邦画ブラボー

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「脱獄囚」

2007年04月23日 | ★ハードボイルドな映画
脂汗がにじみ出るほどはらはらした。
彼奴を逃がすな!」と共に
日本映画史上に残る傑作サスペンス

撮影は成瀬巳喜男作品でもおなじみ玉井正夫。
まず脱獄の場面から始まるが、無駄が一切無く
たたみかけるようなテンポのよさで
3回ほど思わず「あっ!」と叫んでしまった。
演出が素晴らしい。

とにかく脱獄した死刑囚役の佐藤允が怖いのなんのって。
この人は「独立愚連隊シリーズ」などの陽気な役をやると
この上なく爽やかなのに
敵にまわしたら最後?最高に怖いタイプだと思う。
飢えた野獣のようにぎらぎらと光る目に
頑丈な体躯。まるでを思い起こさせる。
睨まれたら恐怖で金縛りになりそうである。

その脱獄囚が復讐のため、
自分を逮捕した刑事(池部良)の家族を狙い
隣人の母(中北千枝子)娘を人質に取って篭城する。

犯人と戦う池部良はスラリとした、いい男。
終始厳しい表情で妻を守る様子はまるで
「セブン」のブラピみたいにカッコイイのである。

命を狙われるか弱い妻役はというと、
それが見るからにたくましい草笛光子なので
「怖いわ、あなた」と言っていても
「そおお?」と思ってしまうのは仕方が無いのではないか。
だがしかし、暗闇の中の攻防は大変リアルで、
見ているほうも歯を食いしばってしまうこと必至。

こんな映画が半世紀前に作られていたなんて信じられない。
池部の家と中北の家のインテリアが
まるでアメリカのホームドラマに出てくるようで興味深かった。
ラジオから流れる放送もなぜか英語(米軍放送)なのだった。

池部の上司役に藤田進。頼もしく、温かみがある。

1957年

監督 鈴木英夫
脚本 村田武雄
原案 石川年
撮影 玉井正夫
音楽  芥川也寸志
美術 小川一男
録音 . 下永尚
照明 石井長四郎

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