新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

アカネ:茜(草は知られずとも)

2006-08-04 05:52:23 | 植物観察1日1題
草のアカネを知らない人でも、茜や茜色の言葉を知らない人はいないでしょう。
アカネ:茜(アカネ科アカネ属)は、太くて髭状の黄赤色の根が染料として茜染めに使われることでよく知られていますが、茜染め特有の深みのある赤さを出すには、百数十回も媒染材に浸すとか何年も寝かすとかで、長い時間と手間をかける高度の技術が必要で、今では茜染めにはセイヨウアカネが主流となっているそうです。
アカネは山野に普通に生えるつる性の多年草で、茎はよく分枝し、四角形で下向きに細かい棘があり他物に絡まって伸び上がります。葉は長さ3~7cmの三角状狭卵形で基部は心形、4個輪生する葉のうちの2個は托葉が大きく発達したものです。
8~10月、直径4mmほどの黄白色の花を、葉腋から集散花序につけ、直径3~4mm、花冠は深く5裂し、裂片の先が尖ります。
根は染料のほか、止血、利尿、解熱強壮の薬としても用いられます。
蛇足ですが、有名な額田 王の“あかねさす 紫野行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖振る”(万葉集巻1-20)の“あかねさす”は、茜色に照り映えるの意で、紫、照る、日、昼などにかかる枕詞であり、植物のアカネを直接指すものではありませんが、次の“紫野”の方は、同じく染料の原料となるムラサキ(ムラサキ科ムラサキ属)を栽培していた野(御料地)を指すもので、こちらは植物のムラサキを歌っていることになります。

オニドコロ:鬼野老(野で獲れる祝い海老)

2006-08-04 05:50:35 | 植物観察1日1題
山道を歩いていて、流れてくる強い甘い香りの元を探すとオニドコロが黄緑色の花をつけていました。
単にトコロとも呼ばれるオニドコロ:鬼野老(ヤマノイモ科ヤマノイモ属)、なんで野老と書くかというと、この髭根を老人の髭に見立て、海老とともに長寿を祝う正月の飾りに使われる風習があることによります。つまり海の海老に対して野の海老、野老というわけです。
山野に普通に生えるつる性の多年草で、葉は互生し、長さ5~10cmのハート形です。
雌雄別株で、写真ではよくわかりませんが、雄花序は葉のつけ根に上向きに付き、雌花序は垂れ下がってつきます。果実には3つの翼があり、垂れ下がった花穂に上向きにつきます。
名前の由来になった髭根は多数つきますが、真の根茎で、ヤマノイモトとは形態学的にまったく異なります。この根の苦味を抜いて食用にするところもあるそうです。