はぐれ遍路のひとりごと

観ながら歩く年寄りのグダグダ紀行

遠江33観音 10番

2016-07-02 12:00:00 | 寺社遍路
歩行記録                                                           H28-6-27(月)
歩行時間:7時間00分   休憩時間:1時間46分   延時間:8時間45分
出発時刻:7時00分     到着時刻:15時45分
歩  数: 36、968歩(推定距離26.24km)    GPS距離26.3km
行程表
 袋井駅 1:05> 成道寺 0:05> 8番観正寺 0:45> 11番遍照寺 1:00> 遠江一宮駅 1:40> 9番清瀧寺 1:00> 小國神社
 1:05> 10番蓮華寺 0:20> 天浜線戸綿駅 

                                     10番・蓮華寺
 八形山 蓮華寺 (やがたざん れんげじ)
 宗 派 : 天台宗   本 尊 : 聖観世音菩薩 
 ご詠歌 : 「はちすばや なにあふ寺の法の声 雲ゐにひびく いりあいの鐘」

 住 所 : 周智郡森町森2144   山道出口から10番蓮華寺への道

 道路脇の縁石に座って10分、一向に歩く気にはならなかったが、いつまでもこうしているわけにはいかない。
小國神社の鳥居は目と鼻の先にあるが今回はパスして蓮華寺に向かう事にした。ただ無情にも道は上りになって疲れは増す。
この道も以前歩いた事があり心配はしていなかったが、手持ちの地図を見ると道がヘアピンカーブのように曲がっている。
メインの道は直線で、曲がっている道の入口には小國神社の第六駐車場の案内がある。
はて蓮華寺へは駐車場経由で行くのか、それともメインの道を行くのか悩んでしまった。
蓮華寺までの距離が予定の半分もないなら、メインの道ではないかもしれないと駐車場の道を行きかけたが、どうも気になる。
気になるのは蓮華寺の案内板が無い事と、この先が駐車場と云う事だ。再度駐車場の案内板を見ると、そこには道を閉鎖する
鎖が下がっていた。通り抜けする一般道に鎖があるわけはない。この道は駐車場に行く道だと慌ててメインの道に戻った。

 こんな単純な事に迷うとは疲れが体だけでなく頭にも来ていて思考力も落ちてしまったようだ。注意しないといけないな。

  
        枯れたササユリ                   アジサイ?                        アジサイ?

 峠を越えて道が下りだすと塩井神社への入口の案内があった。細くて急に下る道はあるが神社がどこにあるのかもわからない。
ここも当然パスして車道をくだる。

 後日塩井神社を調べて見ると塩井神社は小國神社の摂社で 「此の塩井は一宮山の内八分目あたり常に干満あり味わい潮の如し
霖雨洪水の時分塩無之時は此の塩水を汲みて用ふる也」
とありました。
潮の満ち引きのような干潮や満潮は兎も角、塩が手に入らないときは塩代わりにしていたらしい。そんな塩水が湧いているなら
塩化物泉、温まる温泉として日帰り温泉を作ったらどうだろう。

 塩井神社の境内なのかフェンスがある辺りに、時季を逸したササユリの残骸がチラホラ見えた。今年は浜石岳にササユリを
見に行きたいと思っていたが、体調不良で行く事ができなかった。それに高山南峰のコアジサイの確認にも行けなかった。
そんな私を神は可哀想と思ったのか、残骸だがササユリを見せてくれた。そして次にはアジサイの一種だろうが一見コアジサイを
巨大にしたような花も見せてくれた。感謝です。

 
                 八形山                                      分岐の標識

 前方に見える山は八形山だろう。当初の予定ではあの山の北(左)にある大洞院から登りだし、尾根を縦断して蓮華寺に下りる
予定だった。だが今こうして八形山を眺めると行かないで良かったと本当に思う。

 直射日光に晒されながら歩いているので水分補給と思うのだが、ポカリは終ってしまい後は凍らせてきた水道水のみ。その水も
今は溶けてしまって生暖かく不味いったらない。喉も乾いていなにのに無理やり飲んでいるので腹がボコボコして気分も悪い。
たった水を飲むだけの行為が、こんなに面倒だとは思わなかった。

 丁字路の正面に道路の行き先案内が見えた。小國神社を出てから35分経っているので既に2km以上は歩いている筈だ。
時間的には蓮華寺に着いても良い頃だが、景色は山に囲まれた田園地帯で八形山も正面(東)に見えている。とても街中の
蓮華寺がある雰囲気ではない。
 それでも期待を持って案内板を見ると 「蓮華寺(はぎの寺)2.0km」 とある。
エーなんでぇ~ 35分も歩いたのに1.5kmだった距離が2kmに増えてしまった。途中に蓮華寺への案内板は無かったのに何故だ!
一挙に疲れが倍加してしまった。

 
                 蓮華寺入口                                蓮華寺山門   

 分岐から始まった登り坂をハーハーしながらやっと上りきると、ロープで閉鎖された広場に 「陣場峠」 と書かれた杭が見える。
その横には峠の謂れを書いた案内板も見えたが、ロープを越して見に行く気力はなかった。
下り坂になってもダラダラ歩きは続き、民家のある辺りから手持ちの地図は蓮華寺に行く近道を示していた。だが判断力の鈍った
頭でクネクネ曲った近道を行くより、少し遠回りでも太い道を行こうと、遠江総合高校のある太い道を歩く事にした。

 見慣れた蓮華寺の入口でホッとしてしまい、涼しげな蓮華寺の山門までのたった10m足らずの階段が地獄の責めに感じた。
倒れるように山門下の階段に座り込み、ハーハー荒い息づかいを静めるべく10分程も座ったままでいた。
涼しげに見える山門だが実際に涼しくて、いつまでも座っていたいがそれではキリがないと重い腰をようようあげて山門を潜った。

 
           10番札所蓮華寺本堂                                萩と蓮華寺

 本堂前で般若心経を唱え終ると、草取りをしていた老婆が 「ご苦労さまです。」 と声を掛けてきたので
 「遠江33観音のご朱印をお願いします。」と言いながら朱印帳を渡すと
 「ハイハイ観音巡りの1番のご朱印ですね」 と気軽に引き受けてくれた。でもそれでは違います。慌てて
 「いや遠州ではなくて遠江10番のご朱印です。」と言うがピンとこないようだ。

 蓮華寺は遠江33観音霊場の札所であると同時に遠州33観音の札所でもあるのだが、そう云えば小國神社にあった案内板も
蓮華寺入口にあった看板にも遠江観音霊場の名前は書いてなかった。と云う事は遠江の霊場巡りをする人が少ないのだろうか。
間違えられては困ると思い、本堂の掲げられた遠江33観音の新し看板を指して 「あの遠江のご朱印です。」 と念を押した。

 私は遠江も遠州もどちらの霊場も歩いているが好きなのは遠江の方だ。遠江の開設は今川時代なの対し遠州は昭和になって
開設された新しい霊場だ。しかも遠江は山寺や小寺が多く無住の寺も多いが、大型バスが駐車できる事が条件の遠州の札所は
交通量の多い車道歩きがメインになっている。
遍路距離は遠州が約292kを7回で歩いているので1回平均42kだったが、遠江の方は187kを6回で平均31kmと1回で
歩く距離は10kも少なかった。
しかし遠江の方は平坦な車道歩きが多いのに対し、遠江は必ず山越えや峠越えがあり、距離は短くても厳しい遍路道だった。
札所の場所も当然大寺のが多い遠州の方が分かりやすいので、霊場巡りをする人が多いのかもしれない。

 ご朱印は間違いなく遠江10番の物だったのでホッとしたが、本堂前に座り込んでいる私が心配になったのか
 「車に酔われたの」 と聞いてきた。 「イエ袋井駅から札所を回ってきたので疲れてしまって」 と言うと
 「袋井駅から歩いて来たの~ それは大変だ。ここから何処に行くの~」
 「疲れたから戸綿駅に行こうと思います」 「それなら森駅の方が近いですよ。」
と教えたくれた。

 萩で名高い蓮華寺だが、萩の花は赤紫の小さな花がチラホラ見えているだけだった。

  

 距離が近いとせっかく教えてくれた森駅には向かわず掛川に近い戸綿駅に向かった。
イエイエ乗車賃が安くなるからではなく、次の12番札所がそっちの方が近かったからです。
 次に行く12番札所長源庵は戸綿駅の次の原田駅から山に向かった所にあり、今日のゴールは当然原田駅だったのだが、
これ以上無理をすると家に帰ってからが恐ろしい。
 「無理せず 楽せず 程々に」 をモットウに歩いているのに、既に今日は無理をしすぎている。これ以上歩くのは止めよう。
遍路歩きをしていてこのように途中で挫折したのは初めてだが、これからはこんな事も多くなるだろう。それでもまだ歩けることに
感謝しなければな。

 そんな殊勝な考えをしているのに、目は酒屋を探していた。小さな店を見つけ氷結を求めると
 「氷結は見本しかないので差し上げます。」 と言ってくれた。
だが余りに小さな店でタダで貰うわけにはいかず、強引にコンビニ料金を置いてきた。

 ただゴールした戸綿駅で乾杯の一口を飲むと、体中に疲れが出たようにぐったりしてしまった。
アーァ 飲まなければ良かった。と、思いながらも飲み干してしまう意地の汚さよ。

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