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《『批評空間 Ⅱ 14』(太田出版)の表紙》
次に柄谷氏が、「関井さんは國柱会あるいは田中智学について研究されていますが、その角度から宮澤賢治を見るとどうなるか」と問うたならば、関井氏はこう答えていた。
田中智学との関係から見ると、宮澤賢治が行ったことは喧伝されているような独創的なものじゃないと思います。田中智学が日蓮主義の教学に即しておこなったことを、反復しているにすぎないね。
〈『批評空間 Ⅱ 14』(太田出版)13p〉私はへえそうなんだ、専門家ら見れば「喧伝されているような」ほどのものでもなければ、「独創的なものじゃない」のかもしれないのかと知らされた。一方でやっぱり、とも思った。それは、例の陸羽一三二号の場合と同じ構図だからだ。そしてまた、関井氏はどうしてそう言えるのだろうかという疑問を私は抱いたのだが、それについて関井氏は、
たとえば、村井さんが提起した「産業資本家宮澤賢治の誕生」という問題は、田中智学がおこなった産業の霊化を実践しているんです。その模範となったのは國柱産業株式会社ですが、同じことが羅須地人協会の農耕自炊の生活についても言えます。これは自活しながら布教する自活布教を踏襲している。その基本理念を表しているのが智学の日蓮主義という言葉なんです。…投稿者略…宮澤賢治はそれを自己流に解釈して実践しているわけです。これは童話や詩についてもいうことができるんですね。
〈同14p〉というように解説していた。
そこで私は、そっか、羅須地人協会における営為は「自活布教」と見ることもできるのか。そして童話や詩の創作もその一環だったのだと。どうやら、当時の日本では日蓮主義が社会の流行思想であり、その流れの中に賢治がいて、智学の教えを踏襲して自分なりに「自活布教」しようとしていた、という解釈もできるのか。
ということは、 堀籠文之進は賢治の唐突な花巻農学校の辞職に関して、
いろいろな説もあるのでしょうが、俸給生活にあこがれる生徒たちに、村に帰れ、百姓になれとすすめながら、自分は学校に出ていることに対して、矛盾を感じたことからでしょう。
<『野の教師 宮沢賢治』(森荘已池著、普通社)、231p~>と言っているということだが、この証言よりは、「自活布教」の為であったということの方が、私には説得力があるように思えてきた。生徒に対して自責の念に駆られてというよりは、賢治自身の信仰がそうさせたのだと。
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賢治の甥の教え子である著者が、本当の宮澤賢治を私たちの手に取り戻したいと願って、賢治の真実を明らかにした『本統の賢治と本当の露』
本書は、「仮説検証型研究」という手法によって、「羅須地人協会時代」を中心にして、この約10年間をかけて研究し続けてきたことをまとめたものである。そして本書出版の主な狙いは次の二つである。
1 創られた賢治ではなくて本統(本当)の賢治を、もうそろそろ私たちの手に取り戻すこと。
例えば、賢治は「ヒデリノトキニ涙ヲ流サナカッタ」し「寒サノ夏ニオロオロ歩ケナカッタ」ことを実証できた。だからこそ、賢治はそのようなことを悔い、「サウイフモノニワタシハナリタイ」と手帳に書いたのだと言える。
2 高瀬露に着せられた濡れ衣を少しでも晴らすこと。 賢治がいろいろと助けてもらった女性・高瀬露が、客観的な根拠もなしに〈悪女〉の濡れ衣を着せられているということを実証できた。そこで、その理不尽な実態を読者に知ってもらうこと(賢治もまたそれをひたすら願っているはずだ)によって露の濡れ衣を晴らし、尊厳を回復したい。
〈目次〉![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1e/47/5d6e0b367182e54cee8c88eaafc0b0d9.png)
〈はじめに〉
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………………………(省略)………………………………
〈おわりに〉
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〈資料一〉 「羅須地人協会時代」の花巻の天候(稲作期間) 143
〈資料二〉 賢治に関連して新たにわかったこと 146
〈資料三〉 あまり世に知られていない証言等 152
《註》 159
《参考図書等》 168
《さくいん》 175
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