第5詩集。94頁に22編を収める。
こんなことを書くとご本人は苦笑されるだろうが、川中子の詩集をよむとき、思わず居ずまいを正してしまう。なにか、怠惰に読んではいけないような清廉さがそこにはある。
この清廉さがどこから来るのかといえば、著者個人を離れた普遍的な問題を(それは往々にして辛い問題点であるのだが)自分に与えられた命題として受けとめていることにあるような気がする。たとえば、「難民の少女」は、「1 ユディット」では歴史上にくり返された戦禍を詩い、「2 エステル」では今日の世界で起きている戦禍を詩っている。
肉が生じ 骨が立ち上がるために
どうか一旦滅ぼしてください
まずは わたくしの国を
それからどうぞ慈しんでください
わたくしの言葉を
あなたの言葉のうちに
(「難民の少女 2 エステル」最終部分)
世界の離れた時点で、あるいは離れた地域でのことなのだが他人事ではなく、自分事なのだ。それは人類であるがために課せられる命題であるから、時を超えて著者の心へ押し寄せてくる。だから、著者の作品は基本的には祈りの言葉なのだろうと思う(私(瀬崎)は信仰とは無縁なので、敬虔なクリスチャンである著者の信仰心がどのように作品に関わっているかについては言及できない)。
風琴(オルガン)が幾千年の調べを想い起こすとき
裂かれた傷 埋められた嘆きもまた甦り
砕かれた骨の祈りをふたたび輝かせる
(「ときの象り 1 廻(めぐ)る時を」より)
やはり居ずまいを正してしまう。
こんなことを書くとご本人は苦笑されるだろうが、川中子の詩集をよむとき、思わず居ずまいを正してしまう。なにか、怠惰に読んではいけないような清廉さがそこにはある。
この清廉さがどこから来るのかといえば、著者個人を離れた普遍的な問題を(それは往々にして辛い問題点であるのだが)自分に与えられた命題として受けとめていることにあるような気がする。たとえば、「難民の少女」は、「1 ユディット」では歴史上にくり返された戦禍を詩い、「2 エステル」では今日の世界で起きている戦禍を詩っている。
肉が生じ 骨が立ち上がるために
どうか一旦滅ぼしてください
まずは わたくしの国を
それからどうぞ慈しんでください
わたくしの言葉を
あなたの言葉のうちに
(「難民の少女 2 エステル」最終部分)
世界の離れた時点で、あるいは離れた地域でのことなのだが他人事ではなく、自分事なのだ。それは人類であるがために課せられる命題であるから、時を超えて著者の心へ押し寄せてくる。だから、著者の作品は基本的には祈りの言葉なのだろうと思う(私(瀬崎)は信仰とは無縁なので、敬虔なクリスチャンである著者の信仰心がどのように作品に関わっているかについては言及できない)。
風琴(オルガン)が幾千年の調べを想い起こすとき
裂かれた傷 埋められた嘆きもまた甦り
砕かれた骨の祈りをふたたび輝かせる
(「ときの象り 1 廻(めぐ)る時を」より)
やはり居ずまいを正してしまう。