12月17日 新宿区立 「林芙美子記念館」 に行ってきました。
友達から回ってきた小説 「ナニカアル」 を読んで、
林芙美子に興味をもちました。
この小説は 直木賞作家・桐野夏生(なつお 金沢生まれの女性です) が
林芙美子を主人公にして書いた大胆な、おそろしく「ナニカアル」小説でした。
昭和18年、従軍ペン部隊の一員として現地のルポを新聞に書くため、
南方に赴いた芙美子のことを書いたもの。
「どこまで本当なの?」 「芙美子さん怒こらないかな?」・・・と
いぶかりながらも、一気に読みました。
林芙美子は放浪記の冒頭で
「私は宿命的に放浪者である。旅が故郷であった。」と書いています。
その芙美子が家を建てたのです。
念願の家つくり、
建てたいきさつを記入したプレートが置かれていました。
「私の生涯で家を建てるなどとは、考えてもみなかったのだけれども、
幸い300坪の地所を求めることが出来た。
東西南北 風の吹きぬける家、客間には金をかけないこと、
茶の間と風呂と厠と台所には、十二分に金をかけるというのが、
私の考えであった。生涯を住む家となれば、
何よりも愛らしい家をつくりたいと思った。」
玄関 ここから入館はできません。 10m程先が記念館入り口。
庭からみた茶の間、堀こたつ、釣りとだな、収納式神棚、などを備えて、
暮らしやすさを考えた一家団欒の場でした。
↓
茶の間 書斎
イチギョウジ(一行寺)の散紅葉 庭の片隅の侘び助
アトリエ 画家であった夫緑敏のために 緑敏が育てていたバラ。
つくられた。ピアノは息子(出生不明の
養子・・・というけど、芙美子の子)のため
買ったが練習嫌いだったらしい。
芙美子は 「生きるためだけでなく、有名になるためには、何でも踏みつけにする。
品がない、異端、ノーモラル、ノールール」 と言われていたらしい。
それなのに新築した家はおそろしく趣味がいい・・・と言われています。
庭はもとより、玄関、敷地内の裏山にも四季の花が咲くようで、
都心にいながら、森にいるような気分でした。
とその時、係りの人が「あ!狸!」 というので裏山を見たら、
何と狸が塀の上をつたって、隣の家の庭に消えました。
新宿区に狸とは驚きました。
「花のいのちは短くて、苦しきことのみ多かりき」
昭和26年心臓病で倒れて、47歳の生涯を閉じたのです。
今は新宿区が管理しています。入館料150円 月曜日休み。