梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

重手本忠臣蔵・四冊目

2009年10月31日 | 芝居
『大序』より『五・六段目』までの<初日通り舞台稽古>。

ドンドン進行すると、あとが怖かったので、師匠が『大序』の若狭之助の化粧をなすっている間に、『五段目』の定九郎の財布の紐の仕込みや血糊作り、蛇の目傘を破ったり…。

若狭之助は難しい用事はないので、初めて携わるお役にしては落ち着いて勤められましたが、『大序』の黒衣後見で、長い間うずくまっておりますのは、荘重な場面だけに余計こたえました。マアすぐに慣れると思いますけれど(やっぱり先月とのギャップに振り回されている情けない自分がいます。悔しいです)。

『四段目』の諸士、全体としての段取りが課題となりましたが、私ももっとしっかり「流れ」や「運び」を体に染み込ませなくてはなりません。やっぱり『忠臣蔵』の緊張感は格別ですが、この緊張感は絶対なくしてはいけないものと思います。何度も申しますが、心して勤めたいと思います。

『五段目』定九郎は2回目ですので、探りさぐりにならずに仕事ができました。
血糊の粘り具合が、やはり難しい…。いろいろ試しながらやってみます!

               ◯

さあ、いよいよ現在の歌舞伎座では最後となる『通し狂言 仮名手本忠臣蔵』が開幕いたします!
芸術の秋に、義太夫狂言の傑作をどうぞ…。


重手本忠臣蔵・三冊目

2009年10月30日 | 芝居
『大序』から『五・六段目』まで<総ざらい>、<顔寄せ>を行ってから『七段目』『十一段目』の<初日通り舞台稽古>でした。

『四段目』の諸士、細かい段取りは舞台上で確かめるしかないとはいえ、何度かある頭の上げ下げとか動きのキッカケですとかは、今のうちにしっかり覚えなくてはなりません。隣の人と同じことをすれば間違いないハズ…ではなく、全員がきちんと心得たうえで、それを<合わせる>ということですが、難しいことでございます。経験不足ゆえまだまだ余裕がない状態ですので、先輩方にご迷惑をかけることのないよう、気をつけてまいりたいと思います。

舞台稽古の『七段目』は、先月どっぷり新作歌舞伎につかっていたから、というのは言い訳がましいのですが、なんだか自分がどこでどうしていればよいのかわからないような、すっかり勘が鈍ってしまっていることに我ながら驚き、怖くなりました。
早く歌舞伎の仲居にならなければ! ダメダメすぎました…。

『十一段目』は、久しぶりの「引揚げ」の場が、お芝居としての段取りにもう一工夫を要するようで、稽古後の話では台本に若干手が入るようです。一日のしめくくり、いかに増補された場面とはいえ、物語の大団円でございます。どのように変わりますでしょうか。
師匠演じます服部逸郎は、馬に乗って登場いたしますが、舞台上での乗り降りの段取りも、表から見たら簡単なように見えるけれど、実は大変なんですよね。付き従う家来役の皆様の介錯と、馬役の方とのイキ。私は直接携われないのですが、袖から拝見していてつくづく思いました。

重手本忠臣蔵・二冊目

2009年10月29日 | 芝居
午後1時より、『五・六段目』、『十一段目』、『七段目』、『四段目』、『大序』、『三段目』という順番で。ちょいと変則的ですね。すべての幕に携わっておりますから、丸一日のお稽古でした。

『五段目』では、師匠2度目の定九郎。裏の用事が多いのは前回も申しました通り。この度は弟弟子の梅秋が猪を勤めますので、前回よりも少ない人手となりますが、2回目ということで、少しは落ち着いて、テキパキとできる「ハズ」ですので、前回学んだことを忘れずに、しっかり勤めたいと思います。(そろそろ血糊も拵えなくては…)

『四段目』の諸士に出させて頂くのは2回目なんですが、そのおりは上方式だったこともあり、はっきり申しまして、今回が初役の気持ちなんです。とにかく緊張感! しかも、前回の通し狂言を最後に女形に籍を移して以来、髷を結った立役で舞台に出ますのは2年ぶりですので、立役籍の皆様にご迷惑をかけることのないよう、しっかりついてゆくべく心して勤めなくては! 

『大序』では、師匠初役の若狭之助の黒衣後見です。
 
…『七段目』『十一段目』はもう<総ざらい>で明日は<舞台稽古>。ことほど左様に『忠臣蔵』は短期の稽古でもつつがなく初日を迎えられる(というか迎えられなくてはいけない)狂言なのでございます。
勉強不足の私にはドキドキなのですけれど…。

(写真は私たちの楽屋です。何度も申しますが『忠臣蔵』は「男の芝居」。小道具部屋から運び込まれた刀の数は相当な物です
!)

重手本忠臣蔵・一冊目

2009年10月28日 | 芝居
「かさねてほん ちゅうしんぐら」と愚題をつけましたが、当ブログを始めましてから2回目の『通し狂言 仮名手本忠臣蔵』出演でございます。
私にとりましては、平成12年3月松竹座での上方式通し、平成14年国立劇場での七役早変わりでの通し、そして前回平成18年歌舞伎座ときて、これで4回目の<通し狂言>体験です。
勝手知ったる…と言いたいところですが、まだまだ知らないことばかり。今回も沢山勉強させて頂く所存です。

さて今回のお役ですが、『四段目』の<諸士>と『七段目』の<仲居>の2役を頂戴いたしました。
今月は全国で歌舞伎が6公演行われております。各座の人数は切り詰め切り詰め、名題下も限界状況です。ご承知の通り『忠臣蔵』は男の芝居。『四段目』では立役の皆様とご一緒させて頂くことになりました。所化とかでない、ちゃんとした立役は3年ぶりでしょうか。立役籍での最後の芝居も『忠臣蔵』でしたから不思議なものです。
師匠は『大序』『三段目』で若狭之助、『五段目』で定九郎、『十一段目』で服部逸郎の3役ですから、結局私が関係しないのは『落人』と『六段目』だけなのね。いやいや、これが当たり前なのです。

本日は、朝から楽屋作りをし、正午より『七段目』と『十一段目』の<附立>。
昨日までの新作歌舞伎から、うってかわって古典の大作に。頭と体の切り替えが大変ですが、楽屋に足を踏み入れたとたん感じた<歌舞伎座の匂い>! この感じ、この雰囲気ですよね。懐かしく思いました。

さて『七段目』。松嶋屋(仁左衛門)さんの由良之助にご一緒するのは2回目で、前回は太鼓持ちでした。上方の段取りで運びますので、随所に東京式との違いがございます。また後日お話しさせて頂きたく存じますが、松嶋屋さんのときはたいてい“見立て”がなく、今回も同様ですので、あのなんともいわれぬ緊張感は味合わずに済みました…。
<茶屋場>といわれるくらいですから、遊里の雰囲気を作る、その一人として責任を果たせるよう、ほわ~んと勤められたらと
思います。

『十一段目』は、歌舞伎座では11年ぶりの「引揚げ」がつきます。研修生最後の年でしたかね。舞台見学で拝見いたしました。
今日はこの場のみの師匠。あっという間の出番ですが、馬上で扇をかざして「チョン!」ですから、こういうのって、さぞ気持ちがよいのでしょうね…。



<乱歩歌舞伎>体験日記・第二十夜

2009年10月27日 | 芝居
お陰様をもちまして、<乱歩歌舞伎>第2弾『京乱噂鉤爪 ~人間豹の最期~』、千穐楽を迎えることができました。
たった1週間の稽古で、全くの新作歌舞伎の幕が開き、つつがなく興行を終えることができたということは、高麗屋(幸四郎)さんがおっしゃった通り、まさに<奇跡>です。稽古中、本番中、本当にいろいろなことがございましたが、無事勤めることができました。ご来場下さいました皆々様には、心より御礼申し上げます。

復活にしても新作にしても、お芝居を一から生み出してゆく作業は、本当に大変です。私の短い舞台経験のなかでも、例えば澤瀉屋(猿之助)さんの『鎌髭』とか『国姓爺』の通しとか、中村屋(勘三郎)さんと野田秀樹さんとのタッグによる『研辰』『鼠小僧』、あるいは成田屋(團十郎)さんの『宮本武蔵』、成駒屋(福助)さんの『新世紀累』、高麗屋(染五郎)さんの『敷島物語』などの演目に携わるなかで、演出者、主演者がどれだけのご苦労をなさりながら“歌舞伎”を作ってゆかれているかは拝見しておりましたけれども、今回はなおさらその感を強くいたしました。
<九代琴松>のお名前で演出にあたり、<松本幸四郎>として主演なさった高麗屋さんのご意向に、どれだけ沿う演技、仕事ができたかは甚だ心もとないのですが、貴重な勉強をさせて頂きました。

その懐の広さゆえ、はたして「歌舞伎とは?」という問いかけは、この後もますます複雑なものになるかと思います。
私自身も、その答えを探す道のりのさなか(というか始まったばかりというか)にいるわけですが、これからも、さまざまな新しい試みに参加させて頂くことになると思いますけれど、やはり大根(おおね)に古典歌舞伎があってこそでございますから、しっかりと日々の舞台を勤め、古き良きおダシをたっぷり吸収してまいりたいと思います。

とは申せ、今月頂いた3役 はどれも楽しゅうございました。「ええじゃないか」の唄と踊りには疲れましたけどね…。
千穐楽の4日前に、きはものや女房お勝役でいらした紀伊国屋(鐡之助)さんが体調不良で休演なさり、代役をご一門の伊助さんが急遽勤められました。もともとの自分の役も<又替わり>をせずに出ましたから、本当に大変だったと思います。改めて、お疲れさまでしたと申し上げたいです。

また、当月の「優秀賞」には、松吉実は鶴丸実次役の成駒屋(翫雀)さんと、女隠密綾乃役の高麗屋(高麗蔵)さんが受賞されましたが、「特別賞」として、花がたみ役の梅丸と、丁稚長吉役の松本錦成くんが選ばれました。
梅丸は<人形>の役で、セリフはございませんでしたが、『京人形』風の振り事があったり、長時間不動の姿勢でいたりと、マアあまり例がないお役でした。大変なこともあったかと思いますが、このような賞を頂戴し、一門の一人としても本当によかったです。来月はゆっくりしっかり学業に専念してクダサイ。

最後になりましたが、スピーディーな舞台進行を支えて下さった、舞台監督の切替良之さんはじめ、大道具さん小道具さん、特殊効果のアトリエカオスの皆様に、心より御礼を申し上げて、<乱歩歌舞伎>体験日記の筆をおきたいと思います。


(オマケ)師匠が演じた、陰陽師鏑木幻斎の<切り首>。大詰で人間豹恩田乱学が持ってましたね。
舞台稽古の日、真っ白だった原型に、不肖私が彩色しました。

元気にやっておりました

2009年10月26日 | 芝居
数日間ご無沙汰してしまいました。
呑みにゆくやら家に呼ぶやら実家に帰るやら、ちょっとバタバタしておりまして…。
気がつけば明日が千穐楽。あっという間の<乱歩歌舞伎>です。

新型インフルエンザが広がっているようですが、私たちのように舞台で働く者にとっても油断のできない状況です。
<俳優協会>からの会報も、当月は珍しく2回発行されまして、新型インフルエンザへの対応についての説明とご指示が、詳細に、具体的にございました。これまでの季節性のものも同時に広まっておりますから今年は本当に大変!

私たちは、理由はどうであっても<舞台に穴をあける>ことは絶対にしてはならない、と教わってきました。
寝坊などもってのほか、体調不良といったところで、少々の熱くらいで休めるような職場ではありません(「這ってでも来い!」なんてね)が、伝染性の病気となりますと話は別です。
この度の会報にも、治癒が確認されるまでは出勤をひかえるように、との一文がございました。
とはいえ、自分のお役だけでなく、師匠の仕事や特殊効果、様々な裏の仕事も兼ねながら1日の興行に携わっている我々、ひとりが休んだことで、いろんな負担が諸先輩方、仲間にかかることを思うと、なんとも申し訳ないですし、悔しい思いをすることは必定です。
だから大切なのはやっぱり「かからない」ことなんですねえ…。
周りに迷惑をかけないよう、できる限りの防御対策と体調管理を気をつけますが、最近どうも低体温なので。免疫力をあげる工夫をしなければ…。

皆様もどうぞお気をつけ下さいませ。

踊りにひたりました

2009年10月21日 | 芝居
夕刻から小劇場での『花柳寿南海 舞踊の會』を拝見させて頂きました。
寿南海師は、一中節『姫が瀧四季の山めぐり ~山姥~』と、長唄『冬山姥 ~足曵の山姥~』の2曲をご自身の振り付けで踊られ(山姥二題、という趣きでしょうか)、間にご門弟の皆様による長唄『松の調』(寿南海師 振付)というプログラムでした。

寿南海師はいずれも半素の拵え、装置も簡潔なものでしたが、本当に<大きい>お舞台で、感服いたしました。珍しい曲を目にした、ということだけでなく、お舞台から伝わってきた様々なこと、ものを思うにつけ、大変貴重な、有難い時を過ごさせて頂いた! と思いました。

以前ご紹介させて頂きました、花柳幸舞音さんもご出演でした。年の近い者同士。私も頑張らなくては…!

義太夫節にひたりました

2009年10月20日 | 芝居
終演後に<伝統歌舞伎保存会>主催の「既成者研修」に参加させて頂き、中村光江師のご指導で舞踊のお稽古。『玉屋』を教えて頂きます。研修生のころ、花柳流の授業で教わり、藤間宗家のお稽古場に通うようになってから、何回か立たせて頂いた(御宗家では人のお稽古にも、一緒に参加させて頂けるので)演目。この度は中村流ですが、本興行でもそうそうでない演目に、こんなにも携わるとは、不思議なものですナ。
立役の振りですが、物売りの踊りは大好きなので、しっかり勉強させて頂きます。

そのあとは歌舞伎座へ。夜の部を通しで拝見させて頂きました。
『渡海屋』『大物浦』『吉野山』『四の切』という狂言立ては、私は初めての体験です。澤瀉屋(猿之助)さんの“忠信編”とも違う構成ですが、落ち延びてゆく義経と知盛の対決と、そのあとを追う静と忠信という2組に焦点をしぼっているのが簡潔ですし、各幕で照応するセリフ、演技があることに、今さらながら「なるほど」と思うこともあり、これでひとつの部におさまるのですから、わかりやすくて面白いですね。


昨日今日明日 変わらない私

2009年10月19日 | 芝居
昨日は終演後に仲間と4人でディズニーシーに行ってきました。
シー初のハロウィンということで、マァ大変な混みようで…。
まさに<疲れに行った>感。足腰の疲れがどっときましたが、でもやっぱり楽しいですね~。
なんていうんでしたかね、水の上をクルクル回るカートみたいなのは。あれが好きなのですよ。やたら振り回されるのが。

今日の舞台を、『竜馬がゆく』の演出でいらした齋藤雅文さんが御覧になったそうで、終演後楽屋でお目にかかりましたら、
「また(ええじゃないか)やってるんだね」
とおっしゃって…。
そうです…。先月今月、何回「ええじゃないか」を連呼すればよいのでしょう?

明日は歌舞伎座夜の部を拝見してまいります。
そろそろ来月『忠臣蔵』の準備も始めませんと。どんなお役と巡り会いますことでしょう?


<乱歩歌舞伎>体験日記・第十九夜

2009年10月17日 | 芝居
『京乱噂鉤爪』で師匠が演じます、“陰陽師 鏑木幻斎”は、全くの悪人でございまして、しかも少々変わった嗜好の持ち主という、これまでにないキャラクターなのでございます。
師匠がワルいお役をなさることはあまりないことですので、弟子としてついておりましてもなにか新鮮と申しましょうか、違った一面を垣間みると申しましょうか、うまくいえませんがとにかく楽しいのでございます(無責任な言い方かもしれませんが…)

一番最後の出番、2幕目第3場「鏑木の隠宅」で、師匠が着用している打掛とドテラの中間のような衣裳。これはとある古典作品で使われた衣裳を仕立てなおしたものなのです。
かなり昔の上演で使ったきりになっていたものだそうです。もちろん私も写真で拝見したのみで、実際は存じません。舞台稽古で模様を見て、「これはもしや…?」と思って衣裳方さんに伺ってみたら案にたがわず、でした。

さて、御覧下さった皆様、どのお芝居のどの場面、どの役の衣裳だったのでしょう? 


<乱歩歌舞伎>体験日記・第十八夜

2009年10月16日 | 芝居
『京乱噂鉤爪』第1幕第場「今出川・鴨川堤」での私の仕事は<波後見>。
というわけで、黒衣ではなく全身水色の拵えです。

足袋も水色、しかも今回は肘まである水色の手袋を装着していますから,完全に波と同化できます(普通は手甲や手筒のことが多く、手首から先は地肌が見えるのです)。
今回の波後見は、かなり白がちな水色ですが、それは扱う波布の色みに合わせているからで、舞台面によってはもっと濃い色のものになることも(むしろその方が多いかな?)。
黒衣は自前ですが、波後見や雪後見はその都度借りるものです。

この場の見せ場の洪水シーンはまさに人海戦術で、波布を動かす人、流されるモノ・ヒトを操る人、波にのまれる船や土手を撤収する人、かなりの人数で勤めております。
私は前面の波布を扱っておりますが、演技の進行に合わせて<水位>を変えるのがなかなか難しいです!
緊張の数分間、腕も痛いが胃も痛い…。



今日は休演日

2009年10月15日 | 芝居
国立劇場に出演する者のお楽しみ、<休演日>。
皆さんどんな1日を過ごしたのでしょうか。

私は、歌舞伎座さよなら公演<芸術祭 十月大歌舞伎>昼の部を通しで拝見させて頂きました。
『毛抜』『蜘蛛の拍子舞』(蜘蛛サン凄いですね~!驚きました)『河庄』『音羽嶽だんまり』。古典にどっぷり浸ってまいりました。
小泉元首相がご観劇でした。終演後、『河庄』を観ていて泣けてきた! とおっしゃりながら去ってゆかれるところに偶然居合わせまして、ミーハー梅之といたしまして大感激でございます。
…そのあとは藤間のご宗家でのお稽古。今日が最終日でしたが、おそらくこれで本年最後のお稽古になると思われます(来月はきっと1日じゅう歌舞伎座ですし、12月は京都なので)。今年も大変大変お世話になりました。有り難うございました。

…話は前後いたしますが、昨14日は<中日>でございました。
『人間豹の最期』も、折り返し地点まで来てしまったのですね…。これまで、毎日毎日細かいところまで手直しを重ねながら上演してまいりました。残り半分も、きっと常に変わってゆく舞台になると思いますが、全力で頑張ります!

このブログにも、色々なご感想をお寄せ頂きました。有難うございます。
今後の舞台へのご意見も、よろしくお願い申し上げます。



<乱歩歌舞伎>体験日記・第十七夜

2009年10月14日 | 芝居
このたびの『京乱噂鉤爪』は、前作に引き続き、常の歌舞伎とはひと味もふた味も違う雰囲気を作り上げるためにいろいろな工夫がございますが、衣裳にも趣向が。

序幕の<ええじゃないか>や2幕以降の群衆の衣裳はこんな感じ。

(モデル・中村東志二郎さん)

こちらは<東宝コスチューム>という衣裳会社のものなんです。

そして、2幕第1場での、『傾奇おどり』の若い者たちの扮装は…


こちらは、高麗屋(染五郎)さんが主催なさっている創作舞踊の公演『傾奇おどり』での衣裳をコーディネートなすっていらっしゃる、堀井香苗さんがご用意されたもの。

そしてもちろん、歌舞伎衣裳会社のものも。


3つそれぞれ、趣きを異にする衣裳が組み合わされて、舞台に登場しているのでございます。
歌舞伎の公演では珍しいことです。
出演する側の人間でも、見ていて、着ていて、新鮮な気持ちがいたします。



<乱歩歌舞伎>体験日記・第十六夜

2009年10月13日 | 芝居
『京乱噂鉤爪』「三条 鴨川堤の場」での私のお役は<物乞いの女>。
蛤御門の変の戦火で住処を失ったという設定です。
いわばホームレス。身なりも満足に整えられないありさまですので、鬘もそういう雰囲気を出しています。
<乱す>と表現いたしますが、鬢(びん)にしても髷(まげ)にしても髱(たぼ)にしても、わざと形を崩したり、後れ毛をだしたり。
きっちり美しい形に結い上げるのが難しいのは当然ながら、こういうふうにわざと崩して結うというのも、なかなか難しいのだそうです。

髪の色は栗色になっております。ろくな手入れができないから荒れているという気持ち。
世話物ではままみられます。

…芝居中に、ほつれた毛が口に入ったり鼻先でカユカユしたりもするのでなかなか厄介ではありますが、雰囲気作りのためには我慢ガマン!

ちょっと一息

2009年10月12日 | 芝居
しばし<乱歩歌舞伎>から離れて、身辺雑記…。

昨日から藤間の御宗家のお稽古がはじまりました。
今月から『落人』のお軽を教えて頂きます。大好きな踊りですので嬉しいです。
師匠と萬屋(時蔵)さんがなすった、2年前の舞台を思い出しながら(後見でしたし!)頑張ります。

お稽古が終わっても、まだ夕刻という有難さなので、友人と飲みにいく予定もチラホラと入れました。
明日は上野で林家彦丸さんと夏以来の一献。毎回飲み過ぎる顔合わせ。気をつけよう。

…『演劇界』の最新刊を拝読いたしました。
本年も『合同公演』の評をお載せ下さいました。個々のお役、舞台成果に対してのお言葉、有難く頂戴いたします。なかでもとりわけ感謝申し上げたいのは、我々出演者自身の手で、事務作業やチケットの取り扱い、当日の受付を担当しながら公演を行っていることに対しまして,お気遣いのお言葉を頂戴しましたことでございます。色々あった本年の公演、正直大変辛いことも多々ございましたが、このようなお言葉を頂き、報われた思いです。本当に嬉しゅうございました。
心より、御礼を申し上げます。

              ◯

『<乱歩歌舞伎>体験日記』は、たまにこういうお休みを頂きながらもドンドン続けてまいります。
ただいま鋭意調査中(?)のテーマもありますので、どうぞお楽しみに…。