goo blog サービス終了のお知らせ 

隊長のブログ

元商社マン。趣味:ヒップホップダンス、ジャズダンス、日舞(新舞踊)、旅行、映画、スポーツ観戦。阪神タイガースのファン。

映画 Film286 『来し方 行く末』

2025年04月29日 | 映画

隊長が、これまでに鑑賞した「映画」を紹介するシリーズの第286作品目は、来し方 行く末(こしかた ゆくすえ)』をお送りします。

 

 

4月25日から公開されている『来し方 行く末』を、観に行ってきました。


 『来し方 行く末』(原題:不虚此行、英題:All Ears)は、現地・2023年9月9日公開の中国映画です。


製作会社:北京標準映像文化傳播有限公司。配給:ミモザフィルムズ。オリジナル言語:普通話(北京語)、日本上映時は、日本語字幕。上映時間:119分。


尚、「隊長のブログ」では、中国映画を、これで28作品を紹介したことになります。詳細は、こちらの記事一覧を、ご参照下さい


本作品は、弔辞作家の日常というユニークな題材を軸に、人々の人生模様や死生観を繊細に織り込んだヒューマンドラマです。


監督・脚本:劉伽茵(リウ・ジアイン)。


主演は、胡 歌(フー・ゴー)。


フー・ゴーの他の出演映画は、『チィファの手紙』を、取り上げています。


共演者:呉磊(ウー・レイ)、斎溪(チー・シー)、娜仁花(ナー・レンホア)、甘昀宸(ガン・ユンチェン)、ほか。

 

 

あらすじ:主人公の聞善<ウェン・シャン>(フー・ゴー)は、大学院まで進学しながら、脚本家として商業デビューが叶わず、北京で不思議な同居人・小尹<シャオイン>(ウー・レイ)と暮らしながら、今は葬儀場での「弔辞の代筆業」のアルバイトで生計を立てています。


丁寧な取材による弔辞は好評ですが、本人はミドルエイジへと差し掛かる年齢で、このままで良いのか、時間を見つけては動物園へ行き、自問自答しています。同居していた父親との交流が少なかった男性、共に起業した友人の突然死に戸惑う会社員、余命宣告を受けて自身の弔辞を依頼する婦人、ネットで知り合った顔も知らない声優仲間を探す女性・邵金穗<シャオ・ジンスイ>(チー・シー)など、様々な境遇の依頼主たちとの交流を通して、ウェンの中で止まっていた時間がゆっくりと進みだします。。。

 

鑑賞した映画館:現在公開中の本作品を鑑賞したのは、東京・銀座のランドマーク「和光本館」の手前「銀座ガス灯通り」を60mほど歩いたところにある「シネスイッチ銀座」。

 

 

「シネスイッチ銀座」を訪れるのは、初めてです。「シネスイッチ銀座」は、地下にある座席数271の「シネスイッチ1」と、1Fにある座席数182の「シネスイッチ2」の2スクリーンです。


『来し方 行く末』は、「シネスイッチ1」で上映されています。

 

(シネスイッチ銀座のHPから)


階段を降りた先にあったのが、2階席。最近出来たシネコンなどでは、2階席があるのは珍しいのでは。

 

 


隊長の席がある地下2Fのトイレの前には、木製の椅子が並んでいます。

 

 

全体に館内にレトロの匂いを感じます。調べてみたら、当館の前身は、1955年に開業した「銀座文化劇場」で、1997年に「シネスイッチ銀座1・2」としてリニューアル・オープンしたそうです。


「シネスイッチ銀座」を訪れるのは、初めてと書きましたが、「銀座文化劇場」時代に来たことがあるかも知れません。

 

 

感想:特にドラマチックなシーンもなく、淡々とストーリーが展開されていきます。日本には「弔辞の代筆業」と言う職業がないこともあり、当初は、監督のリウ・ジアインさんがこの映画に込めた思いを読み取ることが出来ませんでしたが、物語が展開していくに連れて分かってきました。


同居人のシャオインが、何をしている人間なのか、ウェン・シャンとの関係も謎でした。

 

(左:ウェン・シャン(演・フー・ゴー)、右:シャオイン(演・ウー・レイ))


ところが、ウェン・シャンが、ネットで知り合った顔も知らない声優仲間を探す女性のシャオ・ジンスイを自宅に連れてきたシーンから徐々に謎が解けてきました。


部屋に入ったシャオ・ジンスイが、シャオインの存在を全く認識していません。決定的になったのは、ウェン・シャンがホワイトボードに、自死した声優仲間の一生を時系列に描いて説明している時に、シャオ・ジンスイが突然ホワイトボードをひっくり返したところ、裏には小尹<シャオイン>の文字を中心に相関図が描かれていたシーンで、全ての謎が解けました。


シャオインは、ウェン・シャンの分身だったのです。シャオ・ジンスイには、見えないはずです。


ラストシーンでは、シャオインに姿が消え、ウェン・シャンがパソコンに向かい、弔辞ではなく脚本を書き始めるのでした。

 

本作品は、ヒューマンドラマであると同時に、ファンタジードラマでもあります。


入場時に、“名刺風オリジナルカード” を貰いました。表面は、名刺風に、弔辞ライター・聞善と書かれています。

 


裏面は、貰った時に見なかったのですが、エンドロールが終わり、場内が明るくなってから見たら、脚本風になっていました。

 


上映前に裏面を見ていたら、もう少し早く謎が解けていたかも知れません。

 


主演のフー・ゴーさん、、『チィファの手紙』では出番は少なかったのですが、主人公の姉・チーナンを虐待して自死に追い込んだ、ダメ男の元夫・ジャン・チャオ役のエキセントリックな演技が思い出されます。

 

 

ウー・レイさん、『SHADOW/影武者』  での、関羽の息子・関平役が凛々しかったです。

 

最後になりますが、これまで「映画」の記事の中で、外国映画の邦題(日本語タイトル)の付け方の良い作品と、悪い作品を挙げていて、それを一覧にしています  が、本作は良い例だと思います。


原題の「不虚此行」の日本語訳は、“むだ足を踏まなかった.行ったかいがあった” で、映画のタイトルとして相応しくありません。昨年の東京国際映画祭で上映された際のタイトルは、「耳をかたむけて」でした。これは、英題・All Earsの意訳で、邦題として聞き心地は良いですが、インパクトに欠けます。


昔から慣用句として、文学の世界で用いられていた「来し方 行く末」 が、この映画の邦題として、文学的香りがして良いと思いました。

 


 

 

==「映画」バックナンバー =
http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/c/226e9f0193a60e6a012384176360666f
Film1~270 省略

Film271  2023/8/2  『ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE』 

Film272  2023/8/21 『涙そうそう』 

Film273  2023/8/30  『忠臣蔵 (昭和33年)』

Film274  2023/9/8  『こんにちは、母さん』

Film275  2023/10/7 『ベニスに死す』

Film276  2023/11/22  『トゥームレイダー』

Film277  2024/2/8   『ルーキー』 

Film278  2024/4/24 『南極物語』

Film279  2024/7/12 『2046』 

Film280  2024/9/17 『小川の辺』 

Film281  2024/10/15 『あの頃、君を追いかけた』 

Film282  2024/12/12 『ごろつき

Film283  2025/2/7 『ガントレット

Film284  2025/2/25 『動乱』 

Film285  2025/4/10 『引っ越し大名!』 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

「中国映画」 記事一覧

2025年04月29日 | 映画

中華圏(中国語圏)の映画は、それぞれの歴史的・政治的背景により、独自に発展した中国映画、香港映画、台湾映画に分類することが出来ます。

 


中国映画 の定義は、中国本土の資本と人材により制作された映画を意味しています。

 

「隊長のブログ」では、そんな中国映画を、これまでに、28作品を紹介しています。


詳細は、下記の記事一覧をご参照下さい。但し、リストには、合作映画も含んでいます。

 

尚、ブログで紹介した香港映画の一覧は、こちらをご参照下さい

 

また、台湾映画は、こちらをご覧ください

 

==「中国映画」 記事一覧==

(日本公開年:タイトル:監督)

1.  1994年 『さらば、わが愛/覇王別姫』 (中国・香港合作)  チェン・カイコー  

2.  2000年『あの子を探して』 チャン・イーモウ

3.  2000年『初恋のきた道』 チャン・イーモウ  

4.  2002年『きれいなおかあさん』 スン・ジョウ  

5.  2003年『北京バイオリン』 チェン・カイコー 

6.  2004年『LOVERS』 チャン・イーモウ  

7.  2006年『単騎、千里を走る。』 (中国・日本合作)  チャン・イーモウ  

8.  2007年『夜の上海』(中国・日本合作)  チャン・イーバイ

9.  2008年『レッドクリフ PartI』 ジョン・ウー  

10.  2009年『花の生涯~梅蘭芳』 チェン・カイコー

11.  2009年『レッドクリフ PartII-未来への最終決戦-』 ジョン・ウー

12.  2009年『ウォーロード/男たちの誓い』 (中国・香港合作)  ピーター・チャン  

13.  2010年『ベスト・キッド』(米国・中国合作)  ハラルド・ズワルト

14.  2011年『サンザシの樹の下で』 チャン・イーモウ 

15.  2011年『海洋天堂』(中国・香港合作)  シュエ・シャオルー  

16.  2011年『シャンハイ』 (米国・中国合作)  ミカエル・ハフストローム  

17.  2011年制作 (日本未公開) 『失恋33天』 テン・フアタオ  

18.  2015年『妻への家路』 チャン・イーモウ  

19.  2016年『スイートハート・チョコレート』 (中国・日本合作)  篠原哲雄  

20.  2018年『空海 -KU-KAI- 美しき王妃の謎』 (中国・日本合作)  チェン・カイコー    

21.  2018年『恋するシェフの最強レシピ』 (中国・香港合作)  デレク・ホイ  

22.  2019年『芳華-Youth-』 フォン・シャオガン  

23.  2019年『The Crossing -ザ・クロッシング- PartⅠ』 (中国・香港合作)  ジョン・ウー  

24.  2019年『The Crossing -ザ・クロッシング- Part II』 (中国・香港合作)  ジョン・ウー  

25.  2019年『SHADOW/影武者』 チャン・イーモウ  

26.  2020年 『チィファの手紙』 岩井俊二  

27.  2022年 『こんにちは、私のお母さん』 ジア・リン

28.  2025年 『来し方 行く末』 リウ・ジアイン

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画 番外編 『良い邦題、悪い邦題』

2025年04月29日 | 映画

隊長が、これまでに観た「映画」を紹介するシリーズの番外編は、良い邦題悪い邦題をお送りします。




 

これまでにも、「映画」の記事の中で、外国映画の邦題(日本語タイトル)の付け方の良い作品と、悪い作品を挙げていますが、それを一覧にしてみました。



良い作品 (日本公開年 / 製作国 / 原題 / 邦題)

 

* 1955年、アメリカ、「Love Is a Many-Splendored Thing」、『慕情 

原題の「Love Is a Many-Splendored Thing」を直訳すると、「恋は多くの光り輝く出来事」でしょうか。タイトルとしては、長すぎで意味が分かりません。

それを、『慕情』という立った二文字で、主人公の愛惜の気持ちを現わしている素敵な邦題だと思います。同時に『慕情』の主題歌のヒットにも繋がっているのでしょうね。

隊長が副題を付けるとしたら、「戦争に引き裂かれた悲恋物語」とでもしましようか。

 

 

* 1967年、イタリア、「Per qualche dollaro in più」、『夕陽のガンマン

原題・英題を直訳すると、「もう数ドルのために」となります。少しでも高い懸賞金を狙うという意味で付けられたのでしょうが、そのまま邦題にしても、何の面白味もありません。

どうせ、アメリカで製作された本格的な西部劇ではなく、マカロニ・ウェスタンです。原題・英題と全く関係ない『夕陽のガンマン』と言うロマンある邦題にしたのも、日本で本作がヒットした要因の一つかも知れませんね。

 

 

* 1970年、アメリカ、「Butch Cassidy and The Sundance Kid」、明日に向って撃て!  

主人公の強盗犯二人の名前から取った「Butch Cassidy and The Sundance Kid」の、原題のままでは、アメリカの西部開拓時代の歴史に詳しくない日本人にとって、何の映画から全くわかりません。

『明日に向って撃て!』の邦題は、“若者の反逆” が吹き荒れた時代背景から生まれた、絶秒のタイトルで、邦題 No.1と呼んでも良いでしょう。

 

 

* 1987年、香港、「英雄本色」、『男たちの挽歌 

原題の「英雄本色」を直訳すると “英雄の本来の姿” で、どんな映画か分かりません。英題の「A Better Tomorrow」を訳しても、平凡な題名になりそうです。

『男たちの挽歌』は、1970年に公開された、チャールズ・ブロンソン主演の犯罪アクション映画『狼の挽歌』に、インスパイアされた邦題だと思いますが、“男くささ” が匂うこの作品に相応しいタイトルになっています。この邦題も、日本でのヒットの一因になっているのでしょう。

 

 

* 1992年、アメリカ、「Far and Away」、『遥かなる大地へ

原題の「Far and Away」を直訳すると、“はるかに” ですが、『遥かなる大地へ』とすることで、遥か遠くにある豊かなアメリカの大地をイメージすることが出来ます。この邦題自体が、本作品を観る前から想像力を膨らませることが出来る力を持っているのでしょうね。

 

 

* 1993年、アメリカ、「In the Line of Fire」、『ザ・シークレット・サービス

原題の「In the Line of Fire」を、そのままカタカナ表記したり直訳しただけでは、何の映画か分かりません。『ザ・シークレットサービス』と、具体的な職業名をタイトルにすることにより、誰が主人公分かり易くなり、人によっては、JFK暗殺事件を想起するでしょう。

 

 

* 1993年、アメリカ、「Sleepless in Seattle」、『めぐり逢えたら 

原題の「Sleepless in Seattle」を訳すと、「シアトルの眠れぬ夜」という邦題になって、恋で眠れないのか、恐怖で眠れないのか、恋愛映画か恐怖映画かわかりません。『めぐり逢えたら』としたのは、本作のモチーフである劇中に登場する映画『めぐり逢い』から取ったのでしょうね。

『めぐり逢えたら』の日本公開当時のオールド映画ファンなら、『めぐり逢い』のエンパイア・ステート・ビルディングの展望台での “すれ違い” を知っているでしょうし、その事を宣伝に使えることも考慮したのでしょう。

 

 

* 1996年、米国、「Jerry Maguire」、『ザ・エージェント

原題の主人公の名前「Jerry Maguire」では、何の映画か判りませんよね。ここは、ストレートに “代理人” を意味する『ザ・エージェント』としたのは、分かり易くて良かったと思います。

 

 

* 1997年、香港、「春光乍洩」、『ブエノスアイレス

原題の「春光乍洩」を訳すと、“漏れ出る春の光”、意訳ずると “木洩れ陽” でしょうか。これを、邦題にしても訳が分からないですよね。

英題の「Happy Together」は、曲名そのものだし。ここは、日本人には誰でも知っている都市名の『ブエノスアイレス』とすることで、観客の想像力を刺激することに成功したのではないでしょうか。

 

 

* 2000年、中国、「我的父亲母亲」、『初恋のきた道

原題の「我的父亲母亲」を直訳すれば、“私の父親母親” と映画の題名には相応しくないですよね。英題の「The Road Home」でも “故郷への道” とストレートです。

やはり、愛する人が馬車に乗りやって来て去って行ってしまった道、そしてその最愛の人が遺体となり、多くの教え子達に担がれて帰って来る道は、『初恋のきた道』としか呼び様がないです。

 

 

* 2003年、中国、「和你在一起」、『北京バイオリン

中国語原題の「和你在一起」、英題の「Together」から意訳して邦題を付けるとしたら、「親子共に歩んだ道」などとなるのでしょうが、これでは何の映画か分かりません。

北京でバイオリニストを目指す物語だということを分からせるためにも、 『北京ヴァイオリン』のタイトルは良かったでしょう。さらに、「バイオリン」ではなく「ヴァイオリン」としたのも題名に深みを感じさせています。

 

 

* 2003年、台湾・フランス合作、「藍色大門」、『藍色夏恋

原題の「藍色大門」の意味は、ラストで若者が誰でも通る “青春の門” だと分かりました。これを、そのまま邦題に使うと、日本人には地名のことかと思われる恐れがあったのでしょう。

“大門” を “夏恋” とすることで、夏の恋物語を強調する効果はあったと思います(実際は、オーソドックスな青春映画ではありませんでしたが)。

 

 

* 2008年、米国、「WILD HOGS」、『団塊ボーイズ

原題の「WILD HOGS」を直訳すると “野生の豚”。確かに豚の様に怠惰な生活を送っていった中年男たちが、バイクで旅をすることによって “ワイルドさ” を取り戻すストーリーに相応しい原題です。

しかし、“野生の豚” の邦題では、観客は飛びつかないでしょう。そこで、名付けた『団塊ボーイズ』、洒落た邦題になっています。

 

 

* 2010年、イタリア、「Baarìa、『シチリア!シチリア!

原題の「Baarìa (バーリア)」は、この物語の舞台となったイタリア・シチリア自治州パレルモ県にある都市名です。それも、シチリア語での表記で、イタリア語では、 Bagheria(バゲリーア)と呼ぶそうです。

タイトルを、大半の日本人が知らない「バーリア」とするより、映画ファンには『ゴッドファーザー』でお馴染みの「シチリア」を取り入れ、さらに 『シチリア!シチリア!』と強調することにより本作品の壮大さを表現することが出来たと思います。

 



* 2015年、中国、「帰来」、『妻への家路

原題の「帰来」や、英題の「Coming Home」ではストレート過ぎます。『妻への家路』とすることで、本作品に余韻を感じさせてくれます。

 

 

* 2016年、米国、「Sully」、『ハドソン川の奇跡

原題の “Sully” は、奇跡を起こした機長のニックネームです。アメリカでの公開では、米国人の殆どが知っている “Sully” で問題はないでしょうが、それをそのまま日本で「サリー」として公開されても誰も分かりません。

ここは、逆に日本人の殆どが知っている『ハドソン川の奇跡』とした邦題は、面白味はありませんが、妥当だと思います。

 



* 2018年、中国・香港合作、「喜欢你」、『恋するシェフの最強レシピ

原題の「喜欢你」を直訳すると「あなたが好き」となり、ありふれたタイトルになってしまいます。『恋するシェフの最強レシピ』とすることで、恋愛ドラマであることが分かるし、シェフが主人公であることも分かり、作品を観る前からイメージを膨らませることが出来ます。

 

 

* 2022年、中国、 「你好,李煥英」、『こんにちは、私のお母さん 

原題の「你好,李煥英」は「こんにちは、リ・ホワンイン」の意味です。李煥英は、中国の観客にとって、実績のあるコメディアンヌ・賈玲の母親だとの予備知識を持って本作に臨むことができます。

一方、日本の観客には、「リ・ホワンインって誰?」となってしまいます。そこで、本作品のストーリーから、『こんにちは、私のお母さん』の邦題にするのは、当然の流れでしょう。

 

 

* 2022年、アメリカ、「I Wanna Dance with Somebody」、『ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY 

原題の「I Wanna Dance with Somebody」は、ホイットニーのセカンド・アルバムのタイトルです。日本で一番ヒットした彼女の楽曲は、『ボディーガード』の主題歌「オールウェイズ・ラブ・ユー (I Will Always Love You)」なので、「I Wanna Dance with Somebody」の知名度では、何の映画か分からない人も多いでしょう。

その意味で、「I Wanna Dance with Somebody」のタイトルの前に、「ホイットニー・ヒューストン」を付け加えたのが、良い邦題になったと思います。

 

 

* 2025年、中国、不虚此行来し方 行く末  


原題の「不虚此行」の日本語訳は、“むだ足を踏まなかった.行ったかいがあった” で、映画のタイトルとして相応しくありません。昨年の東京国際映画祭で上映された際のタイトルは、「耳をかたむけて」でした。これは、英題・All Earsの意訳で、邦題として聞き心地は良いですが、インパクトに欠けます。


昔から慣用句として、文学の世界で用いられていた「来し方 行く末」 が、この映画の邦題として、文学的香りがして良いと思いました。

 


 


悪い作品 (日本公開年 / 制作国 / 原題 / 邦題)

 

* 1984年、米国、「Risky Business」、『卒業白書

原題の “Risky Business” を直訳すると、「危険なビジネス」です。それを、『卒業白書』としたのは、1967年公開の『卒業』  と、1970年公開の『いちご白書』という、二本のヒット作の邦題の、良いとこ取りをしたのでしょうかね。

 

 

* 1998年、香港、「甜蜜蜜」、『ラブソング

原題の「甜蜜蜜」を直訳すると “甘い蜜” ですが、それが何故に平凡な『ラヴソング』になるのでしょうか。「甜蜜蜜」という曲が、甘い恋人たちを歌っているからとの理由で『ラヴソング』にしたのであれば、日本の配給会社の手抜きです。

そもそも、『○〇ラヴソング』とか、『ラヴソング〇〇』と似た様なタイトルの小説、漫画、ドラマ、映画があるのですから、『ラヴソング』では、この映画の意図するものが伝わりません。

隊長が、邦題を付けるとしたら、「忘れられない密の味」とか、「夢の中の幸せ」とかにしますね。

 

* 2000年、中国、「一个都不能少」、『あの子を探して

『あの子を探して』だと、母親が別れた子供を探し求める物語と思ってしまいます。邦題だと、中国語の原題や英語のタイトルから読み取れる、「一人の生徒は、小さな存在ではなく、それ以上の存在」と言う、この映画のテーマが死んでしまいます。



* 2001年、米国、「Planet of the Apes」、『PLANET OF THE APES/猿の惑星

第1作の原題「PLANET OF THE APES」を直訳すると「類人猿の惑星」です。実際に、作品に登場するのは、猿だけでなく、オラウータンやゴリラもいるのですが、「類人猿の惑星」より『猿の惑星』の方がインパクトが強く、覚えやすいので良かったと思います。

その後の〈「猿の惑星」シリーズ〉の原題には必ず、「PLANET OF THE APES」が付き、邦題にも「猿の惑星」が付き、シリーズ感が湧きます。ところが、“リ・イマジネーション” 作品で、邦題にも新鮮味を出さなければいけない本作なのに、原題と邦題を合体させた『PLANET OF THE APES/猿の惑星』と何のひねりもない日本語タイトルになっています。

蘇った猿の惑星」』だとか、『「猿の惑星再創造』とか、相応しい邦題をひねり出す努力を配給会社はしたのでしょうか。




* 2004年、中国、「十面埋伏」、『LOVERS 

凡庸な邦題です。中国語の原題が “十面埋伏”、英語題は “House of Flying Daggers”。それが何故 “LOVERS” になるのですかね? “LOVERS”と名付ければ、女性の観客が増えると思っていたのでしょう。

映画の内容や、中国語や英語のニュアンスから邦題を付けるとしたら、「到る所に潜む忍びの者」とか、「乱舞する敵の刃 (やいば)」が相応しいのでは。




* 2006年、香港、「如果・愛」 、『ウィンター・ソング 

イージーな邦題の付け方です。“LOVERS” と同じで、“ウィンター・ソング” と名付ければ、女性が観ると配給会社が考えたのでしょうか。

原題の「如果・愛」を直訳すると、“もしかして愛” ですが、隊長がこの映画に邦題を付けるとしたら、内容から “偽りの愛、されど真実の愛”とでもしますか。

 

 

* 2007年、香港、「傷城」 、『傷だらけの男たち 

中国語の原題「傷城」から、配給会社は『傷だらけの男たち』の邦題が浮かんだのだと思います。確かに、“愛のために傷つく元刑事” と “復讐に生きる刑事” が主役なのですが、あまりにも『傷だらけ〇〇〇』という、映画、小説、ドラマは、巷に溢れていて、手垢のついたタイトルになってしまっています。

英題の「Confession of Pain」を直訳すると「痛みの告白」です。映画の内容を鑑み、これを意訳して『消えない過去の痛み』或は、『消えない過去の傷』の邦題は、どうでしょうか。

 

 

* 2007年、中国・日本合作、「夜。上海」、『夜の上海

原題の「夜。上海」を直訳して『夜の上海』の邦題を付けたのでしょうが、この映画は、上海のある一夜の男女の物語、それも当事者にとっては、長い一夜のドラマです。それを、『夜の上海』という観光案内の様なタイトルでは、深みを感じません。

英題の「The Longest Night in Shanghai」が一番、本作に相応しいタイトルです。従って、隊長が邦題を付けるとしたら、「上海の長い一夜の恋物語」とでもしましょうか。

 

 

* 2008年、米国、「The Great Buck Howard」、『ザッツ★マジックアワー ダメ男ハワードのステキな人生 

『ザッツ★マジックアワー ダメ男ハワードのステキな人生』とは、映画のタイトルではなく、ストーリーの説明文、長すぎます。

この映画が日本公開されていれば、スタッフはもう少し頭を絞って邦題を付けたのでしょうが、安直な道を選んだように思えます。

 



* 2009年、中国、「赤壁:决戦天下」 、『レッドクリフ PartII-未来への最終決戦- 

これは、PARTIもそうなのですが、英題の「Red Cliff」をそのままカタカタ表記したという芸のなさ。中国歴史物というより、洋画(欧米映画)のような印象を受けます。

シルヴェスター・スタローン主演のクリフハンガー と混同しそうです。

英題を拝借するではなく、中国語の原題「赤壁:决戦天下」を意訳して、「天下分け目の決戦:赤壁の戦い」とでもした方が、日本人には分かり易いのではないのでしょうか。

 

 

* 2010年、米国・中国合作、「The Karate Kid」、『ベスト・キッド

本作は、1984年の『ベスト・キッド』のリメーク版なので、そのまま『ベスト・キッド』を踏襲したと思われます。

そもそも、1984年版の原題、「The Moment of Truth / The Karate Kid」が、何故『ベスト・キッド』になったか不明ですが、ここは、シンプルに『カラテ・キッド』の方が良かったのではないでしょうか。

 

 

* 2010年、オーストラリア、「MAO'S LAST DANCER」、『小さな村の小さなダンサー


原題の「MAO'S LAST DANCER」をそのまま邦題とすると、「毛沢東の最後のダンサー」となり、お堅いイメージでヒットしないと思ったのでしょう。2001年に公開されヒットしたイギリス映画「Billy Elliot」の邦題『リトル・ダンサー』を、主人公が同じ少年がダンサーを目指すストーリーなので拝借し、小さな村出身なので、合体して『小さな村の小さなダンサー』とした安直さを感じます。

隊長が邦題を付けるとしたら、”自由への旅立ち”とか、”呪縛から解き放たれたダンサー”とでもしますか。

 

 

* 2012年、米国、「Trouble with the Curve」、『人生の特等席

原題の「Trouble with the Curve」を直訳すると、“カーブに問題あり”。野球のカーブボールと、人生の曲がり角をかけているのでしょう。それが、邦題では何故『人生の特等席』になるのかがよくわかりません。

素晴らしきかな、人生の曲がり角”の邦題は、いかかでしょうか。

 

 

* 2013年、米国、「Jack Reacher」、『アウトロー

原題の “Jack Reacher” は、トムクルーズが演じる主人公の名前です。それを、『アウトロー』としたのは、納得がいきません。邦題だけを観たら、西部劇のようです。

ジャック・リーチャーが、流れ者だから『アウトロー』としたのでしょうか? それとも、トム・クルーズを、西部劇のヒーローと見立てたのでしょうか? 

 

 

* 2018年、韓国、「택시운전사タクシー運転手)」、『タクシー運転手 約束は海を越えて

『タクシー運転手 約束は海を越えて』の邦題では、タクシー運転手と外国人乗客の友情物語の様です。本質は、友情物語ではなく、英雄らしからぬ一人のタクシー運転手。カメラマンは、一躍「英雄」として世界的に名が知れますが、彼は歴史の闇の中に消えて行きました。

隊長が邦題を付けるとしたら、「タクシー運転手 名も無き英雄」とします。

 

 

==「映画」バックナンバー ==
http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/c/226e9f0193a60e6a012384176360666f

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

上海城市新聞 Vol.31 『21年振り20回目の台湾旅行』 (その13・小籠包の名店「金鶏園好公道の店」で昼食)

2025年04月28日 | 上海城市新聞

上海城市新聞 Vol.31 『21年振り20回目の台湾旅行』 (その12・永康街散策)https://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/e/342d9dd5320f7d981ae8d922bcb2e25f

 


旅の最終日の午前中、グルメの名店やおしゃれな雑貨店などが並ぶ「永康街」を散策しています。10時半頃に来た時は、開いているお店は少なく、観光客もまばらでしたが、11時を過ぎると、殆どの店が開き、通りを歩く人も増えてきました。


時刻は、11時30分。歩き回ってお腹が空いてきたので、「永康公園」近くにある、小籠包の名店「金鶏園好公道の店」へ。店の前に立つと、店内から美味しそうな匂いが漂ってきます。

 

 

店の1階は、厨房です。

 

 

忙しそうに働いている横を抜け、

 

 

階段を上がると、バルコニー席を含めて、100人は入れるかと思うくらい広い、客席になっています。

 

 

既にほぼ満席状態でしたが、何とか待つことなく、奥の席に座れました。

 

 

創業が1973年ですから、50年以上営業しているのですね。当初は、地元に愛されている老舗店でしたが、ミシュランの「ビブグルマン」を獲得したことなどから、外国人観光客にも人気の店になったのでしょう。

 


メニューも、中国語、英語、日本語、韓国語で書かれています。

 


頂いたのは;


“蝦仁燒賣(エビシュウマイ)” お値段は、8個 200元(約940円)。

 

 

エビがプリプリしていて、美味しかったです。

 

“蟹黄小包(カニミソ小籠包)” 8個 220元(約1,030円)。

 

 

カニの肉とミソをたっぷり含んでいて、口に入れた瞬間カニの味が口中に広がります。

 


“芝麻酥餅(黒ゴマパイ)” 2個 60元(約280円)。

 

 

“鮮肉包(肉まん)” 2個 60元(約280円)。

 

 

“蛋花湯(玉子スープ)” 1杯 60元(約280円)。

 

 

小籠包の名店「金鶏園好公道の店」で、約1時間かけて、台湾最後の食事を堪能しました。支払いは、テーブル上の伝票を、会計台まで持っていきます。

 

 

お会計は、6品で600元(約2,820円)。メニューに日本語表記がありますが、店員さんは殆ど日本語が話せません。


尚、同店の住所は、台北市大安区永康街28-1号です。

 

★ 続きは 『21年振り20回目の台湾旅行』 (最終回・台北松山空港から羽田空港に帰国) で ★


* 料金の情報:NT$の円換算レート (1元=4.7円) は、2025年3月現在のものです *

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

テレビ Vol.643 『ドラマ 「晴れたらいいね」』

2025年04月26日 | テレビ番組

隊長が、観賞した「テレビ番組」を紹介するシリーズの第643回は、『ドラマ 「晴れたらいいね』をお送りします。

 

 

『晴れたらいいね』は、テレビ東京開局60周年特別企画として、3月30日 (日) の21時からテレビ東京系列で放送された、スペシャルドラマです。


本作品は、現代の看護師が戦時中へタイムスリップ。本作のタイトルとなったDREAMS COME TRUEの『晴れたらいいね』を歌いながら、困難な状況を強く生き抜こうとする姿を描いた、“前向きになれる” 感動のヒューマンドラマです。


原作は、小説家で看護師の藤岡陽子による同名の小説。


脚本:岡田惠和(よしかず)。

 

尚、「隊長のブログ」では、岡田惠和さんの脚本および脚本監修作品を、これで13本を紹介したことになります。詳細は、こちらの一覧をご参照下さい

 

監督が、深川栄洋(よしひろ)。

 

主人公の現代から戦時中へタイムスリップする看護師・高橋紗穂(さほ)を演じるのは、永野芽郁。


永野芽郁さんが出演する作品・番組を、これで九本を紹介したことになります。詳細は、こちらをご参照下さい  。


共演者:芳根京子 、萩原利久、江口のりこ、稲垣吾郎、倍賞美津子、吉行和子、ほか。

 

 

あらすじ:令和6年夏。高橋紗穂(永野芽郁)は、墨田区桜丘病院に勤務する中堅の看護師です。有能ではあるが無力感に苛まれています。そんなある日、突然巨大地震が発生。病室の患者をかばった紗穂は意識を、失ってしまいます。


目が覚めるとそこはジャングルの中でした。助けてくれた陸軍看護婦・藤原美津(芳根京子)や、菅野富貴子(江口のりこ)、軍医・佐治誠(稲垣吾郎)から、ここが1945年戦時中のフィリピンだと聞かされます。


そんな過酷な状況でも、ドリカムの名曲「晴れたらいいね」を歌い、希望を捨てずに生き抜いていきます。。。

 

 

感想:現代から戦時下にタイムスリップした紗穂が、「戦争って、毎年8月になるとやるドラマでしか知らない」と言っていたのに、だんだんと戦争の厳しい現実に触れて、考え方が変わっていきます。


野戦病院での、手術道具も薬も満足になく、何度も洗って再利用しているのでうす汚れた包帯を巻いている傷病兵たちの姿。声高に反戦を唱えなくても、戦争の悲惨さが十分に伝わる深川栄洋さんの演出が見事です。


暗くなりがちなストーリーを、明るく希望が湧いてくる物語にした、岡田惠和さんの脚本は、さすがだと思いました。


現代も80年前の看護師も、理想の看護師はナイチンゲールと言うシーンも、看護師経験のある藤岡陽子さんの原作のままなのでしょうね。


テレビ東京開局60周年特別企画の名にに相応しい、良質なドラマになっています。


永野芽郁さんだけでなく、芳根京子さん、江口のり子さんと、他のドラマで主演をはれる俳優さんのキャスティングも、テレビ東京開局60周年特別企画だから出来たのでしょうね。


倍賞美津子、吉行和子さんのベテラン勢も存在感を出していました。


キャストで一番注目して観ていたのは、前線で負傷して野戦病院に運ばれた一等兵・今井章一朗を演じた萩原利久(りく)さん。

 

 

傷が完全に癒えないないまま再び前線に戻る時の紗穂との別れのシーンが良かったです。


フィリピンのジャングルの中を思わせるロケ地での撮影も臨場感がありました。


ただ一つ、注文をつけるとしたら、戦時中の看護師たちのメークです。顔は薄汚れているのに、口紅の色が目立っていました。リアリティを出すために、口紅は薄い色を使用した方が良かったのでは。

 

 

 

==「テレビ番組」 バックナンバー 一覧 ==
http://blog.goo.ne.jp/taichou-san2014/c/17de26ad35859fd865f52645aba1b27d

Vol.1 ~ 630 省略

Vol.631  2025/2/8     『ドラマ「週末旅の極意2」』 

Vol.632  2025/2/12   『ドラマ「まどか26歳、研修医やってます!」』 

Vol.633  2025/2/17    『ドラマ「アイシー~瞬間記憶捜査・柊班~」

Vol.634  2025/2/24    『ドラマ「クジャクのダンス、誰が見た?」

Vol.635  2025/2/28    『ドラマ「119エマージェンシーコール」

Vol.636  2025/3/9     『ドラマ「御上先生」』 

Vol.637  2025/3/13   『A-Studio+ 「2024年11月~25年2月放送ピックアップ」』 

Vol.638  2025/3/28   『14年続いた「サラメシ」が終了

Vol.639  2025/3/31    『2025年冬の連ドラ総括』 

Vol.640  2025/4/7     『ボクらの時代「2024年9月~24年11月放送ピックアップ」

Vol.641  2025/4/16    『大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」

Vol.642  2025/4/20    『ドラマ「わが家は楽し」

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする