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a beauty of Iwase bunko library

2012-03-12 | bookshelf
登録文化財 岩瀬文庫旧書庫
大正5~11年建築

 “日本初の古書ミュージアム”西尾市岩瀬文庫(愛知県西尾市)で開催中の企画展「こんな本があった!」に行ってきました。
 岩瀬文庫は、明治維新の前年1867年慶応3年(大政奉還の年)西尾市に肥料商の四代目として誕生し莫大な財を成した岩瀬弥助が、私財を投じて42歳の時設立した8万点余の蔵書を抱える図書館です。その古書のジャンルは多岐にわたり、非常に貴重なものが多く、今世紀にはいって開設以来初めて全資料調査を名古屋大学教授のプロジェクトが手掛け、これまでに貴重な書物がいくつも発見されました。
 岩瀬文庫の素晴らしいところは、その貴重な書物を一般の人達が気軽に手に取って読むことができることです。研究者が調べた調査結果は、定期的に公開報告会で発表。無料・予約無しで誰でも公聴できて、内容も専門用語羅列でなく解り易く楽しい説明会です。
会期:平成24年1/21~4/1

 前々から行ってみたかった岩瀬文庫へ、今回で12年目になる調査報告の「特別講座」を聴きに出かけました。鉄道とコミュニティバスを乗り継ぐ、西尾市内でもちょっと不便な場所にありました。到着してまず昼食でも…と思っていたのに図書館の周辺にはファストフード店も無し。西尾市は古書の町だけでなく昔の街並みも大切にしている市なので、狭く入り組んだ細い筋が多く、図書館正面の道路を辿って行くと途中からクランクの細い道(舗装はしてあるけど)になってまた太くなってたりと不可解に思いながら、ようやく色褪せ剥げかかった「BAKER SHOP」と書いてある“角のたばこ屋さん”的お店を発見。パンのいい匂いがしたので入ってみると店内に飼い猫がうろうろする昭和なコンビニ店でした。パンを買って引き返す途中、先程の不可解箇所に説明板があったので読んでみると、そこは昔、西尾の町の入口として門があった所で、道路の鍵型は枡形の名残りということでした。えらい!!西尾市。結構車の交通量はあったのに、道路整備しないでいるなんて。(賭けボーリングの悪いイメージからポイントアップ)
 岩瀬文庫は、市立図書館の敷地の奥にある近代的な建物です。創設当時は木造平屋の瓦葺きだったそうです。旧書庫は池の緑の奥まった場所にひっそりと建っていて、中には入れません(中に蔵書はない)。岩瀬文庫の図書館の1階にテーブルと椅子があって、そこで飲食ができました(匂いの強いものは持ち込み不可。コーヒーとジュースは販売やってます。フードの販売は無し)。

 企画展会場は2階で、2階には和綴じ本のレプリカが置いてあり、自由に閲覧できるように椅子と机が置いてありました。その椅子と机や棚は、改修前に使用されていたものだと見受けました。北斎の描いた地図や式亭三馬の黄表紙などもあって、和紙の触感が江戸時代へトリップさせてくれます。他にも現物をコピーしたファイルがあって、内容を見ることが可能。そのコピーも1枚10円でしてもらえますし、申し出れば閲覧室で現物を閲覧することもできるんです(学芸員さんが気軽に応じてくれます)。この日は時間がなくてできませんでしたが、ここには蔦重著『本樹真猿浮気噺(もときにまさるうわきばなし)』村田屋板、京伝の『金々先生造化夢』もあるので、是非また行きたいです。
 「特別講座」で紹介された珍書は、土地柄三河に関するものが多いのかと懸念してましたが、岩瀬文庫蔵書は遠く離れた県に関するものなども多いらしく、興味深さが増しました。三河人が著した『膝栗毛』のパロディ『笑談膝栗毛』のようなお約束モノから、江戸前期の家庭料理のレシピ本『八百屋集』など。
 私が心引かれたのは、『未曾有記』という随筆。遠山金四郎(遠山の金さん)のお父さんが職務で江戸と東蝦夷(北海道東部)の往復旅行で体験した、様々な未曾有の出来事などを綴ったものらしく、続未曾有・続々未曾有…と続くそうです。そういえば金さんのお父さんと大田南畝は同世代で同じ学問吟味(人材登用試験)を受けて1,2を争ったんじゃなかったっけ…南畝も70歳になっても隠居できず各地に赴任したサラリーマン武士だったと以前本で読んだことを思い出し、心の内で苦笑いしてしまいました。
岩瀬文庫の世界

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