鈴木すみよしブログ

身近な県政にするために。

水道行政の大きな転換と地方への影響

2024年06月24日 | 議会活動
令和6年6月24日(月)

 上水道の整備や管理が今年4月1日、厚生労働省からこれまで下水道の整備や管理を担ってきた国土交通省へ移りました。国土交通省は上下水道を一元的に管理することになり、能登半島地震でも課題となった設備の耐震化などを効率的に進めることなどを考えているようです。

 報道によれば、上下水道を巡っては高度経済成長期以降に急速に整備されたため、設備の老朽化が進んでいるほか、能登半島地震では地震の揺れなどで管路に大きな被害が出るなど耐震化が課題となっています。
 国土交通省は、上下水道の設備の耐震化や更新を一体で行う自治体を対象に補助制度を設けるほか、全国の地方整備局などに新たに上水道の担当者を配置し、事業を運営する自治体との連携を強化して対策を進めていくようです。

 私の住む富士市民は富士山の恵である「水」(湧水や地下水)が豊富なことで、市民生活の維持とまちの発展がありました。ややもすると、無限のように捉えられてきた「水」ですが、高度成長期の昭和30年代前半には、豊富な地下水を制限なく汲み上げてきた揚水型の企業等により、地下水位は低下し、駿河湾からの海水が陸地の奥深くまで浸透し、地元経済を支える企業活動や市民生活に深刻なダメージを与えました。「水」は有限であることをまざまざと知らしめられ、その教訓から節度ある「水」(地下水)の利用管理が行われるようになりました。

 市民生活から「水」がなくなることの危機感は、今年元旦に発生した能登半島地震をはじめ、各地で発生している自然災害等で多くの国民が理解しているはずです。私の地元では、半世紀以上前に、自然ではない理由で水が無くなり、その対応を迫られた私たちの先祖の行動について、時ある毎にその苦難をどのように乗り切ってきたのかを当時を知る関係者から聞き、その代表例として、地域住民の生活を守るために、住民どうしが資金を出し合い設立・運営してきた簡易水道組合の存在を忘れてはいけないと考えています。

 簡易水道組合は、設立から半世紀以上が経過し、住民生活に必要不可欠な「上水」を決められた水質を維持し安定的に供給してきました。水道法では、水の衛生上の管理等は行政などが経営する水道事業と同じように、厳格な管理を行うことが決められています。
 簡易水道組合の課題は、役員の高齢化と災害発生時の復旧・復興に対する懸念など、組織の脆弱性が指摘され、公営水道などとの合併を求める声が、阪神淡路大震災などが発生した頃から高まっています。私は、この頃から合併問題に関わってきました。

 国が国交省に一元化した理由には、災害対応、施設の老朽化などを理由に挙げています。この理由は簡易水道組合の抱える課題でもあります。加えて、役員の高齢化があり、公営水道との合併を望んできました。
 しかし、長年にわたり合併が進まなかった理由には、公営水道に合併する際に、施設改善のハードルが高く、そのための資金確保や改装工事に時間がかかることなどがあります。
 今回の統合では、国土交通省は、上下水道の設備の耐震化や更新を一体で行う自治体を対象に補助制度を設けるなどを検討しているようで、簡易水道の合併にも追い風となることが期待できます。

 長年の懸案だった公営水道と簡易水道組合の合併が、国の60年ぶりと言われる水道行政の機構改革により加速するのか、注視しています。
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