「幸福の方程式 新しい消費のカタチを探る」 山田昌弘+電通チームハピネス、ディスカヴァー、2009年9月10日
p.46-7 家族の物語を完成してしまった人たちはどうかというと、多くは、ブランド消費に飽きてきています。なぜなら、それは主体的な消費ではないからです。つまり、自分で主体的に選んで消費している、というより、広告戦略とマスメディアのなかで、こういうものはいいものだと言われることによって買い続けてきたにすぎないからです。
p.48-9 結局、ブランド消費というのは、若年層にとっても富裕層にとっても、永続する幸せをもたらすものではありませんでした。なぜなら、家族消費と同じく、ブランド消費は「ブランドが幸福をもたらすと思う商品を買い続ける」ことが必要で、買い続けられなくなったら、不幸に転落するからです。ブランド消費は、大きな物語の崩壊後、次の幸福の物語が見えなくなってしまったなかで、それが見つかるまでのつなぎのようなものにすぎなかったのです。
p.54 (家族消費とブランド消費)いずれの物語も、「幸福を生み出すと期待される商品を買うこと」という点では同じで、それが、近代社会の幸福のシステムでした。すなわち、わたしたちは、商品そのものを買っていたわけではなく、その商品を買うことによって、それがもたらすであろう幸福を買っていたのです。
p.57 「自分の人生が肯定される」というのが、積極的幸福の基礎にあります。
p.62 企業は、幸福をもたらすと信じられるモノを作って売るのではなく、人々が幸福になることをサポートすることによって利益を得ます。こうした新しい消費、新しい商品開発、新しい産業が、沈滞した現在の経済を活性化していくことができるのではないでしょうか。
p.97 なぜ「承認」が重要なのかというと、ひとつは、他人の心の中にいつも自分が存在することの確認を得られるから、もうひとつは、自分を承認してくれる相手に対して自分が影響力を持つことができるからです。「承認」がなければ人から無視され、無力な自分にいつも失望していなければなりません。
p.116 幸福をもたらすと期待される商品を買うことによって幸福を得ようとするのではなく、直接に幸福を得ることを支えてくれる、つまり、幸福を得るための道具としての消費、つまり、先にも述べた「道具消費」です。
商品が幸福をもたらすのではなく、幸福を与えてくれるのは、あくまでもペンタゴン・モデルの五つの鍵(時間密度、手ごたえ実感、自尊心、承認、裁量の自由)であり、消費はこの鍵を動かすための道具なのです。
p.173-4 特別の個人の利害のためではなく、みんなの利益のために良いことであれば、自分の利益にこだわらないという考え方を「デタッチメント」といいます。デタッチメントな態度では、みんなのためになることが優先されます。
p.179 サステナブルに貢献するのが、「長く使える」ということです。社会をサステナブルにするには、自然の回復力と消費のスピードをできるだけ合わせることです。木を切ることが悪いのではなくて、木が成長する速度で木を切って使えばサステナブルになります。
p.184 幸福にどうしても必要なのは、他人から自分を承認してもらうことです。「自尊心」は自分で自分を承認することですが、他人から自分が承認され、最終的には自分が社会から承認されて自分も社会を承認する、相互承認の状況になることです。
p.229 なぜそれ(家族消費)で満足できなくなったのでしょうか。消費に慣れてしまったから? 自分だけでなく、みんなが同じように行っていることだから? そのような理由はあるにしても、根源的な理由は、家族消費が将来にわたって安定的に続けられる物語ではなく、その瞬間の幸福の断片にすぎなくなったからです。幸福は物語としてしか存在しない、のです。
p.46-7 家族の物語を完成してしまった人たちはどうかというと、多くは、ブランド消費に飽きてきています。なぜなら、それは主体的な消費ではないからです。つまり、自分で主体的に選んで消費している、というより、広告戦略とマスメディアのなかで、こういうものはいいものだと言われることによって買い続けてきたにすぎないからです。
p.48-9 結局、ブランド消費というのは、若年層にとっても富裕層にとっても、永続する幸せをもたらすものではありませんでした。なぜなら、家族消費と同じく、ブランド消費は「ブランドが幸福をもたらすと思う商品を買い続ける」ことが必要で、買い続けられなくなったら、不幸に転落するからです。ブランド消費は、大きな物語の崩壊後、次の幸福の物語が見えなくなってしまったなかで、それが見つかるまでのつなぎのようなものにすぎなかったのです。
p.54 (家族消費とブランド消費)いずれの物語も、「幸福を生み出すと期待される商品を買うこと」という点では同じで、それが、近代社会の幸福のシステムでした。すなわち、わたしたちは、商品そのものを買っていたわけではなく、その商品を買うことによって、それがもたらすであろう幸福を買っていたのです。
p.57 「自分の人生が肯定される」というのが、積極的幸福の基礎にあります。
p.62 企業は、幸福をもたらすと信じられるモノを作って売るのではなく、人々が幸福になることをサポートすることによって利益を得ます。こうした新しい消費、新しい商品開発、新しい産業が、沈滞した現在の経済を活性化していくことができるのではないでしょうか。
p.97 なぜ「承認」が重要なのかというと、ひとつは、他人の心の中にいつも自分が存在することの確認を得られるから、もうひとつは、自分を承認してくれる相手に対して自分が影響力を持つことができるからです。「承認」がなければ人から無視され、無力な自分にいつも失望していなければなりません。
p.116 幸福をもたらすと期待される商品を買うことによって幸福を得ようとするのではなく、直接に幸福を得ることを支えてくれる、つまり、幸福を得るための道具としての消費、つまり、先にも述べた「道具消費」です。
商品が幸福をもたらすのではなく、幸福を与えてくれるのは、あくまでもペンタゴン・モデルの五つの鍵(時間密度、手ごたえ実感、自尊心、承認、裁量の自由)であり、消費はこの鍵を動かすための道具なのです。
p.173-4 特別の個人の利害のためではなく、みんなの利益のために良いことであれば、自分の利益にこだわらないという考え方を「デタッチメント」といいます。デタッチメントな態度では、みんなのためになることが優先されます。
p.179 サステナブルに貢献するのが、「長く使える」ということです。社会をサステナブルにするには、自然の回復力と消費のスピードをできるだけ合わせることです。木を切ることが悪いのではなくて、木が成長する速度で木を切って使えばサステナブルになります。
p.184 幸福にどうしても必要なのは、他人から自分を承認してもらうことです。「自尊心」は自分で自分を承認することですが、他人から自分が承認され、最終的には自分が社会から承認されて自分も社会を承認する、相互承認の状況になることです。
p.229 なぜそれ(家族消費)で満足できなくなったのでしょうか。消費に慣れてしまったから? 自分だけでなく、みんなが同じように行っていることだから? そのような理由はあるにしても、根源的な理由は、家族消費が将来にわたって安定的に続けられる物語ではなく、その瞬間の幸福の断片にすぎなくなったからです。幸福は物語としてしか存在しない、のです。