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隊長のブログ

元商社マン。趣味:ヒップホップダンス、ジャズダンス、日舞(新舞踊)、旅行、映画、スポーツ観戦。阪神タイガースのファン。

映画 Film204 『北京ヴァイオリン』

2020年11月21日 | 映画

隊長が、これまでに鑑賞した「映画 」を紹介するシリーズの第204作品目は、『北京ヴァイオリン』をお送りします。

 


『北京ヴァイオリン』(原題:和你在一起)(英題:Together)は、2002年9月に公開(日本公開:2003年4月)された中国映画です。言語は、中国語普通話(北京語)。日本公開時は、日本語字幕版。


「隊長のブログ」では、中国映画を、これで23作品を紹介したことになります。詳細は、こちらの記事一覧を、ご参照下さい

 

製作会社:中国電影集団公司、ほか。上映時間:116分。


監督:陳凱歌(チェン・カイコー)


脚本:陳凱歌、薛暁路(シュエ・シャオルー)


チェン・カイコー監督作品を、これで3本を取り上げたことになります。詳細は、こちらをご参照下さい


出演:唐韻(タン・ユン)、劉佩琦(リウ・ペイチー)、王志文(ワン・チーウェン)、陳凱歌(チェン・カイコー)、陳紅(チェン・ホン)、ほか。

 


あらすじ:中国北部の田舎町に住む13歳の劉小春(リウ・シャオチュン)《唐韻》は、彼が幼いころに亡くした母親の形見のバイオリンを巧みに弾き、何度も地元のコンクールで受賞しています。


父親の劉成(リウ・チェン)《劉佩琦》は、街の中華料理店の調理師です。男手ひとつで一人息子の小春を育てる劉成は、息子を誇りに思い、深い期待を抱いています。


そんな息子に質の高いヴァイオリンの教育を受けさせ一流のヴァイオリニストにしてあげようと、劉成は必死に働きコツコツと金を貯めていました。


ある日、二人は、北京少年宮殿で開かれる、全国的なバイオリンコンクールに出場のため、全財産を懐に、北京へとやって来ました。


コンクールでは、惜しくも5位に終わった小春でしたが、彼の才能を確信した劉成は、有名な江(ジャン)先生《王志文》の個人授業を受けさせるため北京に移り住むことになります。


そして、江先生の熱心な指導の下、小春も練習に励むのでしたが。。。

 


感想:父と息子の愛情の深さに感動させられた作品です。しかも、二人は血の繋がった親子ではありません。小春が幼い頃に母が亡くなったと息子には説明していますが、実際は駅のベンチにバイオリンと一緒に捨てられていた小春を、劉成が見つけ育てることになったのです。


劉成が自分の全てを息子に捧げ、立派なバイオリニストに育てようとしたのは、息子を捨てた母親へ、思い知らせるためだったのではないでしょうか。


芸術に長けた地方の少年が、中国の首都・北京にやってきて英才教育を受ける設定は、クラシックバレエを題材とした 『小さな村の小さなダンサー』 と、同じです。


しかし、『小さな村の小さなダンサー』の主人公が、海外で成功するのに対して、『北京バイオリン』の主人公は、海外で活躍するバイオリニストへの登竜門のコンサートへの出演を辞退し、父のもとに帰るというストーリーです。


また、『小さな村の小さなダンサー』は、中国と中国人を題材にしていますが、原作、監督、脚本とオーストラリア人の作品です。日本では公開されましたが、中国で公開されたかは不明です。


一方、『北京バイオリン』は、全て中国人のスタッフ・キャストによる作品で、中国で公開されるや、巨匠・チェン・カイコーということもあったのか、ヒットし、2004年には、同題名でテレビドラマ化されています。


それにしても、中国の芸術の世界でも、金で名声を得られる描き方をしています。拝金主義に対する、チェン・カイコーなりのアンチテーゼの作品なのでしょう。


チェン・カイコーの作品には、『空海―KU-KAI― 美しき王妃の謎』  のような多額の製作費と投じた大作もありますが、隊長が好きな彼の作品は、『北京バイオリン』のように小品ながら感動を与える映画です。


出演陣は、みなさん好演で、キャスティングも秀逸です。


主人公の小春を演じた唐韻(タン・ユン)、バイオリンを弾くシーンだけでなく、父親に反抗的になったり、大人の女性に好意を持ったりと、悩める思春期の少年を垣間見せるシーンの演技も自然で良かったです。


父親役の劉佩琦(リウ・ペイチー)、さすがです。愛情深い父親としての顔だけでなく、現在BS11にて放送されている中国ドラマ 『月に咲く花の如く』 で、主人公の養父・周老四役で演じているひょうきんな面もこの映画で見せてくれています。


チェン・カイコー監督自身が、江先生の次に小春を指導する音楽大学の余教授役を演じているのには、驚かさせられました。偽善者で権威主義の余教授、いわば悪役なのですが、何故かハマったいました。


全編に流れる音楽も、中国の有名交響楽隊が演奏していて、映画のムードを盛り上げています。


最後になりますが、これまでに、「映画」の記事の中で、外国映画の邦題(日本語タイトル)の付け方の良い作品と、悪い作品を挙げていて、それを一覧にしています が、本作は良い作品だと思います。


中国語原題の「和你在一起」、英題の「Together」から意訳して邦題を付けるとしたら、「親子共に歩んだ道」などとなるのでしょうが、これでは何の映画か分かりません。北京でバイオリニストを目指す物語だということを分からせるためにも、 『北京ヴァイオリン』のタイトルは良かったでしょう。さらに、「バイオリン」ではなく「ヴァイオリン」としたのも題名に深みを感じさせています。

 

 

 

 


==「映画」バックナンバー =
http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/c/226e9f0193a60e6a012384176360666f

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