梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

梅之旅日記’08 大阪で見る江戸世話物 

2008年07月22日 | 芝居
2回に分け、5日間も滞在した名古屋とも別れを告げ、近鉄線で桑名へ。【桑名市民会館】での1回公演でした。
前に来たハズなのですが、どうも記憶にありません。会館そのものが立て直され、とても綺麗になったからかもしれませんが、周りの風景や駅前の景色も、初めて見る感じがして…。
<脳力>の衰えなのでしょうか。

それにしましても、1回公演は慌ただしいものです。正午に劇場に入って荷明け、2時に本番が始まり5時には帰りの電車に乗っている…。風のように町を通り過ぎていったようなものです。
以前も申し上げたかもしれませんが、荷造りの手際はずいぶん鍛えられました。冗談とはいえ「おいてくぞ~」なんて言われながらボテをしめるんですからね。旅の一行全員での団体行動にご迷惑をかけないよう、普段はマイペースの私も頑張って…。
朝劇場入りするためのタクシーや貸し切りバスにしても、決められた発車時間を厳守すること。当たり前のことなんですが、慣れないうちだと、寝坊だとかチェックアウトに手間取ったとかで、皆さんを待たせてしまうこともあったりするのです。「子供じゃないんだから」なんて怒られるのも情けないじゃないですか。
一人ひとりの責任感が大切ですね!

さて、桑名からいったん名古屋へ戻り、新幹線で新大阪へ。大阪での2連泊です。
ホテルにチェックインしてからすぐに電車に飛び乗りなんば駅へ。松竹座での<7月大歌舞伎>を、途中からでしたが拝見させて頂きました。
音羽屋(菊五郎)さんの『黒手組助六』の後半と、『羽衣』『団子売』の上下。『黒手組』の大詰めの立廻りは、先年歌舞伎座での上演とはガラリと趣きを変え、曲輪の屋根上から浅草寺二天門の普請場(原作は六角堂)に。浴衣に喧嘩冠りの若い者が傘を得物に華やかな立廻りを見せていました(途中にご当地ならではの趣向も入っていました)。大阪のお客様もヤンヤの歓声。
久々に大阪にご出演なさっている、加賀屋(魁春)さんにも楽屋で御挨拶できました。

そのまま松竹座メンバーと夕食。大いに食べ大いに飲み大いに喋ってご機嫌でホテルへ帰りバタンキュー。
久しぶりに歩いた道頓堀は、ずいぶん様変わりしておりました。なんだかどんどんケバケバしくなっている気がするナ…。

(7月24日 記)