邦画ブラボー

おすすめ邦画(日本映画)のブログ。アイウエオ順(●印)とジャンル分け(★印)の両方で記事検索可能!歌舞伎、ドラマ感想も。

「嵐を呼ぶ男」-裕次郎

2004年10月18日 | ★イカス!映画たち
今まで石原裕次郎がなぜあんなに人気があったのかイマイチピンとこなかった。
ようやく、そのわけがわかったような気がする。

底抜けに明るい笑顔、兄弟愛、喧嘩、親子の愛。
シンプルで誰にでも受け入れられるわかり易いストーリー。
無力な若者が努力と負けん気で這い上がっていく。
そしてもちろん、恋も。

昭和の時代には人々の顔に希望があり覇気があった。
世の中はそんな「時代の気分」を代表する
大スターを求めていたのかもしれない。
裕次郎は昭和に呼ばれた男だったのか。

「音楽なんてやくざな稼業」と、認めてくれない母を見返すために、
「ちくしょう。こうなったら日本一のドラマーになってみせるぜ!」と
がむしゃらに練習する裕次郎いや国分正一。

どんな強い人間でも人は愛を求める。
正一も「母さん、あなたに褒められたくて」が原動力になっていたのだった。
高倉健がそんな本出していましたね。

正一の才能を伸ばし支えるスポンサーのような役に北原三枝。
素晴らしいプロポーション、目鼻立ちがはっきりした美人だ。

北原三枝が住む裕福な家のセットもモダンで素敵です。
(婆やがいたり)
ポップアップ・トースターとかパステルカラーのミキサーとか
雑貨好きの方もこの時代の映画は要チェック。

”チャーリー”というライバルドラマーに
ジャズ歌手の笈田敏夫さん。
この9月に亡くなられたらしい。偶然TVの追悼番組を見た。
銀髪が美しく、ずいぶん存在感がある人だなあと思っていました。
ドイツ生まれの慶応ボーイで、戦後の日本ジャズ界をリードした人です。

二人のドラム合戦が見もの。
手を怪我した正一が思うようにドラムを叩けず、
即興でこの唄を歌って大うけし、一躍トップスターになるのです。

「嵐を呼ぶ男」*************************

おいらはドラマーやくざなドラマー
おいらが叩けば嵐を呼ぶぜ
喧嘩代わりにドラムを叩きゃ、恋のうさも吹っ飛ぶぜ

(台詞)この野郎!かかってこい
最初にジャブだ、ストレートだ!・・・(ヴァーチャル喧嘩ドラムですね)
ちくしょーやりやがったな・・・・・(この後ジャブだフックだと続く・・)
・・・・アレアレ、のびちゃったぁ~~(!)・・・中略・・
・・年がら年中ドラムを叩きゃ、借金取りも逃げてゆくぅ~~♪

************************************
ふざけているわけではなく、ほんとにこんな歌詞です。

ゴキゲン!

「評論家」の役で山守のオヤジ/親分が・・・
金子信雄がベレーかぶって出ちょるよ。↑
可愛いけん、見てつかあさい。

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「大奥」第二話ネタバレ言いたい放題

2004年10月15日 | ★TV番組
お世継ぎをめぐり、竹千代(家光)の乳母おふくと次男国松を溺愛するお江与の方とのガチンコ勝負!
鬼VS鬼!

ネタバレ注意報*****************************

テンポが速い。
竹千代出産の後、またお江与が身ごもったことを知り、
「子が流れてくれますよう・・」と祈るおふく。目標が定まった女は怖い。

だがその祈りもむなしく産まれて来たのはまたもや若君!だった・・

竹千代と次男国松を公然と差別しまくるお江与。
産んですぐに手元から離してしまったからなのか・・・
それにしてもここまで実子に辛くあたるとは。

竹千代はむごい仕打ちをされながらも母を慕うのだった・・・・(哀れ)
この国松溺愛はほんとうの話で、まだ存命だった家康が憂えていたようです。
(藤田まこと家康の「みゃ~」「きゃ~」言葉には和む・・?)

「お前なんか産まなければよかった!!!」
あまりの言葉に自刃しようとする家光を涙ながらに止めるおふく。
「これからはこのおふくを母と思うて・・悲しいときはこの胸でお泣きなされ・・」

ここでもらい泣きした人、推定3万人以上。

鼻水まみれで泣く竹千代の顔は天下一品でござった。

お江与のおふくに対する反感は日増しに高まっていく。
「あの女の目は鬼じゃ」そう言ってるあなたこそ鬼ではないかあ。

過去を暴かれ、
竹千代にまで「妾を成敗とはどういうことじゃ?」と問われておふく、万事休すと思いきや!

ここの切り返しに感心しました。

「ひとは誇りを守るためにときに鬼になることがございます」
竹千代:「それはよいことか?」
「よい悪いではなく、それをせねば生きられぬ・・ということでございます・・
今度鬼になるとすればそれは若君のためでございます」鬼宣言・鬼予告入りました。
若君、すんなり納得。

さすが天下の春日局。政治力がある、と感服致した。
こうして徳川幕府の基礎を築く家光を教育していったのか。

災い転じて福となす。七転び八起き。転んでもただでは起きぬおふく!
ものは言いよう・・とも言えます

最後のシーン、歩く姿はまるで武士のように勇壮だったぞよ。

高島礼子のドスが効いた低音はズズズンとおなかに響き、
おそろしや~~。蛇のように光る目怖い~。

今回の勝負は引き分け、とみた。
来週は松下、お色気作戦に挑戦?高島礼子に果たして勝てるのか?

この戦い、ますますヒートアップしそうで目が離せぬぞえ!!

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「蜘蛛巣城」

2004年10月14日 | ★ぐっとくる時代劇
これは日本のゴシックホラーっス。
シェークスピアっス。マクベスっス。

・・・正気にもどり・・・・半ネタバレ・・・・


黒澤明+シェークスピアという、重厚な組み合わせ!

ひとりの武将が森の中で怪しい物の怪に出会い、
不思議な予言を受ける・

”北の館の殿様、やがては蜘蛛巣城の主になる・・”
予言に突き動かされるように武士は破滅の道を突き進んでいく・・・

武士の妻に山田五十鈴。
主君を裏切ってのしあがれと悪事をそそのかします。

怪奇な運命にあやつられる主人公に三船敏郎。
悪妻の尻にしかれ、言いなり。

その妻も罪の深さに気がふれてしまう・・・
「どうしてこの血は何度洗っても落ちないんだろうねえ、ああいやだいやだ。」
ぞ~っとしたシーンでしたよ!山田五十鈴恐るべし大女優。

武士はまた森に行き、予言をもらいます。
”山が動かぬ限り、安泰であろう・・”と。
だが、その山は・・・・・

はっきりいって陰気で後味も悪いです。
だけど一瞬も目が離せない。
陰惨な話ながら、作品の持つ「品格」に圧倒されます。

役者のステレオタイプのイメージに反した役どころも必見。
小心な三船、、欲に取り憑かれた山田五十鈴、その狂乱。
そして千秋実の不気味な亡霊。顔色悪~~
奇怪な物の怪には「浪花千栄子」だす。気味悪いです。

脚本には黒澤映画の生え抜き小国英雄、同じく菊島隆三、
「砂の器」「切腹」「白い巨塔」などでも有名な橋本忍
そして黒澤明というゴールデンメンバーがあたっています。

富士山の裾野に立てられたという幽玄な城のセット、
霧につつまれた森・・脅威の撮影技術、
完全主義の黒澤の世界を堪能出来ます。

最後のシーンは映画史に残る凄さ。ほんとに凄かった。
どうやって撮影したの?
後のインタビューで三船も「ほんとうに怖くて、しばらくうなされた」
と言っていたそうですよ。

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「狼よ落日を斬れ」

2004年10月12日 | ★ぐっとくる時代劇
BS2のデジタル映画祭・幕末映画ウィークのトリを飾るにふさわしい傑作でした。

池波正太郎の小説を、眠狂四郎や座頭市シリーズでおなじみの三隅研次が監督。

面白いですよこれは!!

無外流の使い手、杉虎之助(高橋英樹)を軸に、
動乱の幕末(明治10年の西南戦争まで)を駆け抜けた男たちを描いています。

まるでタランティーノの「パルプフィクション」のように因果は巡り、
人々は奇妙にからみあう・・・

育ての親・剣の師匠に田村高廣、
剣のライバル・盟友伊庭八郎(近藤正臣)、新選組沖田総司(西郷輝彦)、
薩摩の”人斬り半次郎”こと中村半次郎(緒方拳)、
西郷隆盛(辰巳柳太郎)女性陣では太地喜和子、松坂慶子など。

テンポがよく、無駄が無いストーリー。各人物が活き活きと躍動しています。

特に緒方拳の半次郎が人間味に溢れ、たいへん魅力的。

登場シーン・・居酒屋で新選組に不審尋問され、
「連れていきよるもんなら連れていきやい。
じゃっどん、こん半次郎、ちょっと手荒うごぁんど!よかや!」
と、刀を抜く!
寒気がするほどカッコよかったです。

西郷隆盛に激励され、半次郎が男泣きに泣く場面、敵味方関係なく
酒を酌み交わす場面など心に残る台詞、シーンが沢山ありました。

殺陣の素晴らしさ、構図の決り具合はいわずもがなですが、
そこに「ゴジラ」の音楽で有名な伊福部正昭の勇壮な音楽がかぶさって、
いやおうなしに盛り上がります。

“一刀両断“という意味が初めてわかったり!(大びっくりシーン!!)、
思わず「うそぉ!」と叫んでしまうシーンがあったりなど、サービスも満点。
硬軟取り混ぜたフルコース。
(“飛びます飛びます“の坂上二郎さんもちょこっと出てます)最後まで飽きさせません。

「ひとりひとりはいい人なのに、なぜ殺しあわなければならないのか・・」
「これからは刃物を人を斬るために使ってはならない!」と言った虎之助・・・
・・その後刃物をどうするかは見てのお楽しみ・・

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「暗殺」

2004年10月11日 | ★ぐっとくる時代劇
篠田正浩という監督さんは
実験精神に溢れた方なのだと思う。

題材の選び方でもそんな姿勢がうかがい知れる。
また、映画の手法もたえず新しいものを躊躇せず取り入れていますよね。

『梟の城』では、時代劇に大胆なSFXを駆使して話題になった。
(が、中井貴一の重蔵起用は失敗だったと思う。
せっかくの大詰め、秀吉寝所での芝居は酷かったよ~。高笑い興ざめ。)

「暗殺」の丹波哲郎は幕末の奇人と言われた倒幕の影の立役者、
清河八郎にぴったりはまっていた。

豪放磊落、頭脳明晰、緻密で策士。
剣の腕もたち、人身掌握にも長け、強いカリスマ性があったと言われている。

尊皇攘夷思想の先鋒であったのにもかかわらず、幕府方に寝返ったとみせかける。
しかし実は・・という、敵も味方もそして映画を見るものをも翻弄する複雑な人物。
最後は新しい日本の誕生も見ることなく、幕府方の木村功に暗殺されてしまう。

カメラ構図が凝っていて美しい。
時々ドキュメンタリーのようにストップモーションになったり。
白黒の画面を生かしてあらゆる実験をしているかのようです。

清河を狙う刺客、木村功の狂的な執念。
中井貴一の父、佐田啓二が坂本竜馬。(中井はお父さんと“鼻“だけ似ていること、発見)

愛妾、岩下志麻の凛とした美しさ。妾といってもべたべたするわけでもなく
清河の居所を問われ拷問にかけられても決して口を割らず、
人を斬ってきた清河のために黙って床をのべ、着物を脱ぐ女です。

10月5日に「これ見てテンションをあげよう!」などとうかれた気持ちで見始めましたが、
そのシリアスな映像に冷水を浴びせられたように覚醒してしまいました。

つかみ所が無い冷徹な策士のように描かれている清河でしたが、
妾の岩下志麻には深い愛情を抱いていることが述べられていて、ほろり。

司馬遼太郎の原作「奇妙なり八郎」も読んでみたい。
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