老いの途中で・・・

人生という“旅”は自分でゴールを設定できない旅。
“老い”を身近に感じつつ、近況や色々な思いを記します。

成年後見制度について

2019年01月28日 21時06分37秒 | 高齢化社会での生活・終括・社会保障など
 以前にこのブログにも書き込みましたが、私の叔父/叔母の死去に伴う相続問題が難航しています。

 概略は昨年6月20日付のブログの通りで、
・3年前の春に叔父が亡くなり、その1年半後にその奥さんが後を追うように亡くなれましたが、二人が住んでいた家(土地・建物)は叔父の死後も、叔父名義のままで叔母の名義に変っていなかった。

・2人の間に子供はいないので、その不動産は法定相続となるのですが、わずか四分の一である叔父側親族にはこの遺産分割に関係する妹や甥・姪が17名おり、その中の一人が認知症になっており、「正常な判断が出来るとは思えず、後見人が必要」とのことになりました。

・しかし、この当人に金銭的な問題がある様で、そのご家族が後見人になることを拒絶されこの為、相続そのものが全く進まなくなり、叔母側の親族も含めて途方に暮れており、現在は弁護士に対策を任せているという状態です


 弁護士の話でも、このようなケースは多くて、相続が上手く出来なくて所有者が不明な不動産があちこちに出現しているという状態が全国に広がっている様です。


 私なりにこの成年後見人問題に興味を持ち、少し調べてみましたが経済的な利害関係が生じるだけに、下記の通りに成年後見人の義務が煩雑なことや、また一度受けると勝手に辞退出来ない等非常にややこしい制度になっています。

<法定相続人の義務>
成年後見人の就任中の職務には、大きく分けて、
1.財産管理事務
2.身上監護事務
3.家庭裁判所への報告事務
4.その他の事務
があります。

その内、ややこしいのは家庭裁判所への報告事務で、通常は、家庭裁判所より報告の求めがありますので、その指示に従って報告書を提出することになります。

報告書には、必要に応じて、収支明細書、預貯金の残高証明書、通帳の写しなどを添付する必要があり、最初の報告と今回の報告の変動点が分かるように財産目録等を作成することになっています。

<法定相続人は勝手に辞任出来ない>
・後見制度そのものの利用を止める事が出来るのは、被後見人の判断能力が正常と言えるまでに回復し、それを医師と家裁が認定した場合です。

・一度家裁が「後見が必要」と審判を下したのですから、家族が、ただ制度の利用を止めたいというだけでは、後見制度の利用を止める事は出来ません。後見人を辞める場合は病気などの止むを得ない理由があり、家裁がそれを認めた場合にのみ可能です。


 要するに、法律的な後見人になると以後毎年本人と被後見人の財産状況を提示する義務が生じる上に、途中で勝手に辞退できないなど、非常に制約も多いので、後見人になって頂ける方が少ないという状況でのようです。

 確かに被後見人の意思や、財産に関わる重要な事項に関することなので、厳重な管理が求められるのは当然でしょうが、今回の叔父名義の不動産の相続問題のように、“後見人になる人がいないために、他の多くの関係者の相続が進行しない”というのは、少しおかしいのではないでしょうか。

 上記のような場合には、その他の利害関係者の同意(例えば対象の金額や人数の参分の二以上とかの基準を設けても構わないと思います)に従うとか、もう少し柔軟な対応で早期解決の方法がなければ、高齢化や認知症患者増加が進む日本では、円満な相続が出来ずにややこしい不動産が益々増加して行くでしょう。

 事実、上記のケースでも、相続問題がストップしている中で、従弟の一人が亡くなり、利害関係者の数が増えるなど、事態はますます複雑になっています。(まさ)