梅之芝居日記

歌舞伎俳優の修行をはじめてから15年がたちました。
日々の舞台の記録、お芝居ばなし等、お楽しみ下さい。

三宅坂稽古場便り 4

2007年09月30日 | 芝居
いよいよ<総ざらい>となりまして、稽古場での総仕上げ。
さすがにこの段階になっての大きな変更はございませんでしたが、『うぐいす塚』に関しましては、より<面白く>芝居を運ぶための手直しが続いております。
先日も申しました通り、<上方の芝居>の雰囲気が強い狂言ですので、台詞のやり取りにも、<万歳(あえてこの字面を使いますが)>や<俄>といった“笑い”の要素もございまして、そうした場面を盛り上げるためのご工夫を、監修者の奈河彰輔氏がご指導下さいます。場面によっては<あえて>冗長に芝居すること、合理的な段取りだけにせず<遊び>を作ることなど、筋を運ぶだけでない、旨味たっぷりのお芝居にするための方法を目の当たりにして、こういう芝居作りもあるんだと、勉強になります。

さて…。
『うぐいす塚』は、タイトルにもございます通り<鶯>が随所に出てまいります。高麗屋(染五郎)さん演ずる、没落した武家の跡取り源之助と、彼を見初める長者の娘、梅ヶ枝姫の縁を結んだのが、姫の寵鳥<唐琴>という鶯。二人の出会いから艱難辛苦の末の大団円まで、いたるところでこの唐琴が登場し、主人公たちを導き、救うのが、なんとも古風な物語でございまして、本名題に『昔語~』とあるのも頷けるような気がいたします。
各場各場で、どんな登場の仕方をするか、是非ご注目頂きたいと存じますが、今日は<唐琴>さんのお姿を、ちょいとお目にかけてお別れといたしましょう。


三宅坂稽古場便り 3

2007年09月29日 | 芝居
通常よりも長い期間をとった今月のお稽古。今日の稽古が<附立て>となります。

『平家女護島』「清盛館の場」は、だいぶ整理されました。今日の大きな変更点といたしましては、幕開き<六波羅おどり>を踊るのは、台本では<腰元>となっておりますから、踊りが終わったあとも舞台に控え、主人である清盛公が退座するまで座っていることになっていたのですが、この腰元たちの衣裳が、緋の切袴に白の長絹という、いわば<巫女さん>風のこしらえになっており、これは腰元たちが座興のため扮装をしているというココロなわけですが、そうなりますと、舞台で繰り広げられる、俊寛の妻東屋の深刻な芝居の背景に、お巫女さんがズラズラと居並んでいるという光景となってしまいます。どうにもチグハグな印象は否めませんので、いっそ腰元たちは余興のための存在といたしまして、踊りが終わりましたら一同しずしずと退場! ということになりました。

『うぐいす塚』は、ほぼ段取りは完成しまして、今日は下座の合方のかかり(きっかけ)を確認、整理。後半の見せ場となる立廻りで流す下座を、もっと派手にしたいというご意向がございまして、それではと使うことになったのが<双盤>という鉦。これがカーンカーンと入ると、グッと盛り上がるんですよね。三味線の曲もかわり、よりキッパリとした立廻りとなりました。

こちらの腰元は、いかにも腰元らしく色々の仕事がございますが、お手本のない芝居ゆえ、新参者の私には、動き方や段取りのつけ方がどうにも手探りになってしまうのですが、一座の先輩がたが色々とご助言下さるので本当に有難いです。先輩が数々のお芝居を経験なすった中で得られた女形の身のこなしを、このひと月で少しでも多く吸収できたらと切に思いますが、ここ数日は、「さりげなく」芝居をする難しさを、心底味わっております(初日が開いても、でしょうが…)。

今回の稽古場便り、あれこれ書きたいことは沢山なんですが、なにせ約80年ぶりの復活作品ですから、御覧になる方のお楽しみをぶち壊すような<ネタばれ>になってはと思い、グッと堪えておりまして…。
歯切れが悪くてごめんなさい。

三宅坂稽古場便り 2

2007年09月28日 | 芝居
お稽古2日目、どんどんと芝居が組み立てられてゆきます。
久しぶりの上演といえば、「清盛館の場」も同様で、まして今回は新たな台本での上演。『平家女護島』全体の主演でいらっしゃる高麗屋(幸四郎)さんが全体を御覧になり、より<芝居>らしくなるようご指示をくださいます。

私どもが<六波羅おどり>を踊る幕開きも、「下座囃子が場面と合っていない」というご指摘。時代物、そして黒塗りの高二重の屋台という装置の舞台に流れるにしては、ちょっと世話っぽい印象になるのではということで、すぐさま鳴物さんと三味線さんが話し合い、違うお囃子に変更、<六波羅おどり>の振りも若干変わりました。こういう作業が、その場で行われ、その場で解決するということは、考えてみればすごいことだと思います。幕開きの雰囲気は、確かに立派になり、時代物らしい重さが出ました。

『うぐいす塚』も、昨日で段取りはほぼついたとはいえ、芝居としてふくらませてゆくのはこれからです。
すでに新聞などでも紹介されている通り、高麗屋(染五郎)さんが舞台で鼓と太鼓を演奏するくだりがございまして、大きな見せ場になっているのですが、今日のお稽古では実際に楽器を使って演技なさいました。楽器を運ぶのは私たち腰元役ですが、本職の鳴物さんに伺いまして、運ぶときの持ち方を本式でいたしております。
はじめて拝見する高麗屋さんの演奏、意地悪な継母に「できなかろう」と試されているという設定もあり、たんに演奏するだけでない、気迫のこもった音色(阿古屋の琴責めも同様ですが)に、稽古場の空気も張り詰めました。皆様どうぞお楽しみに。


三宅坂稽古場便り 1

2007年09月27日 | 芝居
本日から、国立劇場10月公演『平家女護島』『昔語黄鳥墳』のお稽古がはじまりました。
私は『平家女護島』の「清盛館の場」の<腰元>と、『昔語黄鳥墳』の<腰元 胡蝶>、腰元2役を勤めさせて頂きます。

「清盛館の場」では、幕開きに<六波羅踊り>を踊ります。清盛公の気慰みに平家の繁栄を唄いながら6人の腰元が演じているというわけですが、主演が高麗屋(幸四郎)さんでございますので、振り付けは松本流のお家元松本錦升師、すなわち当代の高麗屋(染五郎)さんがお作りになりまして、稽古開始前に直々に振り渡しして下さいました。名題の先輩方とご一緒させて頂きますので、足を引っぱらないよう心して勤めたいと思います。
今回の「清盛館」は、本来の作を短縮し、俊寛の妻、東屋が自害する件に焦点を当てた台本になっております。続く「鬼界が島」での俊寛の悲劇が、より御覧になる方々へ伝わることでしょう。

さて、今回久々の上演となる『昔語黄鳥墳』ですが、今日の稽古は、まず段取りをつけることに終始。役々の出入りや居所を決めてゆきました。私が勤める腰元も、色々と仕事がありますので、無駄なく動けるよう、これからも色々整理することになりそうです。
舞台が河内の国だから、ということでもないでしょうが、多分に<上方の芝居>の雰囲気のある作品でもございまして、監修に上方歌舞伎に精通されている奈河彰輔氏があたられております。芝居運びや台詞のやりとり、下座唄なども、上方<風>なところがございますので、お楽しみ下さい。

『うぐいす塚』、これからどんどん面白くなってゆくことと思います。どうぞご期待下さい!

有意義な1日でした

2007年09月26日 | 芝居
本日は歌舞伎座千穐楽の舞台を拝見させて頂いたり、マッサージや買い物など、1日の大半を銀座で過ごしました。
夜の部の切狂言『二条城の清正』。私が、師匠のもとに入門することが決まった、平成10年9月歌舞伎座でも上演されており、私も本名で序幕の武士を勤めさせていただいた思い出深い芝居。清正はやはり播磨屋(吉右衛門)さん、師匠は豊臣秀頼でございました。今日の舞台を拝見しながら、ちょうど9年前の光景がだぶって見えてくるようで、不思議な感覚でした。

夕食は、久しぶりに門前仲町の<ココナッツ・パーティー>で。今日は大変な大入りで、マスター大わらわでございました。なにせお一人で切り盛りするお店、ときにはお客さんがウェイターになることも。そんな和気藹々の雰囲気が大好きなのです。
今週のマスター思いつき「キノコとトマトの煮込みスパ」が量といい味といい大満足。1人じゃなかったらスペアリブも頼んだのだけれど…。来月になったら仲間と来ようっと。

明日からは国立劇場10月公演のお稽古開始。珍しいお芝居に参加させて頂きます。稽古場便りをお楽しみに…。

遅ればせながらお返事

2007年09月25日 | 芝居
いよいよ食欲の秋ということで、壁紙を変えてみました。

さて、今日明日はお休み。本日は旅の荷物整理&洗濯、浅草で買い物をしたぐらいで、なんとも面白みのない1日でしたネ…。
取り立てて書くこともないので、旅中に頂いた皆様からのメッセージから、ご質問頂いたことについて、まとめてお答えさせて頂きたいと存じます。日付順で回答してゆきますね。

9月6日 『頭取』さんは誰がなるのか?

歌舞伎興行にとって、大切な職分である<頭取>。楽屋内での庶務全般をとりしきる役目がございますが、役者を経験した者が専任するか、現役の役者が兼任で勤めるのが慣例となっております。両者いずれにしましても、舞台の裏表にわたり、様々な知識をもった方でなくては勤められない、責任の大きい仕事です。
毎日の上演時間の記録、名題、名題下での急な代役の差配、劇場側と役者との連絡のとりつぎ、楽屋の部屋割り…。数え上げたらきりがありません。

9月11 『毛剃』の鬘もヤクの毛か?

自宅で調べた限りではわからなかったので、いずれ正解をお伝えいたします。序幕のチリチリパーマみたいな鬘のことでしょうね。

同日 写真の名札の意味は?

コメント文にもお書き下さった通り、部屋割りを表しております。巡業中は毎回楽屋の間取りも形もかわりますので、それを先に挙げた<頭取>さんが見て判断し、どういうメンバーで使うことにするか決めてくださるのです。そのため、各人ごとの名札が作られており、その都度壁に貼り出すのです。

同日 『草摺引』の二畳台の車輪を外すときは危なくないのか?

私の知る限りではこれで怪我をしたという話はきいたことがないですし、今月この後見をなさった先輩からも、そういう危険さは伺いませんでしたから、さほど危ない作業ではないようですよ。ちなみに『草摺引』では、栓を外すだけでよく、車輪自体は台の中に置きっぱなしでいいのですが、『鏡獅子』になりますと、のちに上手(かみて)に持ち上げて移動するので、後見は栓も車輪も懐にしまうそうで、こちらのほうが手間はかかるとのこと。

9月16日 お休みの日の過ごし方は?

巡業では、宿泊地を移動する行程だけの<移動日>と、移動も公演もない<休演日>、このふたつの<空白の日>がございます。どちらにしましても、各人の責任において、自由行動となりますから、過ごし方は千差万別、皆々思い思いの休暇をすごしております。
温泉に行く人、買い物に行く人、ずーっとホテルで寝てる人…。私はブログに書いた通りです。

9月20日 写真の後ろ姿は誰?

御推量の通り尾上辰巳さんの頭ですね。この巡業では大変お世話になりました。いつも楽しい辰巳先輩は、終始楽屋を和ませて下さいました。

同日 <ボテ>は葛籠? 行李?

これは何とも難しいご質問で、芝居の<ボテ>は相撲の<明荷>と同じような使われ方ですが、明荷についての文章をみますと、行李と表現している例が多いですね。といって葛籠と書いている場合もあるし、なんともいえません。
<ボテ>は<ボテ>と言い切ってしまいたいところですが、えてして葛籠は最終的に漆でコーティングしているのが多いように思いますが、<ボテ>はそういうことはいたしません。私のイメージでは<行李>に近いものと判断しましたので、文中ではそのように書いた次第です。


…あらためまして、旅日記へ多くのコメントを頂戴いたしましたこと、御礼申し上げます。旅中の写真も少し整理ができましたので、ご覧頂けたらと存じます。

梅之旅日記’07 『楽しい道中でした!』

2007年09月24日 | 芝居
本日、千葉県松戸市【森のホール21】での1回公演を持ちまして、公文協西コース《二代目中村錦之助襲名披露公演》、千穐楽でございました。
三年前の西コースでは、初日ふりだしの会場だったところで千穐楽をむかえるというのも、なんだか面白いものですが、無事つつがなく勤めおおせることができまして、ホッとしております。

『番町皿屋敷』の茶屋娘という、分不相応なお役を頂戴しまして、当初は緊張しきり、そして手順ばかりが気になってしまいましたが、30余回の公演の中で、少しはこなれてきたかと思っております。ご指導下さった中村歌江さんはもとより、今月同座の諸先輩方からも沢山のご助言を頂戴しまして、そのお陰でなんとかひと月乗り切れたようなものでございます。この場を借りて、心より御礼申し上げる次第でございます。

…私にとりましては7度目の巡業でしたが、今回の旅は本当に楽しかった! 良き先輩、良き仲間、良き土地々々に巡り会えたお陰、本当に<ご縁>というものの有難さを思わずにはおられません。今日でこの一座が<解散>と思いますと、寂しさでいっぱいなのですが、沢山の思い出は素晴らしい宝物、なかなか忘れられるものではございません!

まずは、このひと月、各地各劇場にお出まし頂きました皆様へあつく御礼申し上げますとともに、全国各地へ歌舞伎をお届けする<公文協巡業>を、今後とも御贔屓下さいますよう、ひとえにお願い申し上げます。

梅之旅日記’07 『知らない千葉県』

2007年09月23日 | 芝居
東京駅発<わかしお5号>に乗って大網、それから貸切バスで【東金文化会館】へ。最後の2回公演です。
緑に包まれた山あいのホール。この巡業では数少ない、初めて訪れる会館でしたが、なかなか使いやすい楽屋でした。
終演後は、うまく電車に接続できないので、貸切バスで東京駅まで。渋滞に巻き込まれるのでは、という不安もありましたが、順調に進行し1時間ちょっとで到着。途中門前仲町や人形町近辺を通過しましたが、ご当地に住んでいる仲間からは「ここで降ろして~」の声。でも、みんなの声を聞いていたら、どこまでもバスが走り続けてしまいますものね。ここは辛抱どころということで…。

いよいよ明日は千穐楽です。最後の1回、悔いのないよう勤めたいものです!

梅之旅日記’07 『帰ってまいりました!』

2007年09月22日 | 芝居
昨日の宿泊地新大阪は、いわば<中継地点>のようなもので、本日は愛知県豊橋市【アイプラザ豊橋】での1回公演でした。
午後2時からの舞台は5時には終演。出演者一同、実に20日ぶりの帰京でございます。
さきほど帰宅いたしましたが、幸い我が家に異変もなく、ポストに大量の手紙、ダイレクトメールが入っていたくらい。やっぱり自分の家は落ち着きますね~。
明日また遠出となるわけですが、とりあえず、のんびりゆっくり過ごさせて頂きます。

梅之旅日記’07 『アノお城も眺めずに』

2007年09月21日 | 芝居
姫路市【姫路市文化センター】での2回公演でした。
私たち名題下の楽屋が1階、師匠の楽屋&舞台が2階という、ちょっと移動が大変な劇場ですが、訪れるのは3度目ですので、懐かしい気持ちとともに1日を過ごしました。

昼夜公演の合間の空き時間、先輩のiPodで懐かしのJーPOPヒットパレード! 盛り上がりました~。比較的世代が近いメンバーが集まっておりますから、曲が流行った頃の思い出話に花が咲きました。先輩がぽつりと、「バブルだったんだね…」。歌詞や曲のノリに、怖いモノ知らずの勢いとやたら前向きなパワーを感じた次第です。

終演後は<ひかり>で新大阪へ。これから後輩と食事に行ってきます。

梅之旅日記’07 『初めての1回公演』

2007年09月20日 | 芝居
兵庫県赤穂市【赤穂市文化会館】での公演は、今回の巡業で初の1回公演でした。
午前11時に楽屋入り、午後4時半には撤収。5時間ちょっとしか滞在いたしません。ズラリひろげた<化粧前(化粧道具)>も、化粧がすんだとたんにもとのケースへ。女形は化粧道具が多いので、せっかく出したのだからもう少し置いておきたいような…。

芝居の荷物は、たいていが<ボテ>と呼ばれる行李に入れられます。竹と木の枠にむしろ張りのがもっぱらだったのですが、最近ではそういうタイプのものを作れる職人さんがいなくなってしまい、布張りや、コーティングした頑丈な紙のものが増えてきました。役者の紋や芸名を染め抜いているのが、いかにもそれらしい雰囲気ですね。
この<ボテ>をはじめ、スーツケースやクリアケース、段ボール箱などが、収納に使われておりますが、ボテは最終的に紐で締めます。しっかり結ばないとガタガタしてしまいますから、写真の通り上に乗っかって踏ん張りながら…。

今回の私の荷物はスーツケースが2個(芝居の荷物用・着替えの洋服用)のみです。芝居用の荷物はなるたけ減らしてきたのですが、各地を回っているうちに、お土産がだんだん増えてしまいまして…。


…会館の前のスーパーの店名が<フォーティーセブン>だったのは、やっぱり赤穂浪士にちなんでいるのでしょうかね…。

梅之旅日記’07 『アセダク洛北』

2007年09月19日 | 芝居
京都でむかえた連休最終日は叡山電鉄に乗って鞍馬・貴船へ。
出町柳からのんびりガタゴト列車に揺られ、車窓に触れんばかりの青葉紅葉のトンネルをくぐりぬけたどり着いた鞍馬駅。市内よりかはいくぶん涼しいように感じられました。静かな駅前の店々からは、名物の木の芽漬けの香りがほのかに漂っておりました。



鞍馬寺を奥の院までゆき、そのまま貴船まで降りて貴船神社に詣でるコースをとりました。深い緑の中、急な石段をひたすら登って奥の院を目指す歩みの中で、澄んだ空気をお腹いっぱい吸い込み、霊場の<気>をたっぷりと頂きました。苔むす石垣や樹々の肌、キラキラと差し込む日の光。山内のあらゆるものから不思議な力があふれているように思え、昨日のハーブ園でのひとときとはまた違った癒しを受けたような…。折々の休憩所からの眺望も素晴らしく、幸せな気分になりました。



さすがに長時間の歩きにシャツはぐっしょり。それもまた気持ちよいものですね。無事奥の院にたどりついた時は、自ずから、なんとも有難い気持ちになりました。



奥の院からは下り道ですが、やはり急な山道にはかわりなく、久々膝が笑いました。貴船川の水音が聞こえてきて、やっとゴールを実感。これからは水の神を祀り、縁結びにもご利益がある貴船詣でです。
お能の『鉄輪』にもございます通り、貴船ときくと、なにかおどろおどろしい、陰気な印象をもっておりましたが、観光客も大勢いたためか、はたまた差すような日差しのためか、そんな雰囲気は少しも感じられず、何とも健全な趣き(もっと奥へ進むとスゴいらしいのですが)。本宮から奥宮まで参拝し、本宮では名物の<水占>を。神泉に浸けると託宣が浮かび上がるおみくじですが、う~ん、ちょっと残念な結果に…。


奥宮の<船形石>は、なんとも奇怪な存在ですね。古代の巨石信仰などと関わりがあるのかしら。
いまさら異性との縁を願っても仕方がないので、よいお芝居、よい舞台、よいお役とのご縁をお願い申し上げました。

遅い昼食は貴船社前の<伝兵衛>の川床で。会席のような大げさなものでなく、お蕎麦や釜飯とかを気軽に楽しめるのが嬉しいですね。せせらぎを聞きながら、<昼からビール>でのんびり涼を満喫。あ~幸せ~。

                    ☆

市街に戻ってからの夕食は南座出演者にとってはおなじみの<かぼちゃのたね>へ。鞍馬のご本尊にちなんで焼酎<魔王>を呑み、定番のカボチャコロッケ、おぼろ豆腐など…。

盛りだくさんの2日間。心もお腹も大満足のお休みでした!

梅之旅日記’07 『ハーブ、芝居、そして川床』

2007年09月18日 | 芝居
(8月19日 記でございます)

お休み1日目は、《布引ハーブ園》から始まりました。
新神戸駅からロープーウェイで世継山を登ったところにあるこの施設は、様々なハーブが栽培されておりまして、花を眺め、香りを楽しむことができます。日頃ハーブティーを愛飲している私ですが、お世話になっている草花たちが、実際どんな姿で生えているのかは全然知らなかったので、とても面白く園内を回ることができました。
レモングラス、セージ、タイム、マロウ、カモミール…。どの植物も手に触れてよいので、葉を軽くもんで香りを確かめることができました。いつも使っているドライハーブの状態とは違った、瑞々しい新鮮な香気に、すっかりリフレッシュできました。

花盛り、とまではいきませんが、花が咲いている草もいろいろありました。


ガラニチカ・セージ。花の香りが強く、クマンバチがいっぱい寄ってきていて怖かった…。セージは種類がたくさんありますが、殺菌作用がございます。



エキナセア。<天然の抗生剤>といわれ、風邪に対する免疫強化に優れています。私は、冬場はいつもこのお茶を飲んでいます。



これはハーブではないですが、ムラサキシキブ。大好きな植物のひとつです。

…布引といえばお芝居の外題にもなっている<布引滝>。もちろんロープーウェイから眺めることができました。


ちょっと水量が少ないようにも見えましたが、いつもこんな感じなのかな? 大昔(それこそ源平のころ)はもっと立派だったそうですね。

                     ☆


さて、ハーブ園でおおいにリフレッシュしたあとは、阪急電車で京都に出まして、南座での新派公演を拝見いたしました。
北条秀司 作『片恋』と、八木隆一郎 作『女の決闘』の2本だて。先日『苫舟の会』でご一緒させて頂いた川上やよいさんもご出演で、御挨拶と先日の御礼ができました。
祇園祭の宵。手紙の渡し間違いが引き起こした、田舎女のかなわぬ恋のひと騒動『片恋』と、1人の男を取り合った挙げ句、喧嘩別れしっぱなしだった女同士が、天橋立の温泉旅館で数十年ぶりに再開、お互いが抱えてきた秘密、思いが明かされゆく『女の決闘』、どれも1時間弱のひと幕もので、午後4時開演でも6時半には打ち出しというのがいいですね。『片恋』に飯炊き婆で客演の千草英子さんに抱腹絶倒。すっかりその役を<生きて>らっしゃり、自然体そのもの。こういう芸境に達するまで、あとどのくらいかかるかな…。

夕食は団栗橋のたもとのイタリアン割烹<スコルピオーネ 吉右(きちう)>へ。この時期ならではの<床>での食事です。ぶつ切りの海老をたっぷりのせたパスタは、ソースの旨さがしっかりからんで、思わずおかわりしたくなったほど。メインの鯛と魚介のスープ煮も、鯛自体の味も十分活きていて大満足でした。今年の暮れも京都ですから、またお邪魔しようっと!


そんなこんなで1日目。そのまま京都に居続けで2日目を迎えますが、それはまた、上の記事で…。

梅之旅日記’07 『2連休をひかえて』

2007年09月17日 | 芝居
(8月19日 記でございます)

名古屋から<のぞみ>で新神戸へ。【神戸文化ホール】での2回公演。
翌日から2連休ということもあり、皆々心なしか明るい表情だったような。なにしろ神戸で2日間もお休みになるというのはめったにないこと。大阪や京都にもすぐ出られますし、帰ろうと思ったら東京にも戻れますからね(交通費は自腹だけど)。

さて、夜の部には松嶋屋(我當)さんのお弟子さん、片岡當史弥くんが観に来てくれました。今月はお休みだったのですね~。終演後、ハーバーランドのビアレストランで一緒に食事いたしました。

私の2連休につきましては、上の記事を御覧下さい…。

梅之旅日記’07 『雨が…』

2007年09月16日 | 芝居
愛知県扶桑町【扶桑文化会館】での2回公演でした。
今日はあいにく1日中の雨。洗濯物などに皆さん苦労しておりました。
こちらにお邪魔するのは2回目。加賀屋(魁春)さんの御襲名西コースの千穐楽で来た土地ですので、より印象深く覚えておりましたが、舞台は本花道もあり、客席はお洒落なデザインでとってもよい雰囲気。「会館」とか「ホール」というより、素晴らしい「劇場」の趣きです。

つつがなく舞台を済ませたあとは、再び名古屋市内にもどり、仲間とひつまぶしを食べに栄に出ました。本当は<あつた蓬莱軒>に伺いたかったのですが、ラストオーダー間際というのに30人以上の行列。急遽近くの<しら河>に変更いたしました。
私、これまでお店でひつまぶしを食べたことがなかったので、何とも美味しく楽しく頂くことができました。皆様ご承知の通りの1、そのまま 2、薬味を混ぜて 3、お出汁をかけて の手順でお腹いっぱいです!