みちのくの山野草

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方便としての涅槃

2018-07-28 10:00:00 | 法華経と賢治
《『100分de名著『法華経』』(植木雅俊著、NHK出版)の表紙》
 では次は「方便としての涅槃」という項についてである。
 植木氏は次のように説明する。
 「釈尊が永遠のブッダだと言っても、現実の釈尊は死んだではないか」――この疑問が残る人も多いと思います。それに対する『法華経』の回答は「方便現涅槃」、すなわち、釈尊は衆生を仏道に入らせるための方便として涅槃に入ってみせたのだという考え方です。
            〈『100分de名著『法華経』』(植木雅俊著、NHK出版)92p〉
と。
 しかし私には、これでは何かしっくりこない。ところが植木氏はこのこのについては、
 これは、『法華経』の中に私がいますよ、『法華経』を読んで感動を得ることで私と会っていることになりますよ、ということだろうと思います。
            〈〃93p〉
と解釈しており、そうであるのならば私にも素直に理解できるし、納得もできる。

 そしてこの「方便現涅槃」を譬えたのが、「老医病死の譬え」であり、それは大体次の様なものだと同氏はいう。
 ある名医が外国へ旅に出て留守にしている間に、子どもたちが誤って毒薬を飲んでしまい、苦しみ悶えていました。そこへ名医が帰ってくるとみんな喜び、早く薬を作って下さいと頼みました。名医は…(投稿者略)…薬をつくり、子どもたちにあたえました。…(投稿者略)…ところが、毒気が深く入り込んでいるこどもたちは、薬を口にしても「まずい」と言って吐き出してしまいます。
 そこで名医は、「巧みなる方便を用いて、この薬を飲ませることにしよう」と考え、再び旅に出ます。…(投稿者略)…そして旅先から使いを出して、「お父さんは亡くなりました」と子どもたちに伝えさせます。子どもたちは「寄る辺なきものとなってしまった」と悲しみにくれます。悲しみのあまり意識が正常になり、薬の卓越性に気づき、子どもたちは薬を口にします。「その時、実にその医者は、それらの息子たちが苦悩から解放されたことを知って、再び自分の姿を現した」となり、父と子どもたちは再び対面します。
            〈〃93p~〉

 ちなみに、植木氏によれば
 薬が『法華経』、名医が釈尊、子どもたちが衆生、旅先で亡くなったという知らせが方便現涅槃の譬えです。…(投稿者略)…
 この如来寿量品で、『法華経』は既存の説をことごとくひっくり返し、あらゆるものを包摂して一つの教えに統一することを実行しています。
            〈〃94p〉
ということである。
 また広辞苑によれば、
【方便】
①〔仏〕衆生を教え導く巧みな手段。真理に誘い入れるために仮に設けた教え。
②目的のために利用する便宜の手段。てだて。
【涅槃】
〔仏〕(梵語 吹き消すこと、消滅の意)
①煩悩を断じて絶対的な静寂に達した状態。仏教における理想の境地。般涅槃。滅度。寂滅。泥洹(ないおん)。
②仏陀または聖者の死。入寂。入滅。
           〈ともに『電子辞書PW-M800』(シャープ)所収の広辞苑より〉
という。

 そこで翻って、これが私にとって巧みなる方便となったのかというと、どうも策を弄しすぎているような気もしないではないが、半分ぐらいはそうなったかな。

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