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昨日記160716土(自然史博物館講演会水月湖年縞 2kwギャラリー)

2016年07月18日 18時14分18秒 | 日記(昨日記・今の思い考え・行動・情況)
曇  最高/最低℃ =31.5  23.1
午後地下鉄で長居公園にある大阪市立自然史博物館に行った。
立命館大学教授中川毅氏の講演で「暴れる時代と暴れない時代:人類は気候の激変期をどのように生きたか」を聴くためであった。
会場に入るとき、福井県発行のリーフレット「奇跡の湖 水月湖年縞」(http://www.pref.fukui.lg.jp/doc/shizen/nennkou/nennkoukaisetup_d/fil/handbookJp.pdf)をもらった。
この日の講演は、このリーフレットの内容に関連しての話しであった。
福井県の若狭湾にある、三方五湖の最大の湖「水月湖」の湖底には、7万年にわたる沈殿物が乱れることなく、毎年層をなして「年縞」と呼ばれる縞模様を形成しているという。
一つの縞が一年分の湖の堆積物なのだ。

通常地形は常に変化している。
湖も変化していて、川から流れ込んだ土砂が堆積して浅くなる。
ところが、水月湖はそうした影響を受けずに、毎年春から秋はプランクトンの死骸や花粉や木の葉が、晩秋から冬にかけては黄砂や鉄分等がたまり、一年で約0.7mmの層をなしているという。
しかもそれが最近まで乱れたことがないというのだ。

普通の湖では、湖底には生物がいて穴を掘ったりして攪拌するので、そのような縞模様は出来ないが、水月湖の湖底は、水が対流せず断層の影響で周辺からの川の流れ込みもなかったため、無酸素状態で生物は生きられなかったため、堆積物がそのままの状態で毎年残され7万年分の縞模様が形成されたという。
この現象は、世界の湖でも非常に珍しいという。

この年縞には、木の葉も含まれることがあるが、木の葉のC14(炭素14)の放射線の値を正確に測定することで、考古学や古生物学上の年代測定の物差しとして使われる、C14による年代決定の基準にすることが出来るのだ。
即ち、年縞は層になっているので目視で、一年単位で観察できる。
そこに含まれる木の葉等の有機物のC14を測定すれば、そのC14の値の年代が特定できるのだ。
長年の研究により、水月湖の年縞の正しさ純粋さが認められ世界標準のC14の物差しとして、最新のIntCat13に、水月湖の年縞も指標の一つとして採用された。(質的にはとびぬけて高いという)

(空気中には常に一定のC14が含まれる。生物はそれを取り込んで生きている(新陳代謝)ので、生物の体内のC14から放出される放射線は空気中と同じである。ところが、生物が死ぬと体内のC14は新陳代謝されないのでそのまま同じC14が体内に残る。ところでC14は放射性同位元素なので、放射線を出しながら崩壊していくので、時間とともに出す放射線が減る。C14の放射線が半分になるのに(半減期)5730年かかることが分かっている。そのことからC14の放射線を測定することで、その有機物が生きていた年代がわかる。しかし、C14の空気中の濃度は宇宙線や太陽風その他で大きく変化している時期もある。そのため正確な年代を確定するためには、水月湖の年縞を使用することで、年代を正確に補正することが出来る。)

上記の話は、福井県発行のリーフレット「奇跡の湖 水月湖年縞」に掲載されているがそれ以外に講演会でいろいろ語られた。
その中には、考古学にも深く関係する最先端の気候変動の話もあったが、詳細は言えない。
気になった話題の要点だけ言うと次のようなものがある。
この100年で平均気温は1℃上がっている。(東京と奄美大島の平均気温の差)
氷河期は10万年ごとにやってきた。
恐竜のいた時代(7-8000万年前)の気温は、今より平均気温が10度も高く、生物は多様だった。
過去千年の間でも200年周期で寒暖を繰り返していて、その原因は太陽活動にある。
今後100年は、太陽活動が低下する。=低温傾向になるがCO2の増加の影響で不明。
気象の長期予報は、学問的(原理的)に予測不能。(例:二重振子の動きも学問的に予測不能)
氷河期の終了とともに、農耕が発生した。
マヤ文明は7年に6回の干ばつに見舞われ崩壊した。(オルメカ文明の影響ではない。)
3万9年前に鹿児島の姶良〔あいら〕火山が巨大噴火を起こし九州は壊滅状態になり、関東でも10cmの降灰。
人類は平均気温が1℃ではなく、過去には10度程度の変化があることを、考慮しておく必要がある。

今回なぜこの講演会にわざわざ参加したかというと、考古学ではC14を使用した年代測定により、弥生時代や縄文時代の年代区分が議論されていて、学者により意見が違い、確定していないのだ。
その中にC14の校正年代と精度の問題も出てくる。
水月湖の年縞は、C14の問題のみならず、花粉分析等によりその当時の植生から、気温の変化も読み取れるのだ。
そうした意味でも、水月湖の年縞は考古学とも深いかかわりを持っていて、環境変化の物差しの役割も果たすので、詳細を知りたかった。
概要は分ったが、詳細を知るところまではいかなかった。
多分研究では、そうした詳細も分かっていると思うのだが。

講演会が終わりすぐに地下鉄に向かった。
駅まで歩くだけで10分以上かかる。
時間があったので画廊を回ることにしたが、白は先週と同じものをしているので、2kwギャラリーに行った。
作家やギャラリーのオーナーとも話しできた。
湯上さんの色鉛筆画は、何度か見ているが、細かく枡目に描いているだけだが、独特のマチエールを作り、印象的な作品だった。

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