みちのくの山野草

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仏の統一

2018-07-25 10:00:00 | 法華経と賢治
《『100分de名著『法華経』』(植木雅俊著、NHK出版)の表紙》
 ではここでは「仏の統一」という項についてである。
 植木氏は前項の「久遠実成を明かす」における釈尊の話の狙いについて、それは「さまざまな仏を釈尊に統一することだと思います」と主張し、おおおよそ、次のように論を展開していた。
 釈尊の滅後、多くの如来や菩薩が考え出されるようになりました。弥勒菩薩をはじめ、イランなどの外来の神格が仏・菩薩として仏教に取り込まれることもありました.…(投稿者略)…しかし、それらはいずれも、人間が考え出した架空の仏・菩薩です。歴史所実在した人物としてのブッダは釈尊だけです。そこで、「それらは私が名前を変えて姿を現したものであって、本当はすべて私なのだよ」と釈尊が言うことで、種々の仏を釈尊に統一しようとしているのです。
      〈『100分de名著『法華経』』(植木雅俊著、NHK出版)86p~〉
と。
 そこで私も安堵する。つい第十四章や第十五章で、釈尊は「仏」ではなく「神」に近い存在になったのかなと思い悩んでいたのだが、この植木氏の解説によってその悩みはほぼ解消した。『法華経』は「種々の仏を釈尊に統一しようとし」て、便法として「地涌の菩薩」や「久遠実成」を持ち出したのに違いないという解釈が私にはできたからだ。

 そしてさらに植木氏は解説する。
 仏の統一という狙いに戻れば、…(投稿者略)…『法華経』は声聞乗、独覚乗、菩薩乗という三種類の教えを一仏乗という一つの教えに統一しようしていると話しました。これは小乗仏教と大乗仏教の対立を教えの面から統一しようとする試みです。今回の「如来寿量品」は、それを仏の面から統一しようとしていると考えられます。しかも、種々の仏を頭ごなしに否定するのではなく、すべて釈尊の生まれ変わりだと説明することで、それをうまく吸収して位置付けていると言えます。
             〈〃87p〉
なるほど、そういうことだったのかと私もある程度理解ができて、一方で、実は『法華経』の話の進め方がかなり巧みであったことをこの段階でやっと覚った。 

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