はぐれ遍路のひとりごと

観ながら歩く年寄りのグダグダ紀行

ドクターストップのその後Ⅲ

2018-07-19 10:02:02 | その他
  病室内も紹介しましょう。
前回紹介したように4人部屋の廊下側のベットに寝転んで天井を見ていると、カーテンレールを撤去した跡に気が付いた。
他にも壁に取り付けられた吸入器や照明、ナースコール等の設備の真中に今のカーテンが付いている。
どうやら6人部屋を4人部屋に改修したようなので、今はベット回りが広く感じられた。
久々の入院で前回の事は忘れてしまったが、TVのドラマなどで見る大部屋は、昼間はカーテンを開けて患者同士が話をするが
夜はカーテンを閉めて寝る。と思っていたが、ここはさにあらず。昼間からカーテンはピッシリ閉めて外からの視線を遮断している。
お陰で2週間の入院だったが、他のベットの患者の顔を見た事は一度もなかった。

  好奇心旺盛な男は、眼が効かなければ耳に頼るしかないと、人間観察ならぬ他人の “会話観察” にせいを出しました。
隣の窓側の人は日曜日に緊急入院した娘さんと2人暮らしの男性です。偶々娘さんがいるときトイレで気を失ったのだそうです。
私の経験ならこの症状は貧血や血圧低下などが思いつくのだが、そんな軽い状態ではないようでした。
入院初日は点滴を打っていたようですが、翌日の月曜日からは検査検査の大忙しで、ベットが温まる気配がありません。
中でも胃カメラの検査は大変だったようで、ベットに戻ってから何の声も発せず、夜見舞いに来た娘さんは心配していました。
ただ看護師曰く 「胃カメラは麻酔をしたので苦しくは無かった筈ですがね」 と言っていた。

更にこの方は低血糖らしく朝血糖値を計ると低すぎてブドウ糖の注射か砂糖水を飲まされていました。
本人は砂糖水は甘すぎるので注射を希望していたが何故か時々は砂糖水も飲まされ
 「どうせ甘いならもっと水を減らして濃くしてくれ」 なんて頼んでいました。

甘い水と云えば冷えていない “ポカリスエット” もそうです。あれを飲むと甘みが口の周りに残り、何時までも不快でした。
そのため歩きの時は冷やして行ったポカリを最初に飲み、ポカリが終ると次はキンキンに凝らせた水を飲んでいました。

色々検査をした結果この方は肝臓に異常がありそうなので、肝臓の一部を摘まみとって検査をする事になりました。
ただ本人は 「俺は若い時から酒を飲んできたが無茶酒をした事なく、今まで一度も肝臓が悪いなんて言われた事は無い。」
抵抗していたようですが、娘さんの説得に折れて検査をする事になりました。
この方は高齢でしかも検査検査の連続で4人の中では一番大変だったが、更に可哀想だったのは血管が細かった事です。
度々行っている採血はまだ良かったようだが、点滴には看護師が悩まされていた。
 「刺さったと思ったら血管が詰まってしまった」 とか 「上手くいったと思っていたら漏れていた」 など嘆きのオンパレード。
ただ幸いなのは男性の 「痛い!」 の声が聞こえない事です。痛みに強い方だったのでしょうか。

 反対側の窓側の人は一番新しく入院した畑農家の人でした。症状は全身に紫斑が出て体が怠いのだそうです。
尿の検査をすると看護師に言われたが 「食う物も水も飲んじゃダメで小便なんか出る訳はない」 と言っていたが本当に出ないようです。
看護師は医師の判断を仰ぎ尿道に管を入れて直接尿を取り出す事にしたのですが、それを病室のベットの上で行うのですから可哀想です。
 「あと少しです。」 とか 「イテエ!」 の声も聞こえてきて 「サー刺さりました。」 と云うとじきに
 「ほら出てきました。赤いのは今の作業の血だからすぐ納まります。尿の色もこの程度ならいいですが色が変わったり血がいつまでも
混じっているようなら連絡してくださいね。」
と一件落着。
この方は食事が重湯になって、看護師か 「食事は全部食べましたか?」 と聞くと 「食べたじゃなく、全部飲んだ。」 と言う愉快な方です。
この方は腎臓が悪いのだそうです。

  私の正面のベット方は私より早く入院していて一時は大変だったようです。
ただ私が入院した翌日、看護師に綿々と訴えているこんな話が聞こえてきてガッカリしてしまいました。
 「眠剤を飲んだけど遠くの部屋から聞こえる大声と、部屋の中のいびきで眠れない。」 と訴えているのです。
実は私も今回の体調不良に陥ってから睡眠薬を2.5g毎晩飲んでいました。
これは数時間おきに襲ってくる腰の圧迫感が耐え難く、せめてその圧迫感に襲われていない時は眠りたいと飲んでいたので
ここでも睡眠薬を要望したのですが、これが中々難しく薬剤師までベットに来て
 「眠剤は常習化しやすく痴呆症にもなりやすいので止めた方が良い」 と言う。
私は 「今までも中々眠れに時は10mgの錠剤を1/4に割って飲んでた。」 と言うと
 「1/4なら2.5mgで、この量は眠剤を止めるときに飲む量だから、できるならこの際止めた方が良い」 と説得されてしまった。
そんな分けで入院初日は環境が変わったり睡眠薬を飲まなかったりで殆どが自分ではウツラウツラの状態だと思っていた。
そんなとき聞こえてきたのは遠くの大声だったが何を言っているのか意味不明で、同室なら煩いだろうが離れているこの部屋では
どうと云う事は無かった。
そのうち聞こえてきたイビキも左程気にすることもない大きさだった。ただそのイビキは私の対面側のベットからも聞こえていた。
他人のイビキは煩くても自分のイビキは聞こえないから煩くない、そんな事でしょう。

この綿々とした訴えに看護師は
 「大声を出す人はなるべくナースセンターに引き取るようにするけど、イビキは部屋を変わっても同じようなものです。あとは個室に
移る方法もあります。」
と説得していた。
 「眠れない」 の訴えはその後も続いたので、睡眠薬を2錠に増量したようです。
私には1/4錠を出してくれなかったが、患者によっては簡単に出すものだと少し驚きました。

 この方は看護師と話をするのが楽しいのか不眠の他にも色々訴えていました。
例えばおしめをしているらしく、ある看護師か巡回に来て 「アラ匂うわね」 と言ってその人のおしめを調べたらしく
 「◯◯さんはウンチをしたのは分かるでしょ。出たと思ったらその時言ってくれないと自分だった汚くなるし、周りにも匂って迷惑に
なりますよ」
と中々激しく説得をしていた。
成程看護師さんも優しいだけでなく言うときは言うものだと思っていたのだが、その方の返事の声は聞こえなかった。
翌日違う看護師が巡回に来ると早速 「◯◯さんにこう言われた。俺だって言いたかったけど遠慮した気持を分かってくれない」
涙声で訴えていた。

  私以外の3人は大小便全てベットの上でやっていたが、特段の臭気は感じなかった。
それより看護師の献身的な作業に感動した。
例えば大便が出そうで出ない患者に対し、「少し顔を出していますのでもう少し頑張って!」 と励ましたり
 「残っているかどうか指を入れて調べますね」 などと言っている。
声しか聞こえないが私には想像すらできない行為です。

  そんな看護師に私も話をしたいのですが、私に看護婦が声を掛けてくれるのは、朝夕の体温と血圧測定の時と消灯時の湿布を貼る時だけ。
何は兎も角4人の患者の中で、否病棟の中で一番暇なのは私のようでした。

私の検査の主な物はMRIを2回と神経検査が1回だけなので、隣の人なら1日でやってしまう量です。
それがMRIの予約が取れなく2週間も入院するのだから暇なわけです。
しかも原因が分からないので何の治療も行わず点滴も薬もありません。
やった治療(?)は毎晩湿布を貼っただけですので、これで手足の痺れや歩行困難は治るのでしょうか。
不安はあるものの病院に居るのだか、あまり考えずに本を読んだりラジオを聞いたりして過ごしていました。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿