梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

御挨拶申し上げます

2013年10月01日 | 芝居
本日10月1日より『歌舞伎座新開場杮葺落 芸術祭 十月大歌舞伎 通し狂言 義経千本桜』が開幕いたします。

この興行におきまして、不肖私、名題昇進披露をさせて頂くこととなり、
それに伴い芸名も、中村梅乃(うめの)を初代として、改めさせて頂くこととなりました。

師匠をはじめ、松竹株式会社様、関係各位の皆様のご厚情には、ただただ感謝の気持ちしかございません。
披露の準備の段階から、沢山の方々が、お忙しい中にもかかわらずお力添えをして下さいました。
私は、本当に、幸せ者です。

皆様のお力で、ご披露申し上げることができるのだということを肝に銘じ、
前々から申し上げておりますことですが、常に謙虚に、行儀よく、礼節を守り、
頂いたお役を大切に、先人のお教えをよっく勉強して参ります。
未熟ではございますが、一歩一歩精進を重ね、あせらず、地道に成長してゆけたらと存じておりますので、
何卒今後とも、ご指導ご鞭撻の程、お願い申し上げる次第でございます。

名前も改まりましたので、この『梅之芝居日記』も、いよいよ本当の最後としたいと思います。
いろいろ考えたのですが、梅之の名前で踏んだ舞台の日々の記録として、このブログは今日を最後に更新を停止し、
このまま残しておこうと思います。
梅乃になってからの新たな場については、どんなかたちがあるかを考えたいとは存じますが、今はとてもその余裕はございません。
名題の新参者として、これまでとは違う勉強を、一から始めなければならない立場でございます。

ふさわしい時期が来たら、また何か、始めさせて頂くかもしれませんが、
それはなんとも、未定のことで…。
どうかご了承頂きたいと存じます。

全ての方への感謝を胸に、披露の舞台を勤めます。
昼の部『渡海屋・大物浦』と、夜の部『河連法眼館』に出演させて頂きます。
新たな一歩へ、沢山のご叱責とご指導を賜りたく存じます。

これからが本当の勝負です。
背伸びせず、見栄もはらず、今の自分のありのままで挑んで参ります。
お見守り下さい。

今までの長きにわたり、『梅之芝居日記』ご愛読、誠にまことに有難うございました。

中村梅之改め 中村梅乃

第19回『合同公演』無事におわりました

2013年08月28日 | 芝居
ご報告が遅れて申し訳ございませんでしたが、第19回『稚魚の会・歌舞伎会 合同公演』は5日間6回の公演を無事に終えることができました。
20日の千穐楽後は、反省会やら御礼の御挨拶に伺ったりなどいたしておりますうちに、アッという間に1週間がたってしまいました(上方歌舞伎会にも伺うことができました)。
『合同公演』では珍しい、シングルキャストでの公演は、なんといっても6回も場数が踏めたということで、これまでのような「落ち着いた頃が千穐楽』ということもなく、出演者皆々、後半はかなりゆとりを持って、冷静に勤められたと思います。
また2回公演は土曜のみでしたので、体力的にも負担が少なく、有難いことでございました。

とはいえ、これまで以上に若手が中心となっての一座でしたし、思い切ってその若手たちが大きいお役に挑戦した演目もございましたので、未熟不鍛錬、いたらぬ所多々あったかと存じます。こちらも重々反省いたしておりますが、ご批判をどんどん頂戴したいと存じます。
この夏得たものを、普段の舞台に活かし、それをまた来年の勉強会に活かせるよう、それぞれが自覚を持って日々精進して参ります。何卒今後とも、貴重な勉強の場である『稚魚の会・歌舞伎会 合同公演』をご支援下さいますよう、お願い申し上げる次第でございます。

また、お暑い中、連日ご懇切なるご指導を下さった講師の方々、竹本、長唄、お囃子ご連中、そして大道具・小道具、照明をはじめとするスタッフの皆様に、この場をお借りいたしまして、改めて御礼申し上げます。本当に有難うございました。

       ◯

9月は師匠とともにお休みでございます。
10月の歌舞伎座より、心機一転勉強して参ります。
何卒よろしくお願い申し上げます。


ご案内です

2013年08月08日 | 芝居
わが町押上にございます酒処、『押上文庫』さん。
こじんまりした空間で、おいしいお料理と日本酒を、素敵な器で楽しめます。

また、お店の2階を利用して、歌舞伎のSP版録音を蓄音機で聴く会や、女流義太夫さんの演奏会を開催するなど、
和のイベントに熱心に取り組んでもいらっしゃいます。

この『押上文庫』様が、一連の催しの一環として、間もなく開催の『第19回 稚魚の会 歌舞伎会 合同公演』にむけての、
出演者の意気込みなどをお話しさせて頂く集まりを開いてくださることになりました。

8月10日(土)午後6時 開始(開場 午後5時半)
『押上文庫』 2階にて
出席俳優 中村梅之 中村京珠 坂東三久太郎 (予定)

1時間程度を予定しております。
その場の雰囲気を大事にして、私どもの立場で申し上げられる範囲で、
勉強会のこと、上演する演目のこと、あるいは研修生だったころの話なども、
お伝えできればと思っております。

日が迫っており申し訳ございませんが、
もしご都合よろしかったら、是非お足をお運び下さいませ。
スカイツリーも綺麗にライトアップされている時間です。

詳細につきましては、『押上文庫』様のホームページを御覧下さい。

お申し込みは
08051754057 (押上文庫 竹下様)
までお願いいたします。

何卒よろしくお願い申し上げます。

※参加費を頂戴いたしますが、これは『押上文庫』様の会場諸経費でございまして、
私ども俳優の営利目的では一切ございませんので、この旨、あらかじめお断り申し上げておきます。

熱い夏がやってまいります!

2013年08月01日 | 芝居
お陰様で夏の巡業も無事終わりまして、月末は実家で久しぶりの完オフを満喫いたしました。

いよいよ8月となり、「勉強会の夏」が始まります!
あと2週間ちょっとで開幕です。稽古も仕上げの段階となり、より熱のこもったものになるかと存じます。
ただただ、ご指導下さる方々からの教えに忠実に。真摯に謙虚に勤めます。
どうかご声援のほど、お願い申し上げます。

チケットセンターでの一般前売りも追い込みでございます。
残席状況は日々更新されております。まだまだ良い席がある回もございますので、是非お確かめ下さいませ。
くどうはございますが、沢山の方々においで頂き、沢山のご意見、ご叱責を賜ることが、
我々にとっての一番の薬でございます。
何卒皆様、お誘い合わせの上、ご来場賜りますよう!

チケットはこちらからどうぞ。

『第19回 合同公演』の前売りが始まりました

2013年07月14日 | 芝居
12日より、国立劇場チケットセンターにて『第19回 稚魚の会 歌舞伎会 合同公演』の前売りが始まりました。

お陰様で、すでに「残席僅少」の回も出ておりますが、まだまだ良いお席がある回もございますので、
何卒お早めにご予約賜りますよう、お願い申し上げます。

出演者一同も、一所懸命宣伝と販売に努めております。
本興行の合間を縫いながらの稽古、そして広報活動、事務作業。
夏の我々は本当に忙しい!
でも、それを楽しんでできるくらいになりませんと…。

全ては自分たちの修行のためでございます。
自分たちで、ひとつの興行を作ることを学ぶ場なのですからね。

チケットお申し込みはこちらからどうぞ。


東日本の旅へ出ます

2013年07月01日 | 芝居
一昨日、歌舞伎座公演の千穐楽を迎えたばかりですが、今日から<公文協東コース>巡業がはじまります。

『四代目市川猿之助襲名披露』でございます。披露狂言は『義経千本桜 四の切』。『口上』と、澤瀉屋(右近)さんの『毛抜』との3本だてでございます。
師匠は『四の切』の源義経をお勤めになります。ご先代(すなわち当代の猿翁さん)の忠信では度々お勤めですが、ご当代とは初の共演でございます。
各地の公共文化施設を使っての公演ですので、宙乗りはございませんが、終盤の“化かされ”との立廻りに、いつもとは違う趣向がこらされておりますので、どうぞお楽しみに。

私は『毛抜』の<腰元>を勤めさせて頂きます。2度目ですが、澤瀉屋さんのほうの台本・型は、また独自なところがございますので、勉強になります。

数日は東京近郊で公演し、それから札幌、青森、岩手と北から下りる感じで。南相馬、須賀川という、先の震災で大きな被害に遭われた地にも伺います。おかげさまで、そうした地でもチケットは大変な売れ行きだそうで、有難いことでございます。

巡業はとにかく体力勝負です。ちょっと歌舞伎座3ヶ月連続出演の疲れが出ておりますので、早くに体調を戻して、各地の食、酒、名物名所を楽しめるようにしたいと思っております。

第19回『合同公演』の詳細が決まりました!

2013年06月20日 | 芝居



2年ぶりに参加いたします。
『雛鶴三番叟』の<翁>役を勉強させて頂きます。翁、千歳、三番叟、すべて娘姿で踊るのが趣向の作品ですので、アシカラズ。
久しぶりに、花柳流の振りを学ばせて頂きます。3人心をあわせ、清々しく、めでたく、大らかに華やかに勤められたらと思っております。

これまでよりも、さらに若手中心の座組となりました。お目まだるいところ多々あるかと存じますが、このような顔ぶれ・演目・配役での勉強会も、これからの可能性を拓いてゆく意味で、経験しなくてはならないものと、私は存じております。
出演者一同、必死でございます。ただただ各師のお教えのもと、一所懸命勤めますれば、何卒ご指導ご後援下さりますよう、お願い申し上げます。

3ヶ月目も大盛況です

2013年06月18日 | 芝居
新装歌舞伎座杮落しも3ヶ月目。
「六月大歌舞伎」も16日に中日をむかえ、折り返しとなりました。

師匠は第1部『俊寛』で、久しぶりの丹波少将成経と、第3部『御存 鈴ケ森』で白井権八の2役をお勤めです。
権八では、前回の歌舞伎座上演時は黒色だった衣裳を、鶸(ひわ)色にしてお勤めです。色が変わると、雰囲気もやはり変わって見えますね。
雲助との立廻りも、前回より手数が増えておりますので、いかにも歌舞伎らしい、ちょっとシュールな世界をたっぷりじっくり御覧頂ければと存じます。

私は、第3部『助六由縁江戸櫻』の<三浦屋新造>、いわゆる“居残り”新造を勤めさせて頂いております。さよなら公演のときも同じお役でございましたが、今回は私がシンとなりましたので、後輩たちと、段取りよく舞台上での用ができるよう、気をつけております。
さよなら公演で助六をお勤めになっていた成田屋(團十郎)さんが冥府へ旅立たれ、ご子息の海老蔵さんでの助六でございます。
以前も申し上げましたが、舞台上の“特等席”から拝見できる有難さを噛み締めながら、良い姿勢を保つ辛さ(背中、腰の疲れはナカナカです)も乗り越えて、あと半分の公演を精進いたします。


盛況うち続く木挽町です

2013年05月21日 | 芝居
4月の本興行のご報告をしなければ…と思ううちに、5月興行もあと一週間となってしまいました。

4月は第3部『勧進帳』で義経の裃後見を勤めさせて頂きました。
この後見も、興行中に100回を越えました。これだけやってもまだまだいたらぬところばかりです。
終演が9時45分という、珍しく遅い打ち出しだったので少々疲れは出ましたが、昼すぎの楽屋入りでよかったので、お稽古ごとや家の掃除、整理ができたのは有難かったです。昔録画した芝居のVHSを、ハードディスクに取り込んで、ブルーレイへ…。本数が本数でしたので根気がいりマシタ…。

当月は逆に朝イチからの出番。第1部『鶴亀』で師匠がお勤めの皇帝の着付後見、第2部『吉田屋』で仲居です。
『吉田屋』の仲居はこれで3回目ですが、この度ははじめて、幕開きの阿波の大尽の餅つきのくだりにも出させて頂いております。短い場面ながら、廓の賑やかな雰囲気がとてもよく出ておりますが、名題の先輩方のなかに加わらせて頂けたことが大変有難く、衣裳の着方なども、江戸と上方では微妙なところに違いがございまして、あれこれ教えて頂いております。

第2部では『先代萩』に師匠が4度目の八汐をお勤めです。初役のおりは私はまだ立役、女方の衣裳の着付けは全く手も足も出ず、悪戦苦闘した思い出がございますが、私も女形を勉強させて頂くようになりましてからは、だんだんと感じが掴めてまいりました。今回で、やっと普通になったかな、というところですが、もっと綺麗に、手早く、そのお役らしい雰囲気で着せられるようになりたいと、切に願っております。

            ◯

新しい歌舞伎座の楽屋のことですとか舞台機構のことですとかを、いろいろ申し上げたいところではございますが、よりよい環境、設備になるよう、劇場側、スタッフ、出演者が一丸となり、日々改善の最中でございます。
全てが落ち着きましたら、改めてご紹介させて頂きますね。

いよいよ新しい歌舞伎座が始まります

2013年03月27日 | 芝居
名古屋御園座御名残公演をつつがなく勤めおおせ、昨日のうちに帰京。
本日、明日は<歌舞伎座開場式>でございます。

3年間のお休みが明けて、いよいよ第5期歌舞伎座のスタートです。
4月2日からの大歌舞伎興行が、いわゆる<こけら落とし>ではございますが、今日の開場式で上演される『三番叟』が、まさしく新舞台初めての芝居。
第1部にて千歳、第2部にて三番叟をお勤めになる師匠とともに、後見としてその舞台にいられる幸せをひしひしと感じております。

また、第1部の開幕に先立ちましては、古式ゆかしく<翁渡し>の儀式が執り行われますが、こちらにも、翁、千歳、三番叟それぞれの後見が、儀式の介添え役として列席いたします。誠に有難く、光栄なことと存じておりますが、まずは粗相なくお役目を果たすことが第一でございますので、心して勤めたいと存じております。


2ヶ月間のホテル暮らしの最中です

2013年03月01日 | 芝居
2月中は更新ができませず失礼いたしました。

2月は博多座にて『六代目中村勘九郎襲名披露興行』に出演、『河内山』の<腰元(四)>と『義経千本桜 渡海屋/大物浦』の<官女(六)>を勉強させて頂きました。いずれも名題の先輩方とご一緒させて頂き、台詞も頂戴いたしまして、大変有難いことでございました。
実は初日に、初めて<ぎっくり腰>になってしまいまして、今まで体験したことのない痛み、自由に動けない辛さに苦しみましたが、幸い、よい整形外科、鍼灸の先生と出会うことができまして、お陰様で舞台にご迷惑をかけることなく、ひと月勤めおおせることができました。

体調管理も仕事の内でございますのは重々承知しておりましたが、体重コントロールとか、風邪や声の調子にはかなり気をつけていましたものの、まさかぎっくり腰をやってしまうとは…。(マッサージや整体にはよく通っておりましたからね)
ストレッチや筋力トレーニングも、本格的に、日常的に取り組んでいかなければと思った次第です。

さて、当月は名古屋御園座公演に出演いたします。
ご承知の通り、御園座ファイナルとなる当公演は、『二代目猿翁 四代目猿之助 九代目中車襲名興行』でございます。
師匠は四代目猿之助披露演目『黒塚』に、<阿闍梨祐慶>、そして『襲名披露口上』にご出演です。
『黒塚』では、度々この阿闍梨役で、二代目を継がれた澤瀉屋(猿翁)さんと共演なさってこられました。この度は四代目さんとの共演、<裃後見>を勤めさせて頂く私も楽しみでございます。

私は、九代目中車ご披露の『じいさんばあさん』では二幕目の<仲居>にも出演させて頂きます。初めてですが、京都言葉で捨て台詞をいうのが大変ですね。関西の先輩に教わってから勤めたいと思っております。雰囲気も、どこか上方の空気が出たら良いのですが(作らずに、ですけど)。

めでたき御襲名、そして御園座の御名残に、是非是非ご来場下さいますようお願い申し上げます。

本年もよろしくお願い申し上げます

2013年01月01日 | 芝居
新年明けましてお目出度うございます。

昨年は、本当に充実した1年を過ごさせて頂きました。お役との出会いは、全くその時々の“運”次第と申しましょうか、自分ではどうすることもできないものだけに、念願のお役、企画、公演に多数携わらせて頂き、有難い限りでございました。


1月 新橋演舞場/平成中村座 掛け持ち  平成中村座『お染の七役』久松の吹き替え
                     同 試演会『寿曽我対面』大磯の虎

 2月 松竹座              『慶安の狼』柳屋の女中
                     『大当たり伏見の富くじ』紙屑買いの女
                     『研辰の討たれ』腰元

 3月 新橋演舞場/平成中村座 掛け持ち 新橋演舞場『小さん金五郎』福屋の仲居お光
 
 4月 金丸座              『一本刀土俵入』新内語りの女
                     『義経千本桜 四の切』腰元(五)

 5月 平成中村座            『め組の喧嘩』茶屋娘/炊出しの手代
                     『毛抜』腰元
                     『髪結新三』加賀屋の手代
                      試演会『毛抜』秦秀太郎
                         『たぬき会 供奴』三味線

 6月 博多座              『馬盥』腰元(六)

 7月 松竹座              『荒川の佐吉』絵馬屋の娘お袖
                     『河内山』腰元(五)

 8月 音の会              『老松』着付後見
                     『野崎村』下女およし
    趣向の華             『素演奏 雨の五郎』三味線             
                     『白虎隊』女中お松
                     『大和神話武勇功』尼

 9月 新橋演舞場            『馬盥』腰元(四)

    宗家藤間会            『鏡獅子』老女飛鳥井 (弥生/獅子の精は藤間涼花師)

10月 新橋演舞場            『国姓爺合戦』侍女

11月 新橋演舞場             お役なし

12月 国立劇場             『菊畑』腰元
                     『一條大蔵譚 檜垣』腰元(三)


一方で、辛い、本当に辛い悲しいお別れもございました。今もって、そのことを表す言葉が見つかりません。
残された者として、ただただ歌舞伎のために生きてゆくしかございません。

本年も、たゆまず、あきらめず、そして焦らず、精進してまいります。
いよいよ歌舞伎座のこけら落としも迫ってまいりましたので、それが目下一番の楽しみです。
どうぞ今後とも、ご指導ご叱責下さいますよう、お願い申し上げます。

2013年は、新橋演舞場<初春大歌舞伎>から始まります。
師匠は『寿式三番叟』の<三番叟>と、『逆艪』の畠山庄司重忠をお勤めです。
私は師匠の三番叟の<裃後見>を勤めさせて頂いております。初芝居の序開きですので、緊張もいたしますが気持ちのよいものです。

どうぞ皆様、賑々しく巳年の初芝居にお出まし下さいませ。                    

年の瀬となりました

2012年12月03日 | 芝居
ご無沙汰いたしました。

いよいよ12月となりました。ついこの間、初芝居を勤めていたようにも思っておりましたが…。
今年最後の公演は、国立劇場12月公演『通し狂言 鬼一法眼三略巻』で、「清盛館」「菊畑」「檜垣・奥殿」という構成です。
師匠は「菊畑」で12年ぶりの<虎蔵実は牛若丸>、「檜垣・奥殿」では<吉岡鬼次郎>をお勤めです。

私は、初めてとなる「菊畑」の<腰元>と、もう5、6回目になりますでしょうか、「檜垣」の<腰元>の2役を勤めさせて頂きます。
度々申しますように、腰元役は女形の基本でございますのでしっかりと勤めたいと思っておりますが、自然に、作らずに、その作品にふさわしい雰囲気、格が出てくるように、そろそろなってきませんと…。難しい課題でございます。

通し狂言ですので、兵法書「六韜三略」を巡る源氏と平家の駆け引きが、わかりやすく伝わるかと存じます。
どうぞ皆様、今年最後のお芝居見物にお出まし下さい。


すっかり秋の気配となりました

2012年10月01日 | 芝居
9月25日、新橋演舞場9月公演の千穐楽を無事に迎えて、26日、27日は国立劇場大劇場にて『宗家藤間会』舞踊公演がございました。
先代藤間勘祖師の23回忌ということで、2日間にわたり、藤間御宗家ゆかりの作品が、歌舞伎俳優、宗家藤間流ご一門の皆様により、華々しく上演されました。
私も、普段お稽古に通わせていただいております、いわば門弟でございます。両日ともにおよばずながらお手伝いさせて頂きましたが、この度は日頃大変お世話になっております藤間涼花様がお勤めになった『鏡獅子』で、<老女 飛鳥井>のお役を勉強させて頂きました。
ベテランの先輩がたが、悠々と、貫禄をみせて演じられるお役を、30歳を少し越したぐらいの私が勤めさせて頂きました。大変有難いことではございましたが、演じてみて、全く早すぎることだと痛感いたしました。積み重ねてきたものがなければどうしようもないお役。ただただ反省しきり、将来、いつかリベンジできればと思います。
とはいえ、このような機会を与えて下さった当代藤間勘祖師、藤間勘十郎師のおはからいには、感謝の言葉しかございません。心より、御礼申し上げる次第でございます。

10月も、引き続き演舞場でございます。
師匠が昼の部『国性爺合戦』の<五常軍甘輝>、夜の部で初役の『御所の五郎蔵』をお勤めになります。
私は『国性爺』の「甘輝館」で、京屋(芝雀)さん演じられる錦祥女について出る<侍女>を、後輩の京由くんと勤めさせて頂きます。
最近はめっきり涼しくなってまいりました。<芸術の秋>到来でございます。
どうか皆様、錦秋の演舞場へお出まし下さいませ。

長らくご無沙汰いたしました

2012年08月29日 | 芝居
7月、8月の更新ができませず、申し訳ございませんでした。

今年は、いつも以上に“濃い”夏を過ごさせて頂きました。

7月大阪松竹座公演では、松嶋屋(仁左衛門)さんの『荒川の佐吉』で、序幕に登場いたします、田舎娘の<お袖>役を勉強させて頂きました。ならず者の権六にいたぶられるところを、主人公佐吉に助けられるお役ですが、前々から、いつかは演じられたらと願っていたお役が実現し、嬉しさもひとしおでしたが、プレッシャーも大きゅうございました。
ただただ全力で演じるのみでしたが、今の自分のいたらぬところ、課題を突きつけられた舞台でもございました。もっともっと頑張らねば! と決意を新たにした次第です。

7月27日、無事に7月公演の千穐楽を終えて、翌々日29日には浅草公会堂にて、松嶋屋(孝太郎)さんのご子息、千之助さんの初めての自主公演『千之会』のお手伝いをさせて頂き、日頃お稽古に通っております宗家藤間流、藤間勘十郎師と、松嶋屋(孝太郎)さんとによる『喜撰』で、勘十郎師演じる喜撰法師の後見をさせて頂きました。
一回ぽっきりの公演は、25日間の大劇場公演とは違う緊張を強いられますが、千之助さんは素踊りで『草摺引』の五郎、衣裳付きで『供奴』を見事に踊られました。その重圧にくらべれば、私のドキドキなど…。つつがなく終わってホッといたしましたが、お客様のあたたかいお気持ちに包まれた素晴らしい公演に携わることができ、嬉しゅうございました。

8月は、例年参加させて頂いた『合同公演』を久方ぶりにお休みさせて頂き、4・5日の国立劇場小劇場『音の会』、9・10・11日の日本橋劇場『第4回 趣向の華』に出演させて頂き、その合間には『小学生のための歌舞伎体験教室』のお手伝いもさせて頂きました。
『音の会』では、成駒屋(福助)さんの監修・指導によります『野崎村』で、<下女のおよし>を勉強させて頂きました。これも前々から勉強したいお役でございました。年季を積んだ方が、“腕”と“味”でみせるお役であることは承知の上で挑んだわけですが、やはりこれは積み重ねたものがものをいう、今の私には手も足も出ないお役でございました。成駒屋(福助)さんが稽古場で細かくダメを出して下さいまして、ようやく形がついたようなものですが、このような三枚目がかったお役には、いつかまた、修行を重ねた上でリベンジしたいと思っております。

『趣向の華』では、紋付袴姿による〈袴歌舞伎〉が恒例となっておりますが、本年は岡本綺堂の作に基づく『白虎隊』で〈女中お松〉、藤間勘十郎師作、高麗屋(染五郎)さん演出によるヤマトタケルが主人公の『大和神話武勇功』で〈尼 松月尼〉を勤めさせて頂き、素演奏の演し物、長唄『雨の五郎』では三味線を勤めさせて頂きました。
『白虎隊』では、若くして命を散らした白虎隊士に強く思いを寄せる娘、『大和神話』では貫禄を求められる尼僧。お手本がないだけに、自分でお役を作る喜び、面白さもあるのですが、手前勝手にならないよう、あくまで歌舞伎として演じられるよう、自分を戒めながら臨みましたが、いかがでしたでしょうか。“素”で女形を演じることにつきましては、周りの方々からは「やりにくくないですか」というお言葉も頂戴しますが、私といたしましては、今まで諸先輩方に教わってきたことを信じ、変な工夫などは一切せず、いつもと同じようにやるだけと、何も不安に思うことはございませんでした。

          ◯

8月は前半で、全ての仕事が終わりましたので、後半は思い切って自由な時間を過ごすことができました。
亡き祖父母の墓参り、両親との小旅行、文楽劇場で開催された<第1回 薪車の会>の舞台の拝見、友人たちとの懐旧…。
もちろん、『第18回 合同公演』の舞台も稽古から拝見させて頂き、仲間たちの奮闘に大いに刺激をうけ…。

          ◯

沢山の栄養を補給しまして、さて9月は新橋演舞場『秀山祭 九月大歌舞伎』です。
趣向の華で大変お世話になった高麗屋(染五郎)さんの、不慮の事故による休演は何と申しましても残念でございまして、1日も早いご回復を願わずにはおられません。
休演にともなる配役変更もあり、師匠は昼の部『寺子屋』で武部源蔵、『河内山』で松江出雲守、夜の部で『桔梗旗揚』の四王天但馬守をお勤めになります。
私は『桔梗旗揚』で、腰元(四)を勤めさせて頂きます。

まだまだ残暑厳しゅうございますが、皆様にはどうぞお体にはお気をつけられ、初秋の歌舞伎公演を何卒ご堪能下さいますよう!