉強して、もう少し大人になってから(笑)千代をさせて頂きたいなぁと正直思ってました。
とはいえ望んでもなかなか演じることのできない、女形の憧れのお役です。貫禄の無い分は気持ち本位で勤めます。どうぞ宜しくお願いいたします。



いえいえ京紫さん、貫禄だって十分ですよ~。
<世話女房>の代表的なお役である<戸浪>とは、位取りや演じ方もかなり違ってくる<千代>をどう演じられるか、とっても楽しみですよね。鬘に<紫帽子>をつける場合や、黒の着付の裾を引く引かないの違いなど、演者によっていろいろ見た目もかわるのですが、今回はどうなりますでしょうか。

明日は<戸浪>をなさいます大先輩にご登場願います。

No.22 出演者よりメッセージ<松本錦次さん>

2007年07月28日 | 芝居
というわけで、B班『寺子屋』で松王丸を勤める松本錦次さんにメッセージを頂きました。
錦次さんは16期生。高麗屋(市川染五郎)さんのお弟子さんです。スターバックスのコーヒーを愛する28歳。年に似合わぬ落ち着きが魅力の立役さんで、合同公演は今回が3回目です。前回は『曾我対面』の五郎でしたが、その意気の良さ、溌剌とした演技を覚えておいでのお方も大勢いらっしゃると思います。


五郎を勉強させて頂いたときは、ただただ緊張して、出る前にぶっ倒れそうになってました。若旦那(梅之注・高麗屋<染五郎>さん)の化粧の仕方をみながら何度も何度も化粧の稽古をしてました(梅之注・彼が五郎を演じた前の月、2005年7月松竹座では、高麗屋<染五郎>さんが初役で『対面』の五郎を演じていらっしゃいました)。
2年ぶりの勉強会、また大役をさせて頂くのは本当に有難いです。教わったことがどれだけできるかでこれからの役者人生の進み方が変わると思います。お腹をこわさない程度に大好物のスイカを食べて、この夏最高に充実させたいです!



とっても大事なことを語ってくれました。『教わったことをどれだけできるかでこれからの役者人生の進み方が変わる』。本当にその通りだと思います。いくら一幕の主役といったって、好き勝手には演じられるものではございません。監修・指導の先生方の教えをどう学び、吸収し、自分の体で再現するか。「型」を重視する義太夫狂言ではなおさらです。
勉強会は個人のリサイタルではございません。出演者の皆々が<教わったこと>をどれだけ大事にできるか、これがすべてだと思います。そうしたことの積み重ねから、やがて自分らしさというものも生まれてくるのではないでしょうか。
私自身も数年前の合同公演で、大先輩とダブルキャストになり、(うわ~お客様に絶対見比べられるよ~)ととっても不安になったのですが、最後の最後で、(教わったことを素直にやればいいんだ、今の自分が相手との腕前の差を気にする必要はないんだ、自分の考えなんて入れちゃいけないんだ)と思えるようになり、とても気が楽になった経験がございます。

教わる、という姿勢そのものから勉強できる合同公演は、本当に私たちを初心に返らせてくれるのですよ。
もちろん、教わったことをこなせる<基礎技術>は必要なのですが…。
ともあれ、20代で松王丸という大役に挑む錦次さんに、熱きご声援を!

…そんな彼、あと数日で千穐楽の<公文協東コース巡業>の『忠臣蔵 七段目』で初の女形に挑戦中です!
なかなか可愛いではありませんか!

No.21 「梅之的『寺子屋』雑感

2007年07月27日 | 芝居
今回、播磨屋(吉右衛門)さんの監修・指導で勉強できることとなりました『菅原伝授手習鑑』のハイライト「寺子屋」。
義太夫狂言屈指の名作&大作を、若手中心のメンバーで上演できることは大変意義深く、出演者一同張り切っております。

今回は本興行でも時折しか上演されない<寺入り>からの上演となります。源蔵夫婦のもとへ、松王丸の女房千代が小太郎を伴って弟子入りのお願いに来る件からはじまりますので、ストーリーがわかりやすくなると思いますし、主君のために我が子を犠牲にする松王丸夫婦の哀しみもより深まるのではないでしょうか。千代の下男三助の、チャリがかった見せ場もございますし、涎くりもさらに活躍いたします。重苦しいとか難解とか、とかく丸本狂言につきものの印象を覆すような、ドラマとしての歌舞伎をお楽しみ頂けると思います。

さて、この狂言は、浄瑠璃本文を読みましても、大変味わい深いものがございます。竹田出雲・並木川柳・三好松洛・竹田小出雲という、当時の名だたる浄瑠璃作者が腕を振るった作品だけあって、その詞章、筋運びには、さすが手練の腕前といった趣きがございまして、そうしたコトバの魅力をも、演者は十分踏まえて演じなければなりますまい。役者の演技と義太夫の語り。これらが一体になれれば、この芝居の素晴らしさはより輝きを増すといえましょう。

一幕の最終、主君菅丞相の一子菅秀才の身替わりとなり幼い命を散らした、松王丸の一子小太郎のための弔いの場面では、皆様ご存知の《いろは送り》と俗称される浄瑠璃が語られます。

いろは書く子はあえなくも 散りぬる命是非もなや
明日の夜誰か添え乳せん らむうゐ(憂い)の目みる親心 
剣と死出の山けこえ あさき夢みし心地して 跡は門火にゑひもせず 
京は故郷と立ち別れ 鳥辺野さして連れ帰る


いろは歌を下敷きにしながら、幼い命が大義のために失われた悲しさ、無常観、せつなさがひしひしと伝わってくる詞章だと思いませんか?
とりわけ私が心うたれますのは、「鳥辺野さして連れ帰る」というところです。芝居では、松王夫婦、源蔵夫婦、そして菅丞相御台所の園生の前と一子菅秀才の計6人が<絵面の見得>でキマって幕となりますが、この浄瑠璃の詞を読む限りでは、明らかに松王夫婦は死んだ我が子、小太郎の亡骸を「連れ帰る」のです。その光景を想像してみて下さい。どんなに悲しい、つらい情景でしょう。
まだ「添え乳」していたような我が子、やっと「いろは」を習いだしたばっかりの息子を、わざと人手にかかるように送り出した夫婦の苦節、覚悟…。
あの立派な駕篭に葬られた小太郎と、松王夫婦が、どんな思いで芹生の里から当時の葬送場である鳥辺野へ帰っていったと思うと、本当に悲しくなるのです。そしてそんな一日の出来事(あるいは小太郎と過ごしてきた日々)が「浅き夢みし心地」だったなんて…。

門火に焚いた煙のように果敢ない一生を送った小太郎への鎮魂、武士としての生き様と親子の情の葛藤、深い想いをのせてこの浄瑠璃は語られます。
古くは役者たちの<割りぜりふ>として語られていたこの件を、本行に則して義太夫にとらせたのは、実は近世のことでございますが、居並ぶ人々が無言で焼香してゆくだけの場面を、素晴らしい見せ場とすることができたのは、ひとえに浄瑠璃の詞章、曲付けの素晴らしさでございましょう。
どうぞ皆様も、この幕切れのひと時を堪能していただきたいと存じます。

松濤稽古場便り・2

2007年07月25日 | 芝居
今日は『一心會』と『合同公演』のお稽古で、宗家藤間流のお稽古場に6時間くらいお邪魔してしまいました。なにせ「操り三番叟」「茶壷」「船弁慶」に「乗合船」と、今夏の私の勉強の場は全て踊りでございます。稽古の順番が回ってくるたびごとに、「またお会いしましたね」とからかわれてしまい…。

ご宗家には大変なお手数をおかけしてしまいましたが、こちらといたしましては集中的にお稽古していただいたお陰で、気持ち的にもコンディション的にも、だいぶ<本番仕様>になってまいりました。『一心會』はあと1週間で本番! それまでいいテンションを持続させなくてはなりませんが、今日一日の<踊り漬け>が、重い腰の私に相当のエンジンをかけることとなりまして、肚も据わってまいりました!

明日からは『歌舞伎鑑賞教室』横浜公演です。しばらく実家からの通勤となりますが、更新が滞るかもしれません。あしからずご了承下さい。

梅之私信 <本日国立千穐楽>

2007年07月24日 | 芝居
今日は私信ということで、国立劇場7月公演、歌舞伎鑑賞教室の千穐楽のご報告をさせて頂きます。
成駒屋(福助)さんが初役で<お光>にとりくまれた『新版歌祭文 野崎村』。お陰様で好評のうちに公演を終えることができました。
私は『野崎村』ではなく、『歌舞伎のみかた』のみに出演となりましたが、『伽羅先代萩 御殿』の<政岡>を、幕切れのひとくさり、数分ながら勤めさせていただきました。いわずとしれた女形屈指の大役ということで、若輩者の私といたしましては大いに緊張いたしましたが、大旦那(六世中村歌右衛門)の政岡を熟知していらっしゃる中村歌江さんに、先月のうちからお稽古をしていただき、舞台稽古や初日には、化粧の仕方から衣裳の着方まで、本当に手取り足取りご教授下さいました。その他同座の諸先輩方からも色々と教わることができまして、有難い限りでございました。

また、『野崎村』では、芝のぶさん演じる<お染>の黒衣の後見をさせて頂きまして、女形の着付作業や、懐紙、手紙といった女形にはつきものの小道具の扱い方を実地で勉強できました。芝のぶさんも、初役で相当緊張していらっしゃるはずなのに、女形のあれこれを毎日ご親切に教えて下さいまして、勉強になることばかりでした。立役である師匠のもとではまず体験できないであろう様々な仕事を手伝わせていただき、感謝の気持ちでいっぱいです。

その芝のぶさんが今月の<奨励賞>を受賞! ひと月関わらせていただいた身としてもすごく嬉しいです!
<優秀賞>は竹本葵太夫師、鶴澤寿治郎師(「野崎村」の浄瑠璃演奏に対し)、<特別賞>は中村東志也さん、中村福太郎さん(「野崎村」の駕篭かき、及び「みかた」での諸役に対して)です。皆様お目出度うございました!!

この一座も明後日からの横浜公演2日間でお別れ。少人数ながらよくまとまった、アットホームな雰囲気の顔合わせでした。

No.20 プログラム今昔

2007年07月23日 | 芝居
写真をごらんください。
左は昨年度『第13回 稚魚の会 歌舞伎会 合同公演』、右が『第1回 稚魚の会』の《公演プログラム》です。両者の間に、実に35年の歳月が流れています。

『第1回 稚魚の会』のプログラムをめくってみますと、1期生10名の連名による、<御挨拶>にはじまり、国立劇場理事長の一文、ごくごく簡単な演目解説、指導者・邦楽演奏者の連名といった、シンプルな内容です。

それが現在になりますと、日本芸術文化振興会理事長様、伝統歌舞伎保存会会長様の御挨拶、本興行の筋書きにも劣らない演目解説とあらすじ(英語版もついています!)、出演俳優全員からのメッセージに、昨年度の公演写真(白黒)もつくという、大変読み応えのある内容になりました。とくに出演者からのメッセージは、自身による言葉から、各人の人柄がよくわかると好評で、出演者の中にも、これを書くのが楽しみという人もいるのです。今年はどんな名文迷文が出てくるでしょうか?

中身の詰まったこのプログラム、毎年500円以下で販売というのが何ともお買い得でしょう?
観劇のお供に、夏の思い出に。ご来場の際は、まず真っ先にプログラム売り場へどうぞ!

35年前の貴重なプログラムは、1期生の中村吉三郎さんからお借りいたしました。この場を借りて御礼申し上げます。

No.19 <松濤稽古場便り>

2007年07月22日 | 芝居
今日は歌舞伎座『NINAGAWA 十二夜』が昼1回公演でしたので、歌舞伎座組を中心に、『乗合船』メンバーが松濤の宗家藤間流稽古場に集まりました。
澤村紀義さん、澤村由蔵さん、尾上辰巳さん、坂東翔次さん、中村京三郎さん、中村竹蝶さん、尾上松男さん、そして私…。
ある程度の人数が揃いましたので、幕開きから各パートを通しての、初めての稽古になりました。
こうなりますと、自分が踊っていない間の控え方、芝居の仕方も色々考えなくてはいけません。手を打って囃したり、隣に座っている人と頷き合ってみたり(思い入れ、といってもいいかもしれませんね)。みんなで作ってゆく一幕という感じがだいぶ出てきまして、より稽古の実感が湧いてまいりました。
ところがそんな思いは稽古の成果とは別物で、先日も指摘された姿勢、体の使いかたが全然なっていないとキツいダメ出し。こちらは気分よく踊っていても、気分だけで踊れたら世話がないわけで…。
とにかく猛省を促されました。まったく悔しい! 自分に腹が立つ! 帰りの電車でもカッカカッカしっぱなしでしたが、 私は負けません! 今日の自分に明日は勝つ! とにかく稽古、稽古! 己の体をいじめて、<女形の骨格>作りに励みます。絶対乗り越えてやる~!!

私のことはさておいて、各役各場面に楽しく華やかな振付けをして下さった御宗家のお心遣いが、今日の通し稽古で改めて知ることができました。総勢11名の総踊り、楽しみだな~。

No.18 出演者よりメッセージ<尾上松男さん>

2007年07月21日 | 芝居
とりあえず、『乗合船』メンバーからのお便りは今日で最後といたします(後日改めてご登場願うかもしれませんが)。
しんがりは、今夏もう1人の新人、B班で<大工 芳松>を勤める尾上松男さんです。
松男さんは音羽屋(松緑)さんのお弟子さんです。踊りは4歳から習っていたそうですが、見習いとして、黒衣を着て常に師匠のそばについていました期間を昨年の春から9ヶ月ほど経験し、今年1月、国立劇場初春公演で晴れて初舞台。役者になったばっかりの19歳、北海道は美唄の☆星☆です! 早速軽いトンボを見せてくれていますが、これも兄弟子方の指導の賜物でしょうか。そんな彼の初々しいコメントをどうぞ…。


みなさん初めまして…尾上 松男です。
梅之さんには舞台ではもちろんプライベートでも可愛がっていただいております。梅之さん、今後ともよろしくお願いいたします(>_<)
さて、今回が合同公演初参加になります。『乗合船恵方万歳』の大工の芳松をさせて頂くことになりました。なにせ初めてでわからないことも多々ありますが、先輩方の足手まといにならないよう、稽古に稽古を重ねて本番に臨みたいと思っております。

精一杯頑張ります!!



確かに初めての勉強会は、楽屋での過ごし方から事務的な仕事、挨拶など、勝手がわからないことばかりでした。自分の役よりも、先輩方の舞台の手伝いが大変だったりね。でも周りの仲間が必ずサポートしますし、せっかくの機会ですからいろんなことを吸収して欲しいです。
彼は『勧進帳』では弁慶の<附け後見>を勤めます。<シン後見>の補助役ですね。いずれ師匠の弁慶でも勤められるようにという先輩方のはからいで、これも初体験となります。こういうのも、勉強会らしい人選ですよね。

No.17 出演者よりメッセージ<尾上音之助さん>

2007年07月20日 | 芝居
今日はA班『乗合船』から尾上音之助さんがメッセージを寄せてくれました。
東国原知事と同じ宮崎出身の彼が、<江戸前>の尾上菊五郎劇団に入って約10年。立廻りでの活躍はもちろんのこと、楽屋でも持ち前の陽気なキャラクターとまめまめしい働きぶりを発揮して、すっかりムードメーカーとなっています。舞台の裏表で、常に全力投球の彼の、熱くハジけたメッセージをどうぞ!


えーっ、『乗合船』A班盛り上げ係の音之助です。
今回我々はかなり個性豊かなメンバーで、自信を持って演じさせていただきます。万歳鶴太夫を坂東翔次さん、通人を澤村紀義さん、大工を弟弟子の尾上音二郎、田舎侍を噂の坂東 悟さん、角兵衛獅子を市川猿治郎と大谷桂太郎、鳥追いを澤村由蔵さん、芸者を中村京三郎さん、女船頭を中村まつ葉さん、白酒売りを市川喜昇さん、才造亀吉を私音之助と、私が書くとみなさんに失礼かもしれませんが、かなりキャラとヒゲの濃い人が集まったなぁ~と感無量でございます。
今はまだ稽古中なのでどんな『乗合船』になるかわかりかねますが、このメンバーで楽しくないワケがないと、私は自信を持っております。最後に喜昇さん、僕の才造見て惚れないで下さい。それでは皆様! 国立で待ってまーす(^_^)V



そういえばA班のメンバーは、尾上菊五郎劇団系の役者さんが集まってますね。それだけにチームワークは抜群! ということでしょうか?
写真は絶賛上演中の『NINAGAWA 十二夜』からですね。一回公演の日は松濤に通って藤間御宗家のお稽古。勉強会直前は、皆々忙しい時間を過ごしております!

番外 少しでもお力に!

2007年07月19日 | 芝居
2日間お休みしてしまいましたが、本日追記いたしましたのでどうぞ御覧下さいね。


本日は『合同公演』をはなれ、国立劇場での歌舞伎鑑賞教室から取り急ぎご報告です。
今日は午後7時開演の『社会人のための歌舞伎鑑賞教室』があったのですが、開場から『歌舞伎のみかた』開幕までと、『みかた』が終わってからの幕間に、新潟中越沖地震で被災された方への義援金の募金活動を出演者の手で行いました。
『歌舞伎のみかた』の前には、加賀屋(東蔵・松江)さん親子が素顔で、そして『野崎村』開幕前の幕間には主演の成駒屋(福助)さんを筆頭に、後家お常役の芝喜松さん、お染役の芝のぶさん、その他『歌舞伎のみかた』出演者から数名が、お役の扮装でロビーに出て募金の呼びかけ。よく年末に各劇場で開催される『歳末助け合い運動』のサイン会、あんな感じですね。
かくいう私もおこがましくも参加させて頂き、2階のロビーで頑張りました! 衣裳を着ていましたからけっこう暑かったですが、まあこういうのは<俳優祭>で慣れてますからね…。

おかげさまで大勢のお客様から温かい志を頂戴し、短時間の活動ながら一同ビックリするくらいの成果をあげることができました。被害に遭われた方々のお力に少しでもなるのなら、こんな嬉しいことはございません。

『合同公演』でも、こういう活動ができたらいいな(まさか扮装したままは無理でしょうが)…と、思った次第です。

No.16 出演者よりメッセージ<今日はワタクシ>

2007年07月18日 | 芝居
今日7月18日はワタクシ27回目の誕生日ということで、ここは皆様にはお許しいただきまして<中村梅之 今夏の決意>を述べさせて下さいませ。



改めまして、中村梅之です。
今回の合同公演では『乗合船』の<鳥追い おせん>を勉強させていただきます。
女形を本格的に修行させていただくようになってはじめての勉強会で、大好きな踊りを勤められますことは何より有難く、ひたすら一生懸命努力するしかないのですが、常々師匠からいわれております《品格》をまず大事に、そして藤間御宗家のおっしゃるように《皆で楽しく》踊れるよう気をつけたいと思っております。
私、猫背の癖がございまして、過日の稽古では「気を抜くとすぐに<鳥追い婆さん>になっちゃうよ!」と御宗家の師匠方からダメ出しを頂いてしまいました。イメージとしては、変な例えかもしれませんが『水戸黄門』のかげろうお銀、扮装はあんな感じですので、由美かおるさんみたいな瑞々しい若さをしっかり表現し、江戸の粋や、さっぱりした色気を出せたら…と欲張った目標を立ててはいるのですが。
まずはとにかく《行儀よく》です! 味付けや工夫は基本ができてからですよね。お稽古場では教わったことをきっちり出来るようにし、4日間の公演の中で、お客様の力を頂きながら、さらに少しでも成長できたらと思います。

ご声援をよろしくお願い申し上げます!


…写真は今月『歌舞伎のみかた』で勤めさせて頂いているお役です。どの芝居のどの役か知りたい方は国立劇場へGO!

No.15 出演者よりメッセージ<中村獅一さん>

2007年07月17日 | 芝居
大阪松竹座から、B班で<才造 亀吉>を演じる中村獅一さんからのメッセージが届きました。萬屋(獅童)さんのお弟子さんで、これまでの合同公演では『熊谷陣屋』の<堤軍次>や『修禅寺物語』の<春彦>を演じてきました。


『梅之芝居日記』を御覧の皆様こんにちは、中村獅一です。
今回の合同公演では<才造>を勤めさせて頂きます。
毎日稽古はしているのですが、正直不安で仕方がありません。皆様にお目にかかるときまでに、少しでもまともに踊れるよう精進いたしますので、こんな私ですがどうぞ温かい目で観て頂ければ幸いでございます。



「なんか弱気な文になってしまいましたよ~」とのことわり付きでした。
私は、彼がまだ本名での見習いの頃から存じ上げておりますが、研修生ではない立場として、化粧、衣裳の着方、立廻り、台詞や踊りなど、<本興行の現場の中>で一から学び、鍛えられてきた結果が、着実に出てきていることを本当に嬉しく思っているのです。普段からよく一緒に飲みに行きますけど、会う度に芝居を熱く語れる数少ない後輩。彼から教わることも多いのですよ!
3回目の参加となる本年は舞踊に挑戦ということで、本人は不安も多いようですが、同じB班の仲間として、助け合ってゆけたらいいなと思っています。
師匠について歌舞伎以外の舞台も数多く経験している彼。いろんな魅力がいっぱいの熱き九州男児です、どうぞよろしく!!