はぐれ遍路のひとりごと

観ながら歩く年寄りのグダグダ紀行

遠江33観音3-2

2010-05-20 10:44:24 | 寺社遍路
遠江33ヶ所観音霊場巡り3-2回目        2010/05/14


     1.5k     12.8k     16.4k     5.0k  
原田駅 - 長源庵 - 顕光寺 - 知蓮寺 - 掛川駅
     20      2:51      3:40      55 

 歩行距離     35.7k
 総時間      9時間25分
 歩行時間     7時間45分
 平均歩行時速   4.6k

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   14番 知蓮寺へ(穴地蔵)

 13番顕光寺まで戻ってきた。結局居尻へと下るハイキングコースの入口は見つからなかった。こうなったら寺で聞くしかない。誰か居ますようにと祈るように呼鈴を押した。
奥でチャイムが鳴っている。そして足音も聞こえる。アー良かった。
早速居尻へ下る道を確認すると
「今歩いてきたのではないですか」と聞いてきた。とんでもない慌てて
「西の谷から登ってきたのですが居尻へ行く道が分かりませんでした」
「駐車場を通ったでしょう。あの駐車場の脇から下る道があります」
「看板か何か立ってます?」
「さーそれは分からないけど行けば分かりますよ」
来る時注意してきたが案内板は分からなかった。でも場所さえ大体分かれば何とかなるだろう。お礼を言って寺を後にした。

 駐車場の南側に行くと下る道はすぐ分かった。確かに居尻から登ってくれば分かるのは当然だし、また駐車場から道が出ていると知っていれば容易に分かるだろう。だが西の谷から来て峠から寺の間に道が出ている位しか分からない者にとっては、この道を探すのは大変だ。矢張り「ハイキングコース入口」或いは「居尻→」の立札が1本欲しい。掛川市役所さん是非お願いします。

          

 整備されている山道を快調に下る。しかしこの山道はハイキングコースとして作られたのかここにも石仏はなかった。それにしてもこの寺は石仏が少ない。ガイドブックによると「海上安全、子授け、厄除けなどで信仰を集めていた」と書いてある。ならば願掛け、お礼参り、丁目石などの石碑があっても良いのだが、それが無い。何故だろう。
若しかしてこの寺はお参りする寺でなく修行する寺ではないのか。そのため顕光寺の作りも旅館風で修行僧を沢山収容できるようになっているのではないか。
思いつきは湧くが自信はない。若しかして西部の人は秋葉山の常夜灯は建てるが石仏は立てないのか? そんな疑問も湧いてきた。

          

 山道が終わり居尻のに入る。バス停がある所をみるとバスも来ているのだろう。日帰り温泉の「ならここの湯」もあった。ここで温泉に入って生ビールをグイとひっかける。ワーたまんないな。でも今日の予定はまだまだ20k近くは残っている。頑張らなければ。

          

 原野谷ダムに着いた。水量が少なく湖底も見えているが水の色は濃くて綺麗に見える。ダムの横に「防災用ダム」と書かれた杭が立っていたが、防災用とは何の為なのだろう。尤も川で防災と言えば洪水だろうが、この辺りで洪水にあった話は聞いたことが無い。気になって調べてみると、こんな事が書いてあった「原野谷ダムは洪水調節が主な仕事の防災ダムです。そのため堤体下部の洪水吐はいつもオープンです。年に数回は洪水調節をしているらしいので、運がよければダム湖をみることができます」だって。今日湖底が見えるのが珍しいのではなく、水があるのが珍しいなんて珍しいダム湖だ。

          

 原野谷と言えば今日歩いた所で原の付く地名が幾つかあった。原野谷、原田、原里、原泉と原とはとても言えそうも無い場所なのに原が付いている。これは山間部に住んでいた人の儚い夢なのかもしれない。広い耕地に憧れている人にとって、少し広い所があると「原だ。原だ」と名前を付けて自分達を慰めていたのではないだろうか。

 掛川に行く県道の分岐点が交通止めになっていた。立看板を読むとこの先で道路の法面工事をやっていると書いてある。全面通行止めと書いてあるが「路線バスは通行可」となっている。歩行者は関係ないだろうと通行止めのゲートの脇から入ると
「すみません。この先は交通規制がかかっているので通行できません」
「エッ歩行者も駄目なの? バスはいいってなっているじゃない」
「でも交通規制になっていますから」と女性の誘導員と押し問答が始まる。
この道が通行止めだとグンと大回りになって14番を打って掛川には帰れそうもなくなる。こっちも必死で勝手な言い分を続ける。そんな声が聞こえたのか男性の誘導員が現れて
「私達では判断が出来ないので現場に聞いて見ます」と言ってトランシーバーで確認を始める。話は簡単に終わり
「通れるそうですので気をつけて行ってください」と通してくれた。
有難うございました。喋っている自分が都合のいい言い分だと思いながら言っているのだから、相手はもっとそう思っただろうに本当に助かった。

 工事現場では崖になっている法面にコンクリートを吹き付けていた。谷側の車線は何も置いてなく支障なく通れたが、あのコンクリートの滓が飛んできて乗用車に付けば苦情が出るだろう。なら通行止めは仕方ないか。だが歩行者は通行可でも良さそうだ。
工事現場を過ぎると道が分岐していた。どうやらこの工事区間を迂回する道があったようだ。車の量も増えてきた。

 道の下で新しい道を作っている。トンネルも見える。何所に抜ける道だろうと地図を出してみて見ると、それは第2東名だった。しかし信じられない、片側だけの車線としても狭く見えるが、もう1車線の工事現場が見えない。何か狐につままれたようだ。

          

東名の工事現場の上に県道のトンネルもあった。長そうな感じで途中でカーブしている書いてある。こんな時のために小型の懐中電灯をザックにぶら下げてあるので早速取り出した。スイッチを入れるが点かない。何度も入れたり切ったりしたが駄目。電池や電球の所も触ってみたが駄目。付けているのはいいが点検をした事が無いのでイザという時に役に立たない。反省しなければ。
諦めてトンネルの中に入る。暗く狭く歩道も無い。車が来ると壁面に身体を寄せてやり過ごす。四国遍路以来久し振りにトンネルの恐怖を味わった。
この後日談として、夜妻がザックが光っていると言う。見てみると懐中電灯の灯りが点いていた。スイッチを押すと消え、再度押すと消える。昼間のアレは一体なんだったのだろう?

          

 テクテク、テクテク歩き続ける。緩い下り坂なので休憩もなしに歩く事が出来るのだろう。途中倉真温泉入口や法泉寺温泉入口があった。鉱泉だろうが掛川にも温泉があったんだ。
興味を引くものも無くただただ歩くのみ。やっと14番に入る石畑交差点に着いた。此処を右に曲るのだが後の細かい道は適当に歩くしかない。遠回りで良ければ県道を下って上西郷の交差点を曲っても良いのだが、今は少しでも近い方のがいい。
山裾を廻って。低い山を越えてと5万分の1の都市地図を片手に歩く。この辺りは小さな溜池が散在しているが雨が少ないのか?いやそんな事は無い。きっと大井川や天竜川の水を灌漑用水として利用できないので溜池が多いのだろう。
前方に車の交通量の多い道が見える。あれが上西郷交差点からの道だろう。近道は成功だった。

 今日の打止めの14番知蓮寺に3時半に到着。
今までもそうだったが、この寺の名前は大雲院が正規で、知蓮寺は遠江33観音での呼び名である。これは知蓮寺は以前は違う場所にあったのが無住になったので、この大雲院にご本尊の観音仏を持ってきて祀っている為だ。そのため道を聞くときは知蓮寺では通じないので大雲院と聞かなければならない。因みにこの寺は遠江では14番知蓮寺だが遠州33観音では5番大雲院となっている。

 観音堂にお参りに行くと扉が開いていた。中を覗くと参拝帖が置いてある。最初のページは今年の1月からだった。今は9ページ目なので1ヶ月で約2ページ。1ページ20名くらい書けるので40名。となると1日1人か2人と言う事になる。多いのか少ないのか分からないが、その殆どの人は遠州を回っていると思うので遠江を回る人はどの位だろうか。1ヶ月で1人か2人かしれない。となると少ないな。

          

 本堂の扉も少し開いている。大部分の寺は観音堂も本堂も閉まっていたが、この様に扉が開いているとお経を読むにも張り合いが出る。全ての寺は扉を開けろと言いたいが、そうもいかないだろう。仏像泥棒や賽銭泥棒が頻発する今の時代では。

          

 この寺には気になる物が幾つかあった。その一つは「葉書の木」。これは葉の裏面を傷つけると黒くなって字が書けるので葉書の語源になったと言う。ためしに1枚取って傷を付けてみたが-------- この葉に釈迦は経を書いたとも紹介してある。

 更に庫裏の横手に穴地蔵を祭ってあった。この地蔵は人体の穴の部分の病に霊験があり、全快したら穴のあいた自然石を奉納する慣わしらしい。同じような風習が焼津の日本坂にもあって、こちらは穴のあいた石を紐でぶら下げてあった。何故穴のあいた石?と思っていたが、ここの説明を読んで少し納得した。だが日本坂の穴地蔵は疣(イボ)神さんだったが。
ここの穴地蔵も奉納した石を紐でぶら下げれば目立つのにと思った。

          

 庫裏から作業着姿の女性が出てきて
「ご朱印をなさいますか? 今から畑に行きますので」と声を掛けてきた
「ご朱印をしたいのですが遠江の朱印帖はありますか?」と逆に聞いてみた。しかし遠江の朱印帖は見たことは無いと言う。
知人は遠江も朱印帖があって何番かの札所で売っていると言っていたが、どうやら眉唾情報のようだ。尤も朱印帖があっても、これだけ無住や留守が多いとご朱印を受けるだけで一苦労になってしまいそうだ。

 この寺は色々紹介することが多いが後一つ紹介したい。
この寺の住所は上垂木(カミダルキ)だ。地図を見ると下垂木のある。これは昔この寺に枝垂れの大松があって、そこを境に上・下垂木と呼ぶようになったとか。

 掛川駅まであと5k。ここからは地図を見なくても標識と勘で行けそうだ。途中大池、二瀬川、十九首など気になる地名を歩いたが、今日はもう長くなってしまった。またいつか紹介する時もあるだろう。掛川駅に16字45分到着。

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