「詩人の遠征」と題したシリーズの第1冊。同シリーズでは「詩の営為ではあるけれど必ずしも一般的な詩歌の形にはなっていない言語作品」などを紹介していくとのこと。
77頁に「ネワエワ紀」「気聞日記」の長編作品2編を載せてる。各作品は、散文形式の断章を集めたものとなっている。著者自身が「どちらも妙な形をした作品」とも言っているのだが、「詩の試行は形の思考である」とのこと。
「ネワエワ紀」のネワエワというのは河の名前らしく、ニウアークという島国もあるようだ。断章はその地での出来事、あるいはその地で起こっているであろう出来事を、物語の断片のように記している。話者は新宿の街を彷徨い、探偵に会い、乞食姿の占い師に会い、ネワエワへ行くことを夢想している。
ああネワエワ。おまえは一体どこを流れているのだ。ニウアークから出て、ニウアークを
抱き、そしておそらくはニウアークへ還り。いつか大洪水となってニウアークを滅ぼし、
出発する地も帰還する地も失くしてただただ流れる天の川のような虚しい景観になるの
か。心臓をネワエワが流れる音がする。
ネワエワは、記述されることによって形づくられていくものなのだろう。その地で話者は偽札を作り、女と一緒に逃げたりもする。ネワエワは、著者と共に新宿の街を流れているのだろう。これらの記述を映像として生かしても面白いものになりそうな気がした。
「気聞日記」は気分、運命、欲望などについて断片的に思いを巡らす。気分は「宇宙的に広が」り、気分は自分の内にあり運命は自分の外にあると思い込みがちだが、それは正しいのかという問いかけは新鮮だった。
77頁に「ネワエワ紀」「気聞日記」の長編作品2編を載せてる。各作品は、散文形式の断章を集めたものとなっている。著者自身が「どちらも妙な形をした作品」とも言っているのだが、「詩の試行は形の思考である」とのこと。
「ネワエワ紀」のネワエワというのは河の名前らしく、ニウアークという島国もあるようだ。断章はその地での出来事、あるいはその地で起こっているであろう出来事を、物語の断片のように記している。話者は新宿の街を彷徨い、探偵に会い、乞食姿の占い師に会い、ネワエワへ行くことを夢想している。
ああネワエワ。おまえは一体どこを流れているのだ。ニウアークから出て、ニウアークを
抱き、そしておそらくはニウアークへ還り。いつか大洪水となってニウアークを滅ぼし、
出発する地も帰還する地も失くしてただただ流れる天の川のような虚しい景観になるの
か。心臓をネワエワが流れる音がする。
ネワエワは、記述されることによって形づくられていくものなのだろう。その地で話者は偽札を作り、女と一緒に逃げたりもする。ネワエワは、著者と共に新宿の街を流れているのだろう。これらの記述を映像として生かしても面白いものになりそうな気がした。
「気聞日記」は気分、運命、欲望などについて断片的に思いを巡らす。気分は「宇宙的に広が」り、気分は自分の内にあり運命は自分の外にあると思い込みがちだが、それは正しいのかという問いかけは新鮮だった。