みちのくの山野草

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常に軽んじない菩薩

2018-07-29 10:00:00 | 法華経と賢治
《『100分de名著『法華経』』(植木雅俊著、NHK出版)の表紙》
 
 では、今度は「常に軽んじない菩薩」という項に入る。ただし、この項の始めには第十六章~第十八章の簡単な説明があったのだが、そこは割愛させてもらう。
 植木氏は、
 そして第十九章が、『法華経』のクライマックスともいえる「常不軽菩薩品」です。この章の内容は、圧巻です。宮沢賢治が「雨ニモマケズ」で「サフイフモノニ/ワタシハナリタイ」としていた「デクノボー」はこの常不軽菩薩をモデルにしていると言われています。
             〈『100分de名著『法華経』』(植木雅俊著、NHK出版)97p〉
と第十九章を高く評価し、しかもここにきて初めて賢治のことを引例していた。なお、このモデルに関しては私も多少知っていたのだが、どのような根拠でそう「言われてい」るのか私にはよく理解できずにいたので、これは楽しみだ。

 続けて、
 まず時代設定ですが、威音王仏という如来が亡くなった後、正しい教えが衰亡し、正しい教えに似た教えも失われつつある時のこと、その教えが増上慢の男性出家者たちによって攻撃されている時代に、この菩薩は出現したとされていす。…(投稿者略)…
 この菩薩の名前はサダーパリブーダと言います。鳩摩羅什はこれを「常不軽」と訳しました。
            〈〃97p~〉
と植木氏は解説していた。
 そして同氏は、文法上からいって、この「サダーパリブーダ」の最もよい現代語訳は
 常に軽んじない〔のに、常に軽んじられていると思われ、その結果、常に軽んじられることになるが、最終的には常に軽んじられないものとなる〕菩薩
            〈〃99p〉
だという。

 う~む、しかし私にはよくわからん。しかも、「デクノボー」が「木偶坊」のことであるとすれば、広辞苑には、
【木偶坊】
①人形。でく。くぐつ。
②役に立たない人、また、機転がきかない人をののしっていう語。
           〈『電子辞書PW-M800』(シャープ)所収の広辞苑より〉
とあるから、少なくとも「木偶坊」はこの常不軽菩薩をモデルにしているとはとても言い難いと私には思える。
 おのずから、
 現時点では、「雨ニモマケズ」の「デクノボー」は常不軽菩薩をモデルにしているという主張に、私は与せない。
なんとなれば、広辞苑による限り、「デクノボー(木偶坊)」は「常不軽菩薩」とは別次元のものだと私には思えるからだ。まして、次回も触れる予定だが、
 この菩薩は出家の男女、在家の男女の誰であれ、出会う人ごとに近づいて、「尊者がたよ/ご婦人がたよ、私は、あなたがたを軽んじません。あなたがたは、軽んじられることはありません。それはどのような理由によってでしょうか?あなたがたは、すべて菩薩として修行しなさい。あなたがたは、正しく完全に覚った尊敬されるべき如来になるでありましょう」
と告げたそうだが、賢治の場合にはそのようなことをなしたとは何一つ私は聞いていないからなおさらにである。

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