隊長のブログ

元商社マン。趣味:ヒップホップダンス、ジャズダンス、日舞(新舞踊)、旅行、映画、スポーツ観戦。阪神タイガースのファン。

映画 Film197 『チィファの手紙』

2020年09月15日 | 映画

隊長が、これまでに鑑賞した「映画」を紹介するシリーズの第197作品目は、『チィファの手紙』をお送りします。




『チィファの手紙』(原題:你好、之華)(英題:Last Letter)は、2018年11月9日に公開(日本公開:2020年9月11日)された中国映画です。言語は、中国語普通話(北京語)。日本公開時は、日本語字幕版。


「隊長のブログ」では、中国映画を、これで22作品を紹介したことになります。詳細は、こちらの記事一覧をご参照下さい


製作会社:北京嘉映春天影業有限公司、ほか。上映時間:113分。


原作・脚本・監督は、岩井俊二。


本作は、岩井俊二さんの「ラヴレター三部作」と言って良い、連続作品の第3作で、2020年1月に日本で公開された、松たか子・福山雅治主演、岩井俊二監督の 『ラストレター』 の、中国バージョンです。

 

ちなみに、第1作は、1995年3月 日本公開、中山美穂・豊川悦司主演、岩井俊二監督の  『Love Letter』


プロデューサーは、香港出身で国際的監督の 陳可辛(ピーター・チャン)と、岩井俊二。

 

「隊長のブログ」で取り上げた、ピーター・チャン 監督・製作映画の記事一覧は、こちらをご参照下さい  。


音楽:岩井俊二、ikire(いきれ)。


主演:周 迅 (ジョウ・シュン)、秦 昊(チン・ハオ)。


ジョウ・シュンは、ピーター・チャン 監督・製作で、金城 武と共演した 『ウィンター・ソング』 でも主演を務めています。また、歌手としての活動を、「アジアの歌姫」で紹介しています


チン・ハオの出演作品は、『空海―KU-KAI― 美しき王妃の謎』  を、取り上げています。


共演者は、杜 江(ドゥー・ジアン)、張 子楓(チャン・ツィフォン)、鄧 恩熙(ダン・アンシー)、譚 卓(タン・ジュオ)、胡 歌(フー・ゴー)、ほか。



あらすじ:亡くなった姉・之南(チーナン)宛に、中学同窓会の招待状が届いていました。


妹の之華(チィファ)《ジョウ・シュン》は、姉の死を知らせるために卒業30周年の同窓会に参加しますが、同級生に姉本人と勘違いされた上に、スピーチまでするはめに。


同窓会には、チィファが憧れていた先輩の尹川(イン・チャン)《チン・ハオ》も来ていました。同窓会を途中で帰ったチィファをチャンが追いかけ、バス停で呼びとめます。


チャンが、チィナンに恋していたことを知っていたチィファは姉のふりを続けました。連絡先を交換し別れましたが、チャンが送ったメッセージのスマホ通知を、チィファの夫・文涛(ウェンタオ)《ドゥー・ジアン》が見てしまいます。


ウェンタオは激昂し、チィファのスマホを壊してしまいます。仕方なくチィファは、チャンに自分の住所を明かさないまま、姉のふりをして一方通行の手紙を送ることに。


かくして始まった「文通」は、あの頃の初恋の思い出を蘇らせます。そして。。。



鑑賞した映画館:現在公開中の本作品を鑑賞したのは、昨年7月に開業した池袋のシネコン「グランドシネマサンシャイン」。都内最大級のシネコンを訪れるのは、初めてです。

 



池袋駅から徒歩4分の大型商業ビル「キュープラザ池袋」の4F~12Fに、12のスクリーンがあります。

エントランスのある4Fは、まるでテーマパークの中の様です。




 

エスカレーターやフロアの壁には、古今東西の名画のオリジナルポスターやスチールが一面にびっしり貼られていて、観る前から映画の世界に引きづり込まれる感覚になりそうです。



 

 


 『チィファの手紙』を上映していたのは、座席数103の「シアター9」。





感想:久しぶりに王道のラブストーリーを堪能しました。岩井俊二の世界観が凝縮された、過去と現在、二つの世代を通して紡がれる淡く美しい物語です。


卒業式のシーンに “1988年卒” となっていましたので、同窓会が開かれた現在は、中国公開時の2018年の設定ですね。


1988年と言えば、日本では昭和63年。けれども、最近の中国の発展ぶりを考えると、1988年当時の中国は、日本の昭和40年代の光景に近かったのだと思います。


本作のロケ地は、上海と大連。売れない作家のチャンが暮らしているのが上海で、今は廃校となっている中学校があって、今もチィファたちが住んでいるのが大連です。


現在、大連も上海の様な近代的な都市に生まれ変わっていて、そんな中、1988年当時の街の様子は暮らしぶりを映し出すのには、岩井監督も相当苦労したでしょうね。


大連が近代的な都市であることを伺わせるのは、同窓会に出席するために、チャンが上海から大連に到着し、空港から同窓会が開かれるホテルまで乗ったタクシーから見える風景と俯瞰のシーンくらいで、現在の大連も美しい古都の印象を与える映像になっています。


回想シーンに登場するチィファと、チィファの娘・サーランを演じているのは、同じチャン・ツィフォン。回想シーンのチーナンと、娘・ムームーを演じているのが、ダン・アンシーです。




(左:チャン・ツィフォン。右:ダン・アンシー)


けれども、最初は一人二役とは気が付かず、似た女優さんをキャスティングしたんだなと思っていました。何故なら、回想シーンの二人が、衣装や雰囲気から別人に見えたからです。これも岩井俊二マジックでしょうかね。


岩井俊二、ikireの音楽も、感情に訴えんとばかりに奏でられたりせずに、抑制されたミュージックながら、場面にしっくりとハマっていました。


ステディカム(手持ちカメラ)を多用したそうで、映像も綺麗で臨場感があります。また室内撮影でも、昼のシーンは人工的なライトではなく、外からの自然光を取り入れたり、夜のシーンでは、家庭照明を多用したりして、美しい映像を醸し出しています。


日本人監督による中国映画は、篠原哲雄監督の 『スイートハート・チョコレート』   を観ていますが、本作は中国の映画評論家に、岩井監督が「あなたが外国人で初めてちゃんと中国映画を撮ることに成功した監督ですね」と称賛されたそうです。


主人公・チィファ役のジョウ・シュン、製作時は43歳です。若い頃の作品『ウィンター・ソング』では、若干勢いに任せて演じていた感がありましたが、本作ではしっとり大人の女性の情感を見事に醸し出していました。


これまでに、「映画」の記事の中で、外国映画の邦題(日本語タイトル)の付け方の良い作品と、悪い作品を挙げていて、それを一覧にしています  が、本作は邦題の評価をしづらいですね。


普通でしたら、『ラストレター』を観た日本の観客は、『チィファの手紙』が同作の中国版とは思えないでしょう。


しかし、日本の配給会社が岩井監督と相談せずに、『チィファの手紙』の邦題をつけたとは考えられません。場合によれば、岩井さんの意向かも知れませんね。公式サイトを観ましたが、岩井監督は邦題の意図を語っていません。何故、『チィファの手紙』としたか聞いてみたいものです。




 



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http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/c/226e9f0193a60e6a012384176360666f


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