
今市の交差点で京街道の石碑を見て、ここで国道とは分かれ、左の旧
道に入ってきた。とは言え中心市街地に近いこの辺りは、完全に近代の
通りである。建て高こそ低いものの、多くはコンクリート造の新しい事
務所や商店、マンション等が犇めいていて、その所々の間に、普通の住
宅が窮屈そうに納まっている。

これまでの経験では自治体にもよるが一般的には市街地に入るほどに、
旧街道の道案内は減っていく。無いところは本当に何も無く、この道で
大丈夫なのかと何時も不安を抱く。
しかしこの辺りでは路面にも「京街道」の案内プレートが埋め込まれ
ているので其れを頼りに歩く事になるが、これは本当に心強く有り難い。

途中今市一丁目に「木犀の陣屋跡」と書かれた案内板が有った。
古市村の浅田邸の庭園には見事な木犀が三本植えられていた。大きなも
のは周囲が2.2mもあり、中位のが1.8m、小さいのでも1.3mという。
三本の木が咲き揃う季節ともなると、遠く蒲生や関目までその香りを漂
わせていたと伝えられている。

関目までは直線でも1㎞は離れている。強い芳香を放つ木犀とはいえ、
流石にそれは無い・・・、等と野暮は言わないが、建屋も疎らの当時な
ら風向きに因っては香りが感じられたのかも知れない。
モクセイは、一般的に樹高は3~10mと言われているので、最大級の
見事な大木であったようなので、芳香もそれだけ強かったのであろう。

第14代将軍・家茂や多くの大名達はこの香りを愛で、守口宿ではなく
この浅田家に宿泊していたという。
浅田家は戦国時代から続く名家で、当時森小路の庄屋を務め、広大な
1,600坪の敷地を有していたと言うが、その土地も建物は現存しない。(続)

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