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中々やけど、あと一歩かな?『孤独の歌声』by天童荒太

2019年02月21日 | 小説レビュー
『孤独の歌声』by天童荒太

~凄惨な連続殺人が発生した。独り暮らしの女性達が監禁され、全身を刺されているがレイプの痕はない。
被害者の一人が通っていたコンビニでの強盗事件を担当した女性刑事は、現場に居合わせた不審な男を追うが、突然彼女の友人が行方不明に…。
孤独を抱える男と女の、せつない愛と暴力が渦巻く戦慄のサイコホラー。
日本推理サスペンス大賞優秀作を新たな構想のもとに、全面改稿。「BOOK」データベースより


天道荒太氏の作品は初めてですが、読み出しからいきなり引き込まれる展開に「これは大作の予感!?」と思いました。

3人の主人公が、それぞれの孤独を抱えながら、誘拐監禁事件を中心に交わっていきます。

僕好みではない「一人称」で語られているので、始めの方は違和感もありましたし、セリフや頭の中の妄想シーンなんかを読んでいても、何となく興ざめする部分もありました。

しかし、ストーリー展開が速く、なかなか読ませる展開なので、途中から気にすることなく物語にダイブすることが出来ました。

こういうミステリーのクライマックスにありがちな「なんでそこにタイミングよく主人公が居るのよ!」というご都合主義の展開はなく、綺麗にまとめてエンディングに向かっていきます。

行き過ぎた描写やグロも抑え気味で、女性が読んでも大丈夫だと思います。

こういう小説を読むと、やはり歪んだ犯罪を起こしてしまう犯人というのは、少なからず育ってきた環境が影響を及ぼしてしまうんやろうなぁ~。と考えてしまいます。

環境と一言で言っても、「親」、「兄弟・姉妹」、「同級生」、「先生」、「友だち」、「先輩・後輩」、「同僚」、そして「妻・夫」、「子ども」、「孫」と、自分を取り巻く多くの人物から影響を受け、そして孤独感や幸福感を味わったりするんだと思います。

自分自身でも、何気ない一言や仕草で色々な人を傷つけたりしたこともあるでしょう。

逆に、思いがけず相手の人が感謝してくれていたようなこともあったと思います。

この社会に生きている限り、色んな影響を及ぼす可能性があるということを考えながら、日々過ごして生きたいと思います。

★★★3つです。
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