「心ゆたかな暮らしを」  ~Shu’s Page

小説のレビュー、家族の出来事、趣味の事、スポーツ全般など、日々の出来事をつづりながら、一日一日を心豊かに過ごせれば・・・

警察小説だがホームドラマ感が強い『ビート』by今野敏

2019年02月18日 | 小説レビュー
『ビート』by今野敏

~警視庁捜査二課・島崎洋平は震えていた。
自分と長男を脅していた銀行員の富岡を殺したのは、次男の英次ではないか、という疑惑を抱いたからだ。
ダンスに熱中し、家族と折り合いの悪い息子ではあったが、富岡と接触していたのは事実だ。
捜査本部で共にこの事件を追っていた樋口顕は、やがて島崎の覗く深淵に気付く。
捜査官と家庭人の狭間で苦悩する男たちを描いた、本格警察小説。「BOOK」データベースより


今野敏氏が、本著に対する思いをあとがき寄せているのですが、「自分の警察小説の中での一つの集大成ともいえる作品です」と語っている通り、骨太の中身の濃い作品でした。

こういう作品を経て、『隠蔽捜査』シリーズが書き始められたことを思うと、まさにキャラクターづくりや、ストーリーの展開、そして警察組織の描き方等に、かなりの磨きがかかって完成したシリーズだと思います。

1980年代からずっと、今野敏氏の作品を追い続けてきた方にとっては、今日の今野敏氏の活躍ぶりをみるにつけ、感慨深いものがあるでしょうね。

さて、今作の感想ですが、相変わらず、心理、情景、人物描写も細やかで、楽しめました。

警察署が舞台の『警察小説』なんですが、今作は特に『ヒューマンドラマ』感が強かったですね。

犯人の目星は中々つかなかったですが、少なくとも「こいつは犯人じゃない」というのはすぐにわかりましたね。

主人公・樋口顕のキャラが若干薄いので、イマイチ物語にのめり込めませんが、なかなか良く出来たシリーズだと思います。

★★★3つです。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする