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簾 満月「バスの助手席」

歩き旅や鉄道旅行のこと
そして遊び、生活のこと
見たまま、聞いたまま、
食べたまま、書いてます。

中国山脈越え(JR乗り潰し・伯備線)

2016-11-21 | Weblog


 やけに長くて、幅の狭いホームに降り立ったのは、たったの二人である。
そのうちの一人、おばあちゃんは荷物を抱えいそいそと、その足で駅前に
待つマイクロバスに乗り込んでいった。

 その運転手がしきりにこちらを窺ってくるので、顔の前で腕をクロスさせ、
バツ印をつくり、乗らないと意思表示すると納得したのか軽く手をあげ返し
てきた。



 こんなところで降り、一人とり残されて何をするのだろ・・とでも思っている
風である。
そんなバスがクラクションを小さく鳴らし出発し、そのエンジン音が遠ざかる
と、辺りから物音が全くしなくなりホームは静寂に包まれる。



 時刻表を見ると、新見を出た特急がそろそろ通過する時刻である。
この駅の構内とその前後では、線路が右に左に僅かな曲線を描いているの
で、そこを巨体をくねらせながら駆け抜けて行く躍動感あふれる列車の姿が
楽しめそうだ。



 そんなことを考えていると、駅前に軽自動車が停まった。
降り立ったのは父子らしく、二人とも大きく立派なカメラを抱えている。
どうやら轟音を轟かせながらこの駅を通過する、貨物列車や特急電車を狙
うようだ。



 この日、新見発11時19分の米子行ワンマンカーに乗車した。
18キップが発売されている期間と言うこともあり、車内は思ったより乗客が
多い。小さなバッグを担いでいる客が多いので、明らかにそれと想像がつく。



 伯備線を行く列車だから当然布原は通過し、新見からは25分ほどでここ
「新郷」に到着した。
ここを出てこの先25‰の急坂を重ね、県境の谷田峠トンネル(1146m)を抜
ければそこはもう山陰、鳥取はすぐそこだ。
 
 カメラを持った父子が慌ただしく車で出ていくと、人の気配は全く無くなって
しまった。
今回の旅はここが終着駅だ。新見に戻る列車は凡そ50分後にやってくる。
それまでは何もないこのホームで、たった一人、寂しく待つのである。
(JR乗り潰しの旅 伯備線・完)

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