梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

梅之旅日記’08 由緒ある会館

2008年07月25日 | 芝居
前日たっぷり歩いた宇部での舞台。【宇部市渡辺翁記念会館】での1回公演でした。

会館名の“渡辺翁”とは、宇部の発展に多大な貢献をなさった、宇部興産の祖にして政治家でもあった渡辺祐策氏のことだそうで、1864年生まれ、1934年没ということですから、江戸~昭和の4世を生き抜いた方なのですね。
氏の功績をたたえて、市の公会堂的な施設としてこの会館が建てられたのは1937(昭和12)年で、重要文化財にも指定されているそうです。
そんな歴史ある会館ですが、さすがに近年のホールとは違うこじんまりとしたつくりで、久しぶりに<巡業らしい>劇場での仕事となりました。個室はないので、幹部俳優さんも全員一つのお部屋。いつもより賑やかな雰囲気がイイですね。
定式幕はなく、全狂言、クリーム色のレトロな“絞り緞帳”。あのスルスルとたくし上げられながら開くモノです。『神田祭』でほ、これが上がると再び一面の浅葱幕ですから、客席からの眺めはどんなものだったでしょうね。

舞台の間口もこの前の康楽館よりちょっと広いくらいで、ここしばらく広い舞台が続いておりましたので、「体が慣れないね」とは『神田祭』の立廻りに出ていらっしゃる方のお言葉。演じる方もその都度その都度臨機応変ですが、大道具さんはじめスタッフの方達のご苦労も如何ばかりかと存じます。事前に図面を確認なすっているとはいえ、現場に合わせて屋体を組んだり背景の書き割りの飾り方を変えたり、花道のないところには鳥屋から造るわけですからね。本当に大変だと思います。

…『毛谷村』でお園にからむ浪人直方源八をお勤めになっていらっしゃる萬屋(錦之助)さんのお弟子さんの蝶一郎さんが、ご当地宇部の出身で、『口上』で萬屋(錦之助)さんがご紹介なさっていらっしゃいました(蝶一郎さんご本人は出ませんが)。地元での舞台って、どんな気持ちでしょう?


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1 コメント

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地元の舞台 (はなみずき)
2008-07-27 07:43:15
お暑い中、毎日お疲れさまです。昨日は、亀治郎丈の巡業で鎌倉芸術館に行って参りました。たしか、大船は梅之さんの「地元」、でしたよね。鎌倉芸術館にはまだお目見えなさっていないのでしょうか。こちらの舞台に立たれるときは、「地元での舞台の気持ち」を、是非お伝えくださいませね!
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