第7詩集。95頁に27編を収める。鈴木比佐雄の栞が付く。
作品は「子どもの海」「海沿いに」「港町」「岬」「そして沖へ」の5章に分けられているのだが、すべてが海につながる題材となっている。これは並の力量でできる技ではない。
「魚と少年」は、作品のタイトル通りに釣った少年と釣られた魚の動きを、映像を語るように描写していく。あっという間に魚は解体され、
魚は焼かれ
食いちぎられ
日焼けした少年になる
手のひらに魚の
形
と白い
動きを残して岩陰に
かえっていく
(終2連)
食物連鎖による生命連鎖があるわけで、食べられた魚が少年になるという一足飛びの表現が小気味よい。そして命を与えられた少年には魚の形が刻印されて、少年がまるで魚のように岩陰にかえっていく姿が印象的だ。
「入り江の乳母車」は点景を描いた作品。乳母車のなかで「身体をよじって愚図っていた」幼子がいつしか眠りに落ちていく。おだやかな浜風が吹き、波の音も眠りへと誘ったのだろう。そして寝入ってしまった幼子の終連の描写が、このささやかな作品を微笑ましく余韻のあるものとしている。
傾いた首のかたちが
眠ってわけを考えている
作品は「子どもの海」「海沿いに」「港町」「岬」「そして沖へ」の5章に分けられているのだが、すべてが海につながる題材となっている。これは並の力量でできる技ではない。
「魚と少年」は、作品のタイトル通りに釣った少年と釣られた魚の動きを、映像を語るように描写していく。あっという間に魚は解体され、
魚は焼かれ
食いちぎられ
日焼けした少年になる
手のひらに魚の
形
と白い
動きを残して岩陰に
かえっていく
(終2連)
食物連鎖による生命連鎖があるわけで、食べられた魚が少年になるという一足飛びの表現が小気味よい。そして命を与えられた少年には魚の形が刻印されて、少年がまるで魚のように岩陰にかえっていく姿が印象的だ。
「入り江の乳母車」は点景を描いた作品。乳母車のなかで「身体をよじって愚図っていた」幼子がいつしか眠りに落ちていく。おだやかな浜風が吹き、波の音も眠りへと誘ったのだろう。そして寝入ってしまった幼子の終連の描写が、このささやかな作品を微笑ましく余韻のあるものとしている。
傾いた首のかたちが
眠ってわけを考えている