桑の海 光る雲

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星観荘inサンシャイン水族館

2005-03-13 22:54:31 | 旅行記
その年の北海道の旅は、今はなき北海道周遊券をほぼめいっぱいの日程で使い果たして終わった。小さな旅の博物館で出会った人達との交流が印象深かった。

11月に入ったある日、ポストに星観荘からの手紙が入っていた。in東京@サンシャイン水族館の案内だった。しかし、かねて承知していたとおり、当日はNHK杯フィギュアスケート選手権を代々木体育館に見に行くことになっていて、チケットも確保してある。パーティーの開始時刻は(確か)6時である。テレビの放映時間から考えると、スケートを最後まで見ていると、パーティーの開始時刻に間に合わない。迷った末、スケートはテレビ放映を録画することにして途中で退席し、パーティーの方へ出かけることにして、申し込みの手続きをした。

申し込むとしばらくして、参加者名簿が送られてきた。知っている人は、ドラポンちえちゃんと、菊リン、そして、何とハイジの谷に一緒に行ったNさんも参加する。Nさんが来てくれるなら、寂しい思いをせずに済む。安心して出かけることにした。

スケートは途中までしか見られず、チケット代が無駄になってしまったが、パーティーはそれと同じくらい楽しみだったので、惜しい気持ちはなかった。それより、あの楽しい星観荘の雰囲気が水族館で再現され、そこに参加できることが楽しみだった。

原宿から山手線に乗り、池袋で降り、サンシャインシティーに向かう。同じ方向に向かう人達の中には、きっとこのin東京に参加する人もいるに違いない。でも、知り合いはいないので、どの人がそうであるのかは区別が付かない。

さて、サンシャイン60に登るのは初めてである。今はなき水族館は、ビルのエレベーターに乗り、途中で下り、少し歩いたところにある。着いてみると、まだあまり多くの人は集まっていない。ウェルカムドリンクなどを手にしながら、水族館を見て回る。菊リンは到着していたが、何しろ長期連泊していた人だから知人も多く、いろいろな人につかまって話をしている。彦さんもいた。ぱんつさんもいた。一応挨拶はしてみるが、「誰こいつ?」みたいな反応をされる。そりゃ、仕方がない。きっとこの集まりには、星観荘に何度も足を運んだり、長期で滞在したりした人がたくさん来ているのだろう。たった2泊しかしていないのに来ているなんて、きっと私だけだろう。

時間になり、パーティーが始まった。彦さんの挨拶があり、企画のたらちゃんの挨拶があった。乾杯があり、歓談が始まった。そこでようやく、Nさんと再会できた。その後、一人一言挨拶が始まった。参加者名簿は申し込み順だったので、3番目に名前があった私はすぐに順番が回ってきた。なるべく短く、とのことなので、「今年初めて2泊した○○です。島に着いたらいきなり8時間コースを歩こうとして、彦さんに注意された者です。よろしくお願いします。」と話した。そこでようやく彦さんは私のことを思い出してくれたようである。自己紹介に当たっては、彦さんが一言コメントを付け加える人もいた。ウスユキソウの飾りを作って寄贈したKさん、そして、連泊記録を作った菊リンが紹介されたのを覚えている。私も何かこういうふうな感じで紹介されたいな、と思った。さすがに菊リンのように長期連泊することはできない。そうすると、何か形あるものを星観荘にプレゼントすることにしよう。そうだ、そうしよう。(それが、翌年ある形となって実現するのである。)

自己紹介は、1時間ほどかかっただろうか。半分くらいの人は途中から水族館の中へ散っていったが、私は料理をつまみながら、最後まで聞いていた。皆がそれぞれに星観荘に思い入れがあり、いい思い出を作り、毎年のように通っている人もいることを知った。どうやら私は、星観荘の魅力のごくごく一部しか知っていないようである。島を抜けた時の決意は、いよいよ固いものとなっていった。

自己紹介の後は、水族館の中に散らばり、いろいろな生き物を見て楽しんだ。他のお客はいないし、Nさんくらいしか話のできる人はいないので、じっくりと見ることができる。途中でNさんと話した。Nさんは私が島抜けした後も星観荘に留まっていたのだが、滞在中で一番楽しかったのは、私たちと出かけたハイジの谷だったそうだ。そう言ってもらえると、とても嬉しかった。

そんな楽しい時間も2時間ほどで終わり、最後に記念撮影ということになった。入り口の所に100人近い人が集まったが、なかなかファインダーに収まりきらず、カメラマンが苦心をしていた。写真が写され、会はお開きとなった(写真は後日届いたが、小さい写真ながら、参加者の顔がほぼ判別できるというすごいものだった。そして、今見返すと、知っている人が何人もいる。お馴染みの面々の大半は参加していたようである)。Nさんに別れを告げ、池袋駅の方へ向かった。皆何だかとても名残惜しそうで、歩みは遅い。そんな人達のにぎやかな会話を聞きながら、私もいつになくゆっくり歩いた。彦さんやぱんつさんがラーメンを食べよう、と言いだした。それに従う人が15人ほど出た。私も加わらせてもらった。たまたま目に入ったラーメン店がちょうど空いていたので、皆で入った。店内は私たちで一杯になってしまった。冬の寒い夜に、みんなで集まってすするラーメンは、何とも暖かく美味しかった。

池袋の駅で解散となった。山手線に揺られながら、星観荘に何を贈ろう、そうだ、書作品を贈ろう、そんなことを考え始めていた。途中で出てきてしまったスケートのことなど、すっかり頭の隅に追いやられていた。



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