邦画ブラボー

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「暗殺」

2004年10月11日 | ★ぐっとくる時代劇
篠田正浩という監督さんは
実験精神に溢れた方なのだと思う。

題材の選び方でもそんな姿勢がうかがい知れる。
また、映画の手法もたえず新しいものを躊躇せず取り入れていますよね。

『梟の城』では、時代劇に大胆なSFXを駆使して話題になった。
(が、中井貴一の重蔵起用は失敗だったと思う。
せっかくの大詰め、秀吉寝所での芝居は酷かったよ~。高笑い興ざめ。)

「暗殺」の丹波哲郎は幕末の奇人と言われた倒幕の影の立役者、
清河八郎にぴったりはまっていた。

豪放磊落、頭脳明晰、緻密で策士。
剣の腕もたち、人身掌握にも長け、強いカリスマ性があったと言われている。

尊皇攘夷思想の先鋒であったのにもかかわらず、幕府方に寝返ったとみせかける。
しかし実は・・という、敵も味方もそして映画を見るものをも翻弄する複雑な人物。
最後は新しい日本の誕生も見ることなく、幕府方の木村功に暗殺されてしまう。

カメラ構図が凝っていて美しい。
時々ドキュメンタリーのようにストップモーションになったり。
白黒の画面を生かしてあらゆる実験をしているかのようです。

清河を狙う刺客、木村功の狂的な執念。
中井貴一の父、佐田啓二が坂本竜馬。(中井はお父さんと“鼻“だけ似ていること、発見)

愛妾、岩下志麻の凛とした美しさ。妾といってもべたべたするわけでもなく
清河の居所を問われ拷問にかけられても決して口を割らず、
人を斬ってきた清河のために黙って床をのべ、着物を脱ぐ女です。

10月5日に「これ見てテンションをあげよう!」などとうかれた気持ちで見始めましたが、
そのシリアスな映像に冷水を浴びせられたように覚醒してしまいました。

つかみ所が無い冷徹な策士のように描かれている清河でしたが、
妾の岩下志麻には深い愛情を抱いていることが述べられていて、ほろり。

司馬遼太郎の原作「奇妙なり八郎」も読んでみたい。
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