みちのくの山野草

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四 ブドリのおこない、賢治のねがい(「じぶんのことを」)

2018-12-19 10:00:00 | 賢治渉猟
《『宮澤賢治』(國分一太郎著、福村書店)》

 國分は「四 ブドリのおこない、賢治のねがい」の最後の方で、
 もうひとつ法華経にあることをかきますと、「じぶんのことを」という考え方をすてた人びとのたくさんいる仏の国は、すばらしい国だということが、そっちこっちにかいてあるのです。たとえば、そのひとつをかいてみますと、
            〈『宮澤賢治』(國分一太郎著、福村書店)62p〉
と前置きして、「日月浄明徳」という仏がいる国のことを、
 その国には自分の身をすてきった偉い菩薩が八十億人もいて、仏の寿命は七億年、その下で働いている人たちの寿命も七億年だ…(投稿者略)…台の上には天人が百億人ずついて、天の音楽やおどりをおどっている。
             〈同62p~〉
と紹介していた。しかしこんなことを言われても、対象読者である中学生は、國分が言うとおりで、「こんなバカらしいことがあるものか」とぽかんとするしかなかろう。
 ところが、國分は「これが法華経のえがく世界なのです」と言い切って、
 もしかしたら宮澤賢治の心のそこに、こういう世界がえがかれていて、その世界のことを、賢治が「銀河系の世界」とか「第四次元の世界」とかいっているのではないかと思うからです。そして賢治は、このような世界をつくるためには、
 ⑴ じぶんという考えをすてること
 ⑵ 科学の力をどしどしのばすこと
 この二つが必要だと考えたのではないかとおもうのです。…(投稿者略)…賢治は、なんとかして、この二つのものを、ひとつにした美しい世界をつくろうとしたのではないかとおもいます。
             〈同63p~〉
と國分自身の見方を披瀝していた。
 そこで私はなるほど、そういうことも十分ありだなと合点し、もやもやが少し霽れた。それは、賢治は少なくとも法華経(科学の力の方はさて措き)を基にして美しい世界を創ろうと考えていたということは私も前から感じていたから、賢治はこれに科学の力も併せて一つにした美しい世界を創ろうとしていた、という見方もたしかにありかもなと納得したからだ。

 ところが、実は國分はもっと違うことを言いたいんだということを直ぐに知った。それは「四 ブドリのおこない、賢治のねがい」の章を、
 さて、それでは、このような考えかたは、はたして、正しいものでしょうか?
           〈同64p〉
と疑問を呈して締め括っていたからだ。

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 賢治の甥の教え子である著者が、本当の宮澤賢治を私たちの手に取り戻したいと願って、賢治の真実を明らかにした『本統の賢治と本当の露』

             〈平成30年6月231日付『岩手日報』一面〉
を先頃出版いたしましたのでご案内申し上げます。
 その約一ヶ月後に、著者の実名「鈴木守」が使われている、個人攻撃ともとれそうな内容の「賢治学会代表理事名の文書」が全学会員に送付されました
 そこで、本当の賢治が明らかにされてしまったので賢治学会は困ってしまい、慌ててこのようなことをしたのではないか、と今話題になっている本です。
 現在、岩手県内の書店での店頭販売やアマゾン等でネット販売がなされおりますのでどうぞお買い求め下さい。
 あるいは、葉書か電話にて、『本統の賢治と本当の露』を入手したい旨のお申し込みを下記宛にしていただければ、まず本書を郵送いたします。到着後、その代金分として1,620円(本体価格1,500円+税120円、送料無料)分の郵便切手をお送り下さい。
      〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木守
               電話 0198-24-9813

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