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《『批評空間 Ⅱ 14』(太田出版)の表紙》
村井紀氏はこうも言っていた。
ぼくは柳田、折口の問題――これは彼らを「神」とした知識人の問題ですが――から宮澤賢治の問題を考えるのですが…投稿者略…宮澤が商業の問題にこだわりすぎるからです。農民や農業讃美は大正期以降みんな言っていたことで凡庸なことです。これは別に宮澤だけのことではない。
…投稿者略…「遊民」という着眼は、たとえば柳田と折口との関係でいくと、折口の方は典型的な遊民なんです。…投稿者略…大正期の白樺派的な人間というのは、遊民層なんです。ぼくのテーマとの関連で言えば、折口と宮澤賢治はいろんな点でよく似てくるんです。
〈『批評空間 Ⅱ 14』(太田出版)12p~〉…投稿者略…「遊民」という着眼は、たとえば柳田と折口との関係でいくと、折口の方は典型的な遊民なんです。…投稿者略…大正期の白樺派的な人間というのは、遊民層なんです。ぼくのテーマとの関連で言えば、折口と宮澤賢治はいろんな点でよく似てくるんです。
つい、かつての私は賢治のことを考える際にはバイアスがかかりすぎていた。たとえば、
賢治は、食味もよく冷害にも稲熱病にも強いという陸羽一三二号を近隣の農家のみならず、岩手に広めたということで高く評価されている。
と私は思っていたのだが、その真相は、 同品種の普及は賢治独りの力によってだったとは言えず、賢治はそれを薦めた中の一人であった。
からだ。あるいはまた、巷間よくいわれているように、 羅須地人協会時代の賢治は、心身の疲勞を癒す暇もなく、氣候不順に依る稻作の不良を心痛し、風雨の中を徹 宵東奔西走し、遂に風邪、やがて肋膜炎に罹り、歸宅して父母のもとに病臥、そして37歳で亡くなった。
とばかり私も思っていた。しかしそれは、巷間いわれていることをそのまま信じ込むという私のバイアスがそう思わせただけであった。実際に私が実証的に検証した結果、その真相は、同時代の賢治は「ヒデリノトキハナミダヲナガシ」たこともなければ「サムサノナツハオロオロアルキ」したこともなかったのだった<*1>。したがって、村井氏のこの主張を私は素直に肯う。つまるところ、賢治は(一見)「農民や農業讃美」者ではあったが、それ以前に「遊民」だったのだと。
<*1:投稿者註> 詳しくは、拙著『本統の賢治と本当の露』(ツーワンライフ社)の「2.「賢治神話」検証七点」の次の節、
㈢ 「ヒデリノトキニ涙ヲ流サナカッタ」賢治 43p~
㈣ 誤認「昭和二年は非常な寒い氣候…ひどい凶作」 65p~
をご覧頂きたい。㈣ 誤認「昭和二年は非常な寒い氣候…ひどい凶作」 65p~
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賢治の甥の教え子である著者が、本当の宮澤賢治を私たちの手に取り戻したいと願って、賢治の真実を明らかにした『本統の賢治と本当の露』
本書は、「仮説検証型研究」という手法によって、「羅須地人協会時代」を中心にして、この約10年間をかけて研究し続けてきたことをまとめたものである。そして本書出版の主な狙いは次の二つである。
1 創られた賢治ではなくて本統(本当)の賢治を、もうそろそろ私たちの手に取り戻すこと。
例えば、賢治は「ヒデリノトキニ涙ヲ流サナカッタ」し「寒サノ夏ニオロオロ歩ケナカッタ」ことを実証できた。だからこそ、賢治はそのようなことを悔い、「サウイフモノニワタシハナリタイ」と手帳に書いたのだと言える。
2 高瀬露に着せられた濡れ衣を少しでも晴らすこと。 賢治がいろいろと助けてもらった女性・高瀬露が、客観的な根拠もなしに〈悪女〉の濡れ衣を着せられているということを実証できた。そこで、その理不尽な実態を読者に知ってもらうこと(賢治もまたそれをひたすら願っているはずだ)によって露の濡れ衣を晴らし、尊厳を回復したい。
〈目次〉![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/47/5d6e0b367182e54cee8c88eaafc0b0d9.png)
〈はじめに〉
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………………………(省略)………………………………
〈おわりに〉
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〈資料一〉 「羅須地人協会時代」の花巻の天候(稲作期間) 143
〈資料二〉 賢治に関連して新たにわかったこと 146
〈資料三〉 あまり世に知られていない証言等 152
《註》 159
《参考図書等》 168
《さくいん》 175
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