新・むかごの日記

高槻市に在住の、人間と自然が大好きな昭和1桁生まれの爺さんです。
出かけるときはカメラ連れ。
目標は毎日1記事です。

デンジソウ:田字草(水面に書く田の字) 

2009-07-06 07:03:50 | 植物観察1日1題

水面にクローバーのような4枚葉を浮かべているのはデンジソウ:田字草(デンジソウ科デンジソウ属)です。デンジソウと聞くだけではわかりませんが、葉の形が漢字の田の字だからと知れば合点が行きます。
タノジモ、カタバミモなどの別名があります。
水田や池沼など泥地に生える夏緑性の多年性のシダで、根茎は針金状にのび、春に出る葉は長さ7~20cmの柄を持ち、水上にのびて、または乾くと地上に立ちます。
夏から秋にかけて葉柄の基部に胞子のうをつけます。
昔は田んぼの害草であったのが、農薬などの関係で今では希少植物となり、各地で絶滅危惧種に指定されています。
写真は岡山県自然保護センターで撮りました。

イチョウ:銀杏(受精せずとも実は太る)

2009-07-05 07:02:27 | 植物観察1日1題



イチョウ:銀杏(イチョウ科イチョウ属)の雌株の枝についた“ぎんなん”が大きくなっています。
春、短枝の先につく雌花には胚珠が2個ありますが(09年4月23日記事)、普通そのうちの1個だけが成熟するとされています。
今は多くは一つの柄に2個ずつの対ですが、時おり片方だけのや、片方が小さいのが見られます
図鑑では、イチョウ独特の精子による受精は8月下旬から始まるとあるのに、7月はじめの今の時点で種子かなり膨らんでいるのはどういうわけなのか不思議です。
若い種子を割ってみると、いま膨らんでいる実には本来種子にあるべき子葉、胚乳、胚根などが見当たりません。
少し長くなりますが精子によるイチョウの受精を説明した牧野博士のたとえ話を引用しましょう。
「許婚の若い男女二人があって、早くもその男が後にお嫁さんになるべき運命を持ったその娘に引き取られて養われ、のちにこの両人が年頃となるに及んで初めて結婚するようなものです。イチョウは雌雄異株で、春、新葉の頃雄花から花粉が出て、雌木の枝の端の小さい雌花すなわち裸の卵子のごく小さい穴に飛び込みます。何ヶ月かのあいだに、精虫も、卵子もそれぞれ成長し、秋になって大きくなった実の頂きに近い内部に液の溜まったところができて、その中へ娘の家で大きくなった精虫が出てきて、その液中を泳ぎ回り、自分の家で成年になった娘の雌精器に接触しめでたく結ばれます。」
実の頂き辺の透き通った部分が、この液の溜まったようなところに当たるようです。イチョウの実の成長は6月から7月上旬ころまでがピークといいます。今のぎんなんは、鶏の無精卵のようなもので、受精しないままどんどん大きくなっている状態といえます。
結婚前の精子と卵子は、このあたりで仲良く晴れて結ばれる日の準備を進めているのでしょか。
結婚前の精子と卵子は、このあたりで仲良く晴れて結ばれる日の準備を進めているのでしょか。
現在一対で大きくなっている種実も、そのうちの片方がやがて落ちてしまうのはなぜか、疑問は続きます。
(補追:①落種は生長期間中に2回集中期間があり、1回目は受粉後1~2週間中に起きて1~2週間続き、2回目は膨大期に入ったころ起きるが持続期間は短い。
 ②1回目の落種実には成長ホルモン類のGA3、IAA、ZRが皆無で、老衰成熟を促すホルモンのABAが多量に含まれていているのが落種を起こす一つの原因と見られている。
 ③2回目の落種実は正常種実と同様に各ホルモン類が含まれていて、落種はホルモンの作用とはいえない。落主の原因は種実個体間の競争か発育の遅速による優劣か、未解決の課題になっている。2000年「銀杏・栽培と発展の研究」所載)

クマノミズキ:熊野水木(この時期目立つ白い花)

2009-07-03 06:57:40 | 植物観察1日1題

緑が濃くなったこの時期、木の花は白い花を上向きにつけるのが多いと聞きました。緑に白で送粉者である昆虫の目を引きやすくしているのだそうです。
平地では大体過ぎましたが、少し山地に行くといまも白色の花で遠くからでもそれとわかるのはクマノミズキ:熊野水木(ミズキ科ミズキ属)です。
本州から九州、広く東南アジアの温帯から暖帯にかけて分布する高さ10mくらいの落葉高木で、若枝に稜があり、流さ10~15cmの葉を対生します。
初夏、新枝の先に散房花序をたて、黄白色の小さな花を多数つけます。秋には赤い果柄の先に直径5mmほどの黒紫色の果実を熟します。(07年1月9日記事)
和名の熊野水木は、ミズキの名を持つ種類が多いことで和歌山県の熊野の地名がつけられたものです。

サンショウソウ:山椒草(地をはう山椒の葉)

2009-07-02 06:47:29 | 植物観察1日1題

サンショウソウ:山椒草(イラクサ科サンショウソウ属)は、関東以西の山地の陰湿地に生える多年草で、サンショウに似た葉を持つのでこの名があります。ハイミズの別名もあります。
茎は地をはい、緑褐色を帯びます。葉は互生し、ゆがんだ倒卵形で長さ1~3cm、縁に数個の鈍鋸歯があります。
多くは雌雄異株で、雄株は葉腋から花柄を立てその先に雄花序をつけ、雌株(写真)は葉腋にほとんど柄のない雌花の集合体をつけます。
仲間にオオサンショウソウがありますが、サンショウソウより大型で、葉先が尖り、サンショウソウのように鋸歯のところが盛り上がらす平坦となるということですから、写真はサンショウソウと見立てました。

タカネハンショウヅル:高嶺半鐘蔓(低山でもタカネ)

2009-07-01 06:24:26 | 植物観察1日1題

高槻北部川久保渓谷沿いの道でタカネハンショウヅル:高嶺半鐘蔓(キンポウゲ科センニンソウ属)に出会いました。
本州近畿地方以西、四国、九州などに生えるつる性低木で、葉は2回3出複葉、卵形の小葉は長さ2~3cm、先が尖り粗い鋸歯があります。
本種より広く本州、九州に分布するハンショウヅルの花は暗紅紫色なのに対して(07年6月13日記事)、タカネハンショウヅルは少し色が浅く淡紅紫で、先端は少し反り返ります。
名前にタカネがついているので少し嬉しい気持ちでしたが、図鑑で分布は低山となっていて少しがっかりしました。