はぐれ遍路のひとりごと

観ながら歩く年寄りのグダグダ紀行

海から剣が峰へ1日目-3

2011-08-19 11:47:22 | 低山歩き
                     富士宮6合目へ
          
              水ヶ塚の須山口登山道入口(1合目)

13:40発(26.9km)― 水ヶ塚駐車場発
水ヶ塚からの登山道は標識も道も良く整備されていて迷う恐れはない。だが回りは富士山の原生林の中なので暗くなるのは避けたいと思っている。
ここから最初の小屋のある6合目までは約5時間弱を予定しているが、樹林帯は明るい5時半までには抜け出したい。
そんな事を考え出すと、まだ1時半だというのに気分は焦り気味で休憩時間も短めになってしまった。

          
           笹の間の登山道

登山道に入ると道の両側は笹に覆われていた。笹薮を見ると所々に道がある。
しかし地面はしっかり踏み込まれているが、上の笹は生茂ったままだ。多分これが獣道なのだろ。猪などの動物がこの道を利用して縦横無尽に原生林の中を走り回っているのだ。
でも大丈夫です登山道はご覧のように太くハッキリしています。

35分ほど歩いた幕岩分岐の所で休憩している人達が見える。今日最初に会う登山者だ。
私もザックを下ろして挨拶をする。ふと相手のザックを見ると「御殿場市役所観光課」の文字が見えた。
これで一挙に気楽になり、自分も御殿場出身だと話しかけると、5人居た人全員が私の高校の後輩だという事も分った。ただ年代が違うので顔見知りの人はいない。

話をしていくと彼らは定年退職後市役所に臨時雇用で採用され、富士山の登山道をパトロ-ルをしているという。
私が「お金を貰って山を歩けるなら自分もやってみたい」というと家が御殿場ならと残念がってくれた。
パトロールと言っても中々大変で、今もこの上で登山道が崩れていたのでトラロープを張ってきた言う。
でも羨ましいな。私の住む焼津市でもこんな募集がないかしら?

最後に実際歩いている人の声を聞きたいと言われたので
「富士宮8合目から御殿場口の7合8尺の避難小屋に抜ける道が、富士宮側で通行止めにしている。
あの道の途中には静岡県の名前が入った道標もあるのにおかしい」と言ってしまった。
彼らに言ったところで、どうなることでもないとは分ってはいるが言わずにいられなかった。
(でもこの件は昨年もブログに書いたのでこの辺りで止めておきます)

           
            苔むした地面

苔が一面に生え茂りまるで自然版の苔庭を見るような場所がある。去年もこれを見て山梨県側にある青木ヶ腹樹海では、もっと素晴らしいだろうと想像をした。
そして秋に富士山麓道一周で訪れた樹海ではガッカリしてしまった。時季が秋だったせいか樹海の中は茶色になった枯葉に埋め尽くされ、緑の苔は何も見えなかったのだ。
それで再度「花の麓道一周」を考え、春に樹海を訪れる計画を建てたのだが、初回予定していた富士宮の下馬桜の時季を逸してしまい計画自体を中止してしまった。花を求めるウォーキングは時期の設定が難しい。

          
           倒木帯の登山道

倒木帯に入ると日差しが強く暑くてたまらない。景色は見えないが樹林帯の方が涼しくて歩き易い。
倒木帯というと普通なら倒木を跨いたり、倒木の下を潜ったりして体力を消耗する所だが、ここの倒木帯は違う。
登山道には1本の倒木も無いので快調に歩ける。陽射しが注ぐので樹林帯とは違い草や花が顔を出している。
今日のような真夏で猛暑の日は陽射しが恨めしいが、普段なら暖かくのんびりした楽しい道になるのだろう。

          
           トラロープが張られた崩壊部分

前の方にトラロープが張られている場所がある。あそこがさっきパトロールに人が言っていた崩壊部分だろう。
雪解け水で柔らかい火山灰の登山道が流され深く掘られている。結構広い部分が崩れているので使われている杭やロープも多い。さっき気楽に「羨ましい」などと言ってしまった事を反省した。彼らのような人のお陰でこうして山を歩く事が出来るのだ。
それにしても火山灰の道は壊れやすいが作るには簡単だ。危険ヶ所を通行止めにすれば、その横はすぐ道になってしまう。
いやだからこそ道を整備しないと辺り一面踏み跡になり草花が絶え、ガスった日などは道を見失う恐れも出てくるのだろう。

          
           樅の木の間の登山道

オット今度は樅の間の細い登山道だ。半袖の腕痛いだろうか?と心配したが、どうと言う事はなかった。
木も若木で葉の先も黄緑色の新芽で柔らかかった。
ただ、今はこんな状態で歩けるが、樅が生長したらどうなるのだろう?

時折見える富士山の頂は、まだまだ遠く高く、とても目標にする気にもなれない。
逆にチラリと見えた宝永山は、近くて高くて絶壁のようにそそり立って見えてた。
「エーあそこへ登る?」と一気に落込んでしまった時もあった。

          
          3合目御殿庭

3合目の御殿庭に着いた。この辺りは背の低い樅や岳樺が庭園のように生えているので御殿庭と呼ぶらしい。
秋には紅葉が綺麗らしいが一度も来ていないので今年は来てみようか。
その時は当然、海からでなく水ヶ塚か5合目からにしますけどね。
奥の白い杭は村山修験者が修行をした場所と書かれていました。

アッあれは何だ! 雷鳥ではないだろうか? 体つきは鳩ぐらいだがもっと丸みがある。羽根は白っぽいのと黒っぽいのと斑になっている。
私に気が付いたのか鳴声もたてずに飛んでいってしまった。
イヤーあれは確かに雷鳥だ。しかし富士山の雷鳥は北アルプスから移住させたが、根絶えてしまったと聞いている。
気になったのでネットで調べてみると。
昭和35年に雷鳥を北アルプスから移住させたが失敗に終った、というのが定説のようだ。
とするとあれは雷鳥ではなかったのだろう。でも若しあれが雷鳥で写真を撮っておけば大スクープだったのに惜しい事をした。

  
 木の枝から落ちた苔?          火山灰にへばりついて咲く花

長野県などの山岳道路を車で走っていくとき、岳樺などの高木の下枝に糸状の苔がブル下がっているのを見かけるが、ここのはどうしたのだろうか、その糸状の苔が枝から落ちて地面に広がっている。
去年歩いたときは木の枝にブル下がっていたような気がするが?これも勘違いないなのだろうか。

火山灰の斜面に張り付くように咲いている花があった。これも名前が分らない。

16:50着(30.2km)―3.5合(森林限界地)―17:00発
フーやっと森林限界地に着いた。下界は雲海で見えないが宝永山や山頂はガスで包まれるもの時折見えてくる。
これで目標の明るいうちに樹林帯を抜け出す事は出来た。今日の宿泊地6合目までは、左の宝永山の火口に沿って登っていけばよい。焦る事はない。もう日が暮れようが真夜中になろうが道も獣も心配ない。これで下界が見えれば大満足なのだが。

実は今日の行程の中で一番大変な場所はこれから始まる。
歩き出すとさっそく始まる宝永山特有の火山灰の上り坂には泣かされた。1歩登って半歩下がるの繰り返しで、急いでいるわけではないのに動悸が激しくなる。直登を止め斜めに電光系に登ったり、大きめな石に足を乗せたりしたが「ズルズルズル」と下がってしまう。

 
 山頂ははるか彼方                山体変動観測装置と宝永山

先程恐怖を感じた宝永山の全容が見えてきた。あのそそり立つように見えたのは御殿場口側にある宝永山の先端で、今回は登る予定にはなっていない。
「アー良かった」と思ったものの「ズルズルズル」は一向に治まってくれない。山体変動観測装置の機器に横に来て、やっと登りが緩くなり「ズルズルズル」が終った。
あとは宝永山火口底への入口を過ぎれば、今日の宿泊地富士宮新6合目はすぐそこだ。

この時間になっても宝永山の底に人影が見える。御殿場側から来た人なのか、それとも火口見物の人なのか分らない。
長く延びた火口壁の影が火口の中を暗くしている。更に第1火口の先の雲海には影富士も映っている。
焦りも無く、緩くなった道をゆっくり歩いて18時丁度に富士の宮口6合目の山小屋に到着。

今日の行程は朝5時の日の出の頃に歩き始めて、日暮れ時の6時着。13時間の行程だった。
樹林帯を暗くなる前に抜け出す事もでき、小屋にも明るいうちに着く事ができた。が私にとっては目一杯過ぎて、追われるように先を急がなければならなかった。とても風景を楽しむながら歩く余裕は無かった。
マー反省は全て終ってからすることにしよう。
明日は剣ヶ峰に登りお鉢巡りもしたいと思っているので、今晩はグッスリ寝て英気を養おう。
ソー生ビールの1杯も飲んで-----

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