みちのくの山野草

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地涌の菩薩たち

2018-07-20 12:00:00 | 法華経と賢治
《『100分de名著『法華経』』(植木雅俊著、NHK出版)の表紙》
 では今度は第十三章「安楽行品」についてである。
 植木氏は、次のように解説したりして、
 ここには、仏が亡くなったあとに法華経を実践する菩薩のための日常的な心構えが書いてあります。法華経信奉者にとっての戒律と言ってもよいでしょう。
               〈『100分de名著『法華経』』(植木雅俊著、NHK出版)80p〉  
ここは簡潔に済ませ、次は第十四章「従地涌出品」に移っていた。

 植木氏は、この章でようやく娑婆世界での弘教を申し出る人たちが現れますといって、次のようなことをあらまし述べていた。
 この章の冒頭で、他の世界から来た八つのガンジス河の砂の数に等しい多くの菩薩たちが立ち上がり、「もしも、世尊<*1>が私たちに許してくださるならば、世尊よ、私たちもまた、如来<*2>が完全なる滅度に入られた後、この法門をこの娑婆世界において説き示し、読誦し、書写し、供養し、この法門のために努力したいと思います」と述べます。
 これを聞き、今まで黙っていた釈尊がついに口を開きます。「やめなさい。良家の息子たちよ。あなたたちのその仕事がなんの役に立とうか」。…(投稿者略)…あなたたちは務まらないときっぱり退けてしまいました。
 こうなると、それでは娑婆世界での弘教は誰がやるのかということになりますね。そこで釈尊は、それを行う人はもう既にいるのだということで、その人たちを呼び出します。

 その時、この娑婆世界の大地が遍く裂けて亀裂が生じた。そして、それらの裂け目から幾百・千・コーティ・ナユタもの多くの菩薩たちが出現した。…(投稿者略)…

 ここで出現してきたのが「地涌の菩薩」です。…(投稿者略)…その無数の菩薩たちのリーダー、上行、無辺行、浄行、安立行の四人です。
 その場にいた弥勒菩薩やその他の菩薩たちは、これらの菩薩たちの卓越した姿と数を見て圧倒されます。「この人たちはどこから来たのか、誰が教化したのか、誰の教えを受持したのか」と思うわけですね。それに対して釈尊が応えます。

 「これらすべての菩薩たちは、私が覚りへ向けて成熟させたのであり、これらの菩薩たちは、まさに私の国土に住んでいる。これらすべての菩薩たちを成熟させたのは私であり、これらの菩薩たちは実に私の息子たちなのだ…(投稿者略)…」

 娑婆世界にどっぷりと浸かりながら、その中で清らかな花を咲かせ、周りも清めていく。地涌の菩薩とはそのような存在だとされています。
               〈80p~〉
 こうなると、私にはこの章は壮大なファンタジーに見えてくるのだが、同時にまたこの章の狙いが何が何だか解らなくなってくる。ただしその一方で、地涌の菩薩とは『法華経』のみに存在する菩薩だと植木氏は言うし、地涌の菩薩たちが出現し、彼らがそこにたたずんでいる姿を現した言葉に「如蓮華在水」というものがあるとも植木氏は同章の解説の中で教えてくれるから、「地涌の菩薩」とは『法華経』に於いていかに重視されているかということは何となく分かってきた。

<*1:投稿者註> 広辞苑によれば、
【世尊】
 仏の尊称。特に、釈迦牟尼の尊称。仏十号の一。
 ちなみに、
【釈尊】
 釈迦牟尼の尊称。
           〈『電子辞書PW-M800』(シャープ)所収の広辞苑より〉
<*2投稿者註> 広辞苑によれば、
【如来】
仏十号の一。仏の尊称。「かくの如く行ける人」、すなわち、修行を完成し、悟りを開いた人の意。のちに、「かくの如く来れる人」、すなわち、真理の世界から衆生救済のために迷界に来た人と解し、如来と訳す。
           〈〃〉

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