老いの途中で・・・

人生という“旅”は自分でゴールを設定できない旅。
“老い”を身近に感じつつ、近況や色々な思いを記します。

未来へつなぐ責任(小松浩氏)

2019年01月03日 19時30分02秒 | 全般
 元旦の新聞に目を通していると、毎日新聞の1面に「未来へつなぐ責任」という題で、主筆の小松浩氏が執筆されていました。

 非常に纏まった文章で、私が普段考えている内容を整理するのにも非常に役立ち、何度も繰り返して読みました。
 
 この記事を読まれた方もあるかと思いますが、念のために下記、全文を紹介させていただきます。(まさ)


 “トランプ政権誕生後の米国や世界の混乱ぶりをまのあたりにする時、時計の針を巻き戻すことができたら、という思いにかられる人は多いだろう。

 それでも私たちは、歴史の事実を知ってから過去をやり直すことはできない。「未来は我々がいま何をなすかにかかっている」というガンジーの言葉だけが、確かな道しるべだ。

 日本の未来。それは猛スピードで進む超高齢化と若者の数の激減で、老い、縮小していく未来である。そして首都直下地震や南海トラフ巨大地震など、列島中枢と大動脈を直撃する大災害が必ず起こる未来だ。

 財政危機によって国 家が破綻したり、貧富の格差拡大で社会分断が固定化したりするリスクも、このままいけば避けられない。気候変動は、地球と人類の存続をますます脅かす。

 何よりも、未来の安心は、原発に頼らない自然エネルギー社会の構築にあるはずだ。福島の事故からその教訓を学ばなかったとしたら、私たちの方向感覚はどこかが狂っている。見えている未来から目をそむけ、幻の繁栄を夢見ていたと、いつか言われる日がくるだろう。

 平成の30年は、戦争のない平和な時代だった。日本が享受している平和と豊かさは、国民の反戦への強い意志と、勤勉な努力が作り上げたものだ。

 一方で、国策の過ちによる侵略戦争と植民地支配は、近隣の国々との摩擦の根っこにあるだけでなく、沖縄の基地問題の出発点となっている。北方領土など外交懸案の多くも、戦争の負の遺産にほかならない。

 過去と切り離して、現在があるのではない。過去の世代が何をなしたかに、あとの世代の生き方も運命づけられる。

 18世紀のフランス革命前、ルイ15世の愛人として権力をふるい、浪費の限りを尽くしたポンパドール夫人は「わがなきあとに洪水はきたれ」と言ったとされる。「いまさえよければ」が破滅を招いたのである。

 日本で今年生まれる赤ちゃんの半分以上は、22世紀の世界を見るだろう。私たちには、世代を超えた重い責任がある。「あとは野となれ山となれ」というわけにはいかないのだ。”