はぐれ遍路のひとりごと

観ながら歩く年寄りのグダグダ紀行

大崩山塊・静焼アルプス縦走

2014-03-30 11:44:20 | 低山歩き
歩行記録     歩行月日2014年3月28日
歩行時間:10時間50分   休憩時間:1時間20分   延時間:12時間10分
出発時間:6時00分   到着時間:18時10分
歩  数: 43、420歩   GPS距離24.2km

行程表
 安倍川駅 0:30> 佐渡山 0:30> 徳願寺 0:30> 仏平 0:10> 梵天山 0:20> 歓昌院坂 0:40>
 駿河峰 0:35> 大鈩山 0:45> 飯間山 0:45> 昼飯場 0:30> 三角点 0:15> 宇津ノ谷峠 0:25>
 蔦の細道 1:05> 444m峰 0:20> 満観峰 0:40> 日本坂峠 0:30> 花沢山 0:45> 砂張屋道標
 1:00> 石脇口 0:35> 焼津駅

       
観歩記
 金曜日のリベンジに行ってきた。コースは勿論静焼アルプス縦走。静焼アルプスを再度説明すると、名前は
私が勝手に言っているだけなのだが、国道1号線の佐渡交差点から登り出し、通称丸子アルプスと呼ぶ人もいる
徳願寺の尾根を旧東海道の宇津ノ谷峠まで行く。峠からは蔦の細道を横断し444m峰の尾根を越えて満観峰へ。
満観峰からは花沢山まで行き、そこから焼津アルプスと呼ばれている簡保の尾根を歩き簡保下に出るコースだ。
どちらかと云えば三つのコースを一つにしたようなもので、私には海から富士山に次いで過極なコースでもある。
しかしここを完歩できなければ、当然海から富士山は登れないので、海から富士山の資格審査コースとしている。
 静焼アルプスの名前は丸子アルプスや焼津アルプスでは、例えご当地アルプスにしてもスケールが小さすぎる。
そこで歩行時間が約12時間かかる、この一連の尾根をアルプスに見立てて静(岡)焼(津)アルプスと命名した。
マーこれは私の勝手なお遊びですので許してください。

 静岡県のご当地アルプスとしては、沼津アルプスが景観の素晴らしさとアップダウンが多い難コースとして有名
だが、こちらの静焼アルプスも負けてはいない。佐渡山や満観峰からの富士山、花沢山から見える志太平野の
眺めも中々良い。
だが正直に言えば景観では沼津に少し負けてしまうだろう。でも距離では負けていない。沼津APのGPS距離が
12.7kmに対し、静焼アルプスは23.9kmとほぼ倍の距離がある。
アップダウンは単純には分からんないが、海抜10mをから出発し静焼アルプスの最高峰満観峰470mに登り、帰りは
海の横の橋を渡って焼津駅に戻る。その間のアップダウンは数知れずで、多分こちらも沼津APより厳しいと思う。

 昨年から脚力の衰えが激しいので、予想所要タイムは昨年より1時間増やして13時間とした。出発時間は始発
電車で来ているので6時を変えられないので到着時間が19時頃となるだろう。山中で暗くなることは無いと思うが、
前回のように思わぬ障害に出くわしたら途中離脱すればよいと思っている。

 今までだと佐渡山で日の出を見るのだが、今年は遠江49薬師を歩いてたので約1か月遅い挑戦になっているので
日の出は電車の中で迎え、歩き始めは既に明るい状態だった。
 佐渡交差点から佐渡山の山道に入ると、前夜遅くまで降っていた雨の滴が木や草に残っていて、靴や服が濡れて
しまう。その所為か夜明け時には朝靄が掛かっていたが、靄が晴れればスッキリした富士山が見えるかも・・・・・・
と期待をしたが残念でした。相変わらず靄がかかっていて富士山の姿は見えなかった。

 佐渡山の山頂は家庭菜園的な畑が整備されてきて、立ち入るのは気が咎める状態になっていた。一人なら兎も角
何人もで登るときは、登ってきた道を戻り、農道を歩いた方のが無難だろう。

 
           古墳のような佐渡山山頂                     靄の静岡市街

 佐渡山を下り農道を横断して更に尾根を行く。先日歩いた時は蜘蛛の巣は無かったが、今日は時々蜘蛛の糸が
顔に引っ付く。ただ完全な蜘蛛の巣ではなく、道糸なのか1本だけの蜘蛛の糸だ。これから巣を作る準備をして
いるのだろうか。これが完全な蜘蛛の巣なら、蜘蛛払いを作り、それを回しながら歩くのだが、たまにある1本
の蜘蛛の糸のためにそれも面倒だ。そこで杖を出して気が付いたら払うようにしていたが、時々顔に引っ付く。
ウーン!気持ち悪い。と手で顔を掴むようにして剥がした。その蜘蛛の糸は多い少ないの違いはあったが、最後
まであった。これは夜中まで降った雨の影響なのかしら?

 今日のコ-スは峠道を幾つか横断するが、まず最初に横切るの峠は奈良時代に東海道として利用されていた
「手児の呼坂」。同じ時代の東海道の日本坂峠も横断する。勿論万葉時代の蔦の細道、江戸時代の宇津ノ谷峠も
横断する。また安倍川の川止めのとき上流に向かった峠として歓昌院坂もある。この峠は名所の吐月峰柴屋寺と
木枯しの森を結ぶ風流人の愛した道でもあるらしい。さらに海の産物を駿府に商人・砂張屋が道標を建てた峠も
ある。景色が見えない時は歴史もある。これは沼津アルプスには無いでしょう。エヘン!

 
           手児の呼坂                      レンギョが咲きだした

 手児の呼坂の先も尾根を歩くが、次に農道と合流した所から梵天山の入口までは農道を歩く。
ウワー! 蛇だ-! 正直びっくりした。3匹も道にいる。もう蛇が? 車に轢かれたのか動く気配がない。
近づいて見ると蛇の抜け殻のようだ。いやチョット違うようにも見えるが分からない。里芋の蔓?
気色悪いので触るのも止めて、そこを避けて通過した。アーアヤダナーこれからは蛇が出てくるのか。

 
           蛇が三匹                        蛇の抜け殻?

 7時になっても靄は晴れないところをみると、この靄は朝もやではなく春霞なのか、それとも黄砂? どちらに
しても今日の景色は諦めるしか無い。これからの季節は今日だけでなく景色は当分駄目だろう。
 5日前の山の景色と今日の景色は一変している。前回チラホラ咲だったレンギョは満開になっていたし、
その存在すら分からなかった山桜が、点々と白い塊になって山肌から浮き出ている。
枯れ木だった木々は柔らかな薄緑の葉を揺らしている。これぞまさに山が笑い出したのだ。
これで蛇が出なければ万々歳だが。

 オッ!タラの芽がある。あれだけあれば晩酌のつまみに丁度良いが、少し高い所にあるので取るのに時間が
掛かりそうだ。今日は時間と体力の戦いになりそうなので、残念ながらこれは諦めよう。

 
            徳願寺から静岡市街                  タラの芽だ。

 山道に入っても前回気が付かなった植物に目が入った。何の木か分からないが新芽がまるで花のように見える
木や、真っ赤だった藪茗荷の実が徐々に色褪せてきて橙色に変わっていた。この実は最初は緑色で熟すと濃い
青藍色になり、それが真っ赤になり最後は橙色になって落果すると思っていた。間違ってはいけないとネットの
植物図鑑で調べると、実は青藍色と書いてあるだけで赤や、橙色の事は書いてない。
ではこの実は藪茗荷ではなく別の植物か、しかし葉の形は藪茗荷と同じように見えるのだが・・・・・・

 シャガの花も咲いていた。この花は湿った場所を選ぶようで林の中や寺や墓地に咲いている事が多い。その為か
花は綺麗なのに何故か好かれていないように思える。それに群生して咲くため、希少価値を感じないので余計に
興味を持たれないのだろうか。私は綺麗な花だと思うのだが。

  
      花のような新芽           藪茗荷の実?            シャガの花

 梵天山から歓昌院坂の下りは相変わらず厳しい。海抜375mの梵天山から171mの歓昌院坂の下りは大崩山塊の
下りで1番長い下りだろう。尤も一気に下るのではなく3段に分かれていて、最初は山頂から送電線までは杉林の
中の下りで一番長い。少し平らになった先は雑木林の中の下りになる。その下りが終り前方に次に登る駿河峰の
頂が見えて来るので坂が終わりかと思うと、又もや坂が現れる。
下れば上らなければならず、まして登り返す山が見えると下り坂は本当に嫌になる。

 下ったら登らなければならないのが登山の宿命。171mの峠から堂ヶ谷三角点313mも中々の物がある。
ただこの三角点は駿河峰の中腹にあるため、まだまだ登りは続く。それでも408mの駿河峰に着くとホッと
する。次の飯間山まではアップダウンは続くが今のような坂は無いからだ。
 駿河峰と聞くと何か駿河を代表する山のようにも聞こえるが、そんな事は全然なく、私もこの徳願寺の
尾根を歩いて初めて知った。麓からの見て駿河峰を指せる人は、ここを歩いた人ぐらいだろう。
それに山頂は林の中で展望はきかないのに何故こんな大袈裟な名前を付けたの不思議でならない。
昔からあった名前だろうか。いや昔からの名前なら三角点の名称は堂ヶ谷でなく駿河峰になったと思う。
この山塊には他にも首を傾げたくなる山名があるが、わが愛するホ-ムグラウンドにケチを付けるのは、
この位にしておこう。

 この山塊で一番目にする植物は青木の木。麓から山頂のいたる所に生えていて、まるで昔は栽培していた
のではないかと思えるほどある。この青木は雌雄異株だが、その見分けが出来ない。実が付いていれば雌だと
分かるが、花の段階では区別がつかないので今度勉強しておこう。
 この時季に麓で見かけるヤマブキの華麗な黄色の花は、辺りを明るくするほどだ。
スミレの花も彼方此方の登山道脇に咲いているが、この花の写真は写しにくい。何しろ丈が低いのでしゃがんで
写さなければならず、つい面倒になり写すのを止めてしまう。今日も何輪も見かけたがパスしてしまった。
そうだ高草山の黄スミレが今年は少し遅れていると聞いたが、今日あたりはどうだろうか。
 ほかにも藪茗荷やマムシ草もよく目にする花だが、特に大崩山塊に多いと云う訳でもなそうだ。
 
 羊歯はどの山に行っても見かけるが、この辺りの古名は志太郡で、羊歯が多い里からきているとも言う。
この羊歯の道は夏はどうだろうか。道が羊歯の陰に隠されるかもしれないな。
 この幹立ちした木の横は感じが良い道だ。何という木か分からないがかなり大きな木だった。

  
          青木               羊歯の道               幹立ちの木
  
 順調にコースは進み徳願寺尾根の最高峰飯間山へ10時25分到着。これは昨年の記録と全く同じ時間だが
去年は無意識に、今年は意識して休憩時間も短くした結果だ。しかし前半に体力を使い過ぎてしまうと、後半に
ばててしまうと困る。休憩はしっかり取らなければと頭では分かるのだが・・・・・・・・・・・・

 右側に新東名の静岡SAが見えいる。霞んでいなければその上の方には南アルプスの白い峰が見える場所だ。
今日はここで同じ白でも何だか変な白い物を見た。なんか息苦しいと思って辺りを見回すと、白い浮遊物、いや
水蒸気、いや粉状の物が漂っている。霧のように細かくないが雪虫のように大きくない。何だか分からないが
そんな物が風が無いのでフアフアと漂っていて気色が悪い。
歩く速度をあげてその中を通り抜けた。10m程もあったのだろうか、それにしても気持ちが悪い。
黄砂?杉花粉?と色々考えたが分からない。あの時は気色が悪いのと息苦しさから急いで離れてしまったが、
写真を写しておけばよかった。写るか写らないか分からないが。

 道の駅の分岐の標識からまた急な下り坂が始り、その坂を下りきると四辻になる。宇津ノ谷峠には上りの
杉木の間を進むのだが、以前右に行く道には「桂島」の標識が有ったが今は無い。左側には「悪路通行不可」
看板があったがそれも無い。標識を撤去した意味が分からない。桂島へは通れなくなったのか、また左の道は
悪路が改善され通れるようになったのか、だが何処に出るのだろうか。
 なまじ以前の事を知っていると余計な疑問が湧く。

 四辻から四つ目のピークの左側が開けていて満観峰や丸子富士が良く見える場所がある。いつもここで
昼飯にしているのだが、入口が枯れ木やトタンなどで入り難くしてある。わざわざこんな事をしてあるのは
蕨でも出るのだろうか。却って興味を引いてしまい逆効果のような気もするが。
今日は蕨には早すぎるし、枯れ木やトタンの場所でもない所から入れば文句ないだろうと、勝手な理屈を
付けて満観峰を眺めながらの昼飯にした。

 
            新東名静岡SA                          昼飯場

 昼飯を食べ終わり、いよいよ前回迷った場所に向かう。とは云え今日は不安は無い。前回あの榾木を伐採して
いる場所の様子は頭に入ってる。イヤイヤそれが悪いのだ。前回迷った最大の原因は、以前にもそこは迷った
場所で、二度と迷わないようにしっかり頭にしまい込んであった。その頭の中のイメージと伐採中の現状とが
一致しなくてパニックになってしまったのだ。あれが初めて歩く道だったら少し道を探すだけで、あれほど迷う
事はなかった。
 昼飯場所から10分ほどで問題の場所に到着。前方に榾木が横たわり道が見えなくなっている。その榾木の
上を歩いて上に向かう。ピ-クに行く前に左を注意して行くと踏み跡らしき物が見える。覗き込むと赤い目印の
テープが丸めて置いてある。そこに下りの竹林の道があり、少し先にモノラックのレールがあれば間違いなし。
今は写真の榾木の上に見える青いビニールシートの所を左に曲がれば道になるが、榾木やシートの状態は変わる
恐れがあるので、竹林のピークにきたらモノラックのレールを探してください。
目印のテープを持ってきているが、今付けてもまた変わってしまいそうなので、伐採が一段落してから付けた
方がいいだろうと、付けるのは止めておいた。

 その場所から15分で三角点に到着。この三角点は279mで名前は岡部となっているが場所を特定するのに
「279m峰」では何処の279mだか迷ってしまう。では「岡部三角点」と云っても何処にもそんな表示は無いので
これまた分かりにくい。名も無き山は不便だが、全てのピークに名前を付ける分けにもいかないだろう。

 三角点から林の中の急な下り坂が始まる。この坂を下れば宇津ノ谷峠に着くが、その前にロープを張った
場所がある。そこを過ぎ少し登ってから始まる下り坂が徳願寺尾根の最後の坂になる。
去年は無かったが今年は坂の途中にロープと云うか幅広のテープ状の物を張ってくれてあった。
市でやってくれたのか、それとも誰かがやってくれたのか、いずれにしても有りがたい事です。
下の方に宇津ノ谷峠の峠道が見えてきた。この坂を下れば峠だ頑張ろう。
それにしても目の前に見える斜面が、これから登る蔦の細道への道だと思うと下るのも恐ろしくなる。

  
          迷う場所             新し手摺り        宇津ノ谷峠が下に見える

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