中国山地に位置する津山には、開業当初から機関区が開設されて以来、山陽
と山陰を結ぶ鉄道の結節点として、重要な役割を果たし続けてきた。
この地に巨大な機関車庫が完成するのは昭和11(1936)年の事である。
一昔前なら、鉄道で旅をしていると主要な駅の構内では、SLの煙で壁を黒く
汚した機関車庫や、機関車の向きを変える転車台をよく目にしたもので有るが、
近頃では殆ど見なくなってしまった。しかしこの地にはそういった鉄道遺産が壊
されることもなく、連綿と受け継がれ、使い続けられてきた。


そんな「津山扇形機関車庫」が2016年4月、「津山まなびの鉄道館」として
装いも新たにリニューアルオープンし評判になっている。
旧津山機関区の事務所には、社会や地域の発展と鉄道の関りを学ぶ「あゆみ」
「しくみ」「まちなみ」のテーマルームが設けられた。
改装された扇形機関車庫には、貴重な13の車両が収蔵されその姿が一般に公
開されている。


2010年まで大糸線で活躍した「キハ52-115号機」、鳥取で使用されていた
「キハ33-1001号機」、国内で1台のみ製造され国産最大最強のエンジンを誇る
ディーゼル車「DE50形1号機」や、「DD51形1187号機」、蒸気機関車「D512
号機」などで、これらはどれもフアン垂涎の的らしい。


かつてD51 755号機(蒸気機関車)に使われていた汽笛は「旅立ちの汽笛」
として残されている。構内で開かれるイベントでは、1930年に製造された転車
台の実演と共に吹鳴され、懐かしい音を聞くことも出来る。
装いも新たな再出発を遂げたこの館では、2019年3月に来館者20万人を達成し、
名実ともに鉄道ファンの聖地と成った。(続)

