何かをすれば何かが変わる

すぐに結論なんて出なくていい、でも考え続ける。流され続けていくのではなくて。
そして行動を起こし、何かを生み出す。

ライフトラベラー

2014-01-05 12:47:13 | Book Reviews
「ライフトラベラー 人生の旅人 喜多川泰・著、ディスカヴァー、2013年7月20日

p.9 旅先にはやったことがないことがあふれているんだから。

p.12 「旅先に友だちがいるの?」「いいや、まだいない。行った先で出会った人と友だちになるしかない」

p.12 慣れている人ができるんじゃない。それをしなければならない状況になれば、誰だってそれをする力は持っている。ぼくが特別なんじゃない。

p.20-1 旅先で不自由がないように完璧な準備をしていくと、たしかに快適かもしれない。でも、自分のいる場所では経験できなようなことを経験する機会もなくす。だからぼくは、どうしても必要なものだけ持っていくことにしてるんだ。

p.27 ぼくがきみに経験してほしいのは、ほとんどすべてが〈自由〉な〈不自由な旅〉だ。そんな旅こそ、きみの人生を変えてくれる旅になる。

p.37 きみが〈想い〉を持って心を開けば、同じ想いを持つ人と出会ったときには、決してその場だけのつき合いで終わったりはしないものさ。

p.41 同じ〈想い〉をいだく者同士が出会ったときには、必ず、見えないところで奇跡が始まっているんだよ。

p.44 これまで、ぼくたちにとってのほんとうの財産は〈経験〉だってことに気づかなかったんだね。

p.45 ほんとうの意味で〈働く〉というのは、〈経験〉をお金に換えることなんだ。

p.46 ぼくたちはせっせと自分のほしいものを買い集めるよりも、機会があれば、誰もしていないような〈経験〉をしていったほうがいいのは間違いないって思うんだ。

p.46 (多くの人が経験を財産にしておらず)ほとんどすべての人の行動の判断基準が〈損得〉だからじゃないの?

p.56 「ぼくらの可能性は、ぼくらの想像をはるかに超えたところにあるんだよ。それを、自分が手に入れられると想像できる範囲でしか行動しなければ、その可能性を開花させる人生なんて送れるわけないじゃないか!」

p.57 これをやったらこれがもらえるとわかっているものに対してしか行動しなくなると、自分の想像を超えたものが手に入る可能性をなくす。

p.58 「ほしいものがないのに、何をするのさ?」「そんなの決まってるじゃないか! 目の前にやってきたことだよ」

p.60 やりたいことの有無に関係なく、いま、目の前にあることに本気で取り組むんだよ。そうすれば自由な大人になれる。

p.65 かれらにも、〈やらなきゃいけないこと〉がないわけじゃないんだ。かれらにとって、〈やらなきゃいけないこと〉すら、〈やりたいこと〉なんだよ。

p.66 目の前にやってくることに全力で取り組めば、楽しく感じて、その中からやりたいことが湧いてくるんだって。

p.70-1 どうせやるからにはトコトンやってやろうというスタンスが定着してくると、その時間は楽しいものになるし、その中からやりたいことが湧いてくるんだよ。

p.73 これから誰に出会うかなんて、どんなに〈損得〉を考えても、将来を計算しても誰にもわかりっこない。でも、その出会いが中心となってぼくたちは人生を創っているんだ。

p.73 だから計算したり損得を考えたりして一歩踏み出すかどうかを決める生き方をするよりも、何か感じたら一歩踏み出す。

p.74 自分でも気づかないうちに、自分は〈損得〉を行動の判断基準にしていたし、情熱よりも計算をして、何が手に入るかわかっているものに対してしか行動を起こさない人間になってしまっていたことに気がついた。
 むしろ、勉強をして賢くなるというのは、そういう計算がちゃんとできるようになることだとすら思っていたかもしれない。

p.93 ぼくたちは自分と会話しながら生きているだろ。誰かと会話していないときは常に自分と話している。どこへ行こうとも、いちばんの話し相手である自分はいつもいっしょにいる。だから、こんな人といっしょだったら、旅は楽しくなるのになぁと思えるような人に自分がなるしかないんだ。

p.94 「ぼくの場合は、これから起こることはどんなことも楽しむと心に決めることが、旅に出る際のいちばん大切な心の準備なんだ。つまり旅は、行けば楽しいことが待っているわけじゃない。そんなことを期待していったところで、つまんない顔して過ごして、帰ってきてつまんなかったって言うのがオチさ。そうじゃなくて、起こることを楽しむと決めるんだよ」

p.97 起こることすべてを楽しむと決めて出かけるから、旅先で起こることがすべて楽しいことになる。旅には決して楽しいことが待っているわけではない。待っていることを楽しんでくるからいい旅になる。

p.124 自分が持っている〈才〉は、それを持ってきていない人のために使い、自分が持っていない〈才〉は、出会った人の〈才〉に助けてもらうことで旅はより楽しくなるのなら、もっと思い切って違う〈才〉に変えてみてもいいのかもしれないと考えはじめた。


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商いの道

2013-12-30 14:11:44 | Book Reviews
経営の原点を考える 商いの道 伊藤雅俊・著、PHP研究所、1998年12月25日

p.3 では、「(企業成長の)秘訣は?」と問われますと、「お客さまとお取引先を大切にする」「嘘をつかない」「感謝の心を忘れない」といった、商いというより人間としての基本を、毎日毎日飽きずに繰り返してきただけと申し上げる以外にないのです。もちろん人間ですから、少しうまくいき始めると、慢心したり、驕りたくなる時もありました。それを注意され、また自ら振り返って反省し、基本に戻る、その繰り返しであったような気がします。

p.15 忘れてはならないのは、お客さまからの信用が小さいうちはまだしも、大きくなった時です。その時ほど、一旦、信用を失ってしまうと、瓦礫のように崩れてしまう危険性があるのです。信用が小さいうちは一生懸命反省して取り戻せても、大きくなってしまったらもう取り戻せないこともあるのです。
 それとともに信用というものは、大きくなればなるほどさらに信用を高めようとすれば、それまで以上の精進が必要になるのです。

p.20 たった一つの笑顔にも心からの感謝が必要なんだよ、そのためには自分の感情なんて言ってられないよ――商いを成功させるということは、それほど凄まじい思いも必要なことを幼心に母から学んだような気がします。

p.26 ひがんだり、すねたりする人は、大成できないと、私は思っています。

p.28-9 だから「お客さまは来てくださらないもの」という気持ちで毎日の商いをしなければならないと母は私たちによく言っていました。
 店が暇な時こそ、いつお客さまがいらして対応できる態勢を整えていなさいというのです。まだお見えにならないお客さまのことを考えておくのが、商人だというのです。来ていただくことの幸せを心から喜びなさいというのです。

p.33 お客さまが安心感と満足感を持って商品を買っていってくださる、私どもを信頼されて買っていってくださる、そのありがたさに、商いの本質があるように思います。

p.34 店の経営で壁に突き当ったら、迷わず初心に帰り、現場に立つことです。

p.36 「伊藤さん、腹を立てて新しいことをやれば、あんたは気持ちがいいだろうよ。でも、それでは全部駄目になるよ。人生ってのは、誰でも重荷を背負っているんだよ」

p.35 「商人は孤独を生甲斐にしなければならぬ」
 そういう(企業のリスクを知らない)集団の中で、たった一人畏れをもって経営をするというのは、とても孤独なことです。経営者の決定に対して、誰も責任を持ってくれません。成功すれば褒めて持ち上げるけれど、失敗すればけんもほろろです。しかも一歩間違えれば社員やその家族を路頭に迷わせてしまうことにもなりかねません。

p.46 私は、何が売れるかわからなくなった時には、街に出て、そこに行き交う人を見ます。そしてどんなものに興味を示すか、どんなものを手にとるかを観察します。

p.47 時代に流行りとは関係なく、いつの世も変わらずお客さまが望んでおられるものがあります。それは、心からの気持ちのよいサービスを得られることです。

p.50 メーカーが製品の価格をつける場合、普通は原価計算に則って決めるわけですが、松下(幸之助)さんの場合は、価格が先に出てくるそうです。例えば、洗濯機がいくらだったらお客さまは買ってくれるだろうか、と考えるのだそうです。

p.58 私は、給与が“下されるもの”ではなく、社員が“決めるもの”である、と認識しています。

p.58 社員がやる気をなくす原因は、自分の努力が会社から正当に評価されていないと思い込んだ時です。給与面でも、待遇面でも、なぜ自分はこの立場にいるのか、という説明がなされなければ、疑心暗鬼になり、仕事への熱意もなくなります。公正にして誠実な対応が、ここでも必要になります。

p.67 目に見えないプラス・アルファーを供給するのに、企業規模の大きさは必要ありません。むしろ社員一人一人のクオリティーが勝負になるのです。

p.74 経済書や経営書などを必死に勉強し、頭の中で経営の理屈がわかったとしても、経営者にはなれません。お客さまや社員と日々接し、成功と失敗の織りなす中で得た知恵があってこそ、立派な経営者になれるのです。

p.76 売れる商品とは、お客さまが欲しいと思っている商品です。お客さまの心の奥底の、お客さま自身も気がつかない欲求を満足させてこそ、プロの商いだと私は考えています。そのためには、お客さまのことを、一番に考えることのできる仕組みを作り上げることが必要です。

p.90 「会社は自分の力で作っているのではなく、世間さまに作っていただいているのですよ」

p.96 ものが売れないのは、誰のせいでもない、自分の商いがお客さまのニーズに応えていないためと反省して精進しています。

p.103 お客さまの信頼を得られなければ、商いはうまくいかない、そのためには、人間一人一人を大切にし、誠実に接することによって、信頼を得なければならないということを、どんな場合でも(松下幸之助さんは)実践していらっしゃると感じたのです。

p.115 適正な競争とは、公正な精神のもとに秩序を重んじてなされ、お互い常に対立しながらも、同時にそれ以上に、調和、協調の気持ちを忘れてはならないものというのです。

p.123 商売好きな人は商売に滅ぶから、創業者は気をつけなさいよと。その実はついついのめるこんで視野が狭くなり、「気を見て森を見ず」になってしまうということなのです。

p.148 会社にとって、一番大切な財産は、資産ではなく、売上げでもなく、実は、人さまとの関係なのだ。


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どん底から最高の仕事を手に入れるたった1つの習慣

2013-12-29 16:39:57 | Book Reviews
「どん底から最高の仕事を手に入れるたった1つの習慣 福島正伸・著、中経出版、2013年8月23日

p.26 失敗からは学ぶことしかない

p.38 「では、ずっと失敗が続いたらどうなんでしょうか?」
 「そうしたら、こう思うだろう『こんなにうまくいかないってことは、きっと誰もできないぞ』って。『もしできたらすごいことになる』って、ワクワクするじゃないか! 失敗の連続は自分の弱さを知り、自分を磨いて本当の強さを持つために起こることなんだから、あきらめちゃもったいないよ」

p.39 「ピンチ」。その意味は、「チャンス」と書いた。その出来事をピンチと考えた時だけピンチとなるだけであって、チャンスと考えればチャンスになる。

p.90 どん底は、人の次元が変わるところだって・・・・・。

p.94 自分と同じような悩みを持つ人たちの役に立てることを考えればいいんだ。もっと自分の経験を、社会に生かしていけばいいんだ!

p.102 職場でお互いが競争すると、自分一人で仕事をすることになってしまう。そうなると、一人ひとりの能力だけで取り組むことになり、チームで仕事をする意味がなくなってしまう。全員が他人の支援をすれば、そのチームの仕事の成果は最大になる。

p.111 自分のすべてを受け入れてくれたその上司のために、最高の結果を出そうと誓った

p.115 「人が幸せになる組織のキーワードはね、「相互支援」。つまり、社員が助け合う組織ってことだよ。信頼し合い、助け合っている組織なら、きっと社員はみんなワクワクしながら仕事をいていると思うんだ」

p.116 信頼っていうのは、相手の発言や行動を見て、それが信頼できるかどうかじゃない。相手をそのまま受け入れることなんだよ。つまり、想い通りにならない相手をこちらが信頼することさ。

p.125 そもそも夢を実現したと言われるすべての人たちは、それぞれがまったく違った方法、経緯で成功しており、しかも誰もが恵まれない環境から成功したのだ。そこには人、モノ、カネ、情報、時間、など、いわゆる「経営資源がすべて整っていたから、夢を実現することができた」という人など、一人もいなかったのである。

p.126 共通していたことは、俺が会った成功者はみな考え方にぶれない軸があったということだ。
 すぐれた起業家の共通項は「いかなる環境や条件の中でも、自らの限りなく能力と可能性を最大限に発揮して、道を切り開いて姿勢」にある。

p.135 「一度やると決めたことが、どんなことがあってもあきらめない。そして、毎日成長し続ける。そんなあんたの姿が、人を育てるのよ」

p.152 「ピンチをチャンスに変えるんだよ! こっちの本気が周りに伝わることをやるんだよ」

p.154 一生賭けても何も成果が出ないかもしれない。それでもあきらめずにやるって。

p.154-5 窮地に置かれたとき、人は目の前に二つの道を見いだす。一つは、楽を求めてその窮地から遠ざかろうとする道。そしてもう一つは、どんなに苦しくてもその窮地の真っただ中を突き抜けていこうとする道。誰だって、真っただ中に向かう道を進みたいとは思わないだろう。しかし、窮地から遠ざかろうとする道の先は、たいてい途切れているものである。

p.158 僕は自分で話をしていて、『覚悟をすると、こんなにも他人の意見に振り回されないようになるのか』と、不思議なくらい自分の心が動じないことを感じていた。

p.166 『仕事は作業じゃない、企業理念を現実にするのが仕事だってことがわかった』『毎日の仕事が、世の中に役だっている実感がするようになった』

p.175 「そもそも、人を変えるために必要な本気って何でしょうか?」
 「私が、御社の社員のすべてを受け入れ、信じ切る勇気を持つことです!」

p.217-8 人生は、どんなに努力をしても、思い通りにならないことが、次々と起こってくることがある。それによって、努力とはまったく正反対の結果になることもあるかもしれない。だけど、どんな結果になろうとも、その先に未来があるって・・・・・。

p.222 お前が会社を変える必要なんてないよ。会社を変えることができるのは社員なんだから。

p.223 権力なんかよりも、真面目に一生懸命に生きることが人の心を動かす。

p.224 社員をやる気にさせるのが、社長の仕事だぜ!

p.243 どの道を選ぼうが、その道を一生懸命に進めばいい。サラリーマンになろうが、起業家になろうが、そこで必ず夢は見つかる。自分が体験したことに意味を見いだせば、自分の中に夢の種があるんだ。

p.244 どんな夢を見つけたって次々と、いろんな出来事が降りかかってくる。それを逃げないで受け止めれば、人生は、感謝と学びばかりの毎日になるよな。

p.246 人は誰しも、一人だけで幸せになることはできない。幸せは人と人との関わり合いの中で自分の存在が必要とされ、感謝されることによって生まれるものだからだ。それは、自分の存在価値の実感そのものである。

p.246 「相互支援社会」。それは、誰もがお互いに感謝し合っている社会。そのために必要なのは、人を信じること、人を支援すること、社会に貢献することによって、すべての人が助け合うこと、そこでは、誰もが自分が今ここにいる価値を実感できる。どんな環境に置かれていたとしても、そこで幸せに生きることができる。

p.252 思い通りにならないことがつらいと思うのではなく、思い通りにならないことから学ぼうとすれば、毎日が楽しくなるのです。

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山奥の小さなタクシー会社が届ける幸せのサービス

2013-12-15 20:27:52 | Book Reviews
「山奥の小さなタクシー会社が届ける幸せのサービス」 宇都宮恒久・著、日本能率協会マネジメントセンター、2012年11月30日

p.5 感動のサービスは特別な場所、特別の日のものでしょう。ハレのサービスです。それに対して幸せを感じるサービスやおもてなしは日常の中にあります。日々暮らすなかでのちょっとした喜びや楽しみ、安堵感、そういったものでしょう。

p.27 何かできることはないのか? お客様に少しでも快適に、そして少しでも幸せな気持ちを味わっていただくために何かできることはないか、とアンテナを立てている人だけが、チャンスをものにできるのです。

p.31 統制されたサービスや日常を忘れるような感動のサービスを提供できるわけではありません。でも日常に密着しながら、乗務員さん一人ひとりがその場面、場面で気づき、考えてサービスを提供しています。規制の強い業界であっても、一見成熟した業界であっても、まだまだサービスを向上させる可能性があるのです。

p.43 儲からないと思っているお客様は本当に儲からないのか。そういう疑問を持ってみるとまた違った世界が見えてくるはずです。

p.52 事情に合わせた適切なサービスは決してマニュアル化できないのです。乗務員さん一人ひとりが現場で考え、判断し、行動するしかないのです。

p.55 日常に即した最高のサービスはマニュアルでは実現しません。むしろ「マニュアルに書いてないから」とサービスを制限する力が働くかもしれません。そこがマニュアルの怖いところです。その点、理念は何万ページのマニュアルに負けません。もちろん理念が現場できちんと実践されることが前提です。

p.89 大事なのは子どもの健康か、喫煙の自由か。どちらが真の常識でしょう。声の大きな人の“常識”にとらわれてはいけないのです。

p.120 「企業同士の競争は、究極的に人と人との競争である。会社の規模や資金力でも知名度でも、グループ企業の支援でもない。また、建物でも決算書でもない。人である。人と人とがつくる社風こそが企業を支える無二の資産である」

 ハッとさせられる。あわよくば自分も手に入れたかったことが方向違いであったことに気づかされ、反省させられる。

p.128 人は十回言って、ほんの一瞬、微風が吹いたか吹かないかくらいのものでしょう。次の瞬間、言われたことはすっかり忘れてしまうでしょう。百回でも足りません。
 行動に移すのは一万回です。一万回、それを口にしてこそ浸透するのです。

p.136 タクシーが単に移動の手段であるとすればどのタクシー会社の運転手さんでもいいでしょう。でも、中央タクシーの乗務員さんでなくては絶対にダメなんだと言われるような社員でありたい、そういう理想を書いたのです。

 まさにそう。ウチの薬局もそうありたい。

p.161-2 数字を頭に置いてしまうとサービスがないがしろにされかねません。売上げや利益を念頭に置いていたら今乗せたお客様が困っていても、次のお客様を乗せるために走り去ってしまうでしょう。お客様主義を徹頭徹尾守るには数字を掲げる経営は不可能なのです。

p.173 「欠勤するな」「遅刻するな」「事故を起こすな」 このように「○○するな」の叱り方は決して社員のやる気を引き出せません。気が重くなったりして萎縮してしまいます。

p.174 企業の根幹は何でしょうか。私は人間関係だと思います。人間関係が良くなるとよい社風ができる。良い社風は良いサービスをもたらし、その結果、業績が上がっていくのだと思うのです。

p.176 中央タクシーの理念は「お客さまが先 利益は後」ですが、社内にあっては「仲間が先 利益は後」と言ってもいいような雰囲気があります。

p.184 私たちは仕事をしながら他人の人生に触れ、他人の人生を変えてしまう力があるのです。自分の仕事が、他人の人生を良くも悪くもするという視点に立たなければいけません。

p.185 お客様の人生を良くするも悪くするも、幸せにするも不幸にするも自分たちの責任感と使命感にかかっていると覚悟する必要があります。

p.187 人を運ぶのは「機能」かもしれません。でも機能だけではお客様の信頼、感動を得ることはできません。まして、お客様の人生に触れることはないでしょう。もしあってもそれは苦痛を伴う悲しい触れ方でしかないでしょう。

 薬を渡すのは、薬局の機能に過ぎない。薬を渡すだけなら、どこの薬局でも、医者でも、医院の事務員でもできることだ。ということは薬を渡すことだけとったら、そこに薬局の役割はないのだと思う。その人の生活や考え方に合わせて、係ることがなくては、なくてはならない薬局にはなることなどできない。

p.194 いろいろ(人と)比べる中で一番いけないのが、自分の仕事にプライドが持てないことです。自分の仕事を卑下してしまうとやる気が出ません。やる気が出ないから仕事がぞんざいになります。投げやりな仕事に対してお客様は感謝しません。

p.200 変化を嫌う業界でしたから、ちょっとしたサービス向上をはかれば少し差がつき、もっとやれば他が追随できないほどの差ができます。

p.208 経営者の最大にして最後の仕事。それが経営の権限委譲だと言われています。

p.212 本来、お客様主義とは人間主義と言えます。ですから、獲物を前にした狼やハイエナのように狂気にかられたように利益を追い求めたときに最初に喪失していくのは、人間性でありましょう。

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鍵山道場

2013-12-09 23:07:07 | Book Reviews
鍵山道場 人間力を磨く法則 鍵山秀三郎・著、ぱる出版、2008年9月1日

p.18-9 皆が皆、自分にとっての目先の利益だけを追い求めれば、他人のことに思いが行かなくなります。自分以外の者は押しのければいい、蹴落とせばいい、という考えで行動すれば、日々小さなぶつかり合いが生まれます。それが積み重なったとき、大きな事件として噴き出すわけです。

p.79 私は、掃除をしたから「業績が伸びた」などという具合に、掃除と経営を結びつけるのはあまり好きではありません。しかしながら、日々の掃除を通じて、地域社会やお客様方との間に良好な関係が築かれていったのは確かです。

p.89 私自身は「会社が儲かるから」とか「運がよくなるから」などと思って掃除に取り組んだことは一度もありません。

p.112 相手側の理不尽な要求を受けてしまえば、今度は私が社員に理不尽なことを強いなければなりません。

p.140-1 惰性の世界で生きている人ほど、自分が閉塞状況に置かれると、こうした(大きな天変地異や社会の激動などの)「外の力」を望みがちです。しかし、そんな大きな力は滅多にやってきませんし、仮にそうした力が働いたとしても、惰性の世界で生きている人の本質はほとんど変わらないものです。
 そうした人々は「今日」という日を「昨日の続き」という程度にしかとらえていません。今日が昨日の続きですから、明日も今日の続きです。「何かを変えなければ」と考えていても、朝目が覚めれば、昨日と何も変わらない一日が始まってしまうのです。

p.142-3 でも、本当は「今日」という日は、歴史上始まって以来の「今日」という日であるはずです。今日は「昨日の続き」ではなく、自分が一回も出会ったことのない、まったく新しい一日なのだということです。
 朝、目が覚めれば、その日はまったく新しい一日なのです。だから、自分もまったく新しい自分として生きていかなければなりません。そう考えるとき、人は「新しい自分」を求めます。自らの変化を求めていくことになるのです。

p.145 「やっても無駄」という気持ちを乗り越えて、それでも少しずつ地道に続けていくことができるかどうか。この強い気持ちがあってこそ、小さな変化がいつしか大きな変化へとつながっていく力になるのです。

p.154-5 「明日からでいい」と考えてしまうと、次の日になっても、また「明日からでいい」となってしまい、結局はやらずに終わってしまうからです。
 何をやるかを決めたら、手間ひまを惜しまずに一所懸命打ち込み、続けていくことです。

p.156 私も、社内の掃除を続けながら、もっと効率よくきれいにする方法はないかということを常に考えてきました。注意したいのは、「手抜きをするための方法」を考えるのではないということです。大切なのは、まず一つのことを徹底すること。その「徹底」の度合いをさらに高めていくためにどうすればいいかと考えるのが、本当の「工夫」です。

p.173 自分に足りないものを挙げ連らねる人は、人を貶めることで自分の地位を引き上げようとします。それでも足りない場合は、うわべだけを着飾ったりしながら、「自分はあの人よりも上なのだ」ということを誇示しようとします。

p.181-2 仕事の現場などで、他人に親切にするということは、その人の骨折りや労働を正当に評価してあげることです。成果主義が横行している中では、たとえば同じ部署にいる人が成功すると、その人がどんなに正当な手段で仕事を成功させたとしても、つい妬みやうらみのような妄想が頭をもたげがちです。

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社員が会社のために動きたくなる51のこと

2013-12-08 22:25:46 | Book Reviews
「社員が会社のために動きたくなる51のこと」 吉田和彦・著、あさ出版、2013年7月25日

p.23 社員が自ら動ける仕組みづくりは社長自身のためだけではなく、社員のためにもなります。社員が自分で考えられる人間になるからです。要するに、人が育つということ。社長が何でもやっていたら人は育ちません。人を育てるというのは社長の任務のひとつといえます。

p.28-9 不信感を持っている社員は、社長や会社のために率先して動いてはくれません。社長の思いやりが伝わることで、社員は「自分たちのことを思ってくれている社長、そして会社のために」と自分も必死になって動いてくれるのです。

p.43 極端な話をすると、子どものおむつが安いものしか買えず、おしりがかぶれてしまった。このかぶれは社長の責任です。

p.55 自社でまったく知らないことがあるというのは、社長としてはあってはならぬこと。

p.60-1 「いい社長」は、社員から尊敬されている。「最高の社長」は、社員から「いるのかいないのかわからない」と思われている。この状態をつくり出すには、「社員に仕事を任せることができる社長」にならなければなりません。

p.62-3 社長はつい口を挟みたくなっても、基本的にはグッと言葉を飲み込んで我慢し、社員が間違った方向に進んでいるときだけアドバイスしましょう。それが、社員の成長につながったり、社長がいなくても、変わらずうまく回る会社をつくることができるのです。

p.126 社員に自ら動いてほしいなら、判断軸を伝えておくことです。会社の方針がはっきりと決まっていれば、社長が何も言わなくても、社員それぞれが方針に沿って考え、行動してくれます。

p.150 「社員ができない」と嘆く前に、まずは作業の仕組みを見直しましょう。人を責めても根本的な原因は解決しませんし、仕組みを見直すことが社長の仕事なのです。

p.163 社長は「人」ではなく、「仕組み」にメスを入れましょう。「仕組み」が変われば、自ずと「人」も変わります。


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会社の目的は利益じゃない

2013-10-27 10:15:08 | Book Reviews
『会社の目的は利益じゃない 誰もやらない「いちばん大切なことを大切にする経営」とは 横田英毅・著、あさ出版 、2013年7月31日

p.3 しかし私は、「質のよい会社をつくって、その結果として量を増やしていく」ことが、本来の経営の在り方だと思います。それが、働く人にとって、お客さまにとって、地域にとって最も幸せな形であり、永続をも可能にすると考えるからです。

p.17 一人ひとりがもっている可能性を、人生で最大限に発揮できる――。それができた人こそ、勝利者です。すべての社員に、会社でそれを実現してもらい、辞めるときに「この会社で働けて本当によかったな」と思える自分になってもらう――。会社とは、そのためにさまざまな工夫をしなければならないところである、と私は考えています。

p.21-2 結果ばかり評価すると、社員は当然、結果のみを求める働き方をし始めます。つまり、プロセスである顧客満足などはあまり意識しなくなってしまうのです。ところがお客様の満足は、自分たちのやりがいである社員満足につながっています。お客様が満足してくださり、感謝と信頼の言葉をかけてくださる。その言葉が、社員たちの満足になるのです。
 ですから、結果だけを求めて顧客満足度をあまり考えない仕事のやり方をすると、自分たちも満足できず、やりがいもなくなってしまいます。つまり結果を追い求めながら、逆に、結果を遠ざけていることになります。結果を求めるのであれば、プロセス、つまりお客様の満足を求める必要があるのです。

p.31 そして真の原因を取り除いても、結果が出るまでにはさらに時間が必要です。このように、問題解決には多大な労力がかかるため、多くの人はとりあえず、「問題対処」を選んでしまうのではないでしょうか。

p.38 会社の目的は、売上げや利益ではありません。売上げや利益は目標です。会社の目的は、「社員を幸福にする」などのように、そうなりたい、そうありたいと思う姿なのです。会社は売上げや利益などの目標などではなく、それらの目的を大事にしなければなりません。

 売上げや利益は「手段」とする人もいる。どちらもしっくりこないが、同じようにどちらもなんとなくわかるような気がする。利益や目標だとすると、それは追っていくものであり通過点とも捉えられがちだが、参考値程度にすぎず、目的の達成度を示す他の指標が目標ではないかと考える。

p.40 会社の場合、どうして売上げが上がらないのか、どうして利益が出ないのかを突き詰めていくと、「社員がいやいや仕事をやっているから」ということが原因である場合が多々あります。なぜやる気をもてずに、いやいや働いているのか? それは、彼ら、彼女らが、給料のために働いているからです。給料をもらうという目標のために働くのでは、仕事への情熱など生まれるはずがありません。いやいや、しぶしぶの、やらされ仕事になってしまいます。

p.41 経営者は、売上げや利益などの目標を後回しにすることに不安を感じるかもしれませんが。しかし実は、いくら目的を強く意識しても、目標をおろそかにすることにはなりません。目的を10でやっていると、目標は8でもよくなってくるのです。そして目標を8、7、6とどんどん少なくしていくと、目的のウエイトが高くなり、社員が幸せになれ、組織が活性化し、その企業は永続化します。

p.43 「なぜ会社の規模をもっと大きくしないのか?」という質問の背景には、「それほどいいモノだったら、もっとたくさんつくって売ればいいのに」という考えがあるのでしょう。
 「いたずらに量を拡大すると、ほかの人のシェアを食ってしまう。するとほかの人は値下げをする。そうなるとこちらも値下げさざるを得なくなる。そんなことをしているうちに、全体の質が下がる。その結果、全体の量が減っていく。だれも、得するものはいない」と。

p.44 混乱する材料が山ほどあるので、本来の「質をよくしていき、その結果として量を増やしていく」という、いちばん正しいやり方を見失いがちになるのでしょう。

p.50 完成度の高い経営理念を形成するためには、「何のためにするのか」という企業の使命(目的)を明確にしていくことが必要です。

p.58-9 中小企業は一つの拠点に力を注ぎ、他に類を見ない卓越したサービスを提供することに徹したほうがよいのではないでしょうか。そうすれば、たとえ一店舗でも、複数の店を合わせたくらいの成果を得られるでしょう。
 多店舗展開そのものを否定する気はありませんが、店を増やそうとする前に、遠方からわざわざお客様が足を運んでくださるくらい、とことんお客様に愛される存在になる。こうした努力をし続ける店が魅力ある店なのであり、景気に左右されない店になると思うのです。

p.73-4 不人気業種というのは、採用には有利です。待遇や給料ではなく、仕事そのものに魅力を感じた人が来てくれるからです。わが社は不人気業種であるだけでなく、低賃金で働き放題ですから、お金がほしい、楽をしたいという人ではなく、やりがいがほしいという人だけが残ります。

p.81 質を高めるというのはどういうことでしょうか? 会社のすべては、人が生み出します。だから、人の質が、会社の質です。

p.91-2 リーダーシップとは主体性のことで、ひいてはまわりから信頼される人、という意味なのです。よってリーダーシップは、リーダーであろうとあるまいと、仕事をするうえで必要なもののひとつです。
 本来、リーダーシップは、部下を統率したり、指示命令して人を動かしたりすることではないのです。

p.93 経営とは、変えることです。多くの人がやっているのは、管理ではないかと思えてなりません。

p.100 つまり、上司からの指示を受けることが多い一般社員の多くの仕事が、主体性のないロボットのようなものになっているということではないでしょうか。それぞれの社員が自分の人間力を発揮する機会を与えられていないため、「やらされている」という思いが強くなっている気がするのです。

p.101 幸い、わが社の場合は、成長の実感があり、自分で考えて仕事ができ、自由に意見が言えて、努力は評価され、職場の人間関係やコミュニケーションも良好で、セクショナリズムもない、と感じている社員がほとんどだということになります。
 なぜ、わが社の場合はこのような結果になっているのかというと、それは意識して、社員の主体性、すなわち人間力を失わせないよう心がけているからです。

p.112 今も大事ですが、将来も大事だという価値観。お金も大事ですが、お金以外にも大事なものがいっぱいあるという価値観。自分を大切にしようと思ったら、自分以外の人を大切にしないと自分を大切にしたことにはならない、という価値観です。

p.122 人は誰でも、人に喜んでもらうことに喜びを感じる気持ちをもっています。そしてそれが、自分を成長させることになることを知っています。ですから、社員の幸福を本気で実現しようと思うのなら、お客様に喜んでもらえるかどうかがわかるしくみをつくり、自分を成長させる機会が十分に組み込まれている形をつくるのです。

p.128 むしろ恐れるべきは、販売している商品のおかげで売上げだけがどんどん伸びていくような状態だと私は考えていました。
 質の高い成長のためには、一人ひとりの社員や組織にチームワーク、お客様との信頼関係などが、売上げの伸びとともに成長していかなければなりません。

p.139 やはり、何気ないように見える日常業務のなかで、社員自身が「問題を発見し、解決する」というプロセスを、自ら学びとっていくことが最も重要です。わが社の場合、人材を育成する方法として重視しているのは、社員への権限委譲と、プロジェクトチームの運営です。

p.141 権限委譲なしに人のやりがいは育めません。ここは勇気が必要なところだと思います。

p.145-6 実際、(プロジェクトチームによる問題解決は)まどろっこしくて時間もかかるのですが、このやり方には、そうしたデメリットをはるかに上回る効果があるのです。
 最も大きなメリットは、「コミットメント効果」で、能動的な公約が生まれるということです。プロジェクトチームでは、立場やキャリアに関係なく、参加者みんなが意見を述べ、全員が納得したうえで意思決定をしていきます。このプロセスを通じて、社員それぞれに「会社の意思決定に自分も参画した」という意識が生まれ、決めた約束を果たそうとする意欲が高まっていくのです。

p.149 (上司への)報告を義務化したら、権限委譲になりませんし、せっかくの自主性を取り上げることになってしまうからです。

p.150 「経営会議の主導権を社員に与えて、自分たちの都合のいいように物事を決められたらどうするのか?」と疑問を持つ人もいるでしょう。
 しかしわが社では、社員たちが集まって重要なテーマを議論するなかで、明らかにおかしな主張をする人がいたら、「『レベルの低い社員がいる』という問題が顕在化した」ととらえます。つまり、経営会議は、問題発見の場でもあるのです。

p.157 要するに、その会社の社員は乗組員ではなく、乗客のつもりだったんでしょう。乗組員だったら、難関を切り抜けようとして力を出しますが、お客さんだったら暗くなって、誰かが何かをうやってくれるのを待っているだけです。会社の社員がお客さんのつもりでは、それは元気もなくなりますよ。

p.161 つまり「社員を大切にする」ということが方便になってしまい、「業績を上げたいから、社員をいちばん大事にしよう」と思っているのです。
 「業績を上げる手段として、社員を大切にする」と考えるのであれば、その人は、元の「業績第一」の考えから、まったく抜け出せていないということになります。
 よい会社をつくりたいのであれば、本気で「社員を大事にしよう」と思わなければなりません。「社員とその家族を幸せにすつ」lことが目的で、業績がそのための目標にならなければなりません。その逆ではないのです。

p.163 働く人の幸せはやりがい以外にありません。そしてやりがいが高まるのは、自分が、自分のもっている人間力をフルに発揮したときです。ですから、社員が自分の人間力をぜんぶ発揮して、深いやりがいを感じるようなしくみをつくり、その結果、売上げや業績がよくなっていく、というのが本来の順序ではないかと私は思います。

p.170 この(お客様からの)信頼感や期待感は、「自分たちの要望が無視されることはない。サービスに必ずフィードバックされるはずだ」とお客様が感じることからつくられます。自分たちの声が、その会社のサービスを変えていくという、実感が必要なのです。

p.178 「みなさんやらされていないですね」 そうか、内側から沸き上がってくるサービス精神でやりがいをもって働く人々がお客様を感動させるのだと、このとき気づかされました。

p.187 自分の担当ではないお客様には、120%で対応する」 よく知らないお客様だからこそ、さらに気を配るのです。

p.196 わが社のイベントおよびサービスの最大の特徴は、「車の販売にはこだわらない」こと。モットーは、「今日の一台より、将来の100台を!」です。

p.208 経営者がいくら「プロセスを重視する」と言っても、社員がプロセスをないがしろにして自分の成果を追い求める、という現象が発生しているようです。
 それはなぜかというと、多くの場合、プロセスを評価するしくみができていないからです。「プロセスを重視する」と言っておきながら、ほとんど売上げなどの結果だけで評価してしまっているからです。


★★★★+1/2
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集客は「地域のお客様」からはじめよう!

2013-10-20 14:28:12 | Book Reviews
「集める」から「集まる」店へ 集客は「地域のお客様」からはじめよう!』 望月まもる・著、同文舘出版、2013年3月13日

p.1 売りっぱなしの店には魅力を感じませんが、自分を大切にしてくれる店には、また行きたいと思えるものです。店側の働きかけが伝わるからこそ、地域の隣人に愛され、お客様が「集まる店」は成立します。これこそ地域集客の目指すところなんです。

p.14 お客様をだましているのなら、顔も名前も出せないでしょうが、公明正大、朝から晩までお客様のために尽力しているにもかかわらず、地域で知られていないというのは、あまりにももったいないのです。
 それに顔も名前も出さずして、地域の方たちからお金をいただこうとするのは、アンフェアだと思います。正々堂々、「○○屋のおっちゃん・おばちゃん」を名乗る、知ってもらうことは、地域の方たちから選んでいただく第一歩なのです。

p.16 そもそも大手と中小は商売の仕方が異なります。他店舗展開、大量販売を行いながらスケールメリットの中で行う商売と、地域密着型で地域と共に歩む商売では同じ土俵に立つこと自体が間違いなのです。なるべく手間と時間をかけず、薄利多売で利益を出す方法と、大量に売れなくとも手間と時間をかけながら丁寧に商売し、利益をいただくやり方では、「そもそも」の部分が異なるのです。

p.17 「お客様は神様です」と言われていた時代がありました。しかし、現代は利益優先のために合理化、効率化、数値化が進み、この「お客様を大切にしていこう」という精神が損なわれた気がします。

p.22 商売人は、お金と商品(サービス)を等価交換しながら、お客様に「商品(サービス)を媒介とした幸せや解決」をお届けすることが責務です。

p.26 「お客様が集まる理由をたくさん持っている店」があれば、必然的にその地域は活力を増していくと思っているくらいです。

p.40 地域の住民にすれば、暮らしの中で教えてもらえる生きた情報は、教えてくれるあなたへの敬意につながり、それがプロ(あなた)の価値になるのです。

p.42 その商品(サービス)を用いると、お客様の「どんな悩み」が「どう解決するか?」を伝えると響くものです(一部の商売では宣伝文句に法規制があります)。また解決するだけではなく、どんな利便性が手に入るのかということもつたえると、「マイナスからプラスになる効果」を感じてもらえます。

p.44 現代のお客様は「どこで買うか、いくらで買うか」だけではなく、「誰から買うか」も価値として選択しているのです。

p.60-1 リピート客は、もしかすると「妥協の買い物」をしぶしぶ行っている可能性があるということです。だからこそリピート客の多い店は、これからのお客様をどうやってファン客にするかという明確な課題があります。

p.70 商売人にはこだわりや姿勢、お客様への想いなどの「熱」が存在するものです。「熱を伝えたい!」と街に飛び出し、直火で熱する商売人に比べ、「仕事だから」という気持ちで間に入った人たちの熱はいかがでしょう?

p.71 集客の技術などではなく「地域のお客様にダイレクトに届く商売人の熱」が成果の理由だと確信しております。

p.88-9 このように(「ご挨拶」と「初売り」とで)、きちんと目的と分けて言葉がけをしている姿勢を見ると、「お客様を大切にしている店なんだな」と深く感じるのです。地域のお客様たちに昨年のお礼を伝え、今年のご挨拶をする。たったこれだけでも、チラシに「心」を感じます。

p.93 「俺は5年後のために、チラシをつくって配っている」

p.120 サービス業に関わる方たちは、自分も立派な商品です。

p.148-9 繁盛店といわれる店では、「誰に来て欲しいのか」という基軸から組み立てた色々なイベント、しかも「販売」を目的にしていない(結果として売れていく)接触機会を定期的につくっており、好評を博しております。
 彼らは、お客様たちと共に楽しもう、楽しませようと言う基本姿勢を持っています。緊張感のない場を創造し、そこに集う方たちと語らい、仲よくなるという自然な場です。

p.149-150 店からのお誘いが販売に偏っておらず、楽しそうだったり、役に立ちそうなお知らせならば、お客様は読んでくれます。それだけではなく、「買わされる」という警戒もなくなり、店との垣根がなくなるため、容易に足を運んでくれますし、何よりも「店とお客様」「スタッフとお客様」の距離が近づくという効果があります。
 「楽しそうだから」「役立ちそうだから」という動機があれば、お客様は自然に集まり、来店するハードルがどんどん低くなります。また、貴族意識(「私のお店」という感覚を持つと、「自戒はお友達も誘って来よう」とか、「用はないけど来ちゃった」ということも起こるのです。

p.153 お客様は、店や商品、サービスに対する理解度が増したり、感動体験があった時に、「帰属意識」が生まれます。
 まずこちらから率先して誘い続け、「あなたともっと仲よくなりたい」をいう意思表示を続けることはとても大切なのです。つながろうとする意識、縁を大切にする姿勢を提示することで、お客様も店を理解してご来店してくださいます。

p.176 多少気にいった店であっても、きっかけがない限り、「最近そういえば、行ってないなあ」と思い出すことは、なかなかないものです。他店にも魅力的な商品やサービスがたくさんあるので、人は「思い出す機会」がなければ、忘れていくものです。だからこそ、ニュースレターで「店を思い出させる」機会を定期的につくるのはとても大切なことです。

p.180 ニュースレターを発行している会社は間違いなく売上が伸びています。しかし、売上を伸ばすことを目的としてニュースレター制作に臨むと、結果が上がらなかった際に、モチベーションダウンが起こるので、長続きしなくばることも少なくありません。

p.188 あなたの商品やサービスを購入している方たち向けに発信する場合は、あなたの商品を120%活用してもらうために、「え? そんな使い方があるの?」「そう食べるとおいしそうね」などのように、さらなる提案をすると、とても喜んでくれます。

p.191 店、会社を超えて、業界の最新情報なども立派なニュースです。一般の方はなかなか知りえない情報はお客様の興味をひきます。社会のニュースが、自分の業界にどう影響を与えるのかを示せば、それだって立派なニュース。

p.215 「やってみよう」と気軽に始める人は多いですが、やめる人も多いので、やり続けている残った人に「福」がやって来るのです。


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お客様に喜びと感動を届ける会社

2013-10-20 10:17:08 | Book Reviews
「お客様に喜び感動を届ける会社 心をつかむ本気のCS PHP研究所・編、PHP、2012年4月12日

p.18 世間には“お客様第一”と言いながら、自己の利益・地位を優先する“自分第一”を押し通す企業・人間がまかり通っています。そうした人たちは“顧客満足”と“自己満足”を取り違えているのです。儲けるための“自己満足”から発想してつくった“顧客満足”をいくら唱えてみても、お客様が離れていくのは当然のことでしょう。

p.37 メーカーは技術と技能を売るが、同社は情緒と感性を売り込みながら、顧客に対する提案を行っていく。メーカー側に対しては営業視点をもってカバーする一方で、『お客様がこれを扱ったらどうなるか』という顧客視点で物事を考えつつ、お互いに“キャッチボール”を進めながら、ベストのソリューションを見出していくのだ。

p.44 先に安並は「答えは、お客様が持っています」と語ったが、社員たちがその「答え」に近づいていくには、顧客先のビジネスに関連する市場の動向や流行、ユーザーおよび最終消費者に対する深い理解が欠かせない。その意味で、同社の社員たちが、さまざまな業種業態のビジネスを、一人の顧客として理解していくことは、ビジネスの現場を起点にした戦術・戦略眼を養うとともに、顧客先に対する提案の質の向上にも大きく役立っているようだ。

p.82 「いかに才能があっても、知識があっても、熱意の乏しい人は画ける餅に等しいのです」

p.86 「運命は、変化するものである。それゆえ人間は、自分流のやり方をつづけても時勢に合っている間はうまくいくが、時代の流れにそわなくなれば、失敗するしかない」

p.100 クア・アンド・ホテルのメインの仕事は、お客様から寄せられた声に基づいて改善を実施することである、といっても決して過言ではないほどである。
 ただし、改善をしたからといって、それがよいほうに転がるとはかぎらない。いったん改善したことがものの一週間も経たずして元に戻ったり変更が加えられたりすることもよくある。

p.101 むずかしさはあるものの、そのなかでよりよいサービスを実現するためには、すべての従業員が「お客様の喜びは、自分の喜び」と感じられるかどうかにかかっているといえるだろう。

p.133 リフォームのスタートはお客様に関心を持つこと。ゴールはお客様の笑顔。これが顧客に喜んでいただくための澤口の信念なのである。

p.143 顧客満足の考えもさらに進め、顧客の未来のライフスタイルや生活環境、さらには将来的に住まう人が変わったときの建物にまで目を向けるようになっていった。

p.150 「お客様には便利屋さんと思われているかもしれませんね」

p.154 CS向上のうえで、顧客の話に真剣に耳を傾けることはもちろん大切だが、たんに「お客様の要望に合わせる」だけでは、CSが実現しないのも否定できない事実。

p.164 私は『立派な家』と『良い家』は違うのではないかと思います。多額の予算を使い、高価な材料を使えば『立派な家』ができるのかもしれません。でも『良い家』は住まわれるご家庭の最適な住環境をご提案する設計でつくるものだと思うのです。

p.165 「『立派な家』が『良い家』とは限らない」という橋本の言葉は、住宅メーカーが、顧客それぞれのライフスタイルやニーズに応えるよりも、自分たちが考える「高機能、高品質な家」を提供したいと考えがちな、つくり手主導の昨今の風潮に対する、自戒や反省の言葉ではないかとも思える。

p.168 「この会社は信用できない」と一度でも思われたら、いくらCSをやっても顧客は離れていく、というのがハシモトホームの共通認識だ。

p.177 「店はお客様のためにある」
 「お客様のための店舗」をつくるためには「お客様が喜ぶことは何か、どんなことに温かさや豊かさを感じていただけるのかを考え、実践することが大切」

p.179-180 「お客様がよく買っている好きなパンを覚えなさい。パンを交えた会話を通じて、『いつも店に来ていただいていることを、きちんと覚えていますよ』という意思表示をしなさい」

p.181 店舗に対する顧客の愛情、あるいは愛着(ロイヤリティー)が向上することは、企業にとって歓迎すべきことである。だが、その反面、店舗をこよなく愛する顧客は、より高い水準のCSを求め続けていくということなのだろう。

p.187 「『あの時が一番幸せだったなあ』という思いが込み上げてきて、そのとたん、私は自分が何をしたいのかを悟りました。それは、規模を拡大するとかお金儲けをすることではない。お客様に認められたい、褒めてもらいたい、そんな毎日を送ることができたら幸せだろう、同じやるなら理想的なパン屋をやろう、と――」


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カリスマ社長の大失敗

2013-10-06 10:52:37 | Book Reviews
「カリスマ社長の大失敗」 國貞文隆・著、メディアファクトリー新書、2013年6月30日

p.16-7 経営学者であるドラッカーは、成功した経営者を取材して、ある共通項を見出した。彼らの性格はそれぞれバラバラでなんら共通したところがない。「成功するために共通した性格や欠点」なんてものは、見つけられなかった。ドラッカーがただ一つだけ見つけた共通点、それは「最後まであきらめずに成し遂げる力」だったという。

p.24-5 「なぜこんな大ピンチのときに、都合よく救世主が現れるのだろう」「どうせ最初から恵まれているからうまくいったのだろう。俺とはやっぱり違うんだ」。そう思うこともあって、成功した起業家をインタビューしたとき、その疑問を投げかけてみた。人生そんなにうまくいくはずないじゃないか、と。
 だが、生来「私の履歴書」に登場しそうなその起業家からは、思いがけない言葉が返ってきた。
 「それが不思議とそうなるんだ。困っていたら、誰かが突然現れて手を差し伸べてくれる」「よく『成功したければ、ドアをこじ開けてでも』、というけれど、私はそうじゃないと思う。ドアは自然と開くものなんだ。では、どうしたらドアは開くのか。それは目の前の仕事をおざなりにせず、何度失敗しても一生懸命に取り組むこと。そうすれば、ドアは開くんだよ」

p.29 なぜ彼らが愚直なまでに試行錯誤を繰り返して、長い雌伏のときを耐え、成功をつかめたのか。彼らには対象へ向かう「負けたくない」「自分にウソをつきたくない」「この仕事しかできない」というブレない気持ちがあったからだ。
 意外と思われるかもしれないが、そのブレない気持ちは、たいてい「自分は他者よりも劣っている」というコンプレックスから生まれる。私が取材してきた創業者や経営者は必ず、大きなコンプレックスをもっていた。

p.34 (環境や状況に恵まれなかった)そんなとき、彼らはどう対応したか?
 「くさらなかった」のである。自分を嘆いてずっと落ち込むこともなかった。一時的に落ち込むことはあっても、引きずらなかった。与えられた境遇なら受け入れるしかないと、彼らはそこから考え、動いている。マイナスな場所にいるなら、プラスの場所に行けるように努力しているのである。
 倒れても倒れても前に進もうとする。「七転び八起き」という使い古された言葉を文字どおりに生きるその姿は、意外にカッコ悪くない。

p.58 今、いつか世間で脚光を浴びるときを密かに待っているビジネスマンだって、少なくないのではないだろうか。ただ多くの人が、そっとその野望をあきらめてしまうだけだ。しかし石井(久)は違った。できる手をすべて尽くして世に出ようと踏ん張った。

p.75 そもそも「大失敗」は、本人が有頂天になっているときによく起きるものだ。

p.82 困難な道とそうでない道の二つの選択肢があった場合、多くの成功者はあえて困難な道を選んでいる。

p.90 勘違いされがちだが、成功はだんだん近づくのではない。ある日突然やってくるのである。「突然やってくる」背景に継続的な努力がある。日常を真剣に過ごさずに訪れる成功などない。もし訪れたとしても、すぐに過ぎ去っていくものだ。成功するところまで努力を重ねれば、成功は必然的に訪れる。

p.103 鮎川(義介)は常に「俺は生きている間にほめられる人間ではない」と親族に語っていたという。決して言い訳めいたことは言わなかった。ときに大言壮語にも思えたという鮎川の言葉は、私利私欲を考える人間には奇異に聞こえたことだろう。

p.104 私心のない人が、今の日本にもいるだろうか。誰のために、なんのために「失敗」し、試行錯誤を繰り返すのか。失敗してはあがき続ける行為は、人間の度量が試される鍛錬の場でもあるだろう。
 「疲弊した日本を立ち直らせたい」――戦後、多くの経営者のモチベーションはそこにあったように感じる。

p.123 「大きくなるための過程には、必ず失敗というリスクがついてくる。成長と失敗は紙一重ということなのだ」

p.129 創業者は基本的にマイノリティーである。つまり成功者はマイノリティーだ、ともいえる。

p.134 成功者に共通していたのはただ一つ。「なすべきときになす」能力を発揮することだった。つまり、成果を上げるリーダーとは、執拗なまでの集中力を保てる人間だということだ。

p.144 「なんとか黒字は確保しなければと思っているのですが・・・・・」「いいよ、そんなの。もっと中長期の経営を目指しているんだろ? だったら、自分の信念を貫けよ」

p.165 ベンチャービジネスは、「ヒト」「モノ」「カネ」のすべてが“ないない尽くし”のなかで始めなければならない。だから、成功よりも失敗が先にやってくる。小さな失敗を重ねながら続けていると、ある日突然大きく伸び始め、そこからまた、足りないものが見つけられて改善が図られていく。ベンチャービジネスは、その繰り返しだ。

p.204 経営には覚悟がいる。

p.208 商売というのは、現状があまりうまくいかないときに、『だったら、どうやればうまくいくのか』ということを徹底的に考えるということであり、成功したと思った時点でダメになるのだと思う。

p.209-10 経営とは非常に難しいものだ。失敗から学んだと思っても、また失敗してしまう。それだけ経営は人やモノの組み合わせの妙でできている。その妙が偶然でも達成できれば成功、戦略的、意識的に組み合わせてもダメなら単純に失敗する。いくら理論を学んでもこれだけは結局のところ、試行錯誤を続けるしかない。重要なのは、うまくいく方法を探して修正し続け、決してあきらめないことである。

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社員と顧客を大切にする会社

2013-09-08 21:41:36 | Book Reviews
『社員と顧客を大切にする会社 「7つの法則」を実践する優良企業48 坂本光司・著、PHPビジネス新書、2012年12月4日

p.22 たとえば、企業経営の三要素として、「ヒト」「モノ」「カネ」といわれます。さらに、「技術」や「情報」が重要な要素として加えられることもありますが、これらはもう忘れてしまってもいいでしょう。
 なぜなら、企業経営にとって大切なのは、一に人財、二に人財、三に人財だからです。あとは、人財のための道具にすぎません。人財がすべてに、そして圧倒的に優先するのです。

p.24 企業の目的は人の幸せを実現することです。
 業績を高めることでも、成長発展させることでも、市場で一番になることでもありません。これらはすべて結果としての現象です。
 つまり、人をとことん大切にして、人を幸せにした会社が、業績が高まり、成長発展し、市場で一番になるのです。人を大切にする、人を幸せにするという最大の目的を実現したご褒美としてすばらしい結果が出るということです。この目的と結果を取り違えてはいけません。

p.24-5 業績は目的ではなく結果です。そして手段です。業績は、企業が人を幸せにするという目的を継続的に達成するための手段です。ですから、手段である業績を追い求めるのではなく、企業は人を幸せにするという目的を追い求めるべきなのです。
 そのためには、「それをやったほうが人が幸せになるか、やらないほうが人が幸せになるか」という価値観で意思決定をする必要があります。

p.41 新商品を開発するのは社員です。新商品を開発するのが楽しい、新商品を開発することが会社のためになる、開発すればするほど自分も幸せになれると社員が心から信じているからこそ、一年間に一〇〇〇点もの新商品を開発できるのです。

p.43 「なるほど、ならば、がんばって業績を上げて社員の休みを増やそう」
 そう考えた経営者やリーダーのみなさん、それが間違いなのです。因果関係が逆です。業績が上がったから休みを増やすのではなく、休みを増やすから業績が上がるのです。

p.48 私は、価格競争力で競う時代は終わったと思っています。ですから、これからの将来戦略を考えるときに価格競争力の優位性で勝負しようなどというのは愚の骨頂。

p.49 日本の会社の生き残り策というのははっきりわかっています。大ロットの大量生産はもうやるべきではありません。
 日本の会社が目指すべきは、非価格競争力の優位性です。

p.50 多くのお客さまを魅了しているのは社員のちょっとした心配りであったり、気遣いであったり、思いもしなかったひと言や行動なのです。

p.60 お客さまを喜ばせるのは社員です。株主を喜ばせるのも社員です。お客さまが喜ぶ新商品をつくるのも、お客さまが感動するサービスを提供するのも社員です。
 「ニワトリが先かタマゴが先か」という話ではなく、社員は顧客よりも株主よりも先に大切にしなければならないと決まっている話なのですから、経営者やリーダーは、社員第一主義に変わらなくてはなりません。変わりたくないという人は、経営者やリーダーを辞めるしかない。

p.61 「社員を大切にしているか」を見るモノサシ
 (1)教育訓練費÷売上高   0.3%以上
 (2)教育訓練時間÷総労働時間   2%以上
 (3)教育訓練費÷社員数   1万円以上

p.88 真の強者は、弱者への思いが強いものです。真の強者は、利他の心が強いものです。

p.91 どんなに苦しくても幸せがほしいのです。お金では幸せになれない。毎日、毎日、自宅に籠っていても幸せにはなれない。だから企業はその働く場を責任もって提供しなければならないのです。

p.106 では、そうした高齢者が何をやっているかというと、ラインの長ではありません。つまり課長や部長といった管理者からは外れます。その代わり、自分の長年の経験や、培った技術や技能を若者に伝授する指導者、先生になっているのです。

p.183 CSとESを対立関係のようにとらえて、顧客を大事にするか、それとも社員を大事にするかというふうに二項対立で考える人がいますが、それは違います。CSが大事だから、ESがもっと大事なのであり、CSを高めるためにESを高めるというのが正しい捉え方です。

p.204 「それで何の得があるのか」。この会社にそうした考えはありません。得をするとかしないとかは関係ないのです。

p.215 では、どうして直接的な利害関係のない人たちを大切にしなければならないのかといえば、それが繁盛する会社の法則だからです。

p.223 地域住民、地域社会との絆づくりは、結果として社員のモチベーションを高めます。社員を優しくします。それはお客さまにもひしひしと伝わり、お客さまの心を動かすことにもつながるのです。

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死をおそれない生き方

2013-07-21 10:25:11 | Book Reviews
「死をおそれない生き方」 桜井章一・著、主婦の友社、2012年5月20日

p.22-3 元来、私はあまり喪失感といったものを感じない質なんです。それは“終わりは始まり”という感覚が強いからです。失ったり、手離したりすることが“新たな始まりだ”という感覚がある。だから喪失感を大きくせずに、そのまま受け流すことができたのだと思います。
 終わった時に「あ、また何かが始まっていくんだな」という感覚を持てばいい。

p.25 人間なんてやり残して死んでいくものだと私は思っています。完成されて死んでいくわけじゃない。不完全なものを置いてこの世を去っていくのですから、みんなやり残したことがあって当たり前です。“生”に執着しすぎるから、やり残したことにもしがみついてしまうことになるんです。

p.31 「法律に触れていないんだからいいでしょ」というような判断基準を持った人間は下の下です。

p.35 自分を大きく見せたり、よく見せたりすれば一時の高揚感は味わえるかもしれません。でもそんなことをするから苦しみや悩みが生まれてくるんです。“等身大”であるのが、本当は一番楽なんです。

p.53 私は選択したことによってマイナスなことが起きたら「これは自分を成長させてくれるものだ」と思ってやってきました。

p.61 素の自分で強く生きていくために一番必要なのは“素直と勇気”なんです。

p.62 「上手にできるかな?」とか「失敗したらどうしよう?」とか「人からよく見られたい」とか、そういう思いが私にはないんです。そんなのまったく気にしていない。他人からどう思われようが「知ったこっちゃねぇ」とすら思っています。

p.63 「人生はどうなるか分からない」という心構えがあれば、“不測の事態”に対処できるようになります。
 人生はどうなるか分からないのですから、マニュアルなんかつくったってその通りに行くわけがありません。だったらそんなマニュアルは必要とせず、その場、その場で臨機応変に対処した方がうまく運びますし、結果として人間としても成長できるのだと思います。

p.65 私の中にあるのは「目標という“土”から何が生えてくるんだろう?」という感覚です。
 目標を“幹”にしてしまうと、「真っ直ぐに伸びなくちゃいけない。枝もたくさん伸ばさなくちゃいけない」と思ってしまいます。

p.67 ほとんどの人は“格好つけよう”とするから格好悪くなってしまうんです。本当の格好よさとは“自然に合わせる”ところから生まれるものなんです。

p.71 陰気な人っていうのはおとなしい人が多いですが、陰気だからおとなしいのではなく、暗くて見えないから動くに動けず、それがまわりから見るとおとなしく見えるだけなんです。道場生に動きを止めてしまっている陰気な人間がいたら、まず動くことを教えます。明るくしてから動くんじゃなくて、まず“動いてみろ”と言うんです。

p.71-2 “動く”ということに気付かせるにはまず、心を開かせることです。心を閉じれば誰だって暗くなってしまいます。
 ただ、心をオープンにさせようとすると、みんな最初は恥ずかしがっちゃうんですね。本当の自分を見られたくないんです。自分の悪いところを見られるのが嫌だから心をなかなか開けない。でも、誰にでもいいところ、悪いところはあるわけですから、恥ずかしがる必要なんてまったくないんです。

p.79 人間は誰でも失敗します。成功ばかり、なんていう人はこの世にいません。であるならば「ダメで元々」と思って等身大の自分で勝負する。「死にゃーしないさ」の心意気があれば少なくとも今までの緊張からは解放されるでしょう。

p.86 トラブルから逃げていたら人間は成長しません。人生は思い通りにいかなくて当たり前です。要はトラブルがあって当たり前なんです。なのにトラブルから逃げていては、人生が先に進んでいかないじゃないですか。

p.87 自分を救うことができるのは、自分だけなんです。

p.88 とりあえず“最初の一歩”をまずは踏み出すことです。それをしないで「困った、困った」と言っている人が多いんです。やらないから不安がどんどん大きくなって、その不安に押しつぶされそうになってしまうわけでしょ。だったら一歩踏み出せばいい。一歩踏み出せば、一歩ゴールに近づいたということ。何もしないより、そっちの方がよっぽどいいじゃないですか。

p.92 ギリギリまで見守るというのは、ある意味忍耐力を要します。ギリギリを見極める能力も求められるでしょう。
 “見守る”と“守る”は違います。“守る”感覚だと子どもの周囲をガチガチに固めて何も寄せつけないようなことになってしまいます。

p.116 いつ、どんな時でも、弱い人、困った人たちの方へ気持ちがいってなければやさしくなんてなれません。

p.127 尊敬している人などいなくていいんです。
 “尊敬する”ということは、それだけでもうすでに囚われてしまっているわけです。洗脳されちゃうんですね。その人のやることなら「何でもいい」みたいになっちゃう。
 もし「いいな」と思う人物がいるのだとしたら、尊敬ではなく好き、大好きくらいに抑えておいた方がいいでしょうね。

p.137 クレームをつけて、相手から謝罪されれば「私の意見が正しかった」となります。クレーマーはその満足感を味わいたいだけ、人を従わせたいだけなんです。クレーマーは「自分が正しい」と思っていますから、間違ったことをしてもそれに気付くことはありません。

p.141 「客に対して媚だけは売るな。媚を売って銭をもらおうなんてこんな卑しいことはない。その代わり、お客さんをひとりの人間として大切にしろ」

p.141 差し障りのあることって、結局物事の本質を突いている。

p.144 私が昔からよく言っている言葉に「不調こそ我が実力」というものがあります。好調時ではなく、不調な時こそ、その人の真の実力が試されるんです。

p.161 「悪いことをしなければ善人なんだ。法律さえ犯さなければいいんだ」というような考えって多かれ少なかれ誰でも持ってるんじゃないですか。“善し悪し”で物事を見るってことは、結局自分の都合でしか物事を捉えていないということです。多くの人が持っている“善し悪し”というのは、本当の意味での“善し悪し”では決してないんです。

p.174 私の中には“美”という感覚はあまりなく、その代わりに“鮮やか”という気持ちがあります。鮮やかというのは、人間一人ひとりが持っている“色”であり“味”ですね。

p.175-6 自分の味を忘れて「長生きしたい」なんて思うから死が怖いという気持ちが増幅するんじゃないですか? 死というものは誰にでも訪れるもので、怖いものでもおそろしいものでもないと思います。

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清水克衛の「ツキ」を呼ぶ言葉

2013-07-15 14:35:59 | Book Reviews
『清水克衛の「ツキ」を呼ぶ言葉』 中嶋睦夫・著、学研パブリッシング、2010年11月2日

p.10 「ツキのスパイラルって絶対あるんですよ。プラスの方向にしか向いてないスパイラル。一回それに乗るとね、あとは上昇気流みたいにずっとツイてくるんです。それに一緒に乗っていきましょうよ」

p.26 正解を得ようとするあまり、「どうしようスパイラル」に陥ってしまったら、「正解なんてないんだ。あっかんべ~」と思ってください。

p.27 「あなたが今抱えている問題や悩みには、どんなに考えたって正解なんかないんだから、そんなもの探して悶々としてないで、とりあえず今、自分ができることを何かはじめてごらん」

p.31 あなたの中にある「ねばならない」に、ちょっとしたおもしろいアイデア、くっつけてみてください。

p.39 「正しいか、正しくないか」ではなく、「楽しいか、そうじゃないか」で決める。

p.45 安定は進化を妨げる。安定しちゃったらそこでおしまい。

p.46 (成幸とは)自分の成長、まわりの人たちの成長を感じて、心から喜べること。

p.61 「一寸先は、闇なんかじゃないよ。光なんだ。先が見えないのは、暗いからじゃなくて、まぶしいから。そう思って明日に進むから、ツイてる奇跡が起こるんだ。だって、明日が闇だと思っていたら、今を真剣に生きられるかい?」

p.67 「元気がないときほど、ひとまず自分の悩みは置いといて、まわりの人たちを笑顔で包んであげよう」 ウソでもいいから、「笑顔」。

p.69 「自分の悩みを解消するには、人の悩みの相談に乗ってあげるのが一番」

p.72 「ウソでもいいから、笑顔」「ウソでもいいから、明るく」

p.76 悩んでるときこそ、笑顔になってみる。「もうダメだ・・・・・」と思ったときこそ、笑ってみる。

p.81 「たとえ用事がなくても、つい会いたくなっちゃう。商人はそのくらい魅力的じゃないと、商売は繁盛しないんだ。本当の商人って、とっても魅力的で“人を喜ばせるスペシャリスト”なんだよ」

p.82 「目の前にいる人(お客さん)を喜ばせることを、知恵を絞って本気でやる」

p.83 「人の“良心”って、うまくできててね。人を喜ばせたら、自分もうれしい。たったこれだけのこと。この良心に従って、どんどんどんどん人を喜ばせる。家族、友達、上司、同僚、恋人・・・・・。そうすると自分もうれしいから、心がどんどん豊かになっていくでしょ。心が豊かになると、人はどんどん輝くんだ」

p.86 「自分の夢なんかどうでもいいから忘れちゃいなよ。そんなことより、人を喜ばせることを一生けんめいやってれば、目標なんかなくても道は自然に開けるんだよ」

p.90 「何か悩みやイヤなことがあってもそれは“やせがまん”。グッとこらえてウソでもいいから、ニッコリ笑って」

p.101 「自分で思っている自分と、人が見ている自分は全然違う」

p.101-2 「頼まれごとというのは、自分のこうしたい、ああしたいっている小さなこだわりの外からやってくるものです。やりもしないうちから、無理、できない、なんて、もったいないですよ。“私なんて・・・・・”という気持ちは、謙虚のようでいて、実は、自信のなさからくる“エゴ”なんです。未知の領域に踏み出すときは誰だって不安です。でも、誰かを喜ばせようと思ったら、自分の事情なんて忘れちゃいましょうよ」

p.103 「できると思ってるから頼むんだからさ。ぜったい大丈夫だよ」

p.108 外面がいい、ていうのは下心があるからで、本当に「良心」からであればできるはず。

p.118 「あなたは、そこにいるだけで周囲に影響を与える力を持っているんです。すでに歴史に参加しているんです。それに気がついてください」

p.143 「自分を過小評価したり、責めたりして、弱気にならないこと」

p.155-6 「なんで私ばっかり、喜ばせなきゃいけないの?」 それは、与えられることに慣れきってしまい、いつも誰かから与えられることを求めてしまっているから。それでもその与えられたのが不満で、不平不満ばかりが募る。
 あなたにも、あなたがした行為や、かけた言葉で相手がすごく喜んでくれて、自分もうれしかったっていう経験があれば、もうひと工夫すれば、きっと、「考えすぎ体質」から、「喜ばせ体質」に変わるはずです。

p.165 自分の気持ちを超えて、相手の心を開く。


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なぜあの会社は安売りせずに利益を上げ続けているのか

2013-07-02 07:57:02 | Book Reviews
「なぜあの会社は安売りせずに利益を上げ続けているのか」 松野恵介・著、実業之日本社、2013年4月2日

p.20 お客さまに役立つ情報、喜んでもらえる行為こそ、今、会社やお店が伝えるべき大切な中身なのだと実感しています。

p.20 今の時代、商品やサービスがいいのは当たり前の話。その上で、コンテンツの力(コンテンツ力)を身につけて、それを発信すること(発信力)が、お客さまの心をつかみ、信頼関係につながり、結果的に継続した売上アップになっていく。

p.32 誰に、どんな付加価値をつけて、何を、いくらで買ってもらうのか

p.36 お客さまのことを考えず、知らず知らずのうちに売り込みを続けてしまう。そうなると、お役立ち情報の発信で信頼を築くという大切なことを忘れて、結果的にお客さまの買う気をなくさせてしまう。売れないからますます強く売り込んでしまう。悪循環です。

p.42 会社で実践していたのは、ライバル(競合他社)を見て対策を考えるというもの。でも、これっておかしいと思いませんか? どこを向いて商売しているんだろう?

p.43-4 「売る立場」から離れてみるということです。その立ち位置(販売員・営業マン)から離れて、自分の仕事をお客さま側に立った「○○アドバイザー」という肩書に変換してみるのです。

p.45 モノを売るのではなく、どんな素晴らしい体験のお手伝いができるのか? を明確にしつつ、自社の「売りたい」という視点ではなく、お客さまの「何をしてくれるの?」という視点に応えるようになる。

p.53 お客さまの興味のある情報、お客さまの「不」(不便や不満、不安など)を解消する情報、プロとしてのノウハウ

p.55 お客さまとの体験を経て、興味のある情報が何なのか? 「不」を解消できる情報とはdんなものか? を明確にし、体験から得たプロのノウハウ-コンテンツを発信していくことが大切です。それこそが、今お客さまの求めているものであり、買う気を起こさせるアクションなのです。

p.63 だから、もうライバルとは争わない。お客さまも奪い合わない。
 そのために、まずは今あるもの(あなたの会社やお店が持つコンテンツ)をお客さまの目で見直しつつ、お客さまにどんなお役立ちができるかを考えていくことが大切です。

p.146-7 販促とは売り込むことではなく、役立つコンテンツを発信することです。発信することで、会社やお店のファンづくりにつながり、売り込まなくても売れていくのです。

p.148 「何を伝えるかを明確にする」ことがポイントなのに、「自社の商品のいいところ」「自社のサービスの優れているところ」というように、モノやサービス、そして自分のいいたいことを中心に考えてしまう。
 結果的に、「ウチの商品はスゴイから買ってください!」というような内容になって「売り込み販促物」ができ上がってしまうのです。

p.152 あなたの商品を使うと、どんなメリットがあるのか? どんなに役立つのか? どんな「不」(不安や不満、不便など)を解消してくれるのか? を考えて発信することです。
 それが、お客さまが求めている、売上につながる情報です。

p.164 安さで訴求すると、確かに一時的には売上が上がるかもしれません。ただ、「安さ」が目的であって、お店に何度も通ってくれて、ファンになってくれるお客さまはほとんどいない。だって、お店のファンなのではなく安さのファンなんですから。

p.170 コンテンツを発信するというのは「結果的に売るための行為」であり、決して「売り込み」ではありません。
 「販促=コンテンツを発信して信用を得ること」です。


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「心の時代」にモノを売る方法

2013-05-07 08:16:54 | Book Reviews
「心の時代」にモノを売る方法 ―変わりゆく消費者の欲求とビジネスの未来 小阪裕司・著、角川oneテーマA21、2012年11月10日

p.24 「本質」とは、新しい消費社会が求めているものの本質である。

p.30 中嶋氏はそこで、食品経済の観点から食の消費の推移を見ると、単に胃袋を満たす時代から、舌で味わう時代へと移行し、現在は頭で楽しむ段階に移行していると指摘しており、頭で楽しむ典型的な例としてワインを挙げている。

p.34 ネオポストモダン消費では、より成熟した消費者が存在し、そこで消費者の関心は、品質条件(味・外観・鮮度)だけでなく、健康要件(安全・栄養)、そして倫理要件(環境・人権・地域)といったことにまで広がっていると指摘する。

p.35-6 第四の消費への代表的な変化
1.個人志向から社会志向へ、利己主義から利他主義へ
2.私有主義からシェア志向へ
3.ブランド志向からシンプル・カジュアル志向へ
4.欧米志向、都会志向、自分らしさから日本志向、地方志向へ(集中から分散へ)
5.「物からサービスへ」の本格化、あるいは人の重視へ

p.39 そしてその一方で今、現代の消費者が喜んでお金を支払う「価値」がある。その「価値」を重視する消費者は年々増加し、それに該当する商品やサービスは、がぜんお金を支払いたいものとなる。その「価値」とは、「心の豊かさ」と「毎日の精神的充足感」である。

p.49 彼にとって食品は、必需品として地域の食生活を支えるために揃えなければならないものと、心の豊かさをもたらすものがある。どのような商品が後者であるかに一般的な定義はないが、彼によればこだわりを持ったものや社会貢献につながるものなどだ。高品質というだけでなく、買うことや食べることを通じて、お客さんが精神的な充足感を得られることが要件だ。店長は、前者は品揃えに不可欠だが、後者はこれから力を入れていくべきものと考え、近年拡充し続けている。

p.73 身内集団原理とは、分かりやすく言えば身内の原理原則を最優先して身内にだけ目が向く考え方のことだ。きわめて閉鎖的で、身内のなかでどれだけ忠義を尽くしているか、身内の価値観のなかでどれだけ貢献できるかがその身内に属する人たちの行動原理となる。
 身内集団原理によって人々の動機が身内の忠義に向かうと、当然ながらそこは閉じた社会になってしまうこと、また、身内以外の者に対しては何をやってもいい、身内以外がどうなっても知らないという発想になる危険性を訴えている。

p.77 「今日は売り上げが悪い。お客さんが来ないからだ」というのは直接的な因果だが、お客さんが来ないのはなぜかと因果を突き詰めていくと、見えない因果がいくつも隠れていることに気づく。

p.83-4 「習慣的な防御的行動」
 私たちは、自分の仮説や見解を人前で検証することを避け、人から切りこまれそうな話を避ける。そして何より、防御的な行動に依って、防御姿勢を隠すとともに、全員が問題の存在を知っていてもそれを論じようとしなくなる。

p.84 たとえば社内で、あなたが現場で見つけた新しい消費社会に特有の現象を、これは新しい消費だという仮説や、この芽を伸ばすにはわが社ではこうしたらいいんじゃないかという見解を述べたとしても、述べた相手が習慣的な防御的行動を取るとすれば、その「現実」は顧みられない。そして、実は多くの人が問題の所在を知っていても、誰も論じようとしないかもしれない。

p.90 価値が「心の豊かさと毎日の精神的充足感」つまり「Being」なのだから、多くの商品・サービスはこれに向かって意味合いを変え、価値を構築し直し、提案し直すことになる。

p.116 第1章で「需要のないとこりに需要を創る」と言ったが、その意味では需要がないのではなく、文字通り「心の豊かさ」という需要があるのである。

p.118 「心の豊かさ」は常に抽象的なのである。だから、何をもって心が豊かになるのかはっきりとはわからない。心の豊かさを求める消費者自身、自分が何を買いたいのか具体的にはわかっていない。
 また、第1章で取り上げた山崎氏の商人の話のように、売り手は売り手で、何がお客さんの心を豊かにできるのか、やってみなければわからない。また、それが今日豊かさをお届けできたとしても、では明日も同じものが通用するかというとその確実性はなく、常に動いている状態なので、これで決定とはならあず、決定打は毎回変わる。そのやり取りは、まさに「一回ごとの冒険」となるのである。

p.136 「どうでもいいところにぬかりがない」

p.144 自己開示すればするほど人間関係は深まる。ビジネスにおける自己開示では、商売に対する姿勢やポリシー、商売哲学、自社の歴史や将来のビジョンを語るのもいいだろう。要は、顧客との対話を売り買いの話、商談だけで終わらせないということだ。

p.184 そこはまさに「サロン」である。と同時に、それらの店の共通項は、店で交わされるコミュニケーションを通じて、どんな靴をはくべきか、魚はこう食べるとおいしいよ、ということを学び、その結果として「買う」につながる店だった。

p.186 新しいビジネスは心の豊かさを提供するので、そこでも「今すぐに、即座に」という需要は少ない。もちろんお客さんは今すぐ心豊かになりたいと思うだろうが、大概のものは待つことができる。差し迫っていないからだ。


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