お陰様で、歌舞伎座さよなら公演 11月吉例顔見世『通し狂言 仮名手本忠臣蔵』、無事千穐楽を迎えることができました。大勢の方々にご来場頂き、心より御礼申し上げます。
久しぶりに12時間以上歌舞伎座で過ごすひと月は予想以上に疲れましたけれど、軽い風邪をひいたくらいで、まずはつつがなく勤めおおせることができました。
久しぶりの
立役の出演だった「四段目」。これはもう、お芝居というか<儀式>みたいなもので、こういう時間の流れを演劇として成立させてしまう歌舞伎って、本当にすごいと思いました。この場を支えるのは、すべての出演者の<気持ち>だと思います。だからホントに気が抜けませんでした。日頃緩みっぱなしの精神が、少しは鍛えられたかしら…?
「七段目」の
仲居は2回目ですが、まだまだ仲居の風情、雰囲気には近づけません。先輩方は自然にやってらっしゃることが自分にはできないもどかしさ。意識してやってしまうとわざとらしくなる…。
もっともっと数をこなしたいです。前回より少しは進歩したかなと思ったのは、あのペラペラの裾をからませないで歩けるようになったことぐらいでしょうか。
来月も『封印切』で仲居役ですので、しっかり勉強させて頂きます。
「十一段目」の引揚げは、千穐楽まで色々と細かい手直し、変更がございました。
師匠演じる服部逸郎の家来に、槍を持たせるようにしたり(警護の役であることをはっきりさせる)、浪士の花道の引っ込みの段取りも整理され、由良之助は最後のセリフで「早く亡君のもとに行き、再び忠義がしたい」という内容のセリフを加えました。たんなるフィナーレにならず、さらに情の通った、ドラマとしての「引揚げの場」になったように思えます。
万雷の拍手の中花道を去ってゆく浪士たち、そして見送る服部。
千穐楽の舞台は、いつもとはまた違った感慨がございました。
…さて、これにて歌舞伎座『通し狂言 仮名手本忠臣蔵』は終わりましたが、今月の一座には、来年1月大阪松竹座での通し上演に出演する仲間も多く、「まだ終わった気がしない」という声も…。なかには先月の名古屋の通し上演にも出演していた人もいますから、これで3分の2…。いったい何回討ち入りすればよいのでしょう?
3座3様の『忠臣蔵』。1月は、より上方の雰囲気に溢れた演出になることと思いますが、お客様には、それぞれの違いを楽しんで頂きたいものです。
今月は虫食いばかりの更新になってしまい申し訳ございませんでした。チョコチョコとオマケ記事を追加するかもしれません。それでは、歌舞伎座最後の『忠臣蔵』のお話、これにて幕とさせて頂きます。