本日中央コース初日。一時半からの昼の部と、六時からの夜の部の二回公演でした。
私は、師匠の楽屋入りの一時間前、十二時に到着。『与話情浮名横櫛』で師匠が使う豆絞りの手拭のアイロンがけなど細々した用事をいたしました。
師匠の楽屋入りの三十分後は、『吉野山』の開演です。花四天役で出演しておりますので、その間の師匠の用事は、『吉野山』に出演していない兄弟子にお願いし、自分の仕度にかかります。
その『吉野山』、立ち回りもアクシデントもなく終わり、次は十分間の休憩時間のあいだで、急いで『与話情』の子分の拵えをしてから、『口上』の「東西触れ」に向かいます。「東西触れ」とは、『口上』の開幕時に大きな声で舞台裏から「とーざーいー、とざい、とーざーいー」というかけ声をかけることで、襲名披露の口上では、襲名する俳優さんの一門が担当することが恒例になっておりますが、今回ご襲名披露なさる加賀屋(魁春)さんのお弟子さんはみな女形さんで、女形さんは「東西触れ」はしないという慣例がありますので、兄である師匠梅玉の一門の立役から三人、魁春さんと同じ「加賀屋」でいらっしゃる東蔵さんの一門の立役から二人、計五人で勤めております。
『口上』は十分ほどで終わります。それから師匠梅玉は休憩時間の十五分で『与話情』の与三郎に変わります。いわゆる「早ごしらえ」ですね。師匠の着付まで手伝い、その後は弟弟子と付人さんにお願いして、私は舞台にむかいます。私は幕が開いた時点ですでに舞台にいる、「板付き」のお役なので、途中から登場する師匠にはついていられないのです。
第一場「木更津海岸見染めの場」、初日ゆえか段取り的にこなれない所があったのが反省点でした。が、じっくり振り返る時間もなく、第ニ場「源氏店の場」への、師匠ニ度目の「早ごしらえ」を手伝わなくてはなりません。といっても、実際は十分間の転換時間と、幕が開いてから師匠が出るまでの十数分ほど、約二十分はあります。顔をはじめとする体に傷を描き(切られ与三、ですからね)、カツラを変え、衣裳を着、最後に豆絞りの手拭で頬かむり。これらの用事を、いちいち楽屋に戻ってしなくてもいいように、舞台の下手側に、鏡とテーブルを置き、化粧道具なども楽屋から持ってきて、「こしらえ場」、いわゆる臨時の扮装スペースを作って行います。
こしらえが済んだ師匠が、舞台に出て、こしらえ場の荷物を片付けてから、脱いだままの自分の衣裳をたたみ、化粧を落として、ひと息つきました。
…これが今回の巡業の、一回の流れです。今日は昼、夜ニ回公演、これをさらにもう一回繰り返しました。
同じ一日の公演でも、同じ芝居を二回するのと、別の芝居をニ本するのとでは、なんとなく疲れ方が違うような気がいたします。
立ち回りもありますし、トンボも返っておりますから、体調には十分注意しなくてはなりませんね。
一日の流れは、これから先どこへ行ってもほとんど変わりません。とりあえず今日は仕事の流れを御説明しておき、明日からは、そうしたこと以外の出来事を中心にお伝えいたします。
…そういえば、昼の部終演後ご飯を食べにいった楽屋口のお向かいのお蕎麦屋『瀧乃家』さん、とても麺が美味しゅうございましたよ。
私は、師匠の楽屋入りの一時間前、十二時に到着。『与話情浮名横櫛』で師匠が使う豆絞りの手拭のアイロンがけなど細々した用事をいたしました。
師匠の楽屋入りの三十分後は、『吉野山』の開演です。花四天役で出演しておりますので、その間の師匠の用事は、『吉野山』に出演していない兄弟子にお願いし、自分の仕度にかかります。
その『吉野山』、立ち回りもアクシデントもなく終わり、次は十分間の休憩時間のあいだで、急いで『与話情』の子分の拵えをしてから、『口上』の「東西触れ」に向かいます。「東西触れ」とは、『口上』の開幕時に大きな声で舞台裏から「とーざーいー、とざい、とーざーいー」というかけ声をかけることで、襲名披露の口上では、襲名する俳優さんの一門が担当することが恒例になっておりますが、今回ご襲名披露なさる加賀屋(魁春)さんのお弟子さんはみな女形さんで、女形さんは「東西触れ」はしないという慣例がありますので、兄である師匠梅玉の一門の立役から三人、魁春さんと同じ「加賀屋」でいらっしゃる東蔵さんの一門の立役から二人、計五人で勤めております。
『口上』は十分ほどで終わります。それから師匠梅玉は休憩時間の十五分で『与話情』の与三郎に変わります。いわゆる「早ごしらえ」ですね。師匠の着付まで手伝い、その後は弟弟子と付人さんにお願いして、私は舞台にむかいます。私は幕が開いた時点ですでに舞台にいる、「板付き」のお役なので、途中から登場する師匠にはついていられないのです。
第一場「木更津海岸見染めの場」、初日ゆえか段取り的にこなれない所があったのが反省点でした。が、じっくり振り返る時間もなく、第ニ場「源氏店の場」への、師匠ニ度目の「早ごしらえ」を手伝わなくてはなりません。といっても、実際は十分間の転換時間と、幕が開いてから師匠が出るまでの十数分ほど、約二十分はあります。顔をはじめとする体に傷を描き(切られ与三、ですからね)、カツラを変え、衣裳を着、最後に豆絞りの手拭で頬かむり。これらの用事を、いちいち楽屋に戻ってしなくてもいいように、舞台の下手側に、鏡とテーブルを置き、化粧道具なども楽屋から持ってきて、「こしらえ場」、いわゆる臨時の扮装スペースを作って行います。
こしらえが済んだ師匠が、舞台に出て、こしらえ場の荷物を片付けてから、脱いだままの自分の衣裳をたたみ、化粧を落として、ひと息つきました。
…これが今回の巡業の、一回の流れです。今日は昼、夜ニ回公演、これをさらにもう一回繰り返しました。
同じ一日の公演でも、同じ芝居を二回するのと、別の芝居をニ本するのとでは、なんとなく疲れ方が違うような気がいたします。
立ち回りもありますし、トンボも返っておりますから、体調には十分注意しなくてはなりませんね。
一日の流れは、これから先どこへ行ってもほとんど変わりません。とりあえず今日は仕事の流れを御説明しておき、明日からは、そうしたこと以外の出来事を中心にお伝えいたします。
…そういえば、昼の部終演後ご飯を食べにいった楽屋口のお向かいのお蕎麦屋『瀧乃家』さん、とても麺が美味しゅうございましたよ。