『信長の原理』by垣根涼介
~吉法師は母の愛情に恵まれず、いつも独り外で遊んでいた。長じて信長となった彼は、破竹の勢いで織田家の勢力を広げてゆく。だが、信長には幼少期から不思議に思い、苛立っていることがあった―
どんなに兵団を鍛え上げても、能力を落とす者が必ず出てくる。そんな中、蟻の行列を見かけた信長は、ある試みを行う。結果、恐れていたことが実証された。
神仏などいるはずもないが、確かに“この世を支配する何事かの原理”は存在する。
やがて案の定、家臣で働きが鈍る者、織田家を裏切る者までが続出し始める。天下統一を目前にして、信長は改めて気づいた。いま最も良い働きを見せる羽柴秀吉、明智光秀、丹羽長秀、柴田勝家、滝川一益。あの法則によれば、最後にはこの五人からも一人、おれを裏切る者が出るはずだ―。「BOOK」データベースより
大好きな垣根涼介氏の最新作です。しかも『織田信長』を主人公に据えた作品なので、興味を持って読み始めました。
歴史小説を描く難しさは、結末がわかっている(主人公の最期など)物語をいかにドラマチックに見せ続ける事が出来るか?読者を引っ張り続けることが出来るか?という点です。
織田信長は、その典型で、『本能寺の変』までがラストだとわかっていますし、本能寺に至までの数々の合戦や、信長エピソードも数多に語られています。
トップに立ち蛮勇を奮い続けているように見える信長が思い悩む姿や、羽柴秀吉、明智光秀、丹羽長秀、柴田勝家、滝川一益という、信長の天下統一を支えた5人の武将達が、それぞれの立場、出自などによって懊悩する深層心理を垣根涼介氏独自の理論と解釈、そして鮮やかな推理を持って物語が進行していきます。
歴史小説でありながら、「何故、人は怠けるのか?期待を裏切るのか?」、「何故、社長は部下を信じきることが出来ないのか?」など、現代社会の組織における疑問について、見事に当てはめています。
「人生が劇的に変わる!? 『パレートの法則』で勝者になる方法」に詳しく説明がありますが、抜粋しますと・・・、
~パレートの法則とは、1986年にイタリアの経済学者 ヴィルフレド・パレートが論文で提唱した、「物事を構成する要素が全体に占める割合はかたよりがあり、複数要素のうち一部で全量の大部分の割合が占められている」という考えのこと。
具体的には、社会全体の上位2割の(富裕層)が世の中の富の8割を保有しており、逆に8割の低所得者層は社会全体の富の2割しか占めていないと言われています(「8割」や「2割」といったキーワードから、「80:20の法則」、「2:8の法則」と呼ばれることも)。
売上の80%を生み出しているのは、20%の顧客だという考えのもとになった法則です。
パレートの法則があてはまるというシーンを書き出してみましょう。
• 商品の売上の8割は、全商品のうち2割の銘柄が生み出している。
• 企業の売上の8割は、全体の2割の顧客が生み出している。
• 企業の売上の8割は、全従業員のうちの2割の従業員で生み出している。
• 仕事の成果の8割は、費やした時間全体の2割の時間で生み出している。
• 機械の故障の8割は、全部品のうち2割の部品に原因がある。
• 所得税の8割は、課税対象者の2割が担っている。
• 離婚件数の8割を、離婚経験者2割が占めている。
• 試験問題の8割が、その学科に関する2割の知識で答えられる。
• 文章で使われる単語の8割は、全単語数の2割に当たる数の単語である。
• 都市の交通量の8割は、都市全体の道路の2割に集中している。
• ソフトウェア利用者のうち8割は、全機能のうち2割しか使わない。
• 物事の本質の8割は、2割を見ればわかる。
• 100匹のアリのうち、よく働くのは2割だけ。
などなど。
ということです。
本書では、さらに突き詰めて、2:6:2 → 1:3:1の割合で物事が動くと考えます。
2割の働き蟻:6割の日和見蟻:2割の怠け蟻 → 絶対に裏切らない優れた1人(羽柴秀吉):忠義者ではあるが、そこそこの3人(丹羽長秀、柴田勝家、滝川一益):能力はあるがリスクも高い1人(明智光秀)という感じです。
この原理の真相究明は数学者や哲学者に任せるとしても、現代社会に置き換えてみても、組織をまとめていくトップの考え方や、それに仕える役員達の苦悩や、様々な岐路での選択、生き方などについて、とっても参考になります。
信長の原理に基づいて、史実に照らし合わせながら、『光秀の定理(レンマ)』では描ききれなかった、信長や他の武将目線から見た、光秀の『最大にして最期の決断』に至る過程、「本能寺の変は起こるべくして起こった」ということがわかります。(やや光秀よりですが(^_^;))来年の大河ドラマが楽しみになりますよ!
信長の原理以外にも色んな法則や考え方が出てきますので、ある意味では『自己啓発本』とも言えるでしょう。
社会や組織で生きる多くの人たち、特に40代~50代の中間管理職の方に、是非読んでもらいたい一冊です。
★★★☆3.5です。
~吉法師は母の愛情に恵まれず、いつも独り外で遊んでいた。長じて信長となった彼は、破竹の勢いで織田家の勢力を広げてゆく。だが、信長には幼少期から不思議に思い、苛立っていることがあった―
どんなに兵団を鍛え上げても、能力を落とす者が必ず出てくる。そんな中、蟻の行列を見かけた信長は、ある試みを行う。結果、恐れていたことが実証された。
神仏などいるはずもないが、確かに“この世を支配する何事かの原理”は存在する。
やがて案の定、家臣で働きが鈍る者、織田家を裏切る者までが続出し始める。天下統一を目前にして、信長は改めて気づいた。いま最も良い働きを見せる羽柴秀吉、明智光秀、丹羽長秀、柴田勝家、滝川一益。あの法則によれば、最後にはこの五人からも一人、おれを裏切る者が出るはずだ―。「BOOK」データベースより
大好きな垣根涼介氏の最新作です。しかも『織田信長』を主人公に据えた作品なので、興味を持って読み始めました。
歴史小説を描く難しさは、結末がわかっている(主人公の最期など)物語をいかにドラマチックに見せ続ける事が出来るか?読者を引っ張り続けることが出来るか?という点です。
織田信長は、その典型で、『本能寺の変』までがラストだとわかっていますし、本能寺に至までの数々の合戦や、信長エピソードも数多に語られています。
トップに立ち蛮勇を奮い続けているように見える信長が思い悩む姿や、羽柴秀吉、明智光秀、丹羽長秀、柴田勝家、滝川一益という、信長の天下統一を支えた5人の武将達が、それぞれの立場、出自などによって懊悩する深層心理を垣根涼介氏独自の理論と解釈、そして鮮やかな推理を持って物語が進行していきます。
歴史小説でありながら、「何故、人は怠けるのか?期待を裏切るのか?」、「何故、社長は部下を信じきることが出来ないのか?」など、現代社会の組織における疑問について、見事に当てはめています。
「人生が劇的に変わる!? 『パレートの法則』で勝者になる方法」に詳しく説明がありますが、抜粋しますと・・・、
~パレートの法則とは、1986年にイタリアの経済学者 ヴィルフレド・パレートが論文で提唱した、「物事を構成する要素が全体に占める割合はかたよりがあり、複数要素のうち一部で全量の大部分の割合が占められている」という考えのこと。
具体的には、社会全体の上位2割の(富裕層)が世の中の富の8割を保有しており、逆に8割の低所得者層は社会全体の富の2割しか占めていないと言われています(「8割」や「2割」といったキーワードから、「80:20の法則」、「2:8の法則」と呼ばれることも)。
売上の80%を生み出しているのは、20%の顧客だという考えのもとになった法則です。
パレートの法則があてはまるというシーンを書き出してみましょう。
• 商品の売上の8割は、全商品のうち2割の銘柄が生み出している。
• 企業の売上の8割は、全体の2割の顧客が生み出している。
• 企業の売上の8割は、全従業員のうちの2割の従業員で生み出している。
• 仕事の成果の8割は、費やした時間全体の2割の時間で生み出している。
• 機械の故障の8割は、全部品のうち2割の部品に原因がある。
• 所得税の8割は、課税対象者の2割が担っている。
• 離婚件数の8割を、離婚経験者2割が占めている。
• 試験問題の8割が、その学科に関する2割の知識で答えられる。
• 文章で使われる単語の8割は、全単語数の2割に当たる数の単語である。
• 都市の交通量の8割は、都市全体の道路の2割に集中している。
• ソフトウェア利用者のうち8割は、全機能のうち2割しか使わない。
• 物事の本質の8割は、2割を見ればわかる。
• 100匹のアリのうち、よく働くのは2割だけ。
などなど。
ということです。
本書では、さらに突き詰めて、2:6:2 → 1:3:1の割合で物事が動くと考えます。
2割の働き蟻:6割の日和見蟻:2割の怠け蟻 → 絶対に裏切らない優れた1人(羽柴秀吉):忠義者ではあるが、そこそこの3人(丹羽長秀、柴田勝家、滝川一益):能力はあるがリスクも高い1人(明智光秀)という感じです。
この原理の真相究明は数学者や哲学者に任せるとしても、現代社会に置き換えてみても、組織をまとめていくトップの考え方や、それに仕える役員達の苦悩や、様々な岐路での選択、生き方などについて、とっても参考になります。
信長の原理に基づいて、史実に照らし合わせながら、『光秀の定理(レンマ)』では描ききれなかった、信長や他の武将目線から見た、光秀の『最大にして最期の決断』に至る過程、「本能寺の変は起こるべくして起こった」ということがわかります。(やや光秀よりですが(^_^;))来年の大河ドラマが楽しみになりますよ!
信長の原理以外にも色んな法則や考え方が出てきますので、ある意味では『自己啓発本』とも言えるでしょう。
社会や組織で生きる多くの人たち、特に40代~50代の中間管理職の方に、是非読んでもらいたい一冊です。
★★★☆3.5です。