鉄道ファンの中には、色々な収集マニアもいるらしい。
そんなジャンルの一つ、嘗ては鉄道切符が一大ブームになった時期もあった。
思えば北海道の広尾線(既に廃線)の「愛国」から「幸福」行き切符に端を発
した旧国鉄の切符ブームに沸いたのは、1975年頃のことである。
ここでは当時の4年間で、1,000万枚以上も切符が売れたと言う。

そんなブームは岡山県下にも飛び火して、山陽本線の万富駅では、万の富に
あやかろうと言うフアンが、入場券を買い求めに大勢訪れた。
普段なら年間でも200枚程度しか売れなかったものが、この年は一日平均で100
枚、一日の最高が300枚も売れたことがあったそうだ。


どういう訳か津山線の沿線には、縁起のいい文字が含まれた地名が多い。
金の川「金川」、福が渡る「福渡」、神様の目「神目」、法然上人の生まれた
地「誕生寺」、カメは万年の「亀甲」などが有り、そんな駅々に因んだのか、
極めつけはこの路線を走る唯一の快速が「ことぶき」である。


当時はそんな流れがこの津山線の沿線にも及び、幸を求め福にあやかろうと、
それらの入場券を求める人が多く集まったと伝えられている。
しかしそんなブームは何時しか去り、気が付けば駅の窓口に駅員の姿はなく、
券売機で買う入場券では何とも味気ない時代に成ってしまった。

近頃では、節目のイベントに呼応して時折販売される切符が人気だという。
2018年にJRが津山線開業120周年を記念して、岡山、法界院、金川、福渡、
弓削、亀甲、津山の七駅の入場券(硬券)をセットにして売り出したのは記
憶に新しい。(続)



